ゼロキス(バレンタイン)・思い出
ゼロキス・チェリサージュ CV: 恋愛が不得意なインキュバス。 今回は自然体で攻める事にしたが……? | ||
2017/02/13 |
思い出1
俺の名はゼロキス。恋愛マスターのインキュバスだ。
恋愛マスターは自称な。
俺が瞳を見つめれば、どんな女もイチコロさ。
イチコロになるのはお前な。
そして俺はささやくんだ。蜜よりも甘い、愛の詩を。女は息を吹き返し、頬を赤く染め上げる。
俺の魅力から、女はもう、逃れられない。
おおゼロキスよ。罪深きその嘘は、汝を底のない奈落へと堕とすというに。
……いや、もう、堕ちてんのか? 夢魔だしなあ。
その通り。正直に言おう。俺はこんなに格好をつけてはいるが、いざ女の子の前に出ると――
こんにちは、ゼロキスさん。
ア、ア、アアア、アイリ、アイリスさん、こ、ここ、こここんにちはぁん!
こんな調子だ。
理想の男になるために、身だしなみには常に気を使ってるんだが……こんな調子だ。
……ふっ!!
いい開き直りっぷりだなあ、あんちゃん。
さっきから茶々を入れてくるこの丸坊主は、ひょんな事から知り合った悟りの丸坊主だ。
誰が丸坊主だ。
俺の色恋沙汰にクチバシを入れてきたり、関係ない戦に巻き込んだりと、まったくもって丸坊主だ。
言うじゃねえか。
ちなみにこんな丸坊主でも、まだ0歳だ。
この丸坊主……ベンケイさんは以前、モテようと努力していた俺にこう言った。
モテようとする奴が一番モテねぇ。――真理だ。
さっきからなにを一人でブツブツいってるのかしら。
お疲れ、なのかな……?
思い出2
なるほど……自然体ですか。
あ、あのあの、そうなんです。ししし自然体で自然がいっぱい……
アタシらにとっちゃ、それがアンタの自然体よ。
違うんだキャトラさん!違うんだよ!……違うんだってェェ!
なにが違うのよ!
自然体ってどうすればいいか教えてほしいんだってェェ!
…………よーわからんけど、わかった!
わかったのね!?
つまりよ?モテようとしなければいいワケよ。
……そういうことになるね。
一つずついきましょう。……まず、アンタのその身だしなみね。
男として、最低限の身だしなみは必要だわ。清潔感は大事だもの。
そうだね……
でも、アンタはやりすぎなのよ。たとえば、いつも香水をふりかける必要はないわ。
そ、それはイヤだ!いつもいい匂いでなきゃ、女の子に嫌われてしまう!
その時々ってヤツがあるのよ、ゼロキス。
美味しい食事をしている時、香水の匂いがきつかったら、イヤでしょ?
……ぐ……
服だってそう。いつも高そうな服着てると、女の子も構えちゃうわよ?
……ぐぐぐ……
歯だって一日に何回も磨かなくてもいいの。
……ぐぐぐぐぐ……
鼻毛だってマメに抜かなくてもいいの。
……ぐぐぐぐぐぐぐ……
ゼ、ゼロキスさん……?
むりだぁーーー!!
むりむりむりむり、むりだよそんなの!絶対にモテないよ!そんなのぉ!
なにいってんのよ!自然体で攻めるんでしょ!!
拷問だ!そんなの僕にとって拷問だー!
おバカー!!形から入ろうとするから、女の子を前にするとかえって緊張しちゃうんでしょーが!
考えるに、僕が自然体であるためにはまずモテる努力をしなければならないんだ!
本末転倒にもほどがあるわ!
努力をせずに自然体なんか手に入らないんだ!……っていうか、自然体って結局なんなんだよ!
アタシの話聞いてた!?
ああ、もうアレだ!
今日はもうダメだー!!
けっきょくそれかーい!!
思い出3
おーい!主人公!
集合時間5分前に来るなんて、さすがだね。……ところで……
……アイリスさんとキャトラさんは、いないよね?
や、今日は男同士の友情を深めようと思ってね……
うんゴメン嘘ついた。
あれから、自然体になるにはどうすればいいか考えたんだ。……そこで、君だよ。
そう、自然体がわからなければ、自然体である人を間近で見て勉強すればいいんだ。
自覚がないとは恐れ入ったな。……君こそ、究極の<自然体モテ男>なんだよ!
ということで、今日は君にナンパをしてもらおうと思う。
君の自然体を、存分に見せておくれ!そして僕を自然体にしておくれ!
あっ!ほら、さっそく女の子が来たぞ!さあ、行くんだ!Wあっ……あなたは……!
え?Wこの前は、助けていただいてありがとうございました!
妹も幸い軽傷ですみましたし……今度、改めてお礼をさせてくださいね♪
うーん?Wあ……!主人公さんだわ!
この前の魔獣退治、本当にお疲れさまでした♪すごくカッコよかったです♪
むむむ~?W……あの、いまお時間ありますか?よろしければ、ー緒にご飯でも……Wあー!主人公ちゃんだ!
ねーねー、また遊びにきてくれたの!?遊んで遊んでー!Wあら主人公君!
…………Wおお、神さま仏さま主人公さまじゃ……
ちょっと待ってくれよ!!
なんだよこれ、なんだよ……!
逆ナンッ!?
いや確かにおじいさんはちょっと違うけれどもだよ!?
ここまで……ここまで自然体を極めると、会話をせずとも向こうから寄ってくるっていうのか!?
ふざけるなよお~~!
これじゃまるで参考になんかならないよ!Wこんにちは、ボクちゃん♪Wカワイイ顔してるわぁ……――アタシとー緒にお茶でもどぉ?
…………
どうしてこうなるんだ――!!
思い出
合コンよ!
なんだいヤブから棒に!?
合コンでもまれるのよ、ゼロキス!
ご、ごごごごご……
合コンだってええええええ!?
ということで、合コンといえばこのチャラ男!
ウェウェウェ……ウェ~~~~イ!
僕がー番苦手そうな人がきたー!
話は耳にインしちゃったんで!オレにまかしといてちょ、チャンゼロ!!
チャンゼロ!?ねえ、この人なんなの!?
まーアレだね、チャンネーとバイヴスブチ上げるにやコンのパーにすってんころりんカマしていくしかないんで。
わけがわからないよ!!
チャンネーには声かけたんで。悪いけどチャンゼロ、メンスをあとー人招集カモミールしちゃってくれる?
あー、なんかもう……わかったよ。メンスをー人カモミールね……
<そして合コン当日。>
チュリーーーッス!今日は楽しんで行こうぜヒュ――!
こここここんにちは、僕はゼ、ゼンッ、ゼンゼンゼロキスといいます!Eエリオットです。よろしくお願いします。
(よりによってこの男しかつかまらなかったああああ!!)
Wmよろしくお願いしまーす!
Wgよろしくね♪
pえっとお~、合コンは初めてなんでえ~、緊張してまぁ~す。
なんで君がいるんだよ!!
pお、幼なじみとして当然でしょッ!
Wg幼なじみと合コンって……どうなの?
まー人生いろいろってことっすわ。……ハイハイハーイ!飲み物そろっちゃった感じねオーケーイ!
かんぱいウェ~~~イ!
「「かんぱ~い!
Wgじゃあまずアタシがしゃべくりまーす♪
ちゃってちゃっていっちゃって――!
なんてスピード感だ……
Wmへえ、エリオット君って頭がいいんだね~!憧れる~!
E憧れるだなんて、そんな。僕はまたまだ未熟者ですよ。あ、ジュースがもうありませんね。
すいませーん!オレンジジュースくださーい!
(………………すまない。入射角があと!5度足りなかった)
パンツを覗こうとするなー!
E(本当にゴメン、ゼロキス……わがパン友よ……)
マジメにあやまるのやめてよ!なんか神妙になっちゃうだろ!あとパン友もやめて!
Wm……あ、エリオット君おかえりー。
それガチでエモくね?マジで頭レモンだわ。
Wgだーよねー!
頭レモンってなに!?
「「キャッキャッ。
「「ワイワイ。
あれ~……
p……あなたがツッコんでるうちに、雰囲気ができちゃったわね。
アピュト。僕はしみじみと言うよ。今日はもう、ダメだ。
p……趣味の話でもする?
思い出
はあ……合コンのゴの字も合コンできなかった……
ただ幼なじみといつもの会話をしただけだった……
自然体ってなんなんだろう……頭レモンとかいえばいいのかな……
ていうか頭レモンって、結局どういう意味だったんだろう……
ん……?
ひぅ……ここにもいない……
どうしたんだい、お嬢ちゃん。
お母さんがいないの…………ぐす……
迷子になっちゃったんだね。
さっきまでいっしょだったのに……
てことは、まだ近くにいるはずだ。……わかった、僕がー緒に探してあげるよ。
だから、泣かないで?
うん……ありがとう、お兄ちゃん……
…………
……
<しかし、女の子の母親は、なかなか見つからない……>
まいったな……
…………
<ゼロキスは女の子に背を向け、しゃがみこむ。>
疲れただろう?おんぶしてあげるよ。
……いいの?お兄ちゃん、女の子みたいな体だけど……
こう見えても僕は力があるんだ。ベンケイさんには負けるけどね。
ベンケイさん?
…………お兄ちゃんのせなか、あったかい。やさしいから、あったかいんだね。
やさしい、か……
……ううん。きっと僕は、臆病なたけなんだと思う。
女の子とね、うまく話すことができないんだ。いつも緊張して、口をパクパクさせちゃうんだよ。
どうにかしたいと思って、色々と頑張ってはいるんだけど、全然ダメだ……
……お兄ちゃん、すきなひとがいるの?
うーん、まあ……そういうことになるのかな?
……わたしもね、すきな男の子がいるの。……でも、はずかしくて、すきっていえないんだ。
すきっていって、もっともっとなかよくなりたい。もっともっとあそびたい……
そっか……
<ゼロキスは歩きながら、その顔を少しだけ女の子へと向ける。>
気持ち、あせるよね。伝えたいよね。……でも、勇気がでなくて、なかなかいえないよね。
――それでいいんだ。
えっ……
だって、それが、ほんとうの<好き>ってことだから。
そしていつかそれは、きっと君に勇気をくれる。つのる想いが、きっと君の背中を押すだろう。
大丈夫、うまくいくよ。……恋愛マスターの俺が言うんだ。間違いないぜ!
……女の子とはなせないのに、れんあいますたーなの?
ぐっ!!そ、それはだね……
うふふふふ。……ありがと、お兄ちゃん。
困ったわ……どこにいっちゃったのかしら……
あ……!おか――さ――ん!!
あー、いたいた!
よかった、これでもう安心だ。
あのね、このお兄ちゃんがー緒にお母さんを探してくれたの!
そうだったんですね!どうもありがとうございます……!
いえ。……お嬢ちゃん、もう迷子になっちやダメだよ。……それと……
<好き>っていう気持ちを、大事にね。
うん、わかった!……あのね、お兄ちゃん!お兄ちゃんはとってもやさしくてカッコいいから――
10ねんごにわたしがまだけっこんしてなかったら、お兄ちゃんのおよめさんになってあげてもいいよ!
……ほう?
じゃあ、その時がきたら――
<ゼロキスはゆっくりとかがみ、女の子の頭に手を置く。>
俺のものにしちゃうぜ、レディ。
キャー♪
あ、これは主人公の……
喝ーッ!!
ハッ!この声は!
ゼロキスよ……
やっぱりだね!やっぱりまたベンケイさんなんだね!
ていうか、なんかもう自分の家みたいに出入りしてるよね、僕の精神に!
汝にこの言葉を授けましよう……
またかよ!今度はどんなありがたい言葉なんだい!?
よくやったじゃねえか。
えっ……
相手は子どもだがな。アリのー歩ぐらいは前進したぜ。
…………
迎えにきてみたら……インキュバスっぽいことやってんじゃないの~。
あ、いや、アレは……
わかってるわよ。あの子を助けたんでしょ?男をあげたわね、ゼロキス!
キャ、キャトラさん……!
この調子なら、いつか――
ゼロキスさーん!
ハウッ!この声はアイリスさん!?
寒いだろうと思って、肉まん買ってきましたー!ー緒に食べましょ~!
は、はが!!はがががが!!
肉まんを……肉まんを抱えながら走るぅ、アイリスさんがぁぁ……
かわいすぎて今日はもうダメだー!
あ!ゼロキスさん、待ってくださーい!
ホメられたままで今日は終わるんだー!
……うん。やっぱダメね、アイツ。
ゼロキス・チェリサージュ
その他