【黒ウィズ】ハッピースイーツカーニバル Story【白猫】
プロローグ お菓子の島へようこそ
<彼女――ラヴリは、お菓子を食べたときめ“幸せな気持ち”から生まれたという、お菓子の案内人。>
<大人気ユニットプレミアムピークのひとり、プレミオがそう言った。>
<そして――。>
<プレミオを呼んだのがピーク。プレミアムピークのもうひとりである。>
<<お菓子の国>ではふたりのことを知らない者はいない。国王すら彼女らにメロメロなのだ。
<ピークとプレミオのふたりは、旅の途中で知り合ったラヴリに導かれ、
スィー島へとやってきたのだった。>
***
<三人は、色とりどりのお菓子の島を、軽やかな足取りで進んで行く。
……町へとやってきた三人は、人々とすれ違うたびに首をかしげる。>
<三人が事情を尋ねてみると――>
<デザートンという魔物が、お菓子をひとり占めにしていることがわかった。
おかげでスィー島の人々は、お菓子を食べることができず、表情も暗いまま……。>
<ラヴリが言うには、ちいさくても誰かと一緒に分かち合うことで、幸せは広がっていく。
そして彼女は、ひとりで独占するのは、違うんです!と力強く口にした。>
そのデザートンという方に、一言いってやりませんと!行きますよ!おふたりとも!
***
<デザートンに対面した三人は、“確かに、いくらでもお菓子を食べそうだ”と思った。
怪物が大口を開け息を吸うと、あたりからお菓子が引き寄せられてくる……!>
危険な予感がするぞ……!
<ラヴリが高々とステッキを掲げた。
ピークとプレミオは意図がわからず、首を傾げる。>
<プレミオが、「誰を呼ぶ気だ?」とどことなく不安げな表情で問いかけた。>
うおぉぉぉぉぁぁぁぁあああああ!
ハッピースイーツ カーニバル
story 再会と新たな出会い
<君はウィズと顔を見合わせた。>
<ここはいったいどこなのだろう?>
<見慣れない場所だ。>
<ウィズとふたりで買い物に出て、甘い焼き菓子を買ったところまでは覚えている。>
<少し先で手を振る女性――君はその顔に見覚えがあった。>
<プレミアムピークのひとり、アーモンドピークだ。>
<よくよく見てみると、ピークのすぐ側にプレミオの姿もあった。>
<それと見慣れない少女も。>
<君は自己紹介とウィズの紹介をする。>
<君はウィズを宥めながらも、同様の疑問を抱いていた。>
<全く見知らぬ土地に来て、戸惑いがないといえば嘘になる。>
<確かに……だが、君が疑問を投げかける前に、再びラヴリが口を開く。>
<君は漠然とした不安を抱きながら、わかった、とだけ口にした。>
<何が待ち受けているかはまだ見えていないが、ついていくしかない。>
***
<ラヴリが事情をかいつまんで要約してくれた。>
<ピークたち三人がスィー島を訪れると、島の人たちは何故か、みんな暗い表情を浮かべていた。
<原因は大食いの魔物――デザートンという存在だった。>
でも何がきっかけか、いきなり暴れだして止めるに止められなくなって……。
<デザートンは大食いであるだけでなく、強大な魔力を秘めていた。>
<その危険な力に対抗するべく、ラヴリは状況を打破できる助っ人を呼ぶことにしたらしい。>
しかし、それはデザートンによって妨害されてしまい………
甘いお菓子を食べようって気持ちになっていたのは確かにゃ。
<話を聞く限り、危険な力を持っていることは間違いない。>
<だけど、君にとってそれは想像の域を出ないことだった。>
<急に黙ってしまったラヴリ。君は不思議に思って、その顔を覗き込む。>
<ウィズは呆れ顔で、とりあえずのツッコミをいれた。>
<仮にどこかに仲間となってくれる人かいるなら、それは心強い。>
***
いいですか。あちらに見えるのがアーモンドをたっぷり使用したチョコレー卜で――。
<ラヴリは、苦笑いを浮かべて頭をぽりぽりと掻いた。>
<そんな話をしながら先へと進むが、やはりまだここを抜けられそうにない。>
***
<よく見ると、海が広がっていて奥にはお城のようなものかぼんやりと浮かんでいた。>
<船に乗って向こうに渡るのだろうか。君はそのことをラヴリに訊いてみた。>
<それもいいかもしれないね、と君は答える。>
寄り道になるかも……いやもしかするとそこにも誰かがいるかもしれない。
想像でしかないけれど、きっと大きな体をしているんだろう、と君は思う。
<お菓子を食べるとは言っていないけれど、不安を抱えている人を無視することはできない。>
<君はばったり出くわした――あのアリエッタ・トワを見て、咄嵯に身構えてしまった。>
<君は頷く。>
<あのとき、あの場所で彼女が襲ってきたことを、君は忘れていない。>
<アリエッタが、笑いながら手に持っていたお菓子を口にする。>
<友だち……あの異界にいた魔道士たちのことだろうか?>
<君は首を傾げるが、ここにいるということは、つまりそうなのだろう。>
<とても凶暴――ではなく、とても力のあるアリエッタが来てくれるなら、問題もすぐに解決できるかもしれない。>
<君はそう考え、アリエッタに話を持ちかけてみた。>
<だがけんもほろろに断られ、アテが外れてしまった。>
<アリエッタは無邪気に笑いながら、君たちに手を振り、軽快な足取りでこの場を去ってしまう。>
<ピークの言うように、必ずしもここに呼ばれた人たちが協力してくれるわけではない。>
<だからこそ、他に人がいたとしたら、どうやって協力を仰げばいいのか、考えなければならない。>