【白猫】ゼロキス(温泉)・思い出
恋の二丁拳銃 ゼロキス・チェリサージュ 恋愛下手なインキュバス。 女子にモテるため、常に己を磨いている。 | ||
2015/11/10 |
思い出1
えっと……働く女性が選んだ好感度ナンバーワンの帽子はかぶったし……
肉食系女子オススメの上着もフィットしているし……
今年のトレンドのマントは洗濯しすぎて色あせちゃったけど……まあいい。
セレブ俳優が愛用していたズボンは……おっと、チャックが全開だった。
ははっ、さすがは花の都の製品ブランドだ。腰を抜かしそうだぜ。
さーて、タロットカードの占いはっと……
うん、ふやふやで何もわからない。川に落としたからね。
ドンウォーリー、ウォーリー。今の俺に死角はない。完璧だ!
今宵もこの恋愛マスターゼロキス様が、純愛台風の目になってやるぜ~!
ゼロキスさん、こんにちは。
こっこここここここっ!
?
ア、アア、アーイアイアイ、アイリスさん。
ど、どどどうですかこれから一緒にラベンダー畑に……
あ、ごめんなさい。これからヘレナさんと買い物へ行くんです。
なーんですってえええ!!
おっ、やってるやってる。
相変わらずゼロキスは遠くから見つけやすいわね。
ね、猫!? 不吉だ!
だからなんでアタシが来るとそうなるのよ!
けど、占いはもう捨てたのさ!
あっそ。
しかしなぜなんだ……
このコーディネートで恋に落ちないだなんて……
そんな素肌が見えた服……
カッコイイと思ってるの?
えっ? だって、雑誌にそう書いて……
でも現実は?
それは……
……?
そっかそっか……試着室のときから半分気づいてはいたんだよ……
……高かったのになぁ……
さあ、ごいっしょに。
今日はもうダメだ!
やっぱりアンタはアンタのままね。
思い出2
ふぁ~! ひほふひほふ~!
キキキ……そうよ、ゼロキスくん!朝はパン! パンなのよ!
そしてそのまま曲がり角でアイリスちゃんにぶつかれば……!
はいひふふぁ~ん!
アイリスはいる?頼まれてたアロマを持ってきたんだけど――
!?
いたたたた……
カカ、カスミすわん!?ごご、ごめんなさい! だだだ大丈夫ですか!?
ゼロゼロキッスくん……?いったいなんの真似よ……
あ、あの、これには事情が……
もう!なんなのよあなた!私のプランを邪魔しないでよね!
はあ?
ゼロキスくんもゼロキスくんよ!あのくらいサッとかわしなさいよ!
む、無茶言うなよ~……
反射神経がないの!?どんくさい男は恋愛の対象外よ!
そこまで言う~?
……へぇ~……あなたたち、仲が良いのね。
とーぜんよ。私とゼロキスくんは幼馴染なんだから。
一緒に、お、お風呂で背中を流した仲だし……
拾った犬のね……
ふーん……ゼロゼロキッスくんも犬が好きなんだ。
ああっ!?今、さりげなくアピールしたわね!
それにゼロゼロキッスってなに?愛称?
……なんのこと?ゼロゼロキッスくんはゼロゼロキッスくんでしょ?
アピュト、これには、深……くもないけど、わけがあって……
なにその意味深発言……!
キィィ……私が見てないところで、ときめきピュアな恋の話が……!詳しく教えなさーい!
ゼロゼロキッスくん、この子、どうしてこんなに興奮してるのよ?
あの、その、それは……
歯切れが悪いわね……はっきり言いなさいよ!
あう、あう、あう……
ふむふむ。これは修羅場というやつですな。
ゼロキスくん!
ゼロゼロキッスくん!
えっと……これはもうアレだな……結局のところアレだ……
今日はもうダメだ!
キィイイイ! 待ちなさーい!
……なんだったのかしら? ヘンなひとたち……
で、アイリスは?
いまいないよ。
思い出3
付き合ってくださぁぁぁーい!
<ゼロキスの放ったハート型の銃弾は、岩にぶつかる直前で真っ二つに分かれた。>
くっそ~、またはずした……というか弾のほうから避けた!
はあ……これで100回連続失敗。
夢魔の一族なら必中させて当然なんだけどね……
そんなこと言われても……銃は初体験だし……
弓は使ってたじゃない。
微妙に違うんだよ。手触りとか重さとかさ。
頼りないわねぇ……そんなんで夢魔って名乗れるの?
そうなんだから仕方ないだろ。
なんだかねぇ……ちょっと疑わしくなってきちゃうわよ……
リーゼロッテ/クマロン |
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…………………………
あ。
良い天気だな、リーゼロッテ。こんな日には、針の山でも散策したいものだ。
……!
うぐっ!?そ、そう強く挟まずとも……吾輩、落ちぬぞ……
リーゼロッテちゃんだ。
ちょうどいいわ。リーゼちゃんのハートを撃ち抜いてみなさい。
えぇっ!?
そんなことも出来なくなっちゃったの?
だってそれは……
本人の許可なしでやっちゃまずいヤツなんじゃないか……
キィィィ! それをやるのが夢魔でしょーが!早く!行っちゃうわよ!
えーい! ヤケクソだぁ!ごめんよリーゼロッテちゃーん!
第一印象から決めてましたぁーっ!
――ぬ!?
マカロンアーマー。
うぎゃあああああ!吾輩は、クマロンだぁ~!
あっ!?
…………
……この場合の…………どうなるの!?
……そこのインキュバスの男よ――
うひぃ!?
吾輩の想い――受け取ってはくれぬ――
…………………………
あっ……!
ぬおぉぉぉ……なぜだ、リーゼロッテ……どうして二人の仲を裂くのだ……
………ちゃ……ばん……だから……
うおぉぉぉぉぉぉ……――
行っちゃった……いいのかな、あのままで……
すぐに術は解けるさ。
ともかく、リーゼロッテちゃん……ナイス……!
思い出4
――こないだはわけわかんなくなっちゃったけど――
ふむふむ。
ゼロキスくんの射撃訓練を再開するわ!
するわするわー!
えぇっ!? 猫がいるんだけど!?
いたら何よ!?
縁起悪いなぁ、って……
それよ!
その縁起の悪い猫を――撃ち抜くのよ!恋の弾丸で!
ぎ、ぎにゃっ!?
猫は俊敏な生き物……当てるには相当の技術が必要だわ。それに――
――猫の克服にもつながるし、まさに一石二鳥よ!
……僕は以前、キャトラさんに心を奪われたこともある――
それが実るとすれば、二鳥どころじゃない! 三鳥だ!
初めて聞いたんだけど!
ぎ、ぎにゃー!!
悪く思わないでくれキャトラさん!仕方ない! 恋に犠牲はつきものなんだ!
キミの心へ、届け僕のレインボー!付き合ってくださあぁぁぁーン!!
ぎ、ぎにゃぁぁぁぁー!!!
<その瞬間――目撃した!
跳び上がったキャトラが、空中で複雑に身をよじり――
降り注いだ弾丸の、全てを紙一重で避けた様を――!>
…………
なっ……!
なんでぇ~~~~~!?!?今日はもうダメだぁ~~~!!!
あっ、ゼロキスくん!
……ぎにゃぁ♪
<……キャトラは底知れない猫だ……>
思い出5
僕はダメだ……ホントにダメだ……
……あれは、キャトラちゃんがすごかっただけだよ?
それを差し引いたとしても、総合力でも猫以下だ……
どんだけよ……
――呼び出されて、契約して、恋の悪魔としてこれまでやってきたけど――こんなんじゃダメだ……
……そうね。スタートからして、
契約者の魔女に恋しちゃうとか、もうね……
あああああああ!僕はなんてダメなんだぁぁぁぁ!
ダメで元々よ!少しずつがんばればいいじゃない!
そう思ってやってきたけど、そもそも、最近はアイリスさんにも会ってないし!
…………
ダメだ……モチベーションも上がらない……
前はもうちょっと、こう、なんか、普通に暮らしてるだけでも、ちょこちょこアイリスさんに出会えてたけど……
なんか、最近アレだ、張り合いもないよ……
あなたねぇ……!
欲を言えば、同じ職場にアイリスさんがいて、
毎日会えるくらいじゃないと、がんばれないんだよ……
そういう小さな楽しみが、かすかな希望につながって、色々妄想も出来るんだもん……
ふざけたこと言うんじゃないわよ!
そんなもんだよ実際?
……あたしが甘かったわ……!この手だけは、使いたくなかったけど……!
ゼロキスくん!
声大きいよ~。
主人公くんに来てもらったわ!彼の力で……男になりなさい!
え?あの光?いいよ、早く早く!早く僕を理想のイケメンにしておくれよ!
思い出6
やった! これで僕の弱い心は消えて、完璧なナイスガイに……!
喝―――――――っ!!!
へ!?
***
こ、ここは……
ゼロキスよ……
その声は……ベンケイさん!?なんなんだよ! 人の精神に勝手に入ってこないでよっ!
汝、欲深き者よ……
そなたに、この言葉を授けましょう……
ふん、説法かい? そんなもの、僕には響かないぜ!
モテようとする奴が一番モテねぇ。
なっ――!?
なぁぁぁんだぁぁってぇぇぇ……!
――ハッ!?……いま、のは……?
…………
僕はまた、自分の精神世界に……
それにしても――嗚呼!なんて恐ろしい言葉なんだ……!
そうか……あれが真理だったのか……!
……目が覚めたよ、アピュト。
……本当に?
ああ……!僕は知った……!自分の最大の欠点を……!
僕はもう――――これまでの僕じゃない!
……ふん。信じても良さそうね。
もちろんだとも!
――それで、これからはどうするの?
へ? これから?
そう。これから。
それは……
なあ、主人公。もう一回光ってくれないかい?
ゼ~ロ~キ~ス~く~ん~?
あっ! そうか!ベンケイさんに聞きに行けばいいんだ!
あの人アレだけど……ま……ガマンするっきゃないかぁ……
じゃあ行ってくる!
ちょっとぉ!待ちなさ~い!
――こうしてゼロキスは、ようやく一皮むけた――
――のか……?
ハートブレイク・リボルバー ゼロキス・チェリサージュ