【黒ウィズ】ハッピースイーツカーニバル Story9【白猫】
story
〈お菓子が美味しいとか、この島は楽しいとか、そういう人にしか会っていない。〉
〈君もこの場所を楽しんでいたけど……力になってくれる人を見つけられていないのだ。〉
これだけあればきっと……!
〈実のところ、君はうっすらと気づいていた。〉
〈魔道怪獣と呼ぱれた少女があの港に姿を見せて以降、どこかへ消えてしまっていることに。〉
〈ピークに声をかけられ、君は慌てて彼女に向き直る。〉
〈もちろん、と君は返した。〉
〈何も話が通じないってことだってないはずだ。〉
〈相手の気持ちを知ることさえできれば、解決策も見えてくるだろう。〉
〈ウィズの言葉もわかるが、何かがあること、そしてそれが打開策に繋がることを信じ、〉
〈君たちは最後のお城へと向かっていった。
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つーかリッタ、帰りたくないわけ?まースイーツ食べ放題だし、極楽なのはわかるけどさ。
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〈ここにきて、再びアリエッタに遭遇した。〉
〈その隣には、見たことのない人が……。〉
ええ、あーあー……こほん。
わたくしはシャルロツト。光焔の御子として、この島に起きている異変を正しに来ました。
〈君はシャルロットとアリエッタに、よろしくね、と言った。〉
〈ところでアリエッタたちは何をしていたの?君は問いかける。〉
〈もっと別の疑問、動揺もあったが、これだけは先に聞いておかなければならないと思った。〉
そのうち帰れるっしょって思ったら、じゃ、とりあえずここで遊んどくかって。
〈だけど、恐らくデザートンがいるであろうこの場所で仲間に会えたのは心強い。〉
〈君は改めて、アリエッタたちに手伝ってほしい、と伝えた。〉
〈最初に断られたような――いや、これは言わないでおこう、と君は思う。〉
〈ラヴリが使ったのは、これまでも何度か見てきたお菓子を出す魔法だった。〉
〈シャルロットの頭上から大量のチョコが落下してくる。〉
〈それを華麗な身のこなしで全て受け取ったシャルロットは、一粒だけ口に運んだ。〉
〈自慢気なラヴリを尻目に、シャルロットがひとつ、またひとつとチョコを食べていく。〉
〈君はカードに魔力を込めた。〉
〈まだ見ぬ魔物デザートン……スィー島を守るため、君たちの最後の戦いが始まる。〉
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〈それはとても甘くておいしそうに見えた――〉
〈デザートンという魔物は、そのときに生まれたのかもしれない――〉
〈デザートンは、欲したのだ。〉
〈真心のこもった、何よりもおいしそうな、それを――〉
〈だが、得ることは叶わず――〉
〈……歪んだ。〉
まだ……これじゃあ、足りない……。
〈デザートンの周囲に山のように積まれたお菓子。〉
〈これほどたくさんあってもなお、足りないと言う。〉
〈話の途中で、突然アリエッタが特大の魔法を打ち込んだ。〉
〈さすがのデザートンも、1歩、2歩と後ずさる。〉
おれを満足させるお菓子はどこだ!おれは満足したいんだ!!
〈一度、落ち着かせないことには話もできない。〉
〈君はラヴリたちの前に立って、デザートンに向き合った。〉
***
〈デザートンに渾身の魔法をぶつけると、彼はついに崩れ落ちた。〉
〈暴れて手がつけられなかったときと違い、かなり疲弊しているのがわかる。〉
〈アリエッタとシャルロットは――それほど疲れていないようだ。〉
お菓子は、小さな幸せです。でもひとりじゃ満たされないこともあるんです。
安心してください。今からデザートンさんに、たくさんの幸せがつまったお菓子を――
プレゼントしてあげます!
〈ここに来るまでに出会った人たちの、幸せな気持ちを集めていたラヴリ。〉
〈それを解き放てば、奇跡だって起こせる。〉
〈君はウィズの言葉に頷いて、デザートンの体当たりを魔法で受け止める。〉
最終話
〈もはや怒号も聞こえず、静まり返った宮殿で、デザートンが涙を流しながらお菓子を口にする。〉
〈ひとつひとつを噛み締めながら、デザートンはぽろぽろと心情をこぽし始めた。〉
自分で集めたお菓子も、至るところにあるお菓子も……どれだけ食べても満足できなかった。
本当にほしかったのは……そんなひとりきりで食べるお菓子じゃなかったんだ……。
〈デザートンが求めていたもの……〉
〈それは、誰かがデザートンのためにくれたお菓子だった。〉
〈そして、こうしてみんなでお菓子を囲み、楽しく食べたかった。〉
〈分かち合うことで、心が満たされるから……。〉
〈ただそれだけのことだったのだ。〉
〈みんなの想いがいっぱいに詰まったお菓子を魔法で取り出し、〉
〈それを食べさせることができたのは、ラヴリのおかげだ。〉
〈デザートンが頭を下げる。〉
これからは、お菓子をみんなに返しながら……みんなと打ち解けられるよう頑張るよ……。
〈ほかの人たちにこのことを伝えなきゃいけないし、まだまだ帰るわけにはいかなそうだ。〉
〈そうだね、と君は口にする。〉
〈平和の訪れたスィー島。〉
〈君たちがクエス=アリアスに帰るのは、まだ少し先のことになりそうだ――。〉