【黒ウィズ】ハッピースイーツカーニバル Story8【白猫】
story
〈湖を抜けると、目の前には大きなお城が……?〉
〈いや、ぷるぷると震える様からは、とても建物のようには見えないが……。〉
〈美味しそうだね、と君は呟く。〉
〈ここに来るまでにたくさんのお菓子を食べてしまったが、〉
〈それが逆にさらに美味しいものを求める要因になっていた。〉
〈それは避けなきゃ――と言おうとしたところで、〉
mあれ?あれあれ!?ウィズ様……!?
〈偶然ミコトに出会った。〉
〈――八百万の神々が集う異界にいる、和歌の神様だ。〉
mうわあ、お久しぷりです!こんなところで、どうしたんですか?
mいやあ、私、甘いもの、美味しいものを、食べたいなって歌を詠んだんですが。
m歌を詠んだらこんなに素敵な場所に。あれはぷりんという舶来のものらしいですよ。
ここの人に1ついただきましたが、それはもう絶品。ぷるんぷるんで――。
mいえ、ですから私は、甘いもの、美味しいものを――。
〈君はウィズを宥めながら、ミコトにラヴリたち一行を紹介する。〉
〈デザートンのこと、これまで出会ってきた人たちのことも伝えた。〉
m……なるほど。つまりウィズ様たちは、そのデザートンという人をやっつけたいのですね?
mうーん、そう言われても、私も力になれるかどうか……。
というのも、まだいまいち把握できていない状況でして。
あっ、でも幸か不幸か、先ほどぷりんなるものをくれた方とは、とても仲良くなりましたよ。
そうそうウィズ様。知ってますか?あっちのほうにジュースの湖があって……。
mええっ!どうしてそれを言ってくれないんですか!トミちゃんに持っていってあげなきゃ!
〈舶来のものが好きなトミ――という神様がいることを、君は思い出した。〉
mでは行きましょう。うさぎの方は、あちらのほうに歩いて行ったはずです!
〈うさぎの方――それはいったい何を指しているのか、それを訊く前にミコトは前へと進んでいく。〉
〈仕方ない。ここはひとまずミコトについていこう。〉
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mあっ、ほら、あそこに立っている方です。
〈ようやく辿り着いたその先に、少女が立っていた。〉
〈それは確かにうさぎのような……。〉
〈被り物だろうか?
mあのーぷりんの方ー?
あのー、お久しぶりです。ええっと……確か、あのー……お祭りのときの……えっと……。
ああ!ああ!おだんごを買いに来ていただいた、あの!あのときの!
mええっ!違います!ミコトです!ついさっきお会いしたミコト……!
〈全く理解していないような彼女は、とりあえず2度、3度頷いた。〉
mそうなんです。この方から、ぷりんをいただいたんです!
mううう嘘じゃありません。ほら、だっていたでしょう!?
それで仕方ないから、プリンを売ることにしたんです。
mお団子がないので、プリンを売ることにしたそうです。
でもわかります。ここのプリンはぷるんぷるんですから。
〈そういう問題なんだろうか……?と君は思ったが、ツッコむことができなかった。〉
〈ひとまず事情を説明し、ここに来てしまったツキミにも手を貸してもらうことにした。〉
〈ミコトとツキミの空気にのまれたのか、すっかりウィズもこんな雰囲気に……。〉
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mツキミちゃん、このぷりんって手作りなの?
mとりあえずで行動するなんてすごい。私なんて最近ご利益ぽいんとを集めてなくて……。
スウちゃんもセイちゃんも頑張ってるし、私もって思うんだけど……どうしたらいいかなあ。
〈お皿に乗せたプリンを取り出して、ミコトに手渡した。〉
〈すると、ラヴリが突然目を輝かせ、言う。〉
〈ツキミに渡されたプリンを、そのままするりと口に運んだ。〉
〈……甘い。それに本当にとろけるようだ。〉
…………。
はっ!?お団子の中に入れたら美昧しいのでは……!?
m斬新。
いい句が浮かびました。
美味しそう それはとっても 美味しそう……っと。
mなるほど。プリンをつついたときのように右に左に……。
〈ふと、君は背後に気配を感じ振り返った。〉
……電卓さん?
mそれで電卓さん、私たちに何かご用ですか?
mハカセ……?
わかるかい?レヴェルが違うんだよレヴェルが。
〈君はミコトとツキミの前に出て、クイズ対決?と訊き返した。〉
〈まあまあ、と君はウィズをなだめる。〉
〈確かにすぐにでも先へ行きたいところだけど、無視して行くわけにも……。〉
〈きっと彼は、今までに出会った分身同様、デザートンに強く関係している。〉
***
mふふん。そうでしょう。
mお、応援もちゃんとしてましたよ!
〈苦戦することなくクイズ対決に勝利した。〉
〈それはミコトやツキミの助力があってこそだったのかもしれない。〉
〈ハカセは、ツキミにもらったプリンを口にして、満足げに頷いた。〉
僕に勝ち、美味しいお菓子をくれた君たちにはひとつ、忠告をさせてもらうよ。
分身を倒したことで、デザートンが弱るなんて考えは持たないほうがいい。
抑圧された欲望は、かえって――。
〈そこまで言って、ハカセが消えていった。〉
〈しかし、恐らくこの先にデザートンがいる。〉
〈みんなに帰ってもらうためにも、必ずデザートンを倒さなければならない。〉
〈君は大きく頷き、前へと足を進めた。〉