ソウルオブナイツ Story1
ストーリーまとめ
ソウルオブナイツ Story
story1-1 戦場に立つ
ディーンとキースの二人が、主人公と落ち合ったのは数日前である。
アイリス
<闇>に取り憑かれたって疑われている人たちが、この島につかまってるのね。
キャトラ
でもこの島……! せんそうしてるじゃないの!!
キース
ご覧のとおりだ。俺もいよいよ気がふれたかな。
キャトラ
こんなとこに飛行島をおろせっていうの!?
すまねぇキャトラ。もうお前たちだけが頼りなんだ。
アイリス
はい。捕まってる人たちを、助け出しましょう!
今の俺たちには、それが精一杯ってわけかよ……
キース
ああそうだ。それだけでも、成功したら奇跡だがな。
もう一度いっておくぜ。俺たちは征討軍に捕まってる連中を助ける。それで満足しろ。
今は、それに集中する。
キース
俺はそれで100万ゴールド。こいつらにも同額だ。
アイリス
お手伝いさせてください。お金はいいですから。
キャトラ
払うアテあるわけ?
なんとかなるさ。
キース
払えなきゃ、払えるまで稼いでもらうぜ。
お前の親父の名声を使ってな?
キャトラ
いーこと思いついた!
ていこくの人たちに、応援頼んだら? 敵の敵は味方でしょ?
キース
帝国に<闇>のスパイがいないとも限らんだろ。
キャトラ
うわっ……そういうこと?
帝国の義勇軍に参加してもいいが、作戦に組み込まれたら身動き取れないぜ。
キース
どこかの国がバックについているんなら別だけどな。
キャトラ
ムツカシイもんね。
キース
俺たちのやることはシンプルだ。
奴らがさらった人を放り込んでる場所を特定して、飛行島で一気にかっさらう。
キャトラ
上手く行くかしら……
キース
帝国軍の頑張りと、こいつの機嫌次第だな。
キースは、征討軍から奪った
ルーントラックのボンネットを叩いた。
キャトラ
キースが目星をつけた場所に、いればいいんだけど。
キース
だったら好都合なんだがな。
さらった人を乗せた船は、連邦の基地じゃなくって、なぜかあの場所に向ってる。
聖地の中心地……大神殿か。
キャトラ
このトラックで、どれくらいかかるわけ?
キース
こっからだと、2日くらい見といた方がいいだろうな。
キャトラ
ええええっ!?
story1-2 神気<ソウル>の刃
帝国軍・兵士
後退! 後退しろ!!
帝国軍が撤退していく!
キャトラ
うわああ!!せいとーぐんよ!!
キース
おいおい、押され過ぎだろ帝国軍!!
少なくとも数日もたせてくれよ!
なるほどこいつは……マズイ?
キース
連邦の連中、大神殿のあたりに展開しているらしいな……
直接は近づけないか。
キース
帝国が押し返すか、連邦がもーちょい先に進んでくれたらいいんだがな。
キャトラ
ようすを伺うのね……!でも!
こんなとこでいつまで待ってればいいのよ!
征討軍・兵士
追撃しろ!
キャトラ
来たわ! すっごい数!
キース
ここは逃げるしかねぇな。
待たせたな――
キャトラ
ア、アンタは!
チェインド・ウイング・ナイツ!突撃するぜ!!
な、なんだあいつら!?
キース
帝国軍じゃねぇ。傭兵団か……!?
凄まじい戦いぶりに、征討軍の追撃隊は足止めされた!
こいつは神気道……!?
だが、こんな型は見たことがねえ!
キャトラ
しんきどう? なにそれ。
キース
あそこで戦っているやつみたいに、
ソウルそのものを使って戦う武術だよ。
確かリアムも、ソウルを使った技を使えたはず――
アイリス
すごいわね、リアムさん。
何? よーし、俺もちょっといいとこを見せてやるかな!
キース
ばかやろ! お前はさらわれた連中助けるんだろ!
わーってるって。……ぬっ!?
……何だ……この気配は。
ソウル――神気とは、命の力である。
ソウルは時に意志の力によって研ぎ澄まされる。だが、これほどに――
激しく高まったソウルを、ただ一人の人間が放つことが、できるのだろうか――
――この、神気――!
アイリス
ソウル……一人の人が、これだけのソウルを……!
キース
あれが……お前の親父!?
ああ、そうだ――あいつが――
騎士王カイデン……!!
チャック
団長! やべえっす! 逃げましょう!
馬鹿野郎、大将首だぞ?
チャック
多勢に無勢っすよ!
わかってるぜ。野郎ども! 撤退するぞ!
キース
俺たちは……とんでもない奴にケンカを売ったんじゃ……!?
story2-1 騎士王咆哮
騎士王カイデンは、己の率いる征討軍の陣容を眺める。
征討軍・兵士
帝国軍および傭兵団、撤退していきます。
カイデン
追撃する。一兵たりとも逃すな。
征討軍・兵士
御意! 白き光のために!
カイデン
白き光のために。
jpg
ギャレン
総司令官、我らの悲願まで、もう少しですね。
カイデン
ああ。これで全てが変わる。
人は新たな理想郷に導かれることだろう。
ギャレン
総司令官、新たな世界でも、われらを導いてください。
カイデン
このカイデンが導くのは、地獄の業火かもしれんのだぞ。
ギャレン
それでもこの私は、ついていきます!
カイデンは、じっと己に従う騎士を見つめた――
ギャレン
たとえこの聖地が我が墓標となったとしても、悔いはありません。
カイデン
なれば、戦果で示してみよ。
ギャレン
御意!
征討軍は、進撃を開始した――!
***
一方そのころ。
ドレイク
ヒャハハハ!!
じぃ~つに脆いっぴー!!
ドレイク率いる征討軍艦隊は、帝国側の最後の拠点、ヴォルム島を包囲していた。
艦隊は島に、凄まじい砲撃を行う!
ドレイク
砲撃戦はサイコーだっぴ~!!
グズグズの肉の塊にしてやるっぴ~!
はあ~ん……!?
これは……これはなんだっぴー!?
ドレイクは目を疑う。目の前の海が、艦隊もろとも凍結している!
ドレイク
これはどういうことっぴー!
……まさか、あのお姫様……!!
いけないお姫様っぴー!!
ドレっぴー、ぶちされたっぴ!!
story2-2 進撃、征討軍
帝国と連邦は、長きに渡り激戦が繰り広げられた因縁の地にて、再び激突。
連邦の抱える軍事組織<征討軍>はアウロラの森の戦い、バシレウス要塞攻略戦にて帝国軍を撃破。
帝国軍は残存兵力を、ヴォルム島に結集させた。
バートン (少将)
やれやれ、帝国軍がこれほど損害をこうむるのは、いつぶりでしょうなあ?
征討軍の錬度と戦力は、帝国側の予想を遥かに超えていた。
バートン少将はヴォルム島の二個師団を率い、征討軍追撃部隊の分断を狙った。
バートン (少将)
難攻不落の我らが要塞が、たった一日で陥落。まるで悪い冗談のようですな。
ともあれ、ここで止まっていただきますぞ、カイデン殿。
***
征討軍・兵士
敵部隊と遭遇!!
ギャレン
撤退を支援するつもりか。だがもう逃げ場などない!
カイデン
踏みつぶしてやろう。
ギャレン
白き光のために!
征討軍は、帝国軍に対し、攻撃を敢行する――
カイデン
俺は夢見ていたはずだ。この光景を――
帝国を踏みつぶし、闇を打ち砕く、その瞬間を――
騎士王カイデンは剣を構えた。
ルーンによって強化された弾丸や魔法による熱や電撃が、容赦なく降り注ぐ。
帝国軍・兵士
ぐああああっ!!
両軍が頼みにするのは、ルーンの輝きである。
飛行艇を初めとする様々な技術も、ルーンあってこそであった。
だがいかなるルーンも、ソウルなくしては無用の長物である。
カイデン
我が剣を――
凄まじいまでのソウルが、騎士王の剣に集中していく!
***
バートン (少将)
なるほど、間近に迫って見なければ、わからないこともあるということですな。
バートンは、双眼鏡で敵兵士の表情を伺った。
彼らは怒りに燃えている。帝国への、<闇>への怒りに。
バートン (少将)
……彼らの士気の高さは、こういうことでしたか……
征討軍の兵士にとって、我ら帝国はただの魔物ということなのでしょうな……
老騎士の手は、戦慄に震えた。
バートン (少将)
ぬっ……?
その気づきをもたらしたのは、老騎士の直感である。
バートン (少将)
後退せよ!!
帝国軍・兵士
帝国万歳―ッ!!
バートン (少将)
なんという威力――!! 連邦の新兵器か!?
いや、違う……あれは……!
およそ一個大隊が、騎士王の放った激しいソウルの奔流にのみ込まれ、消滅した。
バートン (少将)
騎士王――カイデン――!
story3-1 決死の回り道
お、おい!! 俺たち、どこに向かってるんだ!?
大神殿はあっちだろ!?
キース
今はそれどころじゃねぇ! 逃げるんだよ!
キャトラ
そうね、逃げましょ!
何でだよ!
ルーントラックは、聖地の荒れた道を突き進む!
キース
あんだけの敵に突っ込む気なのか?
お前はほんっとバカだな!
だから隙をうかがってだな……
キース
命を賭けたいんなら、一人でやれ。
わかったよ。ここは戦場を迂回しよう。
キース
お前にしちゃ上出来だな。
***
いつしか日は沈み、夜となっていた。
アイリス
キースさん、大神殿は本当に<最果ての王国>の遺跡なんですか?
キース
相当古い遺跡なのは確かだ。
白の王国の遺跡か。なんかロマンがあるな。
キース
ただのおとぎ話さ。だがそのおとぎ話が原因で、帝国と連邦は長いこと争っている。
アイリス
どうしてそんな……
キース
両方とも、自分たちこそが白の王国の後継者だって思っているのさ。
キャトラ
だからこそ、敵の手には渡したくないってわけね。
アイリス
仲良くしていた時も、あったんですよね?
キース
少なくとも50年前は、今よりも仲良くしていたらしいぜ。
そうだな。この聖地にも、帝国と連邦の代表者があつまって、式典とかを開いてたらしい。
キャトラ
それがどうして仲が悪くなっちゃったわけ?
キース
<緑の島>事件。<大砂海>諸侯国の侵攻。<鋼の国>の政変と通貨危機。
原因は一つじゃないのさ。
アイリス
そんなに……
キース
もっとも、七海戦争以降、大規模な戦いは起こっちゃいない。
最近だと<鋼の国>と帝国が虹の海で戦ったくらいか。
それでも最近まで、戦争って雰囲気じゃなかったのにな……
キース
明日のことはわからんもんだ。
まあ俺は稼げればそれでいいんだがな。
俺も、みんなの笑顔が見れれば、それでいいぜ。
キース
とりあえずお前には名前を売ってもらうぞ。
お前にあるのは親父の名声だけだからな。
それもある意味楽しそうだな。
キース
騎士様は余裕だな……全く。
ルーントラックは、暗闇の中を進んでいく……
story3-2 褒められたくて
帝国軍・士官
我々はここで敵軍を足止めする。
帝国軍・兵士
貧乏くじですねぇ。
帝国軍・士官
まったくだな。
我ら帝国がここまで追い込まれるとは……
帝国軍・士官
何事だ!?
ドレイク
ハァ~い。帝国の皆様、ご機嫌はいかがっぴ~!
帝国軍・兵士
こいつ……!! ぐあああ!!
ドレイク
……よくもやってくれたっぴ!
お前らでうさばらしをしてやるっぴー!!
帝国軍の陣地に現れた怪物は……
瞬く間に一帯を血に染めた!
征討軍・兵士
提督、基地に撤退では?
ドレイク
このまま手ぶらで帰れるかっぴー!
こいつらの首を手土産にしてやるっぴー!
***
トラックを森の中に隠し、一同は夜明けを待っていた。
なあ、主人公。
主人公
――?
昨日傭兵の兄ちゃんがやっていたあの技なんだが。
キャトラ
どの技よ。
ソウルを使って敵を斬るって技だよ~。
あれ、実は俺もできたりするんだぜ?
キャトラ
(なにこれ、じまんなの?)
なになにやってほしい?
よーし、じゃあこの枝を! すぱーん!
見えない刃が、枝を切った!
アイリス
ソウルで作った刃で、枝を斬ったんですね?
その通りさ!
ディーンは……やたらニヤついてる!
アイリス
…………
キャトラ
…………
ほれ。あるだろ。
キャトラ
(……あ、あれね!だいどーげいなのね!)
アイリス
キャトラ?
キャトラ
はいこれ。
キャトラはディーンにカナブンを渡した!
なんだこりゃ。
キャトラ
アタシ猫だから……これしか持ち合わせなくて。
でも悪いふうにとらないでね。
お、おう……?
じゃなくて! あるだろ!
キース
あーすげぇすげぇ。
なんだよ! もっと心を込めろよ!
キャトラ
なんだ、褒めてほしかったのね?
アイリス
すごいですね、ディーンさん。
キャトラ
な……なかなかの手品だったわ。
ちょっと地味だけど!
みんな……!
ディーンは……嬉しそうだ!
キャトラ
ディーンって……残念ね……!
帝国軍・兵士
おい! 貴様ら!
キャトラ
帝国軍!?
トラックは、帝国の兵士に取り囲まれている!
バートン (少将)
あー君たち、大人しくしたまえ。
story4-1 猫の手でも借りたい
主人公たちは、帝国軍のキャンプに連行された。
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帝国軍・兵士
ええっと、お前らあれだ。
<征討軍>のスパイってことでいいか?
キース
私達は、ベルメの修道士です。
修道院に戻る途中でして。
帝国軍・兵士
修道士には見えんが。
キース
征討軍の目をごまかすためです。
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バートン (少将)
あー、ちょっといいかな。
帝国軍・兵士
しょ、少将殿!?
帝国軍兵士は敬礼した!
キャトラ
しょーしょー?
バートン (少将)
この場は、任せてもらうよ。
キース
少将様、どうか私たちの話を聞いてください。
バートン (少将)
ええっと……君たちはあれだね。
冒険家さんたちだね。
キャトラ
どうしてそれを!?
バートン (少将)
やっぱりそうか。目的地はもしかしたら……大神殿かな?
そうなんだよ少将さん!
あそこに闇に捕まった人が!
キース
おい! 何いってんだ!
バートン (少将)
こりゃたまげた。
君たち、大神殿に人が捕まっていること、どこで聞いたの?
キース
ええっと、コイツは少々酔っぱらってましてね。
バートン (少将)
腹を割って話そうじゃないか。
***
帝国軍・士官
……お前ら、こんな真似をして……
ドレイク
おっや~? まだ捕虜として、扱ってもらえると思ってるっぴー?
ドレイクは捕虜達を前に、あざけりの笑みを浮かべた……
帝国軍・士官
おのれ……連邦の犬め!
ドレイク
お前たちこそ、ニンゲンのくせにジュージン
ごときのドレイになるなんて、末代までの恥っぴー!
そ~だ。いいことを思いついたっぴ~!!
海賊名物、ドレっぴー焼きっぴ!
story4-2 騎士の務め
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さらわれた連中の奪還。俺たちの目的はそれだけだ。
バートン (少将)
それで、君たちはどこの国の依頼を受けているんたい?
何処の国でもねぇよ。……ただ、許せなかったのさ。
バートン (少将)
なるほど、勇気ある向こう見ずな若者たちってわけだねぇ。
俺、褒められてる?
キャトラ
違うと思うわ。
バートン (少将)
我々としても、レジスタンスの方々に協力をあおぐのはやぶさかではない。
協力をあおぐ? 俺たちに?
キース
勝手に動くなってことだろ?
バートン (少将)
その通り。君たちの作戦、我々の作戦行動に組み込ませてもらう。
キース
俺たちを信用するのか?
バートン (少将)
利用するだけだよ。冒険家諸君。
キャトラ
むー。まあアンタらのじじょーもあるでしょーけど!
バートン (少将)
すまないねぇキャトラ嬢。こっちも仕事だからねぇ。
キャトラ
力二カマで手を打つわ!
キース
オイオイ……相手は帝国の少将様だぞ!?
***
トラックは、行軍する帝国軍の後をついていく。
兵員輸送用のルーントラック隊が、もうもうたる土煙をあげた。
キース
向こうは燃料たくさん積んでていいよなあ~。
ルーンを使う以上、ルーントラックの燃料はソウルである。だが、人のソウルでは限界がある。
そのためこうした乗り物には、ソウルを貯めておく役割のルーンが積まれているのだ。
キャトラ
あ、バートンに頼んで、<燃料のルーン>わけてもらったわ。
やるじゃないかキャトラ。
キース
ちゃっかりしてやがるな……
キャトラ
ところでアタシら、どこに向かってるワケ?
ヴォルム島の対岸で踏みとどまっていた味方と合流するんだと。
キャトラ
勝てるみこみあるのかしら。
キース
実は余裕があるのは帝国側だ。
増援部隊か到着すれば、戦況は逆転だろうよ。
アイリス
なのに、どうしてここの占領を?
キース
何かあるんだろうよ。この聖地に……!
帝国軍のルーントラック隊は、整然とその場に停車した。
どうしたんだ……!?
***
キャトラ
へーたいさん、どういうことなの?
帝国軍・兵士
我が帝国軍の師団が、ドレイク率いる征討軍に破れ、兵士たちが捕虜になった。
ヴォルム島を攻めていたはずの征討軍の艦隊が、なぜか島でなく、対岸の帝国軍を攻めたのだという。
帝国軍・兵士
艦隊指揮官はあのドレイクだ……
綱の島の私掠船艦隊の提督。七海の悪魔だ。
キース
ディーン、お前何考えてるんだ。
見捨てちゃいけないだろ。
アイリス
ディーンさん……捕虜の人たちを助けにいくつもりですか?
キース
そんなこと、帝国の連中に任せておけばいいたろ!?
帝国軍・兵士
救出部隊への参加は任意だ。
できれば、手を貸してほしいがね。
キース、俺は騎士だ。だから、弱いものを守る。
キース
騎士……か。
だったらてめぇ一人でやりな! お偉い騎士様!!
キース!
キース
俺は抜ける。じゃあな。
おい、待てよ!
story5-1 魂の還る場所
キースは、ルーントラックのハンドルを握り、あてどなく走る。
キース
しばらくどっかで身を隠して……ヴォルム島に向かうしかねぇな。
そもそもどうしてこの俺が、こんな得にもならんことを……
っていうか征討軍の連中も、なんでこんな場所に――
待てよ……征討軍の裏に、<闇>がいるとして……
さらった人々を、この聖地に連れて来る理由はない。さらに――
<闇>には、戦争を始める理由がねぇ。
聖地でなにかしたいだけだったら、なおさら――
逆に考えると――戦争が、奴らの目的には必須なんだ。
……って、何考えてんだ俺は。もう、どうでもいいのによ……
男は一人、戦場の跡を歩いていた。
キース
何してんだ、あいつ。
魂よ――帝国のために戦った勇者たちよ、その魂を今解き放つ。
もはや苦しみはなく、悲しみもない――あまねく光の流れに還れ――
キースは感じた。ソウルの流れを。
この戦場で死んだすべての魂が、執着を捨てて、世界に還っていく。
永遠の旅路を見守るは。この軍服の男――
キース
――人間じゃない。
死神――そんな言葉が、キースの頭をよぎった。
だが、目の前にいるのは、冥界の使者というものではない。
それは――終わりそのものだ。
命あるものが逃れえぬ死そのもの。
ここにいたのは英雄たちだ。
軍服の男は――いつの間にかキースに語りかけていた――
キース
英雄? ……死んだ連中が?
戦場に向かうものは、全て英雄と呼ばれるにふさわしい。
キース
人殺しだろ。褒められたもんか。
彼らは戦った。生まれ育った場所のため、戦友のために。
キース
ために……ね。
俺が知るのはそれだけだ。
この戦の是非など知らぬ。
キース
あんた――何者だ。
――ジュダ。
story5-2 詐欺師は行間を読む
目の前には、無残すぎる光景が広がっていた。
人が暗黒の時代を乗り越え、手にしたあまたのルーン。
それは帝国、征討軍双方に、死と滅びをもたらしていた。
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キース
こんなことに、意味があるのか。
多くの者が、その問いを発した。
キース
答えはないんだろ? わかってるぜ。
お前は判断している。
キース
それが悪いのか?
戦争は悪、死ぬことは悪、闇は悪。
キース
だから、それが悪いのかよ!
悪とはなんだ。
滅ぼさねばならぬものか?
キース
俺にわかるわけないだろ。
お前は何のためにここにいる。
キース
何のためだろうな――俺でも、何かできるかもしれないって、思ったからかもな。
お笑い草だよな。この俺は誰でもない、ただの詐欺師だ。お偉い騎士様じゃない。
詐欺師は悪で――騎士は善か?
キース
――そうじゃねぇか。騎士様はいつでも正しい。誰だってそう思ってるぜ。
お前がそう思っているだけだ。自分には何もできないと、そう思っているだけだ。
キース
軍人のあんたには――わからねぇだろうよ!
誰かのために、お前はここに来た。
見ず知らずの誰かのために。
お前のその心は――ただの嘘か。
キース
俺は……!!
気づけば、軍人の姿は無い。
キース
マジかよ……本当に死神ってか?
キースは、己の頭を、指で弾いた。
キース
判断していた、か……
確かに決めつけていたな。フン……
唐突に、キースは閃いた。
トラックの荷台から、キースは本を取り出し、読み始める。
キース
その日、永く争い合った帝国と連邦の代表者が、聖地に集まった。彼らは宣言する。
『……ここに帝国と白の連邦は、永き争いの終わりを告げん』
読み上げる本のタイトルは。『聖地の歴史』である。
『<大いなる獣>よ、永久に眠れ。<調停のルーン>の輝きの下に』
キース
そうさ、最初からこれは俺の領分。騎士様はお呼びじゃねぇ。
キースの脳内に、像が結ばれた。
そいつは――とても賢い。だが、この世の全てに飽きている。
だからこそ仕掛けた――これほどの大仕掛けを――壮大な詐欺を――!
キース
だったら――<戦争>がすべての鍵になりそうな――
キースは、本を読み進める。
『……調停の儀式に参加したのは、聖地の戦いで名声を博した九人の英雄たち』
『英雄たちは、<大いなる獣>を征する九神をなぞらえていた』
キース
英雄……最後のピースは……
英雄……?
story6-2 称えよ、この俺を
帝国の救出部隊は、征討軍の陣地に接近していた……
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ええっと、ドレイクって野郎、船を全部失って、陣地に逃げ帰る途中であんなことを?
帝国軍・兵士
征討軍はマトモじゃない。なかでもあのドレイク、それからネルガルって奴はな……
化物の集まりかよ……!
帝国軍・兵士
ディーン、お前さん戦場は初めてか。
こんな規模の戦いはな――
帝国軍・兵士
それは俺も同じだ。敵もな。
何が望みでこんなところに?
誰かに褒めてほしかったのさ。
帝国軍・兵士
生きて帰ったら、褒めてやるぜ。
ほんとか!
目の前に、敵陣が見えてきた。
兵士たちは、木の杭にしばりつけられている。
目の前で処刑する気か――
杭の根元には、薪が積まれている。この薪が燃えたら――
帝国軍・兵士
前進!
あまりにも――唐突だった。
ドレイク
待っていったっぴー!
帝国軍・兵士
…………!?
おいー……
先ほどまで会話をしていたものが、一瞬で――死んだ。
ドレイク
てーこくぐ~んっ!!
仲間が死ぬところを見るっぴ!
ディーンはその事実に――
――はあああ!
ドレイク
ぬふう!?
海賊の無法の一撃は――ディーンによって受け止められた。
ディーンは我を失いかけた。だが――忘れてはいなかった。
自分が、誰かを救いに来ているということを――。
こっちだ海賊!!
ディーンは走った。
ドレイク
ぶぁ……ぶぁかにしてくれたっぴねぇえ!!
にゃろーども!!
ドレイクと征討軍は、ディーンを追って走る!!
そうだ……俺に気を取られてるスキに!
story7-1 神気を宿せし者
ルーンが死をまき散らし、多くの人々がー瞬でその命を失う――
これが戦場なのか――
アイリス
主人公――
アイリスが、手を取った――
ディーンと帝国軍がおとりになって、敵がひきつけられた。この隙に――
アイリス
助けましょう!
主人公は、捕虜の下に走る!
***
ドレイク
この力――カイデンと同じ!
神気道っぴねぇええ!!
その通りだ海賊!! くらいやがれー!!
ドレイク
ぴぴぴぴ~まだまだ温いっぴ!
それにドレっぴーは知ってるっぴ。
神気道は使用者のメンタルに影響を受けやすいっぴ~。
その通りだ!! 俺の怒りを教えてやる!!
ドレイク
見ぃ~てみるっぴぃー!!
***
もう少しだ――もう少し――
アイリス
――だめっ!! 主人公!!
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捕えられた兵たちが――
次々に、魔物へと姿を変えていく――
<闇>に――取り憑かれて――
アイリス
違う――これは違う――!!
取り憑いているんじゃない! 一つになっている……!
***
魔物に変わっていく人々を見て――ディーンは目を見開く。
ドレイク
見るがいいっぴー!!
<闇>が正体を現したっぴー!
てめえ!!
ドレイク
おもいだしたっぴ~。カイデンにはできそこないの息子がいたっぴ~。
神気道の伝承者なのに、持って生まれたソウルの量が普通の人間の半分以下の、できそこないっぴ~!!
ああ、それが俺だ……!!
ドレイク
できそこないを片づけたら、カイデンもきっと喜ぶっぴ~!
ドレイク――海賊さんよ。
ドレイク
あああああーん!?
なんだっぴーできそこない!
拍手はいらないぜ。
くたばりながら、俺を称えろ!
story7-1 神気を宿せし者
ドレイク
どうしたぁできそこない!!
その程度かああああ!!
ディーンはドレイクの剣を受ける!
(すげえ力だ……だが、ルーンによる強化とは違う……!
おもしれぇ……そしてそんな強敵と渡り合う俺!)
ドレイク
でええええええいいい!!
最高だぞ俺!!
ドレイク
自画自賛とは~。こっけいだっぴ~!!
俺の自画自賛をなめるな。
……どうしたどろっぴー。動きが雑だぞ?
ドレイク
誰がどろっぴーだっぴー!!
鈍いな。俺はここだ。
のろっぴー。
ドレイク
ちぇええええええあああああ!!
ディーンは。ドレイクの剣をかわした!
アイリス
ディーンさん……
キャトラ
ディーン……あの子……
征討軍・兵士
どういうことだ……!
砲弾より速い提督の剣を!
バートン (少将)
寸前で見切っているんだね。
ディーンといったか――ディーン・バルト――そうか。騎士王の――!
ドレイク
プププププ……そうだったっぴ。
おもいだしたっぴ~!
何をだ?
ドレイク
神気道の致命的欠陥っぴ!
シャアアアアア!!
ドレイクは、手斧をアイリスに向けて投じた――!
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あっ!?
ドレイク
仲間のガキがくたばるっぴ! 心折れる時が――
お前の死ぬときっぴー!!
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主人公は、ドレイクの手斧を弾き飛ばした!
バートン (少将)
――そして彼は――
そうか、彼が飛行島の――
アイリス
ありがとう、主人公!
ディーンさん――がんばって!
キャトラ
そうよ! がんばりなさいよ!
ああ―――俺は、がんばるぜ!!
ディーンの体を中心に、凄まじいソウルが膨れ上がった!
ドレイク
ぴっ……!?
神気道の剣術は、甲冑の着用を前提としていない。それゆえにこの<型>がある。
剣を真上に振り上げる、この型が――
はああああ!!
ドレイク
ぴっ……ぴいいいいいっ!!
上段<炎の構え>から――必滅の一刀を振り下ろす。
バルト流・炎誓剣―!
ドレイクの体は、真っ二つになった!
つまらねぇものを見せちまったな。
キャトラ
アンタ……!
アイリス
ディーンさん!
ドレイク
ぴぴぴぴぴ……!!
半分になったドレイクが、笑っている!?
ドレイク
ぴっぴ~!! このドレっぴーが!
これでくたばるかっぴ~!!
やっぱりな……!
ドレイクの体は、膨れ上がり、巨大な<闇>になった!
ドレイク
凍てつく地獄の底に――沈めてやるっぴー!!
BOSS
story7-2 誓いの剣
ドレイクが変異した、巨大な魔物は撃破された!
ドレイク
ぴっ……ぴっぴっぴ~!!
ドレイクの巨体は融解し、うごめく<闇>となった!!
溶けやがった!?
キャトラ
ディーン、あぶない!!
ディーンの体を、闇が呑み込む!
キース
乗れ!!
寸前で、ディーンはルーントラックの荷台に飛び乗った!
キース! いいタイミングだな!
キース
お前に褒められても、
まーったく嬉しくないぜ!
黒く機れた<闇>は……ルーントラックに追いすがる!
<*×○・!&%$…………>
アイリスの放つ聖なる光が、闇を包み込む……
ドレイク
ぴっ!! ぴっ!! ぴい~!?
キャトラ
やったわー!!
…………
……
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バートン (少将)
征討軍そのものが、<闇>と結託している。
あるいはそのものであるということかね。
そういうことに――なります。
バートン (少将)
だとしたら、君の父上は――
<闇>そのものに――
かもしれないですね。
バートン (少将)
だったらどうするかね。
何も思いつきません。
キャトラ
しょうじきものだわ!
俺達はさらわれた人たちを、助けに来たんで!
キース
いい感じに、河を超えたら大神殿だぜ。
ああ――そうだな。あそこに親父が……
バートン (少将)
なあディーンくん。君、今ちょっと
自分を追い込んでるね?
そ、そんなことはないです。
バートン (少将)
こう考えたまえ。全てが――
上手くいくとね。
脳天気すぎるんじゃないですか?
バートン (少将)
だって君、そうならないとは、
限らないじゃないか。
キャトラ
確かにそうね!
キース
運をたぐりよせたいなら、まずは行動だ。
俺の考えじゃ、もう時間がない――
ああ、行こうぜ!
バートン (少将)
ふふふ、引退間際に英雄の
誕生を見るなんて、私は運がいいねぇ。
英雄……!?
英雄は――剣を掲げる。
その切っ先を天に向けて、英雄は剣に誓う――
ソウルオブナイツ Story
Story0 序章
Story1 ディーン&主人公
Story2 シャルロット&メグ・ジュダ
Story3 クライヴ&ウォルター
Story4 カレン&ソフィ&リアム
Story5 最終章