リカ・思い出

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思い出1

リカ

キャハハハハ！

アタシはリカ！

この島の全てを破壊してあげる！

キャトラ

いきなり破壊しちゃダメー！

アイリス

そうよリカ。私はアイリス。

こっちのキャトラと主人公、

そしてみんなこの島に住んでいるの。

リカ

知ってるよ。でも全部壊すの。

それがアタシの役目だから。

アイリス

みんな住むところが

なくなったら困るでしょう？

私たちも、あなたも。

リカ

困る……？よくわからないけど、

まずは目の前の障害を排除するね！

キャハハハハ！

リカ

障害物3体、ロックオン。

＜モード：デストロイ＞に移行。

キャトラ

ま、待ってー！

アイリスー！何とかしてー！

アイリス

リカ、落ち着いて。

リカ

破壊する。

アイリス

私たちは仲間だから。

これからは一緒にこの島で暮らすのよ。

リカ

……暮らす？仲間？

よくわからないけど、

壊すものがたくさんあるのね。

任せて、キャハ！

アイリス

あのね、この世界には

壊してはいけないものも

たくさんあるの。

リカ

『壊してはいけないもの』……？

アタシにはわからない……

全て、破壊する……

キャトラ

うーん……

わかってもらえるのかな……

アイリス

大丈夫、きっとわかってくれるわ。

思い出2

キャトラ

――あれ？ねえアイリス、

ここ……倉庫だったよね？

アイリス

う、うん。でも……

消えてる……

リカ

キャハハハハ！

アタシは全てを破壊する！

キャトラ

ちょっと！勝手に壊しちゃ

ダメでしょ！

リカ

なぜ？アタシはプログラムされている

破壊衝動に従っただけ。

アイリス

あのねリカ。みんなが使うものは

壊しちゃいけないの。

リカ

壊しちゃいけない？そんなものは……

ない！

アイリス

倉庫がなくなったら、みんな困るでしょ？

リカが使うものも入れるのよ？

リカ

困る？感情はアタシには搭載されていない。

リカ

アタシは全てを破壊する。

それだけのために造られた。

なのになぜ邪魔をする？

アイリス

それは違うわ。あなたは普通に

生活できる。私たちの仲間に

なったのだから。

リカ

普通……生活……仲間……

アタシに、そんな回路はない。

キャトラ

そういえば破壊、って言うわりには

きれいさっぱりなくなってるよね。

残骸とかもないし。

リカ

ただ破壊するだけではなく、

全てを消失させる。

それがアタシの機能。

アイリス

リカって……案外几帳面なのかな？

キャトラ

お掃除とかさせてみたいわね。

リカ

――！あそこに小石が残っている。

アタシは……全てを破壊する！

キャトラ

……几帳面ね。

思い出3

リカ

アイリス、アタシをこんなところに

連れてきて、どうするつもり？

アイリス

ここね、整地して家を建てる

予定なんだって。

キャトラ

だから、この一帯のもの、

全部壊してもいいよ！

アイリス

土地のお掃除、ね。

リカ

えっ、ホント？

じゃあ全部破壊するね！

リカ

＜モード：デストロイ＞に変更。

破壊衝動、全開。

全てを――破壊する。

リカ

キャハッ！

全部消滅させちゃった！

キャトラ

すごい、荒地が一瞬で

何もない土地になってる！

アイリス

リカ、ありがとう。

おかげで助かったわ。

リカ

助ける？アタシは破壊衝動に

従っただけ。助けてなんかない。

アイリス

それでも、あなたの力で

人を助けることはできるのよ。

リカ

アタシの……力…….

この力は……破壊のために……

アイリス

そうよ。その力の使い方は、

これから勉強すればいいわ。

キャトラ

あともう少し力の加減ができるように

なってくれるといいかもね～。

リカ

力の使い方、勉強。

学習モードは、搭載されていない。

アタシは、破壊するのみ。

キャトラ

じゃあ何も学習できないの？

アイリス

そんなことはないはずよ。

だって私の言うことを聞いてくれたもの。

きっとわかってもらえる。

思い出4

キャトラ

じゃあリカ、いくよー！

主人公、お願い。

主人公はリカに向かって小石を3つ、

タイミングをずらして投げた。

リカ

飛来物は3つ。全て、破壊する！

キャトラ

なかなかいいわね、

リカ。主人公、もう１回！

主人公は先ほどより大き目の石を、

前回と同様に3つ、リカに投げつけた。

リカ

飛来物複数、ロックオン。対象を破壊する！

アイリス

主人公！大丈夫？

キャトラ

うまくなってるじゃない！でも今は

主人公も巻き込んじゃいそうだったから、

気をつけてね！

リカ

キャハッ！誉められた！

でもこれはなかなか難しい。

アイリス

でも確実に成長してるよ！

この調子で頑張ろう！

リカ

成長……？

アタシはアンドロイド。

成長はしないはず。

アイリス

訓練始めた頃よりもうまくなってるでしょ？

それが成長よ。

リカ

アタシが……成長してる？

思い出5

リカ

ねえアイリス。

アイリス

どうしたの？

リカ

アタシ、壊したい。

アイリス

うーん、今は壊してほしいものがないのよね……

リカ

何かを壊さないと、この衝動が抑えられないの……

キャトラ

それって『衝動』っていうか

『欲求』なんじゃないのかな。

リカ

『欲求』……？

キャトラ

うん。

だって今は何も壊さずにいるでしょ？

それは自分で抑えてるってことだから。

リカ

じゃあ、アタシのこの破壊衝動は

プログラムではないの？

アイリス

詳しくはわからないけど……

リカ

ならアタシは何で動いているの？

アタシにプログラムされた

行動パターンは破壊衝動だけなの！

アイリス

それは、プログラムではなくあなたの意思よ。

リカ

『意思』……？そんなの、アタシにはない！

リカ

だってアタシはアンドロイド！

プログラムされた破壊衝動だけを

遂行するために造られた存在！

アイリス

聞いて、リカ。

あなたには考える力がある。

リカ

やめて！

アタシは破壊のためだけに造られたの！

それ以外は何もないの！

リカ

違うって言うなら教えて！

アタシはいったい何者なの！

思い出6

リカ

――この光は……何……？

あ、アタシは……この破壊衝動は……

アイリス

あなたには考える力があるわ。

それは人間と変わらない。

リカ

……うん、そうみたい。

この光が教えてくれた。

アタシは破壊衝動だけで生きていたわけじゃない。

リカ

アタシは……自分の意思で動いていた。

アイリス

そうだよ、自分を否定したり悩んだり、

それは意思がある証拠だよ。

リカ

プログラムで動いていたんじゃなかった。

アタシはリカ。

自分の意思で動くアンドロイドだ！

キャトラ

じゃあ今までの破壊衝動、

っていうのは何だったの？

リカ

それは今も変わらないよ。

アタシは今でも、壊したい。

アイリス

壊していいもの、悪いものは

ちゃんと見分けられるだろうし、

これで安心ね。

リカ

うん、ありがとね！

アイリス！キャトラ！主人公！

リカ

じゃあ早速、『お掃除』っていうの

やってみようかな！

この島全部『お掃除』！

アイリス

全部？建物を壊したりはしなくてもいいのよ？

リカ

えっ？せっかく『お掃除』するんだから、

全部キレイにしなくちゃ！

キャトラ

そこは変わってなかった！

リカ

よーし！アタシは頑張るね！

全部破壊して、消滅させる！

キャハハハハ！

キャトラ

それはやめてー！