オスクロル(勇者3)・思い出
日々精進魔王 オスクロル・ラス・カサス CV:茅野愛衣 後進の育成に余念がない元魔王。 不具合まみれのダンジョンは慣れたもの。 | ||
2019/01/18 |
不具合勇者 Story
思い出1
みなさん、こんにちは♪
えっと……?
こんにちは。……あの、どちら様でしょうか?
あら?私ですよ。オスクロルです。
嘘おっしゃいな!……って言いたいトコだけど、確かに声はオスクロルだわ!?
あ、また不具合の後遺症が出てますね……
少し待ってくださいね。首の辺りをこう、斜めの角度で……えいっ。
ふぅ……お騒がせしてしまってすみませんでした……
いや、どーいうこと!?
オスクロルさん、今のはいったい……?
不具合まみれの<ツクールーン>製ダンジョンに潜った後遺症が、少し残っているみたいで。
ルーンの影響下からは外れてるのでじきに洽るとは思うんですけど……
<ツクールーン>って、初心者でもお手軽にダンジョンが作れるっていうアレだっけ?
はい。でも初心者向けとはいえ、かなり奥が深いんですよ?
作り込みが甘いと、それはもう悲惨なことに……
姿かたちまであんなに変わっちゃうなんて……
恐ろしいですね……!
いえ、まあよくあることですから。
冷静すぎない!?
ま、いいわ。改めていらっしゃい、オスクロル♪
はい。改めてこんにちは、みなさん♪
それじゃ、さっそく……
なでてなでてなでてーー♪
はい、いらっしゃい♪キャトラちゃん♪
キャホホー♪
よしよし♪いい子ですねー♪
ぎにゃー!!!わかっててもなんか抵抗あるー!!
思い出2
ごろごろごろー-ん♪
キャトラちゃん、草むらでゴロゴロすると汚れちゃいますよ。
キレイにして~~~ン♪
いいですよ~。少しじっとしててくださいね~♪
あ、ここにいたんですね、オスクロルさん。お手紙が届いていましたよ!
ありがとうございます♪
――ニックさんだ。どうしたんだろう……
ニックさん?どなたかしらん?
以前、ギルドのお仕事で知り合ったルーンエ学者の方です。
冒険家育成のための技術研究に心血を注いでいるんですよ。
よーするに、立派なひとなのね!
……!<アレ>の試作品、ついに形になったんだ……!
アレ?
<ヴィジオン>という、戦闘訓練器具の一種です。
ヘー。どんなことができるの?
<幻影のルーン>を特殊な装置と繋いで制御することで、あらゆる魔物や地形の幻像を投射し限りなく実戦に近い環境での戦闘訓練を――
なるほどね、わからないわ。
かんたんに言うと、いつでもどこでも安全に、実戦さながらの訓練ができます。
冒険家の育成環境が整っていない地域などでは、特に高い効果が期待できますね。
そんなことが可能なんですか……?
はい、理論上は。
スッキリしない言い方ね?
技術的な課題点が多すぎるんです。研究環境や資金も十分とは言いがたいですし……
冒険家ギルドは助けてくれないの?
以前、私からも資金援助を申請したんですけど、前例のない技術ですし、コストもかかるということで保留されてしまって……
ですが、もしあれが実用化されれば後進の育成に大きく役立つと思います。
確かに、安全に実戦の練習がでさるのは便利ですね!
はい。ですが、まだ問題だらけのようで……
それで、手伝ってほしいと連絡がきたんです。
また急なお話ねえ。
かなり急いでいる様子で……
……それって、アタシたちでも手伝えるのかしら?
ええ!?みなさんに迷惑をかけるわけには……
迷惑なんかじゃないわ。ちょっと楽しそうだしね。
それにオスクロル一人に任せたら、ぜったい無理しちゃうでしょ?
キャトラちゃん……
そんなのキャトラさんは許さないんだから!
キャトラの言う通りです。よければ私たちにも手伝わせてください。
……ありがとうございます、みなさん!
思い出3
<オスクロルの知人のルーン工学者に協力するため、主人公たちはとある島を訪れていた。>
着きました。ここがニックさんの工房です。
ごめんなさいねえ、ちょっとそこ掃くからねぇ。
あ、すみません。
想像より狭っ苦しいとこね……
ニックさん、こんにちは。オスクロルです。
おお、オスクロルさん。本当に来てくれるなんて……!感謝するよ……!
大丈夫ですか?お疲れの様子ですが……
平気さ。ところで、彼らは?
アタシはキャトラよ!
初めまして。私はアイリス。彼は主人公です。
彼らは凄腕の冒険家です。とても頼りになりますよ。
ありがたい……!なあ皆、希望が見えてきたぞ!
みなさん、元気がないですね……
ここひと月以上、皆ろくに寝てないからね。
アタシたちが来たからにはもう安心よ!なにを手伝えばいいのかしら?
<不具合探し>を頼みたいんた。
直に体験してもらった方が早いな。こちらの大部屋へ来てくれ。
では皆、いくよ。
<ニックは、壁側に置かれた大きな装置を操作した。>
<ヴィジオン>起動!
あれ?えっ?なにこれ!?
大丈夫です。この光景は<幻影のルーン>による幻ですから。
本当に森の中にいるみたい……!
ぎにゃにゃ!?魔物だわ!
主人公さん、試しに攻撃してみてくれますか?
やっつけたわ!ホントに戦ってるみたいね!
これが<ヴィジオン>です。
攻撃されても怪我しませんし、魔物の強さや数も調整でさるので初心者の訓練には最適なんです。
おもしろーい!
でも、全然問題はないような……
ちょっと見ててください。
たとえば……こうして足と拳を同時に当ててみたりすると……
<魔物の像は壁を突き抜けて消えていった……>
え、え……!?
どこいくんじゃーい!
なんで!?
今のように、想定外の入力によって起きる現象が、不具合です。
その発生条件を一つ一つ探し出すのが、私たちの役目なんです。
ごらんの有様さ。笑えるだろう?
いえ、精度は以前よりも飛躍的に上がってましたよ!
ガワだけだ。中身はまだポロボロだよ。
今の完成度じゃ、五日後の品評会にはとても出せない……
品評会?なにそれ?
各地の研究者たちが、公の舞台で研究成果を発表するんです。
商人ギルドの有力者などに対して研究の将来性を示すことで、資金提供を募るのが目的ですね。
あ……つまりそれに失敗したら……
去年は駄目だった。うちみたいな小さな工房はもう後がないんだ。
それで急いでたのね……
もし間に合わなければ、私が個人的に援助します。
ありがたいけど、返せる保証のないお金を友人からは受け取れない。
どの道、研究を先に進めるには途方もない資金がいる。今回駄目なら……もうここまでさ。
では、結果を出すのみです。がんばりましょう……!
思い出4
品評会まで、あと二日――
次から次へと見つかるわね……しょーもない不具合!
今のは初めての挙動でした。原因を精査しないと……
お疲れ様です。夜食、持ってきました。
ありがとうございます!少し休憩にしましょうか。
お腹も滅ってるけど、それより今は眠いわ……
ずっと徹夜が続いてるもんね……
はい、ニックさんたちもどうぞ。
ああ、助かるよ……皆も一休みしよう。
(……みんな、元気ないわね)
(士気が下がっていますね……集中力も落ちています)
(気持ちはわかるけどね。アタシもヘトヘトだし……)
それっ!!
なんかこれイヤー!
ありがとう、すぐ修正にかかるよ。
……顔色が悪いです。少し休んだほうが……
いや、まだ大丈……夫……
ニックさん……!?
ニックはアイリスが看病してくれてるわ。
しばらく安静にしてれば、目を覚ますってさ。
よかったです……
みなさん。もう……無理だと思います……
しっかりなさいな!アンタたちが弱音はいてどうするのよ!
でもニックさんも倒れちゃって……不具合も次から次に出てきて……
正直……キリがありません……
……僕も同意見です。オスクロルさんたちも、身をもって理解してるのでは……?
いいえ。私は諦めていませんよ。
みなさん、一度ゆっくりと睡眠をとってください。態勢を立て直しましょう。
すぴー……すぴー……
***
……
<――少し寝すぎてしまった。>
あ、すみません……起こしてしまいましたか?
!
私なら大丈夫ですよ。さっき、仮眠をいたださました。
それに、こういうのは懐かしくて、少し楽しいです。
ずっと昔、<ツクールーン>でダンジョンを作っていた頃を思い出すんです。
どこもかしこも不具合だらけで、いくら直しても終わらなくて……
確かに辛かったです。何度もくじけそうになりました。
でも一つ不具合を消すごとに、勇者を志す人たちの未来が一歩でも進むならって思うと、不思議と平気で……
長い道のりを歩むときは……少しずつでもちゃんと進んでるって意識することが、とても大事だと思うんです。
さあ、もうひと踏ん張り、気合を入れましょう♪
…………
思い出5
……また止まっちゃったわね。
。困りましたね。この症状は根が深そうです。
本番は明日……一刻も早く、検証が必要ですが……
皆……!
ニックさん!もう大丈夫なんですか!?
すまなかった、僕としたことが……!
まだ無理をしたら駄目ですよ、ニックさん……
ああ、わかってる。でも今が踏ん張り時なんだ。
それより<ヴィジオン>は……
不具合、たくさん見つけといたわよ!
それと、少し厄介そうな症状が。原因の究明には時間がいるかもしれません。
わかった、さっそく調査に――
そういえば、他の皆は……?
えっと……
まだ休んでもらっています。かなり疲れが溜まっていた様子だったので……
そうか……
いや、彼らは十分、力を尽くした。その努力を無駄にできない。
……そうよね。ここまできたんだもの!
絶対に間に合わせましょう……!
***
や、やっと終わったわ……
……これで、今できることはすべてやりきりましたね……
ああ。まだ不安は残るが、必要最低限の状態には持っていくことかできた……
皆のおかげだ……!
間に合ってよかった……
つかれた~~……
よかったですね、ニックさん……!
皆のおかげたよ。あとはギリギリまで微調整を――
はい、ちょっとごめんねぇ。そこの裏、綺麗にするからねぇ。
あ、ちょっとおばちゃん!?そこ近づいちゃ……!
<掃除のおばちゃんのホウキが<ヴィジオン>の本体に軽く当たった……>
『ピーーーーーーーーーー……』
あ。止まった……
ふ、復帰を……!
いや、駄目だ……一度、再起動をかけないと……
しゅ、修正した不具合は……
突貫作業だったから、修正箇所を保存していないんだ……今日の分の作業がすべて、吹っ飛んでしまった……
ウソーーー!?
もしかしてこれ、私が壊しちゃったのかい……?
いや、おばちゃんは悪くない……とはいえ、品評会は明日の朝……
ここまでか……!
そんなぁ……
思い出6 (友情覚醒)
……ありがとうございます、主人公さん。
自分で忘れかけてました。大切なこと……
――ニックさん。まだ諦めちゃ駄目です。
でも……品評会までもう時間が……
一回目で半日かかったのなら、二回目はそれ以上の手際でこなせるはずです。
一度は走り抜けた道のり……恐れることはありません。
とはいえ……奇跡でも起きない限り……
今、必要なのは奇跡なんかじゃありません。
目標に向かって地道に、確実に進むための意志です!
そうね。泣き寝入りには早すぎるわ!
オスクロルさん、みなさん……
すみません、遅くなりました!
皆……
ちゃんと寝て食べて、顕も心もスッキリしました。
遅れは取り戻しますから!
オスクロルさんたちは引き続き、自身の役割をこなしてください!
……よかった!みんな諦めてなかったのね!!
……オスクロルさんのおかげです。
え……?
長い道のりを歩むためには、少しずつでも前進していることを常に意識する……
あなたの言葉をぐうぜん聞いて、皆で話し合ったんです。
私たち最近、同じところをずっと、ぐるぐる回ってるだけな気がしててすごく辛くて……
でも、ちゃんと前に進んでいたんだって思うと、心が少し軽くなりました。
何より、ニックさんのために、今回こそ結果を出したいんです!
…………
……素敵な方たちですね。
……ああ。ああ……!
<ヴィジオン>を普及させ、未来へはばたく冒険家の安全を陰から支える――
でしたよね?ニックさん!
その通りだとも!!
その意気です♪
――数日後。
みなさん、ニックさんからお手紙が届きましたよ!
こないだの結果ね!?早く確かめましょ!!
こほん。先日、品評会の審査結果が届きました――
――結果、無事に資金援助を受けられることが決まりました……!
やっほーーー!苦労したかいがあったわね♪
やりましたね……っ!
完成はまだ先ですが、これからはよりよい環境で研究を進められます。本当にありがとうございました――
本当に……よかったです……
まだ続きがあるわ!
えっと……つきましては、オスクロルさんにお願いがございます……?
<ヴィジオン>完成の暁には、その美貌と聡明さを存分に発押していただき――
我らが広報代表として、公の場でご活躍いただきたく――って、えええっ!?
ヘー、すごいじゃん?
オスクロルさんにぴったりですね♪
いやいや、そんなこと急に頼まれても……!
……あ、そうだ。こんな時こそ、えい。
これで諦めてもらえるはず……
不具合を利用すなーー!
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その他
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