クライヴ・思い出

クライヴの思い出とボイス

思い出1

クライヴ

お前か？

主人公ってのは？

騎士らしき若い男が、
値踏みするように
眺めまわしてきた。

アイリス

あなたは？

クライヴ

俺はクライヴ。

ある王国で騎士をしていた。

クライヴ

その国は……

いや、よそう。

故郷のことは捨てた身だ。

キャトラ

なんで？

クライヴ

故郷にこだわっていては、

見えてこないものが

あると思ったのさ。

クライヴ

世界はいま、

悪い方向に向かっている。

いや──

クライヴ

──この世界は既に、

崩壊した後なのかもな……

キャトラ

ちょ、ちょっとちょっと！

いきなり意味深に大げさなこと

言わないでよ！

クライヴ

ああ、すまない。

忘れてくれて構わない。

アイリス

クライヴさんは、世界を救うために

故郷から旅立った、

ってわけですね。

クライヴ

ああ。

キャトラ

うーん、どこかの誰かさんより、

よっぽど英雄っぽいわねぇ……

アイリス

早く世界を平和にして、

故郷に戻れる日が

来るといいですね。

クライヴ

こづかいをもらいに、

ちょくちょく帰ってるけどな。

キャトラ

勇者がこづかいもらいに

実家帰るの～？

クライヴ

便利なのさ。泊まるのもタダだし。

キャトラ

そりゃまぁ、

そうでしょうけど……

思い出2

キャトラ

ねえねえ、いままで一番

お世話になったモンスターは？

クライヴ

いきなりなんだ？

キャトラ

だって、クライヴって騎士で、

勇者みたいなものでしょ？

クライヴ

うーん……

自分から勇者って

名乗ったことはないんだがな。

キャトラ

そうだろうけど、

あんた外から見たら勇者だもん。

キャトラ

ってことは訓練してきたと思うの。

いままで一番、倒したし、

経験になったモンスターは？

クライヴ

ああ、そういう意味か。

それで言えば、コボルトだな。

キャトラ

コボルトかー。

クライヴ

敵らしい敵だしな。

タヌキを殴るよりは、

バトルって気分にもなるし。

キャトラ

……はっ！？

気づいちゃった！

クライヴ

なんだよ？

キャトラ

たくさんのコボルトを倒してきた

クライヴって、コボルトにとっては

大量殺人犯？？？

クライヴ

何言ってんだ？全部みねうちだぜ。

主人公だって

そうだろ？

キャトラ

あ、そうだったんだ……

ほっとした～。

クライヴ

まあ、場合にもよるがな。

クライヴ

少なくとも俺は、

鍛錬のために闘ったモンスターを、

殺そうとまでは思わないな。

キャトラ

さっすが、

勇者は言うことが違うわねー。

思い出3

キャトラ

ねえクライヴー。

クライヴって世襲？

クライヴ

またいきなりだな。

わかりやすく頼むよ。

キャトラ

いい家柄に生まれなくちゃ、

騎士になれないのかと思って。

貴族の家、とかさ。

クライヴ

そういうことも

多いみたいだな。

アイリス

クライヴさんは違うんですか？

クライヴ

いや……

恥ずかしながら、やっぱり

そこそこ騎士の名家なんだよ。

キャトラ

二世勇者だ！

クライヴ

そんな言い方をするな。

キャトラ

じゃあ、王族とかに

コネがあったりするの？

クライヴ

ないよ。

……だけど、ここだけの話。

ウチの騎士団長は、

ちょっとコネなんだと

俺は思うけどな。

キャトラ

出た！

政治と軍事の癒着だ！

クライヴ

しー！

声がでかいって！

アイリス

本当なんですか？

クライヴ

だってよ、騎士団長がさ、

やたら王女と仲が良いんだよ。

キャトラ

ははあ。さては嫉妬ね？

クライヴ

ちがうって、でもよ、

本当に仲が良いんだ、

少しは勘ぐるだろ？

アイリス

恋仲だったりして。

クライヴ

うっ……！？

キャトラ

やっぱりだ！

男女の愛憎渦巻く

みだらな騎士団なんだ！

クライヴ

そんなわけないだろ！

騎士ってのは、

九割が姫に惚れる職業なんだよ！

アイリス

へ～。

じゃあ、クライヴさんも？

クライヴ

……あーもー、

なんでこんな話になったんだ！

思い出4

キャトラ

クライヴって腕に自信あり？

クライヴ

いつもながら唐突だな。

そりゃもちろん、

自信あるよ。

キャトラ

へー。くだんのあんたんとこの

騎士団長とやりあったらどうなる？

勝てる自信ある？

クライヴ

楽勝だね。

キャトラ

おおっと、いいの？

そんなこと言っちゃって。

クライヴ

剣だけが騎士の全てじゃないって。

俺より弱くても、

団長のことは尊敬してるさ。

アイリス

王女の心を射止めたから？

クライヴ

またそういう話かよ。

主人公、

見てないで止めてくれよ。

キャトラ

ふふふ、ガールズトークの連携に、

主人公が入れる

余地なんか無いわよ。

アイリス

やっぱり、剣を捧げられる

愛しい人がいたらいいな

って思います？

クライヴ

そういう人は欲しいけど、

必ずしも

女性じゃなくてもいいし……

キャトラ

アラヤダ！

クライヴ

ちがう！

命をかけても守りたい

相手がほしいってことだ！

クライヴ

もちろん、いなくても、

世界を救おうって気持ちは

変わるわけじゃないけど。

クライヴ

いてもいいな、ってくらいだよ。

キャトラ

言葉とは裏腹に、

剣を捧げる相手がいないことに、

むなしさを感じるクライヴだった。

クライヴ

勝手なことを言うな！

アイリス

じゃあ、全くむなしくないですか？

クライヴ

……少しだけ。

……少しだけだからな！

思い出5

キャトラ

どーしたのよクライヴ？

真面目ぶった顔しちゃってさ？

クライヴ

俺はいつでも真面目だよ。

……実はな。

クライヴ

……ついに、この剣を

捧げるべき人を

見つけてしまった……

アイリス

え！？女性ですか！？

クライヴ

ああ。

某国の王女らしい。

キャトラ

やったじゃん！

あ、もしかしてそれで、

恋に悩んで剣が鈍ったとか？

クライヴ

まさか。

そんな段階は、

とっくに過ぎたさ。

アイリス

でも、あったんだ……

クライヴ

だけどな。

守る人を心に決めただけで、

剣が重くなったのは確かなんだ。

クライヴ

もしも、

その人の命か、世界の平和か、

選択を迫られたとしたら――

クライヴ

俺の剣は、

どんな答えを

導き出せばいいだろうか……

思い出6

力強い光がクライヴを包み、
その剣に収束されていく。

クライヴ

……そうか。

わかりきったことだったな。

クライヴ

世界とその人。

両方守る！

キャトラ

でもほんっとうに、

あなたの剣では

どっちかしか救えなかったら？

クライヴ

簡単さ。

クライヴ

主人公、

頼んだぞ。

クライヴ

俺の剣で守れるものに、

限りはあるかもしれないが――

クライヴ

仲間がいる。

力を合わせれば、

全てを守れるさ！

アイリス

……ふふ。

本当に勇者なのね。

キャトラ

よし、主人公、

そんなときが来たら、

キャトラ

クライヴに世界を任せて、

あんたがその女性を

救っちゃいなさい。

クライヴ

ええ！？　いや、それは……

キャトラ

なによ～？

結果は一緒でしょ～？

クライヴ

それはそうだが……

主人公、

もしもその人だった場合は、

クライヴ

俺にその人を守らせてくれよ……

クライヴ

別の人だったら、

俺が世界でいいからさ。

アイリス

ふふふ、素直でいいと思いますよ。

キャトラ

じゃあ、クライヴが好きな人と

いい感じになれるように、

作戦を立てましょうか！

クライヴ

いいよ、

俺には俺のペースがあるんだって。

クライヴ

主人公、

見てないで、せめて一人は

引き受けてくれよ～。

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思い出7

キャトラ

やっほークライヴ。

マジメに鍛錬してる～？

クライヴ

もちろんだ。色々あったが、

俺の根本は、剣に命を捧げた

騎士だからな。

キャトラ

ほほー、ゆーわね。

それなら、少しは腕も

上がったのかしら？

クライヴ

そうだな。そろそろ頃合いだ。

アイリス

頃合い？

クライヴ

剣の道は、そうすぐに

結果が出るものではない。

クライヴ

日々の鍛錬は、ある日突然、

コップの水が溢れるように

目に見える成果となるのさ。

キャトラ

ほほほうほう。

クライヴ

また一段階、俺の剣は鋭さを増す。

クライヴ

曇りなき――光によって！

思い出8

クライヴ

――この光は、絆の力。

命を預けられる、

戦友同士の共鳴だ。

クライヴ

主人公。

俺たちは、まだまだ

完成しちゃいない。

クライヴ

お前が仲間を増やし、

力をつければつけるほど――

クライヴ

――俺の剣にもまた、

新たな力が宿る――

クライヴ

行くぞ、主人公。

クライヴ

この世界に平和が訪れる、

その日まで――

クライヴ

俺の背中は、お前に預ける！

ボイス

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