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白猫プロジェクトwiki【白猫攻略wiki】

ショートストーリー投稿板 コメント一覧 (12ページ目)

  • 総コメント数4807
  • 最終投稿日時 2019年02月08日 00:08
    • 冒険者さん
    4354
    2016年04月11日 13:42 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     そっか、本当にこの子が、と考えた瞬間、エリーナはぎゅっとツユハを抱きしめていた。驚いたのか、ツユハはびくりと体を硬直させる。

    「マジありがと~っ! アタシが死んだらマジヤバかったから、助かったよ~」

    「えへへ~♪ ケロケロリン♪」

     抱きしめながらお礼を言うと、ツユハの嬉しそうな声が耳に届いた。後から沸いてきた「どうやって助けたんだろう?」という疑問は、とりあえず横においておく。

     ツユハの頭を撫で、背中に回していた手を離すと、次にエリーナは角の生えた女性のほうに顔を向けた。

    「そっちの人も助けてくれたんだよね?」

    • 冒険者さん
    4353
    2016年04月11日 13:38 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    「海を漂っていたそなたを、そこのツユハが拾い上げここまで運んでくれたのじゃ。 感謝せい」

     その声に、エリーナは視線をレインコートの少女から正面に移す。すると、木でできた扉を横にスライドさせながら、角の生えた女性が小屋に入ってくるところだった。「海の見張りは暇じゃったわ」と呟きながら、女性は開いた扉を後ろ手に引いて閉める。

    「この子が……?」

     角の生えた女性がツユハと呼んだ少女を見る。ツユハは自分の功績を褒められたことで、半分嬉しそう、半分恥ずかしそうな表情を見せていた。

    • 冒険者さん
    4352
    2016年04月11日 13:34 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     上体を起こすと、床に敷いた柔らかいシーツに寝かされていることに気がついた。確か布団とかいう、スラグヤードでは使われない和風の寝具だ。エリーナの服も着せ替えられており、自分が和風の寝巻きを着ていることに気がつく。

    「ここは……」

    「けろっ! 目が覚めたんだね!」

     声のした右の方を見ると、傍に座るレインコートの女の子が声をあげた。革命軍にいるメンバーは全員覚えているけれど、こんな子は見たことがない。

    「アタシは……」

     言いながら右手で頭を抑えて、直近の記憶を思い出す。確か森の隠れ家にいたら、国王派貴族達に襲撃されて、一か八かで崖から海に飛び降りたはずだった。

    • 冒険者さん
    4351
    2016年04月11日 13:32 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     先ほどと違い、エリーナの視界に写る街は、心なしかくすんで見えた。来る時目に入った店先の宝石も、その煌きが衰えている気がする。そして、来る時には目に入らなかった、路地裏に座り込んで虚空を眺める少年などにも気がついた。

     自分にも、何かできることはないだろうか。歩きながら、エリーナは考え続ける。あの子達が幸せになる方法は、何かないのだろうか。

    ──────

     目を開けると、銀の諸島スラグヤードでは見ない造りの木造の天井が目に飛び込んできた。どこかの小さな小屋らしい。夕方になっているのか、赤い夕日が木枠の窓から差している。

     どうやら、昔の夢を見ていたらしい。

    • 冒険者さん
    4350
    2016年04月11日 13:29 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     箱が重いのか、はたまた車輪が悪いのか、荷台は少年の一生懸命さに反比例してゆっくりと進んでいく。

     その姿を見た時、エリーナの胸中は先ほどとは打って変わって、なんとも言えない気持ちになっていた。泥だらけの年の変わらない少年が、あんなに一生懸命に生きるために必死になっているのに、自分はこんな格好をして今から何をする気だったのか……。

     その場で踵を返すと、警護の男は怪訝な顔をした。

    「お嬢様、どちらに?」

    「気分乗らないしぃ~、やっぱ家に帰るわ~」

     気まぐれお嬢様には困ったものだ、とでも言うように警護の男は口をへの字に曲げたが、それ以上は何も言わなかった。

    • 冒険者さん
    4349
    2016年04月11日 13:28 ID:p8k7rpxe

    >>4348

    ごめんなさい。ツリーに投稿したはずが間違って新規投稿に…BADお願いします。

    • 冒険者さん
    4348
    2016年04月11日 13:27 ID:p8k7rpxe

     箱が重いのか、はたまた車輪が悪いのか、荷台は少年の一生懸命さに反比例してゆっくりと進んでいく。

     その姿を見た時、エリーナの胸中は先ほどとは打って変わって、なんとも言えない気持ちになっていた。泥だらけの年の変わらない少年が、あんなに一生懸命に生きるために必死になっているのに、自分はこんな格好をして今から何をする気だったのか……。

     その場で踵を返すと、警護の男は怪訝な顔をした。

    「お嬢様、どちらに?」

    「気分乗らないしぃ~、やっぱ家に帰るわ~」

     気まぐれお嬢様には困ったものだ、とでも言うように警護の男は口をへの字に曲げたが、それ以上は何も言わなかった。

    • 冒険者さん
    4347
    2016年04月11日 13:25 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     小さなお店に並べられた果物・宝石や、往来を走る馬車と荷車。普段と見る視点が違い、新鮮で輝いている感じがして、エリーナは気分良く笑顔で道を歩く。

     と、その時、馬車や荷車が通る往来に、一際ボロっちい荷車がゆっくりと走っているのが目に入った。他の馬車や荷車は迷惑そうに、その荷車を避けて走っていく。

     不思議に思い、エリーナはそのボロい荷車に視線を向ける。

     果たしてそれを引いていたのは、自分と年のあまり変わらなさそうな少年だった。泥のへばりついた服を身にまとい、苦悶の表情を浮かべながら、一生懸命いくつもの箱を乗せた荷台を引いている。

    • 冒険者さん
    4346
    2016年04月11日 13:24 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    ──────

     その日、エリーナは新しく買ってもらった洋服と靴を見せに、友達の家に行こうとしていた。

     いつもならば、友達の家に行くために馬車を出してもらう。でもその日はなんとなく、歩いて行こうと思った。新しい靴で歩いてみたい気分だったのだ。

     友達の家は街を挟んだ向かい側で、少し遠い。両親が一人だと危ないというので、警護をつけてエリーナは街へ繰り出した。

     通常、馬車ですぐさま通り過ぎる道。普段は何をして遊ぼうか考えていて、周りの景色などまったく気にしたことはなかった。しかし改めて街を歩いてみると、いつも気がつかない色々な物が街には溢れていることに気がついた。

    • 冒険者さん
    4345
    2016年04月06日 20:28 ID:p8k7rpxe

    >>4343

    読んでくれてありがとうございます!

    楽しみにしてくれているということでテンションあがりました!

    頑張って書き上げていこうと思いますっ!

    • 冒険者さん
    4344
    2016年04月06日 20:11 ID:lgmpfxum

    >>4343

    投稿途中から読ませていただいてました。

    この後の展開を考えるとわくわくしてしまいます。

    飛行島が飛ぶ前の話ということですがこの後飛行島は物語に出てくるのかちょっと気になったりしています。主にエリーナ目線で。

    続き楽しみに待ってます

    • 冒険者さん
    4343
    2016年04月06日 20:01 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    あとがき:

    一応メイン3人とラヴィの思い出と、革命は洋ナシの香りなどから推測して作りました。

    ツユハとエリーナが友達だったっていうのはラヴィの思い出からです。

    キサラギとエリーナの繋がりは、イベント「革命は洋ナシの香り」から推測しました。

    ツユハが敬語使ってると違和感……でも、思い出でも最後の方ですます口調なんですよ!

    あと、防人の設定は完全に原作にはないです……だってああでもしないとキサラギさん旅しまくるんだもの。

    そして、今気づきましたがエリーナ視点からツユハ視点の大海に移るシーン、転換線入れ忘れました…見づらくなってしまい、申し訳ないです。

    とまあこんなところで、今回はお暇致します。

    • 冒険者さん
    4342
    2016年04月06日 19:55 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     応急措置だけして別の島にすぐ移動させるなど、もってのほかだ。どうせ上陸させるのだから、ここは自分の時間つぶしに利用せねばなるまい。上手く他の鬼に見つからないよう、自分の敷地の使っていない小屋に運んで、一週間近く療養させるのが正解か。

     そうすれば少女の体調も戻るだろうし、ツユハは苦労して人を抱えながら他の島に行くこともなく、自分も防人としての残りの退屈な時間を楽しく過ごせ、一石三鳥だ。

    「ふふ、いと面白きことになりそうじゃの」

     ツユハと話すための言霊を切り、キサラギは呟く。その顔には、笑みが浮かんでいた。

    • 冒険者さん
    4341
    2016年04月06日 19:53 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    『この島に人間が入っちゃダメっていうのは、知ってます! でも、ほんの少しだけ、応急措置だけでいいから、お願いします! そしたらわたしが、また頑張って運び出すから!』

    キサラギの言葉を遮り、ツユハは話す。必死なのだろうことは、口調から判断できた。キサラギはすかさず、浜辺に他の鬼の気配がないか探る。幸いにして、周囲には誰もいないようだ。

    『ふむ……。 他の鬼もおらんようじゃし、まあ何とかなるじゃろ。 急いで妾の元に来るのじゃ!』

    その言葉を聞いて、ツユハがこちらの方に飛び始める。キサラギはそれを視界に入れながら、これからどうするかを考え始めた。

    • 冒険者さん
    4340
    2016年04月06日 19:52 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    突然届いた声に驚いたのか、視界の先の緑のレインコート少女が辺りを見回した。キサラギは手を振り、こちらの位置を少女に気づかせる。

    『その場で声を発すれば妾に届くようになっておる。 さすがに危害を加えるものを上陸させる訳にはいかんからの』

    『け、けろ……。 あの、その……わたしはツユハって言います。少しだけ、溺れた女の子を介抱したくて、上陸させてもらえないですか……?』

    そう言いながら、ツユハは左手で海を引きずっていたものを前に出す。荷物だと思っていたそれは、ピンクの服を纏った少女だった。

    『むぅ……人かや……それは』

    • 冒険者さん
    4339
    2016年04月06日 19:50 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     じっと目を凝らすと、雨雲の中に緑色のレインコートの女の子が見える。さらに注視すると、少女は左手で何かしらの荷物が海に沈まないよう、引きずっているのがわかった。途端、退屈な日常の中に一抹の希望を見つけたように、キサラギはにやりと笑った。

    「さて、とりあえず接触してみるかの」

     言霊の絵巻を腰から取り出し、言霊を操る。万物には言霊が宿っており、キサラギはそれを操ることで万象を書き換えることができるのだ。故に、距離という概念を無視してレインコートの少女だけに声を届けることなど、造作もないことだった。

    『そこの者、止まるがよい。 妾は鬼ヶ島の防人の任を預かる一人。 して、この島に何用じゃ?』

    • 冒険者さん
    4338
    2016年04月06日 19:49 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     防人に任じられた者は、2年間文字通り鬼ヶ島を防衛する──つまり、一切島の外に出ることが許されず、島で生活しなければならない。これは人間の珍しい言葉を求めて旅するキサラギにとっては苦行であった。言霊の絵巻に浮かんだ言葉の意味を探しに行きたいという思いが募るが、代々の慣わしを放棄するわけにもいかない。

    「もう少しの我慢じゃ……。 あと残り一週間……」

     ぶつぶつと呟きながら、何か面白いものがないかと、あまり期待はせずに周囲に視線を漂わせる。すると海の向こうに、水面に近い場所を真っ直ぐこちらに向かって飛行してくる、不自然な雨雲を見つけた。

    「あれは……なんじゃ?」

    • 冒険者さん
    4337
    2016年04月06日 19:47 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    「ケロケロ! もうちょっと頑張ってね……」

    そう女性に呟くと、ツユハはさらに傘を持つ手に力をいれ、スピードをあげはじめた。

    ──────

     人間と一触即発の状態が続く鬼ヶ島。しかしながら、そんな状態とは裏腹に、今日も表面上は平和で、空と海は凪いで青色に輝いていた。

     この平穏な日々に不満を持つなど、贅沢かもしれない。しかしキサラギは、今この瞬間、確かに不満だった。

     はあ、とため息をつきつつ、いつもと同じ様に何も起きない砂浜を歩く。

     鬼ヶ島では労役として2年、防人という島の守り人に任じられる事がある。代々人間と争ってきた鬼ヶ島ならではの慣わしだ。

    • 冒険者さん
    4336
    2016年04月06日 19:45 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     ツユハは、もう一度女性の顔を確認した。肌の色は青白く、海水で冷えているのか震えていた。さらにその表情は、今にも息絶えそうに苦しそうに歪んでいる。

     その表情を見て、ツユハは女性を一番近い鬼ヶ島に連れて行くことに決めた。もし見つかって女性が殺されそうになったら、誠心誠意謝り、応急処置だけさせてもらって、すぐに頑張って他の島まで飛ぼうと決意する。

     そう考えると、傘を持つ右手に意志を込め、速度をあげていく。のんびり空を漂っていた時より急いではいるけれど、やはり水に濡れた人間一人を引きずりながら飛ぶと、スピードが出ない。

    • 冒険者さん
    4335
    2016年04月06日 19:44 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    「うう~、どうしよう……」

     回復の魔術をかけるにしても、その女性が横になれる場所を探さなければならない。とは言え、近くに横になれる場所など、この近くだと鬼ヶ島しかなかった。かといって、鬼ヶ島に人間を連れて行くのは、正直まずい。何故なら鬼ヶ島は、その島の鬼と別の島の人間が争っている場所だからだ。もし人間が鬼に見つかれば、たぶん殺されてしまうだろう。

     鬼ヶ島以外となると、鬼ヶ島と争っている人間の島が一番近い。けれども、ツユハのいる位置からでは鬼ヶ島のさらに向こう側で、果たして着くまでに女性の体力が持つかは疑問だ。

    • 冒険者さん
    4334
    2016年04月06日 19:42 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    「ちゃっぷんちゃっぷん♪」

     テンションがあがり、歌を歌い始めた頃、ふと眼下を見ると、ピンク色の何かが海を漂っているのが目に入った。

    「ケロケロ? なんだろ~?」

     ふわふわと高度を調整して下りていくと、ピンク色のそれが服で、漂っているのは金髪の女性だと理解できた。

    「けろ~!? だ、大丈夫!?」

     すぐさまケーキの袋を傘の持ち手に引っ掛け、空いた左手でその人の肩を掴んで引き上げようとする。だが、片手ではどうしても、上半身を海から引き上げるので精一杯だった。

    「げほっ、げほっ」

     まだ半身が海に浸かっている女性が、咳と共に大量に水を吐いた。どうやら息はあるようだ。

    • 冒険者さん
    4333
    2016年04月06日 19:41 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     所変わって、広大な海の上。その日、ツユハは右手に持つ傘を広げて雨雲をまとい、のんびりと空を漂っていた。左手には、防水加工された袋と箱に入ったケーキが入っている。

     先日、ある島に立ち寄った際、お礼に貰ったものだ。その島では一時的に雨がまったく降らなくなっており、農作物が壊滅的なダメージを受けていた。そんな折、立ち寄ったツユハが雨を降らすと大変驚き、雨を大いに喜んでくれたのだ。その時の住民の笑顔を思い出すと、自然に頬が緩んでくる。

    • 冒険者さん
    4332
    2016年04月06日 19:41 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    その感覚は一瞬、貴族だった子供の頃に、遊園地の島で乗ったジェットコースターを思い起こさせた。だが、すぐさまその感覚は間違いだったと思い直す。

    「う、ひゃあああああああ~!」

     安全装置が何もない状態での自由落下はジェットコースター以上に怖く、思わず涙が目から溢れる。

     そして海に落ちる衝撃と共に、エリーナの意識は闇の中に消失した。

    • 冒険者さん
    4331
    2016年04月06日 19:40 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    「よし……! アタシの運のよさ、見せたげる!」

     見かけによらず、理論的にそう判断したエリーナは、自分に言い聞かせるように叫んだ。恐怖で寸前に脚を止めないため、モンスターと対峙した時の様に意識を研ぎ澄ます。

     瞬間、森が開け、目の前に崖と大きな海が広がった。そのまま勢いを殺さず、崖を跳躍する。一瞬の浮遊感の中、背後で金属の足音が止まり、うろたえる声が聞こえた。まさか自分が戸惑いなく飛び降りるとは思わなかったのだろう。

     マジうける、と考えた所で、落下が始まった。

    • 冒険者さん
    4330
    2016年04月06日 19:39 ID:p8k7rpxe

    >>4328

     自分を納得させるため、エリーナは頭の中で考えをまとめていく。もしここで素直に引き返して戦って捕まれば、自分は死ぬことになる。そうなれば革命軍は壊れてしまうのだと、みんなは言う。だったら、ボスである自分の死は、みんなに見せてはいけない。

     それなら、崖から飛んだら、自分の死体は見つけるのは困難なんじゃないだろうか。自分の死体が見つからなければ、革命軍が壊れるには時間がある。さらに、可能性は意外に低いけど、もしかしたら死なないこともあるかもしれない。

    • 冒険者さん
    4329
    2016年04月06日 19:32 ID:p8k7rpxe

    >>4328

    「ちょっ!? うそ!? マジヤバだってば!」

     男の叫び声に顔をしかめ、咄嗟に左に方向転換する。森を西に抜けると、高い崖と大海が広がっていることはわかっていた。きっと騎士達はそこに誘導しようと、予め包囲網を敷いていたのだろう。

     それでもエリーナは脚を止めなかった。ここで引き返して戦えば、さすがに多勢に無勢、それこそ確実に捕まってしまう。

     それなら、まだ追手の案に乗って誘導地点につく五分程の間に、ある覚悟を決めるしかないと思ったからだ。

    • 冒険者さん
    4328
    2016年04月06日 19:30 ID:p8k7rpxe

    タイトル:合縁鬼縁

    エリーナとキサラギとツユハの、飛行島が飛ぶ前の昔話です。

    各キャラの思い出とイベントを参考に妄想して作りました。

    感想、good等戴けると幸いです。

     数メートル先も見えない夜の森を、エリーナは疾走していた。数刻前、銀の諸島の貴族達の放ったお抱えの騎士達が、自分の首を求めて森の隠れ家を襲撃してきたのだ。

     この森をまっすぐ進んで北に抜ければ、広大な平原が広がっている。そこまで来れば、今よりはるかに逃げるのが容易くなるはずだった。

     その時、エリーナの前方と右側数十メートル先から、重鎧の金属音が響く。

    「いたぞ! エリーナはこっちだ!」

    • 冒険者さん
    4327
    2016年04月03日 08:10 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「…みなさん、こんな私のために…これも聖霊のお導きですね」

    ルウシェは目を静かに閉じて感謝の言葉を紡ぐ。

    「ルゥシェってば、堅苦しいお祈りとか抜きなんだからね!」

    「キャトラさん…ふふふ。ありがとうございます。」

    「さん、は余計よ!アタシ達もルゥシェって呼ぶんだから!」

    「…さて、俺は用事があるから席を外す」

    「騎士様、どちらへ?」

    「心配する必要はない、夕方にはいつも戻っているだろう」

    • 冒険者さん
    4326
    2016年04月03日 08:04 ID:k96ynd9n

    >>4219

    ふう、とアシュレイは一息つく。

    「その件について感謝をしていると言いたかった。ルゥシェの事情は以前話したがお前達との交流で徐々に外界に馴染んでいるように思う。特に同年代の者との交流は重要だ。これからも良くしてやってくれないか」

    「そんなの、あったり前よね、ね、アイリス?」

    「私達でよければ、仲間として、友人としてそうしていくつもりですよ、アシュレイさん。」

    • 冒険者さん
    4325
    2016年04月03日 07:59 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「それがどーしたの?いっとくけど拉致とか誘拐なんかじゃないからね!」

    いち早く食事を終えたキャトラは満腹、満腹とごきげんで顔を洗っていたが、意外なアシュレイの言葉に食いついた。

    「…騎士様、その事については…みなさんは善意で私を誘ってくれてるんですよ」

    ルゥシェも不思議そうに言葉をはさむ。

    「待て。俺はなにも咎めるようなことは言っていない」

    「じゃあ、な~に?」

    • 冒険者さん
    4324
    2016年04月03日 07:49 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「あいよッそちらのお兄さんはどうするんだい?」

    「俺は…薬膳朝食セットで頼む」

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    それぞれのメニューが配膳されて、各々食事をはじめる。

    「…おまえ達か、ルゥシェを度々連れ出してくれてるのは」

    美味しい料理に夢中になって食べている中で開口したのはアシュレイだった。

    • 冒険者さん
    4323
    2016年04月03日 07:46 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「あ、はい♪アイリスさん、ここの食事はとても美味しくて大好きです。それに、大勢の人と肩を並べて食べるお食事はなんだか面白いですし。…アイリスさん、今日の3時のおやつもご一緒させてもらってもいいですか?」

    神官姿の少女-ルゥシェはアイリスに柔らかな笑顔で答える。

    「ええ、もちろん!あ、グリーズさん私はヘルシーモーニングセットお願いします。スカイはどうするの?」

    「それじゃあ…ハムエッグサンド」

    アイリスに続いて赤髪の少年もグリーズにメニューを伝える。

    • 冒険者さん
    4322
    2016年04月03日 07:42 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「にゃんにゃんにゃ~ん☆グリーズいっつもありがと☆みんな、おっ先~!はぐはぐ…フゴッ……」

    キャトラは誘惑に負けすぐに口をつけるものの、熱さにむせた。

    「出来立てだ、熱いから気をつけな!そんで、他のみんなは何にするんだい?」

    「はい、私はこのクリーム…しちゅーがいいです」

    「ルゥシェさん、注文に大分慣れましたね」

    • 冒険者さん
    4321
    2016年04月03日 07:37 ID:k96ynd9n

    >>4219

    朝から食道はお腹をすかせたメンバーでにぎやかだ。

    「そら、キャトラちゃん注文のカニカマリゾットだよ!」

    白猫の目の前に豪快に料理を置くのは屈強な体躯の女性だ。

    外見から想像が出来ない料理の腕前で彼女の作る特製料理は皆が虜になっていった。

    • 冒険者さん
    4320
    2016年04月03日 06:51 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「みなさーん!食事の準備が整ったそうですよ~♪」

    柔らかな声の先には、神官姿の可憐な少女がこちらに向かって来ていた。

    「あ、おーい、ルゥシェ~!今日の食道のメニューはな~に?」

    キャトラは興味の矛先を変えてそちらにさっさと向かって行った。

    「キャトラったら、食事のことになると何よりもまっしぐらなんだから…」

    アイリスは腰に手をあててすでに遠く離れた白猫にため息をつく。

    「…そういうことらしい、さっさと行くぞ」

    キャトラに続きアシュレイも空き地を後にしていった。

    ☆☆☆☆☆☆☆☆

    • 冒険者さん
    4319
    2016年04月03日 06:48 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「にゃにゃにゃ~ん☆照れてる!」

    「キャトラったら…もう…。アシュレイさんごめんなさい、キャトラのことは気にしないでくださいね…ただキャトラも私達も仲間としてアシュレイさんと関われて嬉しいですから」

    「ああ、そうだな。……だが、なんというか…すまん、まだそういうことには慣れてない」

    一同が空き地で対話をしていると遠巻きから、

    • 冒険者さん
    4318
    2016年04月02日 08:20 ID:k96ynd9n

    >>4219

    キャトラとアイリスと赤髪の少年は顔を見合せてくすりと笑う

    「……?…なんだお前達、人の顔を見て笑うとは」

    キャトラはアイリスの腕からぴょんとアシュレイの傍らに舞い降りると

    「ふっふーん♪今、すごい貴重なものを見た気がしたわね♪その調子でいいから!アタシ、あんたって根は優しいんだと思うの!」

    「む…?相変わらず分からん連中だ…そんなことより汗が冷える、さっさと切り上げるぞ」

    • 冒険者さん
    4317
    2016年04月02日 08:13 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「そうじゃないの。アシュレイさん、キャトラがうるさくしてごめんなさい。」

    「……いや、謝罪などいらない。むしろ感謝をしている。俺も実感できないでいたが、最近は前に比べると心が軽くなったと思っている。」

    と、銀髪の青年アシュレイは軽く笑みを浮かべる。

    • 冒険者さん
    4316
    2016年04月02日 08:06 ID:k96ynd9n

    >>4219

    赤髪の少年の傍ら、長い髪を後ろでまとめた銀髪の青年は手にした双剣を鞘に収めながら言う。

    「変わってきてるって言えば、アシュレイもここのところ、誘えばスカイの稽古に付き合ってくれてるわよね♪」

    「……そうだったか。」

    「もー!そうだったらそうなの!また!無口たれこまなくていいのよ!」

    「キャトラ!」

    アイリスは白猫を抱き上げ、諌めた。

    「ぎにゃー、アイリス!アタシ、間違ったこと言ってないわよね?」

    • 冒険者さん
    4315
    2016年04月02日 08:01 ID:k96ynd9n

    >>4219

    スカイは一見、攻めているように見えたが油断したらアシュレイさんに一瞬で急所をつかれていたわ…

    そう思いながら、銀髪の青年と赤髪の少年が稽古を終えてこちらに向かって来るのを見ていた。

    「惜しかったねースカイ。」

    白猫キャトラはぴょんぴょんと赤髪の少年の足下に駆け寄る 。

    「……ああ。俺もそう思う。手合わせする度上達していると感じた。今日は切り崩すのに時間を取られたな。」

    • 冒険者さん
    4314
    2016年04月02日 07:58 ID:k96ynd9n

    >>4219

    「あ、あ~あ、もう少しだったのに~…アイリス、応援が足りないわよぉ!」

    「キャトラ…そういう問題じゃないわよ。スカイは確かに日々上達してると思う…でも、アシュレイさんの剣は終わりまで安定してたし、余裕が感じられたわ…。」

    アイリスは冷静な表情で始終を見ていたが、アシュレイの立ち回りに見とれていた。その揺るぎのない斬撃の一手は確実にスカイを焦らしていた。

    • 冒険者さん
    4313
    2016年04月02日 07:49 ID:k96ynd9n

    >>4219

    その刹那。

    「……はぁッ!!!」

    ガギィィィンッ

    勝負、ありだった。

    銀髪の青年が赤髪の少年を圧倒し、赤髪の少年の首筋に刃を突きつけている。

    • 冒険者さん
    4312
    2016年04月02日 07:44 ID:k96ynd9n

    >>4219

    傍らには白猫が野次馬さながら、彼らの剣劇の展開を楽しんでいる。その隣には神秘的な雰囲気を湛えた銀髪の少女。

    「もう、キャトラったら、あんまり騒がないの。気が散っちゃうわよ。」

    キャトラと呼ばれた白猫は何度か少女に注意されているがこの有り様である。

    「アイリスってば、テンション低いわね~!スカイがあのアシュレイに勝ちそうなのに!」

    「早合点しすぎよ、アシュレイさんはスカイの剣の流れとか見てるんだと思う……」

    • 冒険者さん
    4311
    2016年04月02日 07:41 ID:k96ynd9n

    >>4219

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    「…はっ!」

    ギィンッ

    朝露で草木が潤う早朝。連続した金属音が静かな空き地に響く

    「……せあッ…!とおっ!!」

    ギーンッ

    対峙する、銀髪の青年と赤髪の少年の姿があった。

    「……スカイ、中々いい線いってるじゃない!勝っちゃえ~!」

    • 冒険者さん
    4310
    2016年04月02日 07:40 ID:k96ynd9n

    >>4224

    ぬおお!コメントありがとうございます☆

    コメント返し本当に亀で申し訳ございません

    素人の趣味妄想なので至らない部分が多々ありますが、お付き合いいただければ幸いです!

    • 冒険者さん
    4309
    2016年03月31日 00:17 ID:m9o695ej

    >>4275

    お粗末さまでした。

    また思いついたら来るかもしれません。

    フローリアを毒沼につけているときに思いつきました。みなさんもレッツ毒沼

    • 冒険者さん
    4308
    2016年03月31日 00:15 ID:m9o695ej

    >>4275

    「フローリアと」

    「カスミと」

    .

    「「一緒ならね!」」

    • 冒険者さん
    4307
    2016年03月31日 00:14 ID:m9o695ej

    >>4275

    「巫さまー!お達者でー!」

    「是非また来てくださーい!」

    「やべえ…オレ巫さまめっちゃタイプなんだけど…」

    別れの挨拶の中、聞き捨てならない台詞も聞こえたので、とりあえずガンを飛ばしておく。

    「ヒッ、なんでもございません…」

    「ちょっと、カスミ…」

    「あんたはもっと用心した方がいいのよ!ほらほら」

    沸き立つ群衆の中、フローリアの手を引いて急ぎ足で歩いてゆく。

    .

    「…ねえ、次はどこに向かおうかしら、カスミ?」

    「さあ、どこでもいいわよ?」

    • 冒険者さん
    4306
    2016年03月31日 00:13 ID:m9o695ej

    >>4275

    「でも、こんなに近くに答えがあったなんて知らなかった」

    .

    「私が我を忘れて毒沼に入っていったとき、不意に後ろから声が聞こえた」

    「カスミが呼びかけてくれた時、私は安心したの」

    .

    「もし私がすべての力を浄化に使って動けなくなったとしても、きっと助けてくれるだろうと思って」

    .

    「だから、私は力を出し切ることができた」

    .

    「私は、いつの間にか強さを得ていたの」

    .

    「自分一人では、決して出せない力」

    .

    「『頼ること』で得られる力」

    .

    「やっと…見つけた」

    不意に、抱き寄せられる感覚がした。微かな花の匂いと温もり。

    「ありがとう…カスミ」

    • 冒険者さん
    4305
    2016年03月31日 00:12 ID:m9o695ej

    >>4275

    「あれは自分の弱さだったの。いろんなものに守られて生きてきて、それを見て見ぬ振りしてきた…」

    「あれを撃ち抜けたのは、彼の力もあってこそだけど、彼は私を動ける状態にしてくれただけ」

    「カスミの教えてくれた弦打がなければ、私は私でなくなっていたかもしれない」

    .

    「あのときからずっと考えていたの」

    「どうしたら、私は『守られるだけの存在』から卒業できるのか」

    .

    私は黙ってフローリアの話に耳を傾けていた。

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ゲーム情報
タイトル 白猫プロジェクト
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2014年07月25日
    • Android
    • リリース日:2014年07月13日
カテゴリ
  • カテゴリー
  • RPG(ロールプレイング)
ゲーム概要 11/8より『吉田沙保里』コラボが開催!白猫世界に霊長類最強女子現る!!

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