白湯鍋魚・手紙
半分風雅
主人公名:
<手紙には人物画もついていた。絵はすべて空桑の食魂たちだった>
空桑に来て数日だけど、友達がたくさんできたよ!みんな時代は違うし、衣装の様子もそれぞれだけど、顔つきはみんな朗らかで楽しげだね。この数日で僕は空桑のあちこちを歩き回り、本を読む人や武芸を磨く人、魚釣りや花見をする人を見たよ。その気になれば、太陽が高く昇るまで眠っていることもできるし、1日中おもちゃで遊んでいても、誰にも指図されないね。ここは本当に、あなたが言っていた通り、自由な桃源郷みたいだな!
束縛されることもなく、一心不乱に自分の好きなことができる。こんなにうれしいことはない!この自由な空気に感化されて、彼らの様子を絵にしてみたんだ。どうでかな?みんな似ているかい?
乃瑜
同袍同沢
主人公名:
空桑のほかの画家と一緒に画院を建ててから、僕はいろんな新しい作画方法を知ったよ。本当に面白いね。今後、いろいろ試そうと思う!小緑の色使いはとても大胆で、彼自身のように気ままだ。前に彼は、僕が絵に熱中しているのを見て、そばでずっと見ていたっけな。自分も仕女画を書いてみたいと言っていたよ。ただ彼が描く仕女は、実にわかりにくい姿だったんだ……千里は僕に新しい画材をくれたよ。本当に便利ないいものばかりさ!いろんな絵具が柔らかい管の中に入っていて、絵を描くときに直接使えるんだ。自分で鉱石を削る手間が省けて便利だね。
みんなの得意分野は違っても、絵画に対する情熱は同じだ。みんなで合作したら、これまでにない大作ができるだろうね!
乃瑜
以心伝心
主人公名:
<華麗に着飾った小童が青い鳥に乗って手紙を届けにきた。ニコニコして何かうれしいことがあったらしい>
僕たちの画院で絵画廊が開かれるんだ!この手紙を受け取ったら、配達人と一緒に来てよ!
今回の会場の装飾は、うちの画院のみんなでデザインしたものなんだ。みんなの考えを活かし、にぎやかな会場ができたよ。あの日の唐宮よりも美しい!決して大げさに言ってるんじゃない。自分で見ればわかるはずさ。
よく考えれば、僕が空桑に来てからまだ1か月余りだ。なのにこんなに多くの志を同じくする新しい友達と知り合えた。絵画展の準備でも、美を理解するたくさんの友人の協力が得られたよ……多忙な数日間だったけど、色とりどりの夢の中にいるようで、本当に楽しい経験だったな!僕もたまに恍惚に浸ることがある。すべてがすばらしく、現実ではないようにも思えるんだ。これが夢なら、誰も目覚めたくない美しい夢だね。あなたは、みんなの夢を叶える「夢の造り手」さ!絵画展の『空桑春景図』は、僕があなたのために描いたものなんだよ。忘れずに見てね~
白湯鍋魚
金蘭之契
主人公名:
その日僕が画境から出ると、あなたが机に置いていた紙に「空桑に来てからもよく画境に入り、何日も出てこないことがあるけど、もしかして何か悩みがあるのでは?」と書いていたね。
そんなことはないよ。たしかに以前は、不快な紛争が起こって、解決できない苦難に見舞われると、画境に隠れることしか考えなかった。すべてから逃げれば、何も起きなかったことにできるからね。
でも今は違う。あなたと一緒に空桑に、この桃源郷へやってきて、僕は毎日逍遥する神仙のように快適だよ!ここで起こることは純粋に素敵で、楽しいことばかり。僕は絵筆でそれらを記録したいんだ!空桑の美景、情熱、真摯な友人たち、それにみんなが毎日餐庁で一緒に美食を楽しむ時の笑顔……すべて今の僕の最も大切な思い出で、最も絵にしたいものなんだ。だけど、描いても描いても絵は描き切れず、1枚描き終えると、また次の1枚が現れる。いつの間にか、画境の中は、絵でいっぱいさ!
でもその中に、何よりも大切なものがあるんだ。それは最も美しいもので、僕は一番最後に絵に残しておいたよ。あなたは僕を最もよく理解している。だから、絵を見なくても、何の絵だかわかるはずさ。
<手紙の最後の1枚は絵だった。食卓を埋め尽くすごちそうを前にして、ある人がスープを味わっている光景が描かれていた。仔細に観察すると、絵の中でほほ笑んでいるのは、まさにあなただった>
白湯鍋魚
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