ジェガル・思い出

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思い出1

ジェガル

ほう？貴様がこの島の主か？

美しい羽を持つ鳥人が、
鋭い眼を向けてくる。

ジェガル

俺はジェガル。

しばらく世話になるぞ、人間。

アイリス

鳥の獣人さんなんですね。

ジェガル

ただの鳥人ではない。俺は、

古来より天を我が物としてきた

霊鳥の血を引く、誇り高き――

キャトラ

ニワトリ？

ジェガル

誰がニワトリだ！？

どう見ても違うだろう！

アイリス

そうよ、キャトラ。

きっとインコだと思うわ。

ジェガル

霊鳥だと言っているだろうが！！

思い出2

ジェガル

時に人間、貴様、今はなき

占い師の国を知っているか。

ジェガル

なんと薄情な……かつては

あまねく運命を占い、本来なら世界を

導くはずだった国だというのに。

ジェガル

当時、その国の女王に仕えていた

俺も、類まれなる弓の名手と

名を馳せたものだ。

キャトラ

って言われてもねぇ～。

いつ頃にあった国なのよ～？

ジェガル

ざっと八百年は昔だな。

キャトラ

はぁーっ！？

あんたいったい何歳よぉ！？

ジェガル

千を超えたあたりで、

数えるのをやめた。

アイリス

すごい……

おじいちゃんだったんですね。

ジェガル

ふん。霊鳥の血を引く俺の寿命は、

貴様らとは違う。ゆえにこそ、

弓の腕も冴え渡るというものよ。

ジェガル

その俺を使おうというのだ。

やすい誇りを見せるなよ、

主人公。

思い出3

ジェガル

うぅむ……

ジェガルが、
せわしなくあごの毛をなでている。

キャトラ

なぁ～んか心配そうねぇ、

ジェガルぅ。

ジェガル

うむ……実は、国が滅んで以降、

俺はずっと城の守りに

ついていたのだ。

アイリス

滅んだのに……ですか？

ジェガル

たとえ国が滅ぼうと、

その誇りまでは滅ばない。

城はその象徴だ。

だから、守り続けてきた。

ジェガル

だが……亡き女王に似た女が

うろついているというウワサを、

鳥たちから聞いてな。

アイリス

飛び出してきちゃったんですね。

キャトラ

じゃあ、城は今、誰にも

守られてないってわけ？

ジェガル

そうなのだ、それで、遺跡荒らしに

見つからないか心配でな……

ジェガル

＜迷いの秘術＞をかけてきたから、

＜そこにある城を探そうとする＞者は、

辿り着けぬはずだが……

ジェガル

城があるとも知らず、うっかり

迷い込む者でもいたら……いや、

あんな奥地にまさかな。だが……

ジェガル

ああ……心配だ……

思い出4

キャトラ

あれ、ジェガルじゃん。

弓なんて構えて、どうしたの～？

ジェガル

貴様らか。

これはイメージトレーニングだ。

ジェガル

弓の引き方、精神集中……

いわば弓の呼吸を、

忘れず身体に刻み込んでいる。

キャトラ

千年も生きてるのに、

まだ練習するのねぇ～。

ジェガル

修練が不要になることなどない。

生きている限り、腕を磨き続ける……

それが戦士の誇りだ。

ジェガル

それに……どれだけ腕を上げようと

守りたいものを守れるとは限らん。

修練あるのみだ……

アイリス

ジェガルさん……

ジェガル

主人公。

貴様も戦士なら肝に銘じておけ。

ジェガル

守るべきものを守れぬ苦しみなど、

味わいたくはなかろう……

思い出5

ジェガル

…………

ジェガルが、
青く澄み渡る空を見上げている。
その眼に、痛みと羨望を浮かべて。

アイリス

ジェガルさん……

何を見ているんですか？

ジェガル

鳥たちが、自由きままに

空を駆けるのを……な。

ジェガル

彼らは何にも縛られない。

あんなにも楽しそうに空を飛び、

短い寿命を精一杯に生きる。

ジェガル

それに比べて……俺は、無様だ。

ジェガル

長い寿命を持ちながら、

国も守れず生き恥をさらしている。

誇りという言葉を免罪符にして……

アイリス

そんなこと……

ジェガル

何が誇りだ……俺は、国と共に

滅びる覚悟がなかっただけだ！

ジェガル

誇りもなく、ただ長い時間を

無駄に生きる俺などより……

あの鳥たちの方が、よほど立派だ……

思い出6

ジェガル

なんだ……これは……

光が――広がっていく……

ジェガル

主人公、

これがおまえの光なのか……？

ジェガル

若いおまえのなかに、これほど

強く揺るぎない光がある……

だというのに、俺は……

アイリス

……私たちも、失いました。

ジェガル

なに……？

アイリス

失ってはならなかったはずの……

強く、気高い人が、

私たちを助けるために……

キャトラ

アイリスぅ……

アイリス

もう失いたくない。

失わせないようにしたい。

それが、私たちの願い……

ジェガル

…………

そうか……

ジェガル

ならば……

ジェガル

見せてもらうぞ。

貴様の覚悟を……

貴様の誇りを。

ジェガル

俺が――失った誇りを、

もう一度、見出すために……