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雉羹・物語

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作成者: 皮蛋納豆丼
最終更新者: 皮蛋納豆丼

一 人間情味・壱

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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風もなくよく晴れた日。部屋で雉羹とお茶を飲みながらお菓子を食べていたまさにその時。


突然、丸々としたフワフワの球体がぶつかって窓が開き、転がり込んできて、危うくちゃぶ台がひっくり返るところだった。

二人がよく見てみると、荷物を背負った陸吾が仰向けにひっくり返っていた――


陸吾

「お、重いニャア!二人とも早く助けてくれニャ!お、起き上がれないニャ!」


隣りにいた雉羹がすぐに立ち上がり、片手で陸吾を助け起こしながら、もう一方の手でしっかりと巨大な荷物を受け止めた。


雉羹

「おや?荷物があるようですが、まさか――」


陸吾

「コホン!その通り。あの彭鏗が2人に送ったものだ。開けて見てみるニャ!

 なんて重い荷物だ。若、今回は腐乳味の煮干しをたっぷり用意してもらうニャ!」


陸吾はそう言い、軽快にジャンプして窓からするりと出て行った。さっきまで仰向けにひっくり返っていたのがうそのように。


雉羹と共にその重い荷物を開けると、中に1通の手紙が入っていた――


雉羹

「最近、黄山に行ったと書かれています。

 この青松のブローチは若への贈り物だそうですよ。あなたは青松のように我慢強く高潔で、霜雪を恐れないから……とのこと。」


【選択肢】

・それは雉羹のことでしょ!

・そんな風に褒められると恥ずかしい……

・陸おじさんにしっかり感謝しないと!

選択肢

それは雉羹のことでしょ!

雉羹

「……」

「若、買いかぶりすぎです。私はそんな大した者ではありません。」

「それに、もしもあの時……若が危険を冒して助けてくださらなかったら、私はたぶん、取り返しのつかない事をしていました。」


そんな風に褒められると恥ずかしい……

雉羹

「決して大げさに褒めているのではありません。そう書かれているんです。彭様のおっしゃる通りですよ。」

「そう言われるともっと恥ずかしいですか?でも、本当にそう思っていますので――」

「若は過去の不和にこだわらず、危険を冒してまで私を救ってくださいました。これこそ、我慢強く高潔でいらっしゃる証拠です。」


陸おじさんにしっかり感謝しないと!

雉羹

「彭様は、お礼を言うべきは若ではなく、自分の方だと書いています。

 そして、あなたがいなければ、自分は永遠に山頂に立って松柏と雲海を眺め続け、心の安らぎを得ることもなかっただろう、とも。」

「若、私もあなたに感謝しないと。

 もしあなたが危険を冒して助けてくれなかったら、私はたぶん、取り返しのつかない事をしていました。」

「それに、私は空桑に……」



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雉羹

「……」

「若、あなたのために、もう一度お茶を注ぎましょう。」


ゆらゆらと香りが漂う中、2人でまた、荷物の中から束になった本を取り出したどれも各地の家庭料理のレシピのよう。きっと陸おじさんが道中で集めたものだろう。


雉羹

「彭様はかつて、最も希少な食材で最も美味しい料理を創り出すことにこだわり続けていらっしゃいました。」

「やがてその執念が消えると、彼は再び東坡さんの言葉を思い出す。「この世で最も味わい深いのは、あっさりとした中に感じる悦びである」。ありふれた質素な背高蓬や蓼の新芽であっても、人を感動させる味を生み出すことができる、と」

「私もかつては、昔の彭様と同じ考えでした。」

「しかしこれまで空桑で過ごしてきて、前に鵠羹に言われた言葉を何度も繰り返し考えたのです。伊摯様は、料理の美味しさは希少な食材かどうかではなく、そこに込められた思いだと考えていらっしゃいました。」

「それで私はしょっちゅうレストランやキッチンに行った観察しました。調理部のほかの食魂に教えてもらったこともありましたよ。

 でもまだ、この言葉の本当の意味を理解できていない気がするんです。」

「前にあなたへ書いた手紙にも、その疑問について伝えましたね。」

「「思い」は目に見えませんし、触ることもできません。味や形だって。それが一体、どんな方法で料理に影響を与えるのでしょう。」


彼はレシピ本を開き、ページに視線を落とすも、次第に表情は曇っていった――


雉羹

「……」



体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(彼の頭を撫でる)

雉羹

「若……!」

「け……結構です。ただ、こんな風に頭をなでられることは滅多に無くて。私を慰めてくださるのですか?恥ずかしいですね……」

「夜の当番の際に、よくあなたの部屋の明りがついているのを見かけます。食神総選挙のために準備しているんでしょう?」


体に触れる(彼の肩を軽く叩く)

雉羹

「……」

「若、私を慰めてくださるのですか?恥ずかしいですね……」

「夜の当番の際に、よくあなたの部屋の明りがついているのを見かけます。食神総選挙のために準備しているんでしょう?」


手に触れる(彼の手を握る)

雉羹

「若さま……」

「あなたの手には、やけどや包丁の傷痕が沢山ありますね。年月を重ねて調理技術を鍛錬してきた結果でしょう。」

「夜の当番の際に、よくあなたの部屋の明りがついているのを見かけます。食神総選挙のために準備しているんでしょう?」


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雉羹

「調理技術の研鑽は、長く辛い道のりだということは分かっています。」

「あなたを見習うべきですね――若に追いつこうだなんて思いませんが、大きく後れを取ってはいけません。いえ、どうすればあの時に誓った、あなたが大業を成し遂げるお手伝いをするという約束を果たせるのでしょう?」

「……?」

「……若?私を引っ張って、どこに行くのです?」



【選択肢】

・美味しいものを食べに連れて行くんだよ!

・人間界へ勉強と視察に行く

・まだ秘密

選択肢

美味しいものを食べに連れて行くんだよ!

雉羹

「まだ何も貢献できていないのに、そんなわけにはいきません!」

「いつも私が点心をごちそうしているから、そのお返しですか?そんなもの、結構です。私はただ、若に指導していただきたくて――」

「……!」


こちらの表情を見て、雉羹はふっとため息をついた――


雉羹

「……ありがとうございます、若。わかりましたから、そんな哀しい表情はやめてください。」


言われてつい笑ってしまうと、雉羹も、仕方ないなという様子で口角を上げる一彼自身、自分が笑っていることに気づいていないのかもしれない。


人間界へ勉強と視察に行く

雉羹

「この三界に、空桑や芝蘭苑にも勝る料理があると?」

「「人間界の食事には特別な情緒がある。これこそが空桑の味の由来」ですって?

 ……わかりました。若、お気遣いありがとうございます。しっかり学びますね。」


まだ秘密

雉羹

「秘密ですか?きっと相当大事なことなんでしょう。」

「ならば、聞かないでおきます。」

「どこに行こうと、何をしようと、私がしっかりあなたをお守りします。」


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雉羹は、鵠羹から教わった方法で大きな両翼を隠し、普段着に着替えた。

そして2人は、共に万象陣へ向かった……



やがて万象陣を出て街へ入り、にぎやかな人通りを抜けて、目的地へと直行した。


米麺の甘さ、季節の野菜のみずみずしさ、海鮮の新鮮さ、肉類の濃厚さ……

この世のあらゆるものを覆うように、様々な匂いが混ざりあっている。


2人は看板のない小さな店の前で止まった。奇妙にも、扉が半開きになっている中をのぞくと、ガランとしていた。以前は、客でにぎわっていたはずだ。


雉羹

「こちらは、よく食べに来ていた店ですか?」

「今は営業すらしていないようです。」


その時、隣の茶館から店主の李さんが出ていた――


「〇〇かい?

 久しぶりだね。友達を連れて食事をしに来たのかい?智庚さんと言うのか。これはこれは、男前じゃないか!」

「ただ、無駄足だったかもしれんな……代わりに、わしがお茶をご馳走してやろう!」


李さんはそう言うと、1人にお茶を出した。


雉羹

「ありがとうございます。あの、「無駄足だった」とは、どういうことですか?」


「こちらの店の主人である趙さんの、奥さんの阿芸さんが2か月前に大病をわずらってな。急にボケてしまって、誰のこともわからなくなってしまったんだ!」

「趙さんは奥さんに何かあってはと心配して、阿芸さんにつきっきりで、2か月間ほとんど店を休んでいるんだ。」

「昨日の夜、また阿芸さんの具合が悪くなって、趙さんも一晩中眠れなかったそれで早朝ウトウトしていた隙に、奥さんが出て行ってしまったらしい!」

「今わしの娘が、同級生にも声をかけて一緒に探してくれている。わしは足が悪いもんで、店に残るしかなく……」

「はぁ。どうか趙さんご夫妻が無事でありますように。うちの娘は、趙さんが作った醋溜白菜が好物でな!」


雉羹

「……」


「決して、醋溜白菜のために彼の無事を祈っているわけじゃない。わしらは長年付き合いのある隣人だからな!」

「趙さんも阿芸さんもとてもいい人で、2人はとても仲が良かった。それが、なぜこんなことに……」


雉羹

「趙さんと奥さんが今日どんな服を着ていたかご存知ですか?」


「知っておるぞ!今朝ちょうど通りかかった人が見かけてな――」


雉羹は詳しく話を聴き、やがて李さんに頭を下げ、自分の主人に向かってこう言った。


雉羹

「若、私がひとっ飛びして、趙さんご夫妻を探してきます。」






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二 人間情味・弐

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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雉羹は上空から探すつもりなのだ。彼はこちらに李さんの茶室で待つように言い、出ていった。一方、李さんは皿一杯のお茶菓子を持ってきた。


「〇〇、君の友達も手伝いに行ったのかい?

 無口で冷たそうな見た目だが、君のように親切な人だな!」


【選択肢】

・ええ。彼には今まで沢山助けられました

・ええ。それにとっても可愛い人なんですよ

選択肢

ええ。彼には今まで沢山助けられました

「はは!どうやら君たちはとても仲良しのようだな!

 若いうちの友情を大切にすれば、一生ものになるぞ!」


???

「……〇〇、趙さんと奥さんを見つけました。2人とも無事です。」


振返ると、雉羹がいつの間にか入口に立っていた。


ええ。それにとっても可愛い人なんですよ

「はは!そんな風に言うとは。どうやら2人はとても仲良しのようだな!

 若いうちの友情を大切にすれば、一生ものになるぞ!」


???

「……!」


ふと、振り返ると入口に雉羹が立っている。一瞬、珍しくはにかんだような表情を見せた。しかしすぐにいつもの冷静な様子に戻った。ただ両頬は、まだ照れたようにうっすら赤い……


雉羹

「……〇〇、趙さんと奥さんを見つけました。2人とも無事です。」



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「おお、無事に戻ってきたのか!

 探しに行ってくれたこと、感謝しなきゃならんな!店で一番のお茶をご馳走しよう……」

「栄養のある物を取ってくるから、まずはみんなで趙さんと阿芸さんのところへ行こう!」


雉羹

「若、先ほどは一体、何の話を――」



【選択肢】

・君のことを褒めてたんだよ

・こっそり君の悪口を言ってたんだよ

選択肢

君のことを褒めてたんだよ

雉羹

「ありがとうございます。」

「えっ。もっと胸を張って、自信を持て、ですか?……これから、そうしてみます。」


こっそり君の悪口を言ってたんだよ

雉羹

「いえ、李さんは、私のことを褒めているようでしたが。」

「……ありがとうございます。」



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雉羹

「じゃあ、趙さんの所へ行きましょう。」


料理店の裏庭から騒がしい声が聞こえてきた。

声の主は、店主である趙阿亮の妻、許阿芸だった。彼女は白髪頭だが、まるで子供のように顔をくしゃくしゃにして泣いている。


許おばさん

「うぉああん!阿亮、阿亮はどこ……阿亮のところに行かなきゃ……!」


趙おじさん

「阿芸、阿亮はここだよ……わ、私のことがわからないのか?」


許おばさん

「うそよ!あなたは阿亮じゃないわ。私の阿亮はとってもかっこよくて、若くて素敵な男の子で有名なのよ!」

「あんたたち全員悪者よ!なんで会いに行かせてくれないの?山の中腹にある楓の下で、彼と会う約束をしてるの!」


趙おじさん

「君は今、病気だ。だから……会いに来させないでくれって、彼から言付かっている。病気が治ったら行こう!彼はずっと……10年も、20年も、一生待ってるから、安心してくれって!」


許おばさん

「本当に……?じゃあ、ちゃんと薬を飲むわ……」


許おばさんは彼の優しい声になだめられ、段々落ち着いてきた。

薬を飲み、少し経つと目を閉じて眠りについた。


趙おじさん――阿亮はやっと振り向いて、庭の入口の人々へあいさつした。


趙おじさん

「可哀そうな阿芸。私たちが故郷を去ってもう数十年経つというのに。

 故郷はとっくに昔の姿ではないし、あの山の楓の木もなくなった……」

「ともあれ、みなさん、阿芸を見つけてくれてありがとう!」


雉羹

「ご夫人が無事でよかったです。お礼なんていりませんよ。」


「阿芸さん……少しは良くなったかい?」


趙おじさん

「あぁ。いつも通りだ。お医者様は……この先、ますます悪化するだけだと言っていたが。」

「彼女は今も、自分も私も若い頃のままで、まだ故郷の山の上で遊んでいると思っている。」

「だから彼女は、顔中しわとひげだらけの私が、誰だかわからないんだ……」


趙おじさんはすすり泣く。その瞬間、深く刻まれた顔のしわがより深くなったようだった……


趙おじさん

「……」

「話はこのくらいにしよう……これから料理を作ってくるよ。みなさん、お昼はここで食べていってほしい!」


どのくらい経ったろうか。寝床にいた許おばさんが、突然起き上がった――


許おばさん

「阿亮はどこ?萕菜羹が食べたいわ。雨の日に作ってくれた、あれ。塩抜きの……!」


「え?羹菜……

 ゴホン!阿芸さん、すぐに趙さんを……君の阿亮さんを呼んでくるよ!」


趙おじさん

「雨の日に作ってやった、塩抜きの萕菜羹?彼女がそう言ったのか?

 阿芸が……まだ覚えていた……うぅっ、覚えていた!」


雉羹

「その塩抜きの萕菜羹の、何が特別なんですか?」


趙おじさん

「恥ずかしい話だが、私が初めて阿芸に作った料理が、その塩が入っていない萕菜羹なんだ。」

「あの時、私たちは故郷の山で山菜を採っていると、急にどしゃ降りの雨が降ってね。山の洞穴で雨宿り中に腹が減って、かごの中の萕菜を料理したんだ……」


「なるほど……え?

 趙さんが思いをたっぷり込めた萕菜羹を作って食べさせたら、阿芸さんは彼のことを思い出すんじゃないかって?」


雉羹

「思いをたっぷりこめた……」


趙おじさん

「そ……そんなことが本当に可能なのか?」


「可能かどうか、試してみればわかる!」


趙おじさん

「でも李さん、この時期に……どこに新鮮な萕菜があるんだ?」



【選択肢】

・方法を思いついた

・私たちに任せて

選択肢

方法を思いついた

雉羹

「……ええ。それは確かにいい方法です。」


「さすがは親友同士!〇〇がどんな方法か言わなくても、智庚さんにはすぐにわかるんだな!

 「心に霊犀一点の通ずる有り」とは、このことだ!」


私たちに任せて

雉羹

「ええ。〇〇、一緒に行きましょう。」


「ふむ、うまくいきそうだな!」

「〇〇は今までこの街の人たちを助け、ほかの人ができないと思っていた事を成し遂げた。そしてさっきは、智庚さんが阿芸さんを助けてくれた。その2人が力を貸してくれるなら、可能性はある!」

「2人はまさに「珠聯壁合」、「比翼双飛」ってやつだ。ハハハ!」



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雉羹

「……!」


趙おじさん

「李さん、またでたらめに熟語を使って!見ろ、智庚さんの顔が赤くなった……そうだ!前に阿芸にその言葉を書いて贈ったことがある。もう一度書いて見せてみよう!」

「とにかく、2人とも、ありがとう!」



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三 人間情味・参

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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雉羹と共に空桑に戻り、まっすぐ裏山へ向かった。一晩雨が降り、でこぼこの山道は湿って滑りやすくなっている。空気中に謎の香りがたちこめ、泥の間に点々と山菜や野の花が育っている……


雉羹

「若、足元に気をつけて。」


体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(雉羹の頭についた葉っぱを取る)

雉羹

「……?私の頭についていたんですね?」

「ありがとうございます。若、あなたの髪にも花びらがついていますよ。」

「取ってあげますから、動かさないでください。」


体に触れる(雉羹の両翼の羽根を整える)

雉羹

「……?私の羽が、木の枝に引っかかって乱れていたのですか?」

「そんなこと、あなたの手を借りなくても大丈夫ですよ――」

「この羽の触り心地が好き?まあ、それならお願いします……」


手に触れる(雉羹の手を握る)

雉羹

「……!」

「慌てなくて大丈夫ですよ。私が支えましょう。」


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雉羹

「……」

「若……いえ、〇〇。今日は私を人間界へ連れてきてくれてありがとうございます。」

「あの街の人々は、ごく単純な青椒肉絲をあんなに嬉しそうな笑顔で食べていました。それに趙阿亮さんの作る醋溜白菜だって、一般的に聞く料理なのに、李さんの娘さんの好物だとか。」

「許阿芸さんも多くの記憶を失ってしまったけれど、旦那さんの萕菜羹は忘れられなかった。」

「ごく普通の山菜を山の洞穴で料理して、調味料すら加えなかった。

 李さんがおっしゃっていた「思いをたっぷりこめた萕菜羹」というのは、つまり「料理に込められた思い」のことなんでしょう。」

「思いを料理に込めるのに、特別な方法なんていらない――

 心の中でその料理を食べる人のことを考えた時、自然とその料理はもっと美味しくなる。」



【選択肢】

・そういうことだニャア!

・お客さんのことを思う。それこそまさに空桑の理念だよ

選択肢

そういうことだニャア!

雉羹

「……なんで語尾に「ニャア」を付けたんです?」

「いや、なにもおかしくないはないですが。」

「……若、あそこに萕菜が。採りに行ってきます。」


お客さんのことを思う。それこそまさに空桑の理念だよ

雉羹

「その理念を忘れず、空桑のみなさんやお客さんが笑顔になるような美味しい料理を作っていきましょう。」

「家庭料理に関しては、これからもご指導よろしくお願いしますね。」



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店の廊下に、趙おじさんが作る萕菜羹のすがすがしい香りが漂う。

外では突然雷の音が聞こえ、豆粒大の雨が空から降って庭の枝葉に当たり、バチバチと音を立てた。


趙おじさん

「雨だ……」

「あの日阿芸と山菜を採りに行った時も、こんな雨だった。

 私は外套で彼女の頭を覆い、彼女と一緒に山の洞穴で雨宿りした。もう39年も前のことだ……」

「あの時の彼女はとても若く、いつも笑顔で、頬は山に咲くツツジの花のように鮮やかだった。

 私も彼女が言うほどではないが、明るく男前な青年だった。」

「あの頃私たちはお互いをどうしようもないくらい愛していたが、あっという間に2人とも歳を取ってしまった。」

「いや、今でも私は彼女を愛している。あの頃よりも、もっと……」


「……」


雉羹

「……」


趙おじさん

「あぁ。この萕菜羹を作っていたら、沢山の思い出が蘇ってきた。

 いつの間にか恥ずかしい話をしてしまったな。」


「趙さん、涙をふいて。うっかり涙が入ってしまったら、スープが……しょっぱくなってしまうよ。」


趙おじさん

「ありがとう……もうすぐできあがりだ。阿芸に持って行こう。」


萕菜羹を持って行くと、許おばさんはすぐに泣き止んだ。

彼女はまるで世にも珍しい宝を見るかのように、お椀の中の青緑色の汁を見つめ、注意しながら匙ですくって口の中に入れた。


許おばさん

「……!この味……私……」


趙おじさん

「阿芸……?」


許おばさん

「阿亮、阿亮が作ってくれた萕菜羹!」


彼女の両目が一瞬にして明るくなり、何かを取り戻したようだった。

彼女は両手を趙おじさんの肩にかけ、目に涙を浮かべて言った――


許おばさん

「あなたは阿亮。あなたが私の阿亮よ!」


趙おじさん

「阿芸、わ、私のことがわかるんだな?私のことが……やっと、戻ってきてくれた!」


しわだらけの2つの顔がぴったりとくっつき、それぞれが流した熱い涙もひとつに交わった。


許おばさんの病気が萕菜羹で完全に回復することはないかもしれない。

だが萕菜羹がもたらしたこの瞬間は、周りの人々の記憶に一生刻まれることだろう。


雉羹

「……」

「若、この点心を食べてみてください。今回、人間界の学びを生かして作った「思いがこもった料理」です。」



【選択肢】

・前よりも美味しい……

・どんな思い?

選択肢

前よりも美味しい……

雉羹

「それは……前よりもあなたのことを気にかけている証でしょうか?」

「あ……」

「コホン!これは若の指導の下、私の家庭料理の腕前がぐんと上がったからでしょう。」

「それに私はあなたの部下であり、家庭でもあります。あなたのことを気にかけるのは度突然のこと。決して……」


雉羹は否定したが、ますます顔が赤くなった――

彼がここ数日で顔を赤くした回数は、空桑に来た当初よりも多い。


どんな思い?

雉羹

「……」

「……実は私も、この気持ちが何なのかよくわからないんです。」

「ただ、あなたを守りたい……あなたのそばにいたいといった感情であることは確かです。」


雉羹の表情は変わらなかったが、ますます顔が赤くなった――

彼がここ数日で顔を赤くした回数は、空桑に来た当初よりも多い。



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そんな彼の姿は、普段の慎み深く厳格な姿よりも、ずっと若々しく感じられる。


雉羹

「……」

「若……もう一度、お茶を淹れましょう。」


外は風もなく、良く晴れている。ふと1枚の花びらがひらひらと部屋に入り、茶碗の中に落ちた。遠くの空には炊事の煙が立ち上り、すべてが美しい絵巻のような景色だった……



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