ショートストーリー投稿板 コメント一覧 (7ページ目)
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冒険者さん
46042016年06月10日 14:34 ID:k96ynd9n「細かいことは気にしなーい!つもる話アリアリな感じじゃない?さ、さっそく聞かせてもらおうじゃないの!」
そういうとキャトラはアシュレイの頭上に飛び乗った。
「にゃん!新キャトラタンクってやつ?」
「!…!!…な、何をする…」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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冒険者さん
46032016年06月10日 14:31 ID:k96ynd9n天候のせいか、屋内食堂は人口密度増しだった。
アシュレイはキャトラが遠くから呼びかけるのに気づくと、席へ向かって行った。
「ちょっと!待ったわよぉ、アタシご飯だけは我慢できないのに!」
「……別に待てとは言っていない」
「もう、すぐにそーなるんだから!」
「…というか、いつの間に俺はお前達と常日頃食事をとるようになったんだ」
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冒険者さん
46022016年06月10日 14:25 ID:k96ynd9n「否定せずとも顔に出ているからな。」
「………何だと。」
「ふ…まあ、焦らずこの島でゆっくりしていけ。」
バロンはそう言うと、豪快に湯から身を上げて浴場を後にして行った。
「…………。本当に、変わった連中が多い場所だな…」
「…変わることができる、か……」
しばし思索した後、重くなっていく瞼が完全に閉じる前に、湯水から出ると最後に冷水を浴びてアシュレイは湯場を後にした。
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冒険者さん
46012016年06月10日 14:21 ID:k96ynd9n「……だが、人はやり直すことができる。刻まれた過去を省みて行動を変えることができる。そういう私も陽の目に出ない武具の骸を築いているがな。そいつらを見ると先々のことが見えるのだよ」
「……………。」
「…時に、お前さん…迷いながら剣を振るっていたな?」
「……………なぜ、そんなことが分かる」
「…お前さんほどの技量の者が相手に斬られる隙など多々与えるとは思わないのだ。」
「…………………。」
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冒険者さん
46002016年06月10日 14:18 ID:k96ynd9n「改めて…バロンという。」
「この島の鍛冶職人か。」
「………ほう…お前さん…中々にいい体つきをしているな…」
「……………俺はそういう趣味はない」
「ふはははッ…面白い奴だ。…私もそういう趣味はないから安心しろ。」
「……………………。」
「…その傷から見るに、幾多の戦場をくぐり抜けてきたと見る。」
「………………。」
「…傷は消えることはないだろう、お前さんのしたことも、な」
「………!」
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冒険者さん
45992016年06月10日 14:15 ID:k96ynd9n「ほうほうほう…お前さん、アシュレイとやらだな。これは珍しい場所で遭遇した」
アシュレイは反射的に剣を抜きそうになるが、装備などしていない身なりをしていることにふと、気づき舌打ちする。
「……お前は…」
煙ごしに立派なたてがみを生やした獅子の獣人の姿を捉えた。荒々しい見た目とは違い知識と教養の豊富な者と聞いた。鋭く深い眼光がそれを物語っている、と武器の調整を依頼した時に瞬時に感じた。
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冒険者さん
45982016年06月10日 14:07 ID:k96ynd9n今までのこと、これからのことが頭をよぎっていく。それに、ミゼルフィリアの言っていたことも。思考に時間を割けたのも、貴重な体験だった。常日頃追っ手や刺客が四方から現れて命を奪いに来る。過去や未来を覗く暇など無かった。悠長に判断していたら狡猾な刺客に討たれていた。
(……こういう時も…悪くはない…な)
まどろむ時を堪能していると、湯煙の中で話かける者がいた。
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冒険者さん
45972016年06月10日 14:02 ID:k96ynd9n教会では体の汚れを落とすためだけに用意された簡素な湯場で返り血と傷口を洗う目的で利用するだけだった。そもそも湯を利用することも少なかった。修練中は自然の泉水があればそれを利用したし、雨が降れば雨水を利用した。
(……全く、ここの連中といい、調子が狂うな…だがこれは、これで……悪くはない)
揺らめく湯水の中でちらつく、体の傷。罪は消えた訳ではない。
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冒険者さん
45962016年06月10日 13:59 ID:k96ynd9n大浴場は湯けむりで曇っていた。夕飯時で入場者は数を数えるほどに確認が出来たが、それでも人が少なくて良かったとアシュレイは思った。濡れていた衣服を脱ぎ支度を整えると、なるべく人目につかぬようさっさと湯に浸かった。
(………いつ以来だろうか…湯あみに時間を割けたのは。)
体に刻まれた傷口に湯がしみるのに馴れてきたころ、アシュレイはすっかり湯を堪能していた。
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冒険者さん
45952016年06月10日 13:44 ID:k96ynd9n「…酷く雨に濡れてるわ…これで、拭いてください。」
アシュレイはアイリスからタオルを受けとり、水分を拭っていく。
「…想定外の天候の急変だった。…湯を借りるぞ」
「おうおう、そーしなさい。そのままだと濡れネズミで見てて哀れよ。」
「…まさか猫にそう言われるとはな。」
言って、アシュレイは立ち去っていった。
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冒険者さん
45942016年06月10日 13:40 ID:k96ynd9n時刻は夕刻にさしかかった頃。
急変した天気のおかげでほぼ一日を屋内で過ごすことになった面々は、迫る夕食の時に色めきたっていた。そんな中へたっぷり雨にさらされた騎士の到着に一同は釘付けになる。
「…ちょっと、アシュレイ…!アンタ、そのままの格好で出かけた訳!?」
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冒険者さん
45932016年06月10日 13:16 ID:k96ynd9n「ヒャハハッ今度は脅しですかあ!司教様、相当切迫してますねぇ……!まあ、どんな展開になるか、楽しみだなぁ…!司教様が切磋琢磨に挽回していくところをとても楽しみにしてますからぁ、頑張ってねぇ!ヒャ~ハハハ……ハハ…!!」
耳障りな笑い声と共に道化の男は闇にその姿をかき消していった。
☆☆☆☆☆☆☆
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冒険者さん
45922016年06月10日 13:12 ID:k96ynd9n「……聖霊の回収は既に手を打ってある…」
「実はさぁ…契約云々よりも、こうして絶望するアナタを見ているのが楽しいかもしんない、ギャーハハハ!」
「……この、外道が…」
「ヒャハハッ逆ギレ、絶望、どんな気持ちですかあ!ギャーハハハ!」
「……くっ!…黙りなさい…道化。古の大聖霊を覚醒できたとして…あなた方外道に扱えるかどうか…」
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冒険者さん
45912016年06月10日 13:09 ID:k96ynd9n「古の大聖霊の覚醒と引き換えに、我等闇の力を貸すと言っているんですよぉ!…本当はもう破棄してもいいところをこうして助力してやって、大サービスじゃないですかあ!」
「…もう少し、もう少しなのだ……!」
「ギャーハハハ!だって、覚醒の儀式に必要な巫女も聖霊も奪われ、こうして封印のソウルのバランスも調整してやってるのに、その封印の要の聖霊にも逃げられちゃって…ああ、もう絶望じゃないですかあ!ギャーハハハ!!」
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冒険者さん
45902016年06月10日 13:07 ID:k96ynd9n「!!ばかな……!これっぽっちの戦力では…!」
司教は机の上に置かれた紙に手を叩きつけた。
「はぁい?何?何を言っちゃってるんですかねぇ、アナタはぁ」
道化姿の男はケラケラと交渉内容に不満の怒りを表す司教を嘲笑する。
「…だってぇ、最初の契約と話が違うじゃないですかあ!」
「………!」
司教は歯ぎしりをする。
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冒険者さん
45892016年06月10日 13:04 ID:k96ynd9n物置小屋にはミゼルフィリアが一人残った。帰路につくために展開したアルマだが、展開を解除する。小屋の内部は再び暗く染まる。
「アシュレイ……」
「……生きていて、よかった。」
「……そして、ごめんなさい。」
儚い呟きは雨垂れの音にかき消されていった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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冒険者さん
45882016年06月10日 13:02 ID:k96ynd9nミゼルフィリアは話をきりあげるとアルマを展開する。体が宙に浮き、やがてアルマと同様の淡い光に包まれていく。
やや、沈黙あって。
「……ああ。」
シンプルにそう言うと、アシュレイは物置小屋から出ていった。
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冒険者さん
45872016年06月07日 15:28 ID:k96ynd9n「アシュレイ…」
「…しかし、討つべき敵に情報を流すとはな。…お前は少し変わったな。…以前であればこの悪天候の中俺を斬ることなど、たやすかっただろう。」
「……それは…私が、あなたに…」
「……?」
「……助けられ……たから」
「なに…?俺が、お前を?」
「……何でもない。…話は以上-…この天候で、中々帰らないあなたのこと、その世話人達が心配しているんじゃない?さっさと帰ることね。」
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冒険者さん
45862016年06月07日 15:18 ID:k96ynd9n「……丁度、世話になっている奴らがいる。…彼らが追っている連中が闇の者という、正体不明の集団だ。」
「……なんですって…」
「…もし、その何者かと共通性があるのならば、俺も剣を抜かなくてはならない。」
「……」
「……そいつらに、俺の剣を預けたからだ。そして、それは…俺自身の償いでもある」
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冒険者さん
45852016年06月07日 15:16 ID:k96ynd9n「…表面ではわからない、けど、司教様に取り入っている何か黒い存在を感じている」
「…何?黒い存在だと?」
「わからない、ただ…司教様はすごく焦っている」
「先程も言った通り、何度来ようと答えは同じだ、騎士団が動こうが教会の動向など、どうでもいい。だが…背後にいる…その何者かという存在が気になるな」
アシュレイは、ふう、と一呼吸おくと、
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冒険者さん
45842016年06月07日 15:13 ID:k96ynd9nアシュレイはただ静かにミゼルフィリアの言葉を聞く。
「…司教が執着しているのは聖霊。どんな手段を使ってでも取り返しに来る。」
「…………」
「アシュレイ、デュナミス、アラストルは絶対に渡してはいけないわ、少なくとも、今の教会は…」
「…お前が言っている、今の…とはなんだ」
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冒険者さん
45832016年06月07日 15:11 ID:k96ynd9n「…あきれた…。司教様はそんなことで手に負える相手じゃないわ…特に……今の状態だと」
「…なに…?」
「…忠告はふたつ。ひとつ目、今回のあなたの件で私達昔馴染みの騎士団が動く。ふたつ目、デュナミスと-聖女様、それと一緒にいる…アラストルの件。…あなたが思っている以上に…聖霊教会は総力を上げて襲って来ると思う。」
「…………。」
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冒険者さん
45822016年06月07日 15:08 ID:k96ynd9n言って、ミゼルフィリアは自身のアルマを展開した。
鳥の姿の聖霊が彼女の回りに弧を描くように旋回し、顕現する。
「…そいつは確か…ファルコンと言ったな。ふ…猛禽の目からは逃れられないか。」
「そういうこと。…本気で司教様に無駄だということ、納得させられると、思う?」
「…思わんな。だが、諭してどうこうできる奴じゃないからそうする。お互いに、な」
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冒険者さん
45812016年06月07日 15:04 ID:k96ynd9n「…そうは思わん。だが-何度来ても無駄だと釘をさしておいた。来るなら拒まん、奴が疲弊するまで相手になってやろう。」
「ふふ…どこまでバカ真面目なんだか」
「……言って聞く相手でないからだ」
「…逃げも隠れも、しない、か。まあどこへいこうと、アルマの力があれば居場所は割れるけどね、先日の手紙のように。」
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冒険者さん
45802016年06月07日 15:02 ID:k96ynd9n雨を避けるために中へ入ったものの、酷い雨漏りでそこかしこから雨水が侵入していた。それでも、外の雨量よりはましな方だろう。ミゼルフィリアとアシュレイは対談していた。
「……手紙、届いたでしょう?」
「………司教のものか。奴の用事とやらは済んだはずだ。」
「…バカね。司教様を退けたつもり?」
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冒険者さん
45792016年06月07日 13:28 ID:gtf65vty「……あたし自身にも問題はあるってことかしら、ね。 まさかこんな土壇場で指摘されるとは思ってもいなかったわ」
少し離れた場所から喧騒が聞こえてきた。
ターゲットとそれを追うオズマのものだろう。
もうすぐここは戦場になる。
ダグラスは自分の立ち位置を確かめながら剣を身構える。
セラもまたそれに合わせて<ルーンギムレット>を構えながら、ダグラスへと声を飛ばす。
「それなら何かアドバイスをくれないかしら? あなたには、あたしに足りないものが<見えて>いるんじゃない?」
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冒険者さん
45782016年06月07日 13:04 ID:gtf65vty首を傾げるセラ。
「つまり、今のあたしはオズマに言われたように調子が悪いってことかしら?」
「少なくとも本調子じゃないとは思うが、別にまた失敗するんじゃないかってことを危惧しているわけじゃない。 元退魔士であるアンタの腕前は信用している」
ダグラスは真っすぐセラを見据える。
「ただオレが言いたいのは……<闇>のルーンを見抜くことが出来なかったのは、ここいらを漂う瘴気の影響とか埋め込まれた人間が闇と完全に同化しつつあるとか……それだけじゃないと思う」
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冒険者さん
45772016年06月07日 00:35 ID:gtf65vty「生憎と説教とかは必要ないわよ。 自分のことは自分が一番分かっているんだから」
会話を終わらせようとするセラだったが、ダグラスは止まらず語り出す。
「余計なことかもしれないが、言わせてくれ。 さっき一度あの人影と対峙した時、アンタはターゲットであるルーンを<見抜く>ことが出来ずに動揺したのかもしれないが、アイツの攻撃をもろに食らったよな?」
「……確かに受け損なったわ」
「これは他人であるオレの視点から感じたことだが、今のセラの動きは前見た時より鈍く感じた」
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冒険者さん
45762016年06月07日 00:15 ID:gtf65vty「こう言っちゃなんだが、セラ。 アンタ、ちょっと力み過ぎてるように見えるぜ?」
ダグラスの言葉にセラは思わず眉間にしわを寄せた。
「大丈夫よ、へましたりなんかしないから。 心配して言ってくれるのはありがたいけど、余計なお世話よ」
最近、オズマやバイパーにもよく言われる言葉をまさかこの青年の口から聞く羽目になるとは思わず、苛々とした気持ちが一気に積もった。
ダグラスは、ばつが悪そうな顔で頭を掻く。
「いや、すまない。 怒らせるつもりはなかったんだが……オズマから聞いたんだが、アンタ最近ずっと休まず働いてるって聞いたもんだから、つい、な」
セラは後でオズマに罵声を浴びせようと思った。
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冒険者さん
45752016年06月06日 23:40 ID:gtf65vty「―――セラ」
近くでダニエル―――いや、ダグラスの声がした。
「ターゲットは?」
「もうすぐここに姿を現す。 オズマが追い込みに入ったところだから、オレもこれから準備に入るところさ」
作戦通りならばターゲットをこの場に追い込んだところでオズマが足止めを行い、そこでダグラスがターゲットの瘴気を吸い込むことでルーンの位置が分かるようにする。
最後の仕上げで<ルーンギムレット>でそれを破壊する流れだ。
「了解したわ。 今度は絶対失敗したりしないから」
セラは手に持った大槍の柄を強く握りしめる。
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冒険者さん
45742016年06月06日 21:40 ID:gtf65vty空を見上げる。
今でも時々思い出す、空の色。
「そういえば、この空の色……なんていうのかしら?」
「この空か……そうだね、この空は―――」
ダニエルが自分の言葉になんて答えたのか忘れてしまった。
そして、何故こんなことを思い出したのかセラは自分でも不思議に思う。
ターゲットである<闇>に覆われた人影と一度対峙してからどれ位の時間が経ったのか、ふと空を見上げた。
やや空が明るみを帯び始めていた。
夜明けが近付いているのが分かる。
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冒険者さん
45732016年06月06日 21:17 ID:gtf65vtyダニエルの視線の先を追えば、夜が明け始めた水平線が見えた。太陽がうっすらだが姿を覗かせている。
空は、まだ星が見えるような夜と朝の境目の色に染まっていた。
「特に、この時間帯の空は好きだね。 ずっと眺めていたら思考でぐちゃぐちゃになった頭がぼんやりしてきて、フラットな心で<見える>っていうか、<感じ>られるっていうか……」
うまく言葉をまとめられずに唸るダニエルを横目に思わず笑みが零れる。
「……あまりこうやってじっくり景色を眺めることなんて無かったけれど、悪くないわね」
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冒険者さん
45722016年06月06日 20:44 ID:gtf65vty「別にあなたのせいで目を覚ましたわけじゃないわ。 それより、どうしたの? 眠れない?」
ダニエルの隣に歩み寄り、バルコニーの手すりに凭れ掛かる。
「うーん、眠気はあるんだけど、体を横にしても頭が思考をなかなか止めてくれなくってさ。 そのまま考え事をしていたら、外に出てイメージを膨らませた方が思考も回りやすいかな、なんて思って今に至るわけさ」
「……面倒くさい物言いね。 単純に眠れなかっただけじゃない」
ダニエルの言葉に呆れて思わずため息が出てしまった。
「でも、眠れないことでいいことを見つけた。 悩み事や考え事をする時に、こうやって景色を眺めていると落ち着いてそれらを捉えることが出来るんだ」
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冒険者さん
45712016年06月06日 11:32 ID:gtf65vty―――いつのことだったか。
夜明け前、目を覚ました時のことだ。
ふと風が入り込んでくるのが分かった。
ベッドから起き上がり部屋を出るとバルコニーの方に誰かの姿を見つけた。
長い緑色の髪を潮風に靡かせる青年の姿だ。
ダグラスと同じ姿をしているが、記憶の中の彼は―――
「ダニエル、どうかしたの?」
別に驚かせるつもりはなかったが、考え事をしていたのか意表をつかれた表情で振り返るダニエル。
「やあ、セラ……おはよう。 もしかして起こしちゃったかい? 僕としてはなるべく同居人に迷惑かけないように静かにしていたつもりだったけど」
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冒険者さん
45702016年06月06日 11:08 ID:gtf65vty「まだ手遅れとは決まったわけじゃないさ」
そう言ってダグラスは己の目を指差す。
「<闇>が込められたルーンが見えないってのは、ここいらの瘴気を纏っているのも関係あると思う。 ソイツをオレが吸い取るから、その一瞬の隙でルーンを見つけ出して壊すって寸法さ」
ダグラスの提案にオズマは顎の髭をさすりながら頷く。
「そんじゃ俺はしっかりと足止め役を務めさせていただくとするぜ。 セラちゃん、もう一度試すってことでオーケー?」
セラは<ルーンギムレット>を担ぐように持ち上げ、一度大きく息を吐き出す。
「ええ、分かったわ。 今度こそちゃんとあのターゲットを<穿つ>」
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冒険者さん
45692016年06月06日 00:49 ID:gtf65vty倒れたセラへとダグラスは近付くと手を差し伸べる。
「大丈夫かい?」
「え、ええ……」
その手を掴んで立ち上がるセラ。
「しかし、どうしたんだ、セラちゃん? 今日は調子でも悪い?」
二人へと歩み寄りながら首を傾げるオズマ。
「さっきの人影……ターゲットを見つけることが出来ないほどの闇に覆われていたわ。もしかしたら、もう……」
今回の仕事の目的は、<闇>の蓄えられたルーンを埋め込まれた人間を助けること。
ルーンを破壊することで<闇>から解放することは出来る。
ただし、完全に<闇>と同化してしまった場合、もはやルーンだけ破壊しても意味はない。
その時は、埋め込まれた人間を討伐するしかない。
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冒険者さん
45682016年06月06日 00:08 ID:gtf65vty受け身をとれず転倒するセラに追い打ちをかけようとする人影。
「うおおおおおっ!!!」
獅子の如き叫び声を上げたダグラスがその身を回転させながら炎を纏った剣を人影へと浴びせる。
「ガアアアアッ!!」
続けて、水、最後に雷を帯びた三連撃に怯んだ人影。
「おっと、足を止めてたら大変なことになるぜぇ?」
ばちばち、と大気が爆ぜるような音を立てたかと思うと身構えるオズマの目の前に光が収束して巨大な雷の球を生み出す。
「ツリはいらねえっ!!」
巨大な電撃の奔流が人影へと走るが、人影はそれを避けてそのまま森の中へと姿をくらます。
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冒険者さん
45672016年06月05日 23:33 ID:gtf65vty完全にターゲットを視界に捉えているはずなのに、見えなかった。
ただ闇に覆われた人影の存在だけがそこにあった。
駄目だ、このままでは穿つことが出来ない。
「何やってるんだ、セラちゃん! 避けろっ!」
オズマの声で一瞬に我に返った。
焦りからか動揺からかいつの間にか気配を敵の前で晒していた。
「グオオオオオオオオオオッ!!」
人のものではない咆哮をあげながら闇の人影が襲い掛かってくる。
咄嗟に<ルーンギムレット>でその一撃を受けようとするがタイミングが遅れてしまい、吹き飛ばされるセラ。
「ああっ!」
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冒険者さん
45662016年06月05日 23:23 ID:gtf65vtyターゲットを穿つといっても殺すというわけではない。
人間に埋め込まれた<闇>の蓄えられたルーンを破壊すること。
自分が持つ一点を見抜く眼と<ルーンギムレット>があれば可能なことだ。
怒号と剣戟がはっきりと響いてくる。
「―――見えた」
月や星や灯りが無くとも分かる。
先頭を駆ける人影を追う二つの人影はオズマとダグラスだ。
作戦は順調だ。
狙いを定めるために<ルーンギムレット>を構えながらターゲットを見据える。
だが―――
「!?」
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冒険者さん
45652016年06月05日 23:01 ID:gtf65vtyとある島の森の中。
セラは暗闇と同化するかのように息を潜めて待ち伏せていた。
分厚い雲に覆われた夜空に月と星を見つけることは出来ない。
ただし、数時間前の飛空艇の中に居た頃と比べてすっかり雨脚は弱まっていた。
「さて、そろそろかしら」
少しずつ喧騒が近付いてくるのが分かった。
作戦通りならオズマとダグラスがターゲットを追いかけることで、こちら側に追い込んでいる。
自分の仕事は追い込まれたターゲットを一撃で穿つことだった。
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冒険者さん
45642016年06月05日 21:23 ID:gtf65vty改めてそれを実感したところで今更憂うことはない。傷心旅行は既に終わった。
「合っているわ、ダグラス。 よろしく頼むわね」
先ほどの動揺は気のせいだろう。こうやって自然な笑みを作ることもできるのだから。
「あ、ああ、よろしく頼む」
逆にどこかやりにくそうなダグラスを尻目に、オズマは上機嫌に鼻を鳴らしながら近くの壁に貼り付けた地図の目の前に立つ。
「さてさて、これで面子は揃ったわけだ。 そんじゃ、お二人さんには手紙で知らせているとは思うが、もう一度仕事の説明をするぜ?」
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冒険者さん
45632016年06月05日 21:07 ID:gtf65vty一瞬、ほんの僅かな間だったが動揺が走るのを感じたセラ。
しかし、冷静さが戻るのはまた刹那の出来事。
「ダグラス、だったかしら?」
名前を呼ばれてこちらを覗き込んでくる緑と紫のオッドアイ。
よく知っている顔だが、記憶の中にある表情と比べると精悍なものだった。
「そういうアンタは……セラ……で、合っているよな?」
よく知っているその声で名前を呼ばれたことがあるが、全く響きが違って聞こえた。よく知っている―――知っていた筈なのに、まるで別人のようだった。
分かっている。今、目の前にいる青年は自分のよく知っている人物と同じ姿はしていても
全く違う存在なのだと。
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冒険者さん
45622016年06月05日 20:47 ID:gtf65vtyそんな疑問を浮かべたところで、二人の居るところに近付いてくる気配に気付いた。
足音は二つだが、一つはオズマの同僚?というよりは部下といった関係と思われるジョニーという男のものだろう。
話し声が聞こえてくる。一人はジョニーで間違いない。そして、もう一人の声は―――聞き覚えのある声だった。
「やあやあ、悪かったな。 雨の中待たせちまって」
「いや、こっちこそわざわざ寄り道してもらって助かる」
オズマへと返事した声の主は、緑色のたてがみを輝かせる青年だった。
「ダニエ、ル……いえ……」
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冒険者さん
45612016年06月05日 20:28 ID:gtf65vty「いや、違う。 今回の仕事を頼んだもう一人と合流するところさ」
オズマのその言葉にセラは眉間に皺を寄せる。
「そんな話聞いてなかったわよ」
「そりゃ、サプライズだからな」
満面な笑みを浮かべるオズマにセラはため息をつく。
「まあ、いいわ。 あなたのことだから今回も色々手を回しているんでしょうし、今更驚きもしない。 だけど、一体誰なの? まさか、バイパーとか?」
「いやいや、アイツは今頃メアちゃんと学園生活を謳歌しているところだろうよ」
そういえば茶熊学園という場所に行くと言っていたバイパーのことを思い出したセラ。
やけに楽しそうにしていたが、一体どういうところなのだろうか?
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冒険者さん
45602016年06月05日 20:01 ID:gtf65vty題名:瑠璃色の空
雨の音にセラは目を覚ました。
「お目覚めかい?」
声の方に目を向けると白い眼を持つ男の姿があった。
「ちょっとだけ眠っていたようね。 だけど、女が寝ているところを眺めているなんて悪趣味じゃないかしら? オズマ」
「そいつは酷い言いがかりだ。 美人に見惚れてるのは当然だろう?」
おどけたようにオズマは肩を竦める。
「それに俺は起こしにやって来ただけだぜ」
「あら、もう目的地?」
セラとオズマが居るのは飛空艇の中だった。その外装を叩く雨音は強いことから外は酷い雨模様なのだろう。
しかし、どうやら今は空を飛んではいないようだった。
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冒険者さん
45592016年06月04日 00:59 ID:f4fr0sc8ヘレナ「明日、あそこのステージで立候補者の決意表明があるの。闇側に行くのを防ぐ最後のチャンスかもしれないわ。」
アイリス「行かなきゃ!」
キャトラ「レンファとピレスタは絶対に闇に寝返らせないわ!」
アイリス「できればレイヴンさんも!」
主人公「(頷く)」
キャトラ「後はダグラスも。」
主人公「(頷く)」
アイリス「(あとはパイン男にストーカーとヨシユキだから)…以上ね。」
キャトラ「(それ以外はストーカーとパイナップルとヨシノブだから)…以上だわ。」
主人公「(頷く)」
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冒険者さん
45582016年06月04日 00:49 ID:f4fr0sc83人は貼られたポスターを見て驚いた。
アイリス「ダグラスさん…。」
キャトラ「レ、レンファ!」
主人公「(レイヴン!)」
アイリス「ナップルさん…は、どうでもいいか。」
キャトラ「ピレスタまで!」
主人公「(王女のストーカーのクライヴ!)」
3人「そして…ヨシオ!(って誰だっけ?)」
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冒険者さん
45572016年06月04日 00:42 ID:f4fr0sc8アイリス「シャッテンシュピール補欠選挙!」
キャトラ「どどどどーゆーことよ!」
ヘレナ「あなた達が出掛けてからすぐにね、変なピエロがやって来て演説を始めたの。『闇に力を貸せ!白の巫女の尻拭いなんかで人生を終えていいのか?もっと活躍できる場を用意してやる!』って。」
アイリス「そんな…。」
キャトラ「あたし達のいない間にヌケヌケと!」
主人公「(怒)」
ヘレナ「…それでね、悲しいことに意外といるのよ。立候補したギルドが。」
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冒険者さん
45562016年06月04日 00:34 ID:f4fr0sc8~一週間後~
キャトラ「たっだいまー!」
ヘレナ「…お、お帰りなさい。」
アイリス「ヘレナさん?どうしたんですか?」
ヘレナ「…あなた達がいない間にね。あれを見て。」
ヘレナの指差した先には選挙ポスターが貼られた掲示板があった。
アイリス「選挙?」
キャトラ「なんの選挙よ。フォースター?」
ヘレナ「…見ればわかるわ。」
アイリス「こ、これは!」
キャトラ「ギニャー!」
主人公「!」
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冒険者さん
45552016年06月03日 13:16 ID:o81ty9lgキャトラ「それじゃ、行ってくるわね!」
主人公・アイリス「♪」
ヘレナ「ふふっ。三人ともご機嫌ね。」
キャトラ「そりゃそうよ!ヘレナ、お土産買ってくるからね♪」
ヘレナ「ええ。蟹でいいわよ。」
アイリス「(さらっと高価なお土産を要求した!)」
ヘレナ「じゃあね♪」
主人公・アイリス・キャトラ「行ってきまーす!」
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主人公達は意気揚々とピレンタ島に向かった。それが罠であるとも知らずに…。