【白猫】シン・思い出
シン・シャーク cv.高橋広樹 潜水艦ドレッドノート号の艦長。 謹厳実直かつ優れた戦術眼を持つ。 |
思い出1
なるほど、ここが飛行島だね。
あらあらどなたさま?
シン |
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シンだよ。さいきん冒険家のライセンスをとったんだ。
じゃあアタシらとおんなじね。
君たちも冒険家だったのか。
そうなんです。この飛行島で冒険をしているんですよ。
スケールの大きな冒険だねえ。
アンタはなんで冒険してるの?
趣味だね。
いいきりおった……!
まあちょっとだけお仕事も関係あるかな?
浮いてるわ? ヘンなボートね。
こいつを乗りこなすように、特訓しているのさ。
不思議な乗り物ですね……
そうだろう? でもドラゴンじゃないよ。
でたわ……! ドラゴンにのっていないドラゴンライダーね!
ボートライダーかな。
シン、アンタは……ふなのりなのね!
確かにそうだね。
うみのおとこね!
すごいなあ。よくわかったね?
(シンさん……ちっちゃいこの扱いが手馴れているわ……!)
お魚をとるお仕事をしてるの?
そうだね。海の底に潜って、大きな魚を捕まえる仕事さ。
どんくらいおおきいの?
とーっても、大きい魚だよ。
おさしみがいっぱい作れるわね!
思い出2
おかえりなさい。主人公、シンさん。
どこにいってたの?
島の近くのさんご礁だよ。
何をしてたんですか?
こいつのカメラで、海の生き物の写真をとっていたんだよ。
ホー。
いい写真が撮れたよ。おすすめはウミウシだね。
ウミウシって食べれるの?
毒があるやつもいるから、食べない方がいいね。
<不思議なボートの周りに、海の映像が浮かび上がった……>
あらキレイね!
もしかして、シンさんが撮影した写真?
幻影のルーンの応用なんだよ。
あ、主人公の写真だわ。
よく撮れてるだろう?
♪
シンって海が好きなのね?
ああ、そうだね……なんだか昔から海が好きなんだよ。海に入ると……なんだか、落ち着くんだ。
アタシは……毛が濡れるのはイヤだけど、オイシイものがあるから、トントンだわね。
あるねえ、おいしいもの。
シーフード、いいですね!
そうだ。”彼”と海の幸をとってきたよ。
アラヤダはやくいいなさいよ。どんなやつ? ウツボはイヤよ。
ロブスターだけど。好きかな?
アンタ……できる男だわ!
あれ? 猫ってロブスターはダメだったような……?
キャトラは大丈夫なんです。
キャトラくんは、半獣の女の子じゃないのかい?
ちがうと思うわ。
だとすると……キャトラ君は、神獣なのかな?
しんじゅー? ――そうなのかしら?
神様に近い獣のことなんだけど。
うーん……?
しんじゅうってエライの?
うちの国ではね。貴族の方々は神獣の血を引いてらっしゃるって話だし。
じゃあセレブね!カニカマたべほうだいね!
スーパーセレブだよ。カニカマでお城ができるよ。
ゆめがありすぎだわー!!
思い出3
<マナが、海を見ている。>
海……どうして、海なんてあるんだろう。
やあ、中尉。休暇を楽しんでるかい?
はい。満喫しています。
それは何よりだね。
艦長は何を?
磯の生き物の観察をしていたんだよ。
……どうしてそんな。
磯にもいろんな生き物がいるからね。
それは知ってますけど。
海は……嫌いかい。中尉。
苦手なだけです。
――そうだね。今の僕にはわかる。
……艦長も、あの子の記憶を――
君は――こんな記憶を、抱えてきたのか――
……申し訳ありません。でも私には、代償無しの奇跡なんか――
僕なら平気だよ。僕なんかが、この想いをもっていていいものかと思うけどね。
***
<マナはナイフで己の腕を切った。
指先より血が流れる――>
私の血を――人魚の血を――
<シンは、流れる血を、口に含んだ――
任務中に重傷を負ったシンは、〈人魚の血〉によって、命をとりとめる。
マナは、人として甦った古の人魚だった――>
***
君には本当に、感謝しかないよ。
そんなものは不要です。本当に――
――私は愚かでした。取り返しのつかない結果を招くところでした……
中尉……?
<その時、マナの足元に一匹のフナムシが!>
えっ?
<カサカサカサ――>
い……
いやああああ!!! フナムシぃぃぃ!!
だ、大丈夫だ……フナムシは無害だ!
無害とかそういうことじゃありませーん!!
思い出4
海の中にいると――
なんだか、全てが正しいと、思えてくる。
波間から差し込む光は、地上よりも眩しく見えた。
全ての生き物は、海から生まれた。そんな学説もあるらしい。
そう思うのも無理はない。
僕は、半分だけ人魚であるという中尉の血によって、命をとりとめた。
結果的に、僕には人魚族のもつ〈不死〉が少しだけ受け継がれた。
死ななくなったわけじゃない。
〈不死〉とは何なのか――少しだけ、理解した。そんな感じだ。
命とは循環するもの。己だけのものではない。
誰かが死ぬことは、誰かを生かすことなんだ。
だから〈不死〉とは、命そのものが有するものかもしれない。
***
人魚を食べると不死になれる。
今でも伝わるその伝説は、断片的には真実だった。
僕が受け取ったのは、命だけじゃない。
僕は彼女の記憶も受け継いだ。
マナ中尉の、人魚としての記憶を。
……すべてが曖昧で、断片的。それでいて――
――痛い。
人魚は恋をしていた。叶わぬと知りながら。
***
叶わぬ恋か――
こんな思いを、ずっと……こんな切なさを、ずっと……
これが不死だとしたら……祝福なんかじゃない。
たんなる地獄だ――
***
ガルボートの慣らしはいかがでしたか?
だんだん、扱いに慣れてきたよ。
やはり艦長には適性がおありのようです。
ちょっとしたもんさ。でも、こいつで特攻はなるべくならやりたくないねえ。
最後の魚雷です。
ひどい設計思想だね。結局格闘にこだわるところ、なんだか帝国らしい。
乗り手次第といったところです。
ところで……潜水艦に、不死のルーンのレプリカを搭載ってことは……
ドレットノート号の動力は、ルーンがある限り無限です。水も空気も、供給されつづけます。
技術で連邦に劣る帝国が、なぜこれほどの性能の潜水艦を建艦できたのかな。
ドレットノートは、さる筋からの技術提供により建造された船。――今はそれだけしか。
(海の底に棲むっていう、〈本物〉の人魚たちか……もしかしたらドレットノートも、人魚の記憶を――)
思い出5
そろそろ、休暇も終わりか……
いっちゃうの?
きっとまた、帰ってくるよ。
シンさんは、戦う人なんですか?
どうしてそう思うんだい?
<言葉にしないでも、態度から伝わるものがある。
覚悟というものだろうか。>
そうだ。僕は戦う人だ。
けんかが好きな感じじゃないけどね……?
暴力は嫌いだよ。だから僕は戦う人になった。
暴力を止めたいから……戦うんですか?
矛盾してるかな? でも、暴力は現実として、この世に存在するんだ――
誰かが暴力と戦わなきゃ、誰かが暴力の犠牲になる。
でも……シンだって、誰かにやられちゃうかもでしょ。こわくないの?
怖いよ。いつだって怖いさ。
そもそもどーして、戦う人になろうっておもったわけ?
僕の場合は、海が好きだから。
海なんですか?
できるだけ、海の近くで仕事がしたいと思ってたら、戦う人になってた。
てきとーだわ!
人生なんてそんなもんさ。まあでも向いてるかは……わからないな。
冒険をしようと思ったのも、ちょっと仕事で壁にぶつかったからだしね。
そうだったのね……
思い出6 (友情覚醒)
なんだい、この光は……
この光――そういえば、見覚えがあるような……
そうだ、この光……いつか、海の底で――
***
<それは、はるか古の記憶。
遠い昔、海の底で――沈んだ男は、人魚と出会う。>
……これは、彼女の記憶……
――の、はずだよね……だったらなぜ僕は、彼女を……
懐かしいと思うのかな――
僕は……ずっと昔に彼女と出会っていたのか?
<そんなはずはなかった――
シンは人魚ではない。普通に生まれて死ぬ、ただの人間である。>
もしかしたら……
人間は昔、もっと海と親しかったのかもしれないね……
だから僕らは――海を懐かしいと感じるのか……
***
海は、僕の夢なんだ。――青い海の底には――
きっと人が置き去りにした、夢があるんだと思う。
アンタ……ぼーけんかだわ!
僕が?
ぼーけんかって、そういうものだもん!
……なるほどね。冒険か……
僕が求めていたのは、それだったのかもね。
***
休暇中、ずいぶん冒険に熱を上げてらっしゃいましたね。
なんだか冒険家としても、やっていけそうだよ。
艦長には、出世していただかないと、困ります。
荷が重いなあ。だいたい僕は、上からは出世に縁遠いタイプっていわれてるんだけどね。
そういう方が、組織には必要なんです。
僕はドレットノート号の艦長で、十分すぎるさ。
――艦長、お体に異常はありませんか?
健康そのものだよ。
精神への影響は?
毎晩君の夢を見るけど。
ななな、何をいってるんです!
記憶の共有だよ。
……艦長。
あれは私ではありません。私はもっと、つまらない人間です。
そんなことはないさ――
あの記憶を、あの過去を引き継ぎながら、君は命の選択をした。
二回も死ぬなんて――普通はできることじゃない。
――あなたに、負けてほしくなかった……それだけです。
――ありがとう。中尉。
<船は征く。
人魚の想いを乗せた船は、遥かなる大海原へ――>
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