テトラ・思い出

テトラの思い出とボイス

思い出1

テトラ

あたし、テトラっていうんだ。

よろしく！

竜の翼と尾を持つ少女が、

快活に声を上げる。

キャトラ

ド――ドラゴン！？

テトラ

イエス♪　ドラゴン！

アイリス

ひょっとして、人間とドラゴンとの

ハーフさん……なんですか？

テトラ

当ったりぃ～。

母が人間、父がドラゴン！

いわゆる半竜ってヤツね！

キャトラ

ドラゴンと人間が……

結婚したってこと！？

そんなこともあるのねぇ～……

テトラ

そ。あたしがその証明よ。

言っておくけど、ちゃんと

恋愛結婚だったんだからね？

アイリス

種族の垣根を越えての恋愛……

素敵ですね。

テトラ

えっへへ、そう言われると、

娘としては照れちゃうなぁ～。

テトラ

半分とはいえ、あたしもドラゴン！

頼りにしてね♪

思い出2

アイリス

あっ……

アイリスが、道ばたの石につまづく。

あわや転倒――という瞬間、

たくましい尾がアイリスを支えた。

テトラ

おっと。大丈夫？　アイリス。

アイリス

は、はい。ありがとうございます、

テトラさん。

キャトラ

へぇ～。

器用に動くのねぇ、その尻尾。

テトラ

まぁね～♪

竜の尾だから、パワーもあるよ。

うかつにじゃれつかないでね？

キャトラ

そ、そうねぇ……注意するわ～。

アイリス

ひょっとして、

その翼で飛べたりもするんですか？

テトラ

もちろん！まあ、疲れるから、

あんまりやらないけどね。

キャトラ

はぁ～。

さすがドラゴンとのハーフねぇ。

テトラ

ふふん。

竜の血は伊達じゃないってね♪

思い出3

テトラ

まぁ～たかぁ……

テトラが、羊皮紙を手にして

頭をかいている。

キャトラ

またって、何がぁ～？

テトラ

うーん、これだよ、これ。

アイリス

<ドラゴン、また人里に出没>……

<討伐隊の派遣が決定>……

キャトラ

ド、ドラゴンって、

そんなに暴れん坊なのぉ？

テトラ

いや、違うよ。本当のドラゴンは、

とても誇り高くって、言っちゃえば

排他的な種族なんだ。

テトラ

縄張りを侵されない限り、人間には

干渉しないって主義でね……

キャトラ

じゃあ、これは？

テトラ

昔、獣みたいに欲望に忠実に暴れた

粗暴なドラゴンたちが、少しだけど

いたらしくってね。

テトラ

人里を襲うのは、そいつらの子孫。

知性も誇りも失って、ただ暴れ回る

モンスターとおんなじだよ。

テトラ

あたしたちは、そいつらを、

下等なドラゴン――

レッサードラゴンって呼んでる。

アイリス

そうなんですね……

知りませんでした。

テトラ

ホント、いい迷惑だよ。

あいつらのせいで、本物の竜まで、

人間を襲う悪い奴らって思われる。

テトラ

そうでなかったら――

あたしみたいな半竜でも、人間の

街で暮らせたかもしれないのに……

思い出4

アイリス

こんにちは、テトラさん。

それ、お肉ですか？

テトラ

うん！　お肉屋さんに

包んでもらっちゃった♪

テトラ

いいよねえ、この島は。

半竜にも普通に接してくれてさ。

レッサーどもが出ないからかな。

キャトラ

ひょっとして……他の島は、

そうじゃないのぉ？

テトラ

まあね。ドラゴンの血が混じってる

ってだけで、嫌がられるし……

ひどけりゃ石を投げられる。

アイリス

そんな……

テトラ

レッサードラゴンに家族を殺された

人だっているからね……

しょうがないよ。

キャトラ

でも、テトラが悪いわけじゃ

ないのにぃ……

テトラ

『あいつらのなかには悪いヤツも

　いる』って考えるより、

『あいつらは悪い』って考える方が

簡単だからね。

テトラ

ま、大丈夫。気にしてないよ。

そういう目でみられるってことは、

わかってたからね。

テトラ

父さんと母さんは、あたしが人間に

迫害されることを恐れてたから……

竜の里で育ててくれたんだ。

テトラ

ドラゴンは排他的だけど、

逆に身内には甘いからね。

アイリス

ドラゴンさんたちは、テトラさんが

人間の血を引いていること、

気にしなかったんですね。

テトラ

うん♪　かわいがってくれたよ。

半分でも竜の血が入ってるなら、

おまえは俺たちの仲間だ、ってね。

テトラ

それに、

主人公たちだって

あたしと仲良くしてくれるしね！

テトラ

だから、大丈夫。

あたし、平気だよ！

思い出5

テトラが、迷いの表情で

黙り込んでいる。

キャトラ

テトラ――ひょっとして、

またどこかにレッサードラゴンが

現れたのぉ？

テトラ

うん。レッサーとはいえ、手ごわい

ヤツみたいでね……

討伐隊が返り討ちにされてる。

アイリス

助太刀に……行くんですか？

テトラ

うん……

そうしようって……

思うんだけど。

テトラ

でも……人間は、あたしのこと、

味方だって思ってくれないかも

しれない……

テトラ

あたしの助太刀なんて……

嫌かもしれない……

思い出6

テトラ

光――

まるで、竜の吐息みたい……

テトラ

――――ふ。

不意にテトラが笑みを浮かべた。

おかしくて仕方がない

テトラ

あは――あはははははははは！

キャトラ

ど、どうしたの？

テトラ

あッはは――ごめんごめん。

バカらしくなっちゃってさ。

テトラ

悩む理由なんて何にもなかった。

あたしはドラゴンの血族だ――

人間がどう思おうと関係ない！

テトラ

嫌われようが――

石を投げられようが！

テトラ

勝手に助けて、勝手に守る！

ドラゴンは、身内には甘いんだ！

アイリス

きっと、わかってくれますよ！

キャトラ

わかんないバカがいたら、

あたしが引っかいてやるわ！

テトラ

えっへへ、ありがと！

テトラ

竜の力――見せてあげる！

ボイス

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