【黒ウィズ】ハッピースイーツカーニバル Story9【白猫】
story
デザートンは強力な魔法――歪みの力を使うの。
だから正面から行くにしても、何かしらの策が必要だ。
そうは言っても、血私たちだけでどんなことができるにゃ?
〈お菓子が美味しいとか、この島は楽しいとか、そういう人にしか会っていない。〉
〈君もこの場所を楽しんでいたけど……力になってくれる人を見つけられていないのだ。〉
お菓子が好きだという気持ち、甘くて素敵な思いはたくさんいただきました。
これだけあればきっと……!
〈実のところ、君はうっすらと気づいていた。〉
〈魔道怪獣と呼ぱれた少女があの港に姿を見せて以降、どこかへ消えてしまっていることに。〉
黒猫の魔法使いさん。
〈ピークに声をかけられ、君は慌てて彼女に向き直る。〉
最後までよろしくね。
〈もちろん、と君は返した。〉
〈何も話が通じないってことだってないはずだ。〉
〈相手の気持ちを知ることさえできれば、解決策も見えてくるだろう。〉
気持ちを知る、か。
そういえば、お菓子を食べているのに足りない、と口にしていたわね。
そうですね……もしかしたら、お菓子を食べること以外に何かを欲しているのかも……。
食べ足りないだけだったら、いよいよ危ないにゃ。
〈ウィズの言葉もわかるが、何かがあること、そしてそれが打開策に繋がることを信じ、〉
〈君たちは最後のお城へと向かっていった。
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ちょっとー、リッター?どこ行ってたのあんた。
えっとねー、あっちのほう?なんか、お菓子がいっぱいあって、たくさん持ってきたよ!
え、マジで?なにここ夢の国だわー。
シャルはー?なにしてたのー?
いや、あんたのこと探してたんだって!勝手にうろちょろされんの困るし!
わはは!すれ違いだね!
あだっ――いきなり叩くな!
つーかリッタ、帰りたくないわけ?まースイーツ食べ放題だし、極楽なのはわかるけどさ。
え?
聞けよ!チョコ食ってないで、あたしの話を聞けよ!あーもう、何なのこれぇ……。
シャルも食べるー?なんかねー、ナッツっていうのがぎっしり詰まってるとかって。
なにそれ美味しそー。食べる食べる。やーほんといいとこですわー。
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アリエッタがいるにゃ!
〈ここにきて、再びアリエッタに遭遇した。〉
〈その隣には、見たことのない人が……。〉
あー?なに?リッタの知り合い?
うん。黒猫のひと。ここで起きてることを解決したいんだって。
そっかー、ふーん……。
ええ、あーあー……こほん。
わたくしはシャルロツト。光焔の御子として、この島に起きている異変を正しに来ました。
〈君はシャルロットとアリエッタに、よろしくね、と言った。〉
皆さんも、わたくしとともに――。
そういうのいらないひとたちだよ。
あっ、そうなん?じゃ、いいや。つーわけで、よろしくー。
いきなり口調が変わったにゃ……。
〈ところでアリエッタたちは何をしていたの?君は問いかける。〉
〈もっと別の疑問、動揺もあったが、これだけは先に聞いておかなければならないと思った。〉
シャルとお菓子食べてたんだー。
ま、そーゆーこと。実際、ここに何で来たのかとか考えてもしょうがないし。
そのうち帰れるっしょって思ったら、じゃ、とりあえずここで遊んどくかって。
気まますぎるにゃ……。
〈だけど、恐らくデザートンがいるであろうこの場所で仲間に会えたのは心強い。〉
〈君は改めて、アリエッタたちに手伝ってほしい、と伝えた。〉
いいよ!黒猫のひととわたしの仲だもんね!
〈最初に断られたような――いや、これは言わないでおこう、と君は思う。〉
えー……それって何?どーゆー仕事なの?めんどくさくない?
お菓子がもらえるよ!
仕方ありませんね。えーっと、甘いの甘いの、いらっしゃ~い!
〈ラヴリが使ったのは、これまでも何度か見てきたお菓子を出す魔法だった。〉
〈シャルロットの頭上から大量のチョコが落下してくる。〉
ええええ!?なにこれ!?
〈それを華麗な身のこなしで全て受け取ったシャルロットは、一粒だけ口に運んだ。〉
……?なにこれすごく甘い!
〈自慢気なラヴリを尻目に、シャルロットがひとつ、またひとつとチョコを食べていく。〉
止まらない。チョコを食べる手が止まらない!
わはは!
前払い……ってことなのかしら?
はぁ……しゃーない。今回は特別だかんね。
仲間が増えるのは心強い。
ですね♪さあ、これからデザートンをやっつけにいきますよー!
〈君はカードに魔力を込めた。〉
〈まだ見ぬ魔物デザートン……スィー島を守るため、君たちの最後の戦いが始まる。〉
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〈それはとても甘くておいしそうに見えた――〉
〈デザートンという魔物は、そのときに生まれたのかもしれない――〉
〈デザートンは、欲したのだ。〉
〈真心のこもった、何よりもおいしそうな、それを――〉
〈だが、得ることは叶わず――〉
〈……歪んだ。〉
またお前たちか……。
観念してください!今度はとーっても強い仲間たちも一緒ですよ!!
うるさぁい!足りない……足りないんだ!
まだ……これじゃあ、足りない……。
何が足りないの?
〈デザートンの周囲に山のように積まれたお菓子。〉
〈これほどたくさんあってもなお、足りないと言う。〉
数じゃ――
てーい!
ぐふッ……。
何してるにゃ!いきなり魔法を叩きこんじゃダメにゃ!
〈話の途中で、突然アリエッタが特大の魔法を打ち込んだ。〉
〈さすがのデザートンも、1歩、2歩と後ずさる。〉
どいつもこいつも……!!
おれを満足させるお菓子はどこだ!おれは満足したいんだ!!
……ったく、なんだよ、こいつ。お菓子食って、ぐうたらしてるだけって。ありえねーっつの。
わはは!一緒!シャルと一緒!
ちょっと、指差すなし!あたし別にぐうたらしてるわけじゃ いやしてるけどそれとこれとは――
お前たち……おれの邪魔をするな!おれは、おれは自分の満足するお菓子を食べたいんだ!
このままじゃ埓が明かないにゃ……。
〈一度、落ち着かせないことには話もできない。〉
〈君はラヴリたちの前に立って、デザートンに向き合った。〉
おれはお菓子が食べたいんだああああぁぁぁ!!
***
くう……こんなところで……。
〈デザートンに渾身の魔法をぶつけると、彼はついに崩れ落ちた。〉
〈暴れて手がつけられなかったときと違い、かなり疲弊しているのがわかる。〉
どんだけ暴れんだっつーの……。
あはは!
〈アリエッタとシャルロットは――それほど疲れていないようだ。〉
くそ……くそぉ!!
たとえ悪いことをしていた相手でも、こういうのは心が痛むな……。
やっつけないの?
待ってください。話を聞きましょう。
……まー、こいつの気持ちもわからんでもないけどさ。
きっとデザートンさんは寂しかったんです。ひとりぼっちで、ただお菓子をたべるだけ……。
お菓子は、小さな幸せです。でもひとりじゃ満たされないこともあるんです。
安心してください。今からデザートンさんに、たくさんの幸せがつまったお菓子を――
プレゼントしてあげます!
〈ここに来るまでに出会った人たちの、幸せな気持ちを集めていたラヴリ。〉
〈それを解き放てば、奇跡だって起こせる。〉
歪んでしまったデザートンの心を戻すつもりにゃ!
うぐぐぐ……おれは、満足したいんだあああ!
キミ、ラヴリが魔法を完成させるまで、デザートンをおさえるにゃ!
〈君はウィズの言葉に頷いて、デザートンの体当たりを魔法で受け止める。〉
私たちも手伝うわ!
ああ、この力、使ってくれ。
よーし、いきますよー!甘いの甘いの飛んでけー!
最終話
〈もはや怒号も聞こえず、静まり返った宮殿で、デザートンが涙を流しながらお菓子を口にする。〉
うまい……うまい……。
〈ひとつひとつを噛み締めながら、デザートンはぽろぽろと心情をこぽし始めた。〉
おれは……おれは虚しかった……。
自分で集めたお菓子も、至るところにあるお菓子も……どれだけ食べても満足できなかった。
本当にほしかったのは……そんなひとりきりで食べるお菓子じゃなかったんだ……。
〈デザートンが求めていたもの……〉
〈それは、誰かがデザートンのためにくれたお菓子だった。〉
〈そして、こうしてみんなでお菓子を囲み、楽しく食べたかった。〉
〈分かち合うことで、心が満たされるから……。〉
〈ただそれだけのことだったのだ。〉
〈みんなの想いがいっぱいに詰まったお菓子を魔法で取り出し、〉
〈それを食べさせることができたのは、ラヴリのおかげだ。〉
ごめんなさい……ひとり占めはもうしません……。
〈デザートンが頭を下げる。〉
わかってくれて嬉しいです!そうです!みんなで食べると、もっともっと幸せが広がります!
よくわかったよ……おれはずっと間違え続けてきたんだ……。
これからは、お菓子をみんなに返しながら……みんなと打ち解けられるよう頑張るよ……。
一件落着にゃ。
これで帰れるのー?
もちろんです!デザートンさん、手伝ってくれますよね?
ああ……元はといえばおれの責任だから……。
あれ?帰りたくなったら帰るってこともできるの?
できるんじゃないかしら。
前までに会っていた彼ら、いや彼女らがどう思っているかは別だが……。
あたしはもーちょっといようかな?
わたしも!エリスにおみやげ持って行かなきゃ!
キミ、どうするにゃ?
〈ほかの人たちにこのことを伝えなきゃいけないし、まだまだ帰るわけにはいかなそうだ。〉
そういうことならみんなを集めて、私たちのライブでも聞いて行ってもらおうかしら。
そうだな。私たちにはそれぐらいしかできないが……。
それはすごくいいにゃ。早速みんなを集めるにゃ!
〈そうだね、と君は口にする。〉
〈平和の訪れたスィー島。〉
〈君たちがクエス=アリアスに帰るのは、まだ少し先のことになりそうだ――。〉