クラニィ(正月)・思い出
クラニィ・スクレット CV:能登麻美子 亡霊の島出身の弔い師。 全ての死者を憐れみ慈しむ。 | ||
2018/01/01 |
メインストーリー
思い出1
明けましておめでとうございます。
新しい年を祝う時は、こういえばいいんですよね。
明けましておめでとうございます。
おめでとうだわ!
……おめでたいですね。フフフ……おめでたいって、どんな感じなんですか?
ええっと……なんだか……ハッピーな感じ?
……フフフ。素敵ですね。
一年が終わり……また、始まったな。クラニィよ。
はい、始まりですね。
ずいぶん、長い旅になってしまったのう……
いいんです。お友達のためですから……
今年も、お二人にとっていい年になるといいですね。
はい……ゲンコツの想いが……遂げられたら、いいと思います。
……クラニィ……
お正月は明るくいきましょ!
ねえ、クラニィの故郷って年の瀬にお祝いとかしないの?
お弔いをします。
お祭りとかは……?
お弔いも、見方を変えれば、お祭りなんです。
お弔いってその……あの……お亡くなりの人のためのものよね……!?
お祭りはもともと、お亡くなりの人のためといわれているんですよ……?
そうなんですか……?
……お祭りをして、魂を慰めるんです。
そういう意味もあったのね……
命は廻る。一つの命に、留まるものではない。
命……
その理を外れたものは、己の想いに苦しみ続ける。
そんな命を救うのが、弔い師の役割なんです。
慰めを知らない魂に、安らぎを与えることが……
思い出2
あら……何を作ってらっしゃるんですか?
お正月だからね。凧をつくってるのよ。
この骨組みに、紙を貼って、完成~。
骨ですか?
がぜん食いついてきたわね。
骨と聞いては、黙っていられません。
骨がお好きなんですね……
…………
……
<空に、凧があがった……>
たこたこ上がれ~。
のどかね……
クラニィはどうしたの?
凧を作ってみるって。
クラニィのことだから、骨で凧を作ったりしてね。
まさか……
ゲンコツ!?
ゲンコツさんが凧に!?
なあクラニィ。
なんですか?
我とクラニィは友であろう。友を骨組みにするとは……
空に舞う骨……素敵です。
聞くのだクラニィ。
飛んでみたいと、思いませんか?
我は飛べるぞ。知っているであろう。
骨だけなのに、どうして飛べるんですか?
わからんが……今更理屈を聞くのか。
つまり、凧になっても飛べます。
いやいや待つのだクラニィ。……クラニィ!?
骨って意外と重いんじゃ……
…………
……
おお~。我は飛んでいる。なぜか飛んでおるな……
<ゲンコツの凧は空高く舞い上がった……>
これどういう理屈?
青い空。白い骨。
……お正月らしいですね。
思い出3
クラニィは、お正月なのにお弔いのお仕事なのね。
年中無休なんです。
お正月くらいは、骨休めしなさいな。
フフフ……骨休め。いいですね……
そういえば、骨正月というものがあるそうです。ご存じですか?
なにそのお正月。
ああ、正月納めに行う行事のことだ。
どうして骨なんでしょう?
昔は、正月に食べた魚の骨を、酒粕につけ、煮て食べたそうだ。
だから骨正月なんですね……
ゲンコツ、おじいちゃんぽい。
我は年寄りなのではない。くたばりそこなっておるだけだ。
骨正月……楽しみ……フフフ……
…………
……
はい、ラーメン、できました。
<トンコツラーメンだ……>
お正月もラーメンなのね。
一足早い、骨正月です。
クラニィさんの故郷では、ラーメンをよく食べるんですか?
基本的に、食事はあまりしませんね……
そうなの?
私の島の人たちは、お亡くなりになった人が残したソウルをいただいてるんです。
アラそうなのね……じゃ、ラーメンの作り方は、島の外で覚えたのね?
我をスープのダシにしようという不届き千万なやつらがいてのう……
私たちは、その人たちから追われていたんです。
連中はなんとか返り討ちにしたが、クラニィがな……
骨からスープ……素敵なことを、教えてもらいました。
追ってた奴らに影響されたのね。
それ以来クラニィは、我のことをゲンコツと呼ぶようになった。
元からその名前じゃないの?
もちろん仮の名だ。本名を名乗るとちと面倒なことになるからのう。
ゲンコツ……ちょっとだけ、ダシをとってもいいですか?
やめんか!
思い出4
……ゲンコツとクラニィって、どこで出会ったの?
クラニィの故郷、亡霊の島でだ。
亡霊の島……
なんか……怖い島ね……
そんなことない。
意外と楽しい島なの?
にぎやかな島です。
にぎやか……なんですか?
…………お亡くなりの人が、お弔いを求めて、集まってくるんです。
毎日……毎日……昼となく、夜となく……
怖い!!
その島に、ゲンコツさんも?
島に、引き寄せられたのだ。
あのときの我は、怨念に取りつかれ、暴れまわる亡者であった……
そんなことが……
クラニィに怨みを祓われるまで、我は正気を失っておった。
とっても、大変でした。
迷惑をかけたな。
そういえば、アンタたち……
お亡くなりになったドラゴンを探していたわね?
この世に留まる理由です。
ええ。それがゲンコツの心残り。
我にとっての弔いということだ。
手がかりはつかめた?
先々で、それらしい話を耳にはするのですが……
確かな話はないってわけね。
なにぶん、大昔のことだからな。
三つ首竜さんが、ゲンコツのように怨みを抱いていたのなら……
この世に留まり続けているのかもしれません……
どうしてお二人は、そんな怨みを?
――家族を、奪われたのだ。
えっ……
奴らは前触れもなく、我の群れに襲いかかった……
我は、群れを離れておった。急ぎその場に向かったが、敵に阻まれ……討ち取られた。
アイツは、群れを守るため、その場に残って戦った。力尽きるまでな……
ゲンコツの奥さんは、お友達の妹たったそうです。
その奥さんも……奥さんが産んだ、卵も……奪われてしまったと。
なんてひどい奴ら! どこのどいつにやられたの!
……<死者の王国>だ。命をもてあそぶ、外道どもよ。
安心してください。もう、そんな国はありません。
遥か昔に滅び去った。我の怨念も……無意味になっておったのよ。
思い出5
……どうしたの?
――見つけた、かもしれません。
ゲンコツさんのお友達を……?
どこにあったの?
バビロンという街です。
よくない噂がある街だ。魔都ともよばれておる。
この世の裏側にいるものが、集まる場所……
なんでそんなとこに?
g……我が知るものか。
オークションに出るそうです。
凄まじい怨みの込められた、とても古い、ドラゴンの骨が……
骨董品扱いだわね。
確かなんですか?
何ですか、キャトラさん?
わからんが……そうそう数があるものとも思えん。
誰の骨であっても、怨みを残しておくわけにはいきません。
あのさ……
クラニィさん……!
オークションって、お金がかかるのよ?
そうなんですか?
貯金が足りるだろうか。
こっそり……
忍び込んじゃった……
このオークション会場のどこかに、ゲンコツのお友達が……
アイツでなくとも……竜の骸ということにはかわらん。人の好きにはさせられん。
行きましょう。フフフ……
……楽しみなのね。どんな骨なのか。
……こんな恐ろしいものを、出品しようとしていたの……?
<魔法陣の中に、巨大な生物の骨が積み上がっている……>
この骨格は……
<骨から、凄まじい怨念吹き上がる……!>
クラニィ!
お弔いします……! 迷える魂に、永遠の安らぎを……
怨念が強すぎる……! これはいかんぞ!!
お願い……鎮まってください……!
思い出6 (友情覚醒)
命の輝き……これは……
怨念が……光を浴びて……動きを止めた……
あなたの命を、ソウルの流れに還します……
永久に眠れ。迷える魂よ……
命が、ソウルに溶けていく……解き放たれたんですね。
……やりました。ありがとうございます、主人公さん。
この骨って……
三つ首竜さんのものでは……ありません……
ああ、そうだ……
ドラゴンの骨格に、他の生物の骨格が混ざっていました……
自然の生き物ではないな。近頃聞く、新種の魔物か。
この命が抱いていた想いは、果てしない怨みと苦痛だけ……
それでも、あなたは生きたかった? だから……この世界に、留まり続けたの……?
<そろそろ脱出しないと、面倒なことになりそうだ……>
クラニィ……
……ええ、行きましょう。弔い師の仕事は終わりです。
***
この命が抱いていた想いは、
果てしない怨みと苦痛だけ……
あんな怨みがこもったものを、売り買いするなんて……
バビロンでは……普通のことらしいな。
怨みのこもった魂は、悪しき魔術に利用されることがあると聞きます。
ろくでもないことに、可哀そうな魂を使おうとしてたのね……
……残念でしたね、クラニィさん。
いいえ……私たちは……たどり着いてしまいました。
何か、手がかりを……?
kあの骸には、三つの首があったんです。
それって、まさか……!
ゲンコツのお友達と、同じ姿……作ろうとしていたんです。伝説の破壊竜を。
gあれを作ったものは――知っておるのかもしれぬ。我が、友の末路をなあ。
なかなか厄介なことになっちゃうかもね……
協力……してくれるんですか?
ようやく、終わりが見えたな。我らの旅に……
我の骨は……風通しの良いところに飾ってくれ。
逝ってしまうんですか?
お友達ですから。頼ってくださいね。
……ありがとうございます……本当に……
それがさだめだ。
……寂しいです。
お前には、生きている友達がいるではないか。
ゲンコツも、友達です。
……嬉しいことだ。今年もよろしくな、クラニィ。
……よろしくおねがいします。
いつか終わるとしても……どうか、末永く……
その他