【白猫】ヴォルワーグ・思い出
狼の獣人大尉 ヴォルワーグ・ロマネ 帝国の陸軍大尉を務める狼の獣人。 頭が固く、規律規範にうるさい。 |
思い出1
帝国陸軍所属ヴォルワーグ・ロマネ大尉だ。
軍服をまとった狼の獣人が、毅然と声を張り上げる。
着任のあいさつがしたい。バロン殿はおられるか!
バロンさんのお知り合いですか?
うむ。バロン殿がこの島の警備を憂いたゆえ、帝国から私が派遣されたのだ。
そ、そうなんだ……影響力ある人だったのねぇ……
なんだ、知らんのか?嘆かわしい……
まあいい。着任した以上は全力を尽くす。
帝国陸軍の力……とくと見るがいい!
思い出2
ヴォルワーグさんは、狼の獣人さんなんですね。
そうだ。人間の身に、耳や尻尾だけが生えたような半獣どもとは違う。
獣の身体能力を持ちながら、人間の起用さで武器を振るう……
ことに自然領域の戦いにおいて、我ら獣人は無類の強さを誇る。
我が帝国軍には、獣人だけで結成された精鋭部隊もあるほどだ。
へぇ……すごいんですね!
ふん。真価は戦闘ばかりではない。優れた嗅覚は災害救助でも……
がはぁっ!?
ど、どうしたんですか!?
は~。やれやれ。困ったもんだわ~。
キャトラ?
今、村で、ニシンを発酵させて保存した料理の試食会をやっててねぇ~。
伝統料理らしいんだけど、ニオイがキツすぎて逃げてきたのよ~。
……あら? ヴォルワーグ?うずくまって、何かあったの?
能力が高すぎるのも大変……みたいな?
思い出3
こんにちは、ヴォルワーグさん。これからお茶会なんです。
アンタも来る~?
結構だ。これから訓練なのでな。……私はあいつとは違う。
あいつ?
我が軍に紅茶好きの少尉がいてな。腕は確かなのだが……
行軍時にまで紅茶を持ち込むのだ。余分な荷重になるというのに。
はあ……いいんじゃない?増えるって言っても紅茶でしょ?
紅茶は我が国の名産品であり、私も愛しているが、それとこれとは別だ。
装備は重量を鑑みて厳選するもの。茶葉だろうと余分は余分だ。
だいたい女が軍に入ること自体……軍の規律に悪影響が……ぶつぶつ。
……頭カタそーねぇ、アンタ。
思い出4
むぅ……
どうしたの、ヴォルワーグ。難しいカオしてるわね~。
最近、軍の規律が緩みつつあると、バロン殿に相談したのだが……
バロン殿は、『時代は変わるものだ』とお笑いになってな……
ああ、『女が軍人になるなんて』とか言ってたアレ~?
うむ……
決して女性を下に見るわけではないが……戦うのは男の務めだ。
これは古代からの風習でもあるし、実際、男の方が力に優れている。
部隊に女がいれば、変に色目を使う軟弱者が現れて規律が乱れるし……
だいたい男同士の尊厳を賭けた神聖な戦場に女が出るなど……
……
……ヴォルワーグさん?
……いや。結局、私の頭が固いだけか……
時代は変わる。私はそれに取り残されていると……そういうことか……
思い出5
主人公……おまえはどう思う?
やはり、私を時代遅れの堅物だと、そう笑うか……?
ヴォルワーグさん……
……自分でもわかっているのだ。変化の波が来ていると。
モンスターの増えた今、時として、軍人より、おまえたちのような冒険家の方が、人を救えもする。
女が戦場に出ることもある。子供でさえ己の意思で戦う。
そういう世の中になってきたのだと……頭ではわかっている。
だが……そうなれば、我々が築いてきた誇りはどうなる?
男たちが命がけで築いてきた誇りは……時代遅れの遺物なのか……?
思い出6
これは、なんと気高く、そして雄雄しい光なのだ……
主人公……これがおまえの光か……
…………ふ。
そうだな―――そうだった。俺にもそんな頃があったのだ。
笑いながらも情熱を抱え……若さを侮られぬよう努力した時が。
あの時、俺は『若いお前に何ができる』と言う連中に反発してきた。
時代遅れの堅物共に、自分の力を見せてやりたかったのだ……
まさか―――いつしか自分がその堅物になってしまっていたとはな。
でも……あなたは気づいた。今の自分に、変革の波に。
……ああ。おまえたちのおかげでな。
変化は起こる。時代も移る。だが、変わらぬものもある。
軍人が民を守るために戦う……それだけは変わるまい。
ならば私は、その誇りを抱き抜く。どんな時代でも――ずっとな。
そう言って――ヴォルワーグは、ニヤリと笑った。
抱いた誇りを貫ける……それが、堅物の取り柄だというものだからな!
覚醒絵・覚醒画像
帝国の戦狼
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