ガブリー・思い出

ガブリーの思い出とボイス

思い出1

？？？

じゅるるぅ……

鳥の唐揚げが転がってる……！？

キャトラ

なにやってんのよアンタ。

そんなにその岩がめずらしい？

アイリス

待って、キャトラ。

あの子、フォークを岩に

突き刺そうとしてるわ……

キャトラ

もしかして食べる気なの！？

――はっ！

アイリス

えっ？　こっちに向かってくるわ！

キャベツ！

パプリカ！

かわいい女の子！

キャトラ

はあ！？

アイリス

キャトラと

主人公を

野菜と勘違いしてるみたいね……

キャトラ

アンタなにものよ！

ガブリー

アタイはガブリーだよ！

キャトラ

アタシはキャトラよ！！

ガブリー

生意気な野菜ね！

おとなしくアタイに

ガブられなさい！

キャトラ！

キャトラ

ぎにゃーー！！

噛まれる～！

ぐへっ！

キャトラ

えっ？

ガブリー

ぐぎぎぎぎ……前かけが喉を……

キャトラ

もう、なんなのよ！

襲いかかってきたと思ったら

突然苦しんだりして！

ガブリー

しまった……＜いただきます＞を

言うの忘れてた……

マナー違反だ……ぐぎぎ……

アイリス

大丈夫？

ガブリー

ま、まだ幻覚が見え……

お、驚かせて、

ご、ごめんね猫ぢゃん……

ガブリー

アタイ、ハラペゴになると

ときどきみんなが食べ物に

見える、ごとがあるんだ、それで、

勢いで、ガブるこどがあるの……

キャトラ

まったく、迷惑な体質ね！

思い出2

ガブリー

じゅるるるるぅ……

キャトラ

ちょっと、ガブリー！

いいかげんヨダレとめなさいよ！

前かけがビショビショじゃない！

ガブリー

だってハラペコなんだもん。

キャベツっていちいち厳しいよね。

キャトラ

キャトラよ！！

アイリス

ねえ、ガブリー。

カニカマを持ってきたんだけど

……食べる？

ガブリー

うん！　ガブる！

キャトラ

それアタシのぶんなんだから、

ちゃんと心を込めて

＜いただきます＞って言ってから

食べなさいよね。

ガブリー

――ガブリンチョ！！

きゃっ！

キャトラ

いきなり口からいった！

ガブリー

ぐへっ！　しまった……

また前かけが……ぐぎぎ……

これじゃ、カニカマが……

飲みごめない……

キャトラ

いったいなんなのよ。その前かけ。

ガブリー

ご、ごれは

＜おあずけ前かけ＞だよ。

食事のマナーを守らないと

喉をじめづけでぐるの……

こほっ！　こほっ！

ガブリー

ふう……おかげで、満足に

ご飯をガブれなくて

困ってるんだ。

アイリス

どうしてそれを？

ガブリー

それがね～。アタイがあんまり

暴食を繰り返すもんだから、

じいちゃんが心配して

これをつけたんだ。

ガブリー

それで、世界中を旅してマナーを

身につけてこいって……

キャトラ

はしたないからん～。アンタ

ガブリー

島のみんながアタイのことを

＜1日10食、イノシシは飲み物、

クジラをおかずにクジラを食べる＞

って噂してるくらいだからね……

ガブリー

そこまで

食いしん坊じゃないのにー！！

キャトラ

なによ、そのあからさまな噂は。

それで、実際のところどうなのよ？

ガブリー

イノシシをオカズにイノシシを

ガブってただけなのにー！

キャトラ

って、ほとんど

合ってるじゃないのよ―――！！

思い出3

いただきます！

キャトラ

よし！　基本はバッチシね。

それじゃあ、今からアンタに

マナーを叩き込んでやるから

覚悟しなさいよ。

アイリス

ふたりとも、はやく食べないと

スパゲッティが固くなっちゃうよ。

うん！　ガブる！

キャトラ

いーい、ガブリー。

これはスープが入ってないから

スプーンを使わずにフォークだけで

食べるのよ。

ガブリー

まかせて！

2秒もあれば十分だよ！

上から一気に、とりゃああああ！

キャトラ

ちょっとー！

なに、ひと巻きで

全部食べようとしてんのよ！

量を減らしなさい！

ガブリー

ぐふっ！

の、喉が……ぐぎぎ……

キャトラ

ほら、

アンタの前かけも怒ってるわよ。

ガブリー

ぐぬぬぬ……スパ……

ゲッティィィィ……！

ガブリー

アタイはぜったい……

あぎらべない……

アイリス

そんな状態で食べる気なの！？

ガブリー

ぬぐぐ……細がぐずれば……

なんどが飲びこべる……

アイリス

フォークでスパゲッティを

刻みはじめたわ！

キャトラ

もう、なにやってんのよ！

キャトラ

というか、

よけい食べづらいでしょそれ……

ガブリー

な、なんぼごれじぎ……

アイリス

フォークでお皿を持ち上げようと

してるわね。

キャトラ

そのままサラごと

口まで運ぶつもり！？

ガブリー

ぐぞおお……あがらないい……

キャトラ

あきらめなさい。

ガブリー

ごなぐぞ……ぬうう……

ぶりゃああああ！

アイリス

お皿が飛んだ！？

ガブリー

あっ……

アイリス

池に落ちちゃった……

ぬおおおお！

キャトラ

迷わず池に飛び込んだ！

ガブリー

ぐぎぎ……

のぼがじまっで息がでぎな……

ごぼごぼごぼ……

思い出4

ガブリー

もぐもぐ……

キャトラ

そうそう。

よく噛んで食べることが大事よ。

それで、満腹感も得られるし……

ガブリー

ごちそうさま……

キャトラ

もっと美味しそうに食べなさいよ。

アイリス

はい。

最後はデザートのケーキよ。

ガブリー

うう……

キャトラ

そうそう、

フォークで一口ずつ切りながら、

ひと噛みひと噛みゆっくりと……

ガブリー

ぐうう……

アイリス

ガブリー、どうして震えてるの？

キャトラ

食器音には気をつけなさいよね！

ガブリー

ふん！　ふん！

アイリス

どんどん鼻息が……

んぐ！　んぐ！

キャトラ

なにも血管が浮き出るほど

噛まなくても……

ガブリー

ごちそうさまでしたあああああ！！

キャトラ

そんなに大声で

言わなくていいわよ！

アイリス

あっ、口にクリームがついてるわよ。

ナプキンでふかなきゃね。

ガブリー

……ぬがああああ！

キャトラ

こすりすぎよ！

ガブリー

さあ、次の料理を持ってきて！

キャトラ

だから、今のが最後だってば。

ガブリー

ひどい！

ちゃんとマナーを守ってるのに

あんまりだよ！

アイリス

あのね、ガブリー。

食事というのは

マナーを守るだけじゃなくて……

ガブリー

おなかすいたあああああ！！

アイリス

きゃっ！？

ガブリー

メシメシメシメシ

メシちょうだ――――い！

キャトラ

うわっ……背筋を伸ばしたまま

だだこねてる……

アイリス

だいぶストレスが

たまってる感じね……

キャトラ

変な気おこなさきゃいいけど……

思い出5

キャトラ

どど、どういうことよ！？

アイリス

草木が枯れて……

地面に亀裂が……！

キャトラ

池の水もなくなってるわよ！

アイリス

これはいったい……

キャトラ

あんまし想像したくないけど……まさか。

ガブリー

ジュルルルルルルル……

アイリス

あっ！　ガブリー……？

……いつもと様子が違うわね。

ガブリー

タリナイ……オナカスイタ……

ガブリー

オムライス、ハンバーグ、

ワカドリノソテー、ジャガイモノ

チーズヤキ、トマトサラダ、

ナマハムサンド、クリームソーダ、

キノコピザ、シーフードピザ、

マルゲリータ……

アイリス

こ、怖い……

キャトラ

やっぱりアンタの仕業ね！

なにやってんのよもう！

ガブリー

キャベツ、パプリカ、

ブルーベリー、オマイラ

マトメテガブル……

キャトラ

もう、正気に戻んなさいよね！

アイリス

でも、どうして？

あの前かけがあれば

食べられないんでしょ？

キャトラ

前かけはちゃんと喉をしめてるわ。

けど、今野アイツは食欲で

その痛みを忘れてるのよ！

キャトラ

アタシが説得してみるわ！

ガブリー

ジュルルルル……

キャトラ

ガ、ガブリー！　マナー違反よ！

ガブリー

…………

キャトラ

思い出して！　アタシとの特訓を！

ガブリー

イタダキ……ガ、ガ……

キャトラ

が？

ガブリー

ガブリンチョ――――ッ！

キャトラ！

キャトラ

……そう。

キャトラ

アンタがアタシを食べるなら

そうしなさいよ……猫だから

味の保証はできないけどね……

ガブリー

ジュル……

キャトラ

その代わり、

もうこれ以上なにも食べないで……

約束よ……

ガブリー

ぐうう……きゃと……ら……

キャトラ

ガブリー……！

思い出6

ルーンの光が

ガブリーの手のひらに集まり――

ガブリー

ジュルルル……

炊きたてのお米となって、

固く握られていく。

アイリス

ええ！？

おにぎりになっちゃった……

キャトラ

なんでじゃー！！

ガブリー

…………ガブッ。

アイリス

食べちゃった……

ガブリー

！

ガブリー

ォィ……しい……！

ガブリー

絶妙な塩加減……一粒一粒に

それぞれ個性があって味を

引き出しあっている……

ガブリー

うう……なんて……

あったかくて優しい味……

涙が……あふれてくる……

キャトラ

なによこの展開。

ガブリー

アタイ……今まで味なんて

気にしたことなかった……

ガブリー

食欲を満たすだめだけに、

目の前の食材を……

ガブるだけだった……

――再びルーンが光を放ち、

食い荒らされた島を包み込む。

キャトラ

見て！

彼果てた草木がもとに……

大地の亀裂から植物が顔を出し、

森が生まれ、

小鳥のさえずりが聞こえる。

ガブリー

…………

アイリス

ねえ、聞いてガブリー。

アイリス

マナーを守るということは

精一杯味わうということ。

精一杯味わうということは

全身で命を噛みしめるということ。

アイリス

それは食事に関わるすべてのものに

感謝をするということ。

キャトラ

ア、アイリス……！？

ガブリー

そっか……じいちゃんはアタイに

それを教えようとしてたんだ。

アイリス

ふふ、しっかり味わうことが

最高のマナーよ。

それを忘れないで。

ガブリー

うん！　これからは

ヨダレをふいて食事を向き合い……

ガブリー

マナーを守って、

ゆっくり味を楽しむよ！

アイリス

もう、その前かけは

必要ないね。

キャトラ

お、おーう……

アイリス

さあ、基本を忘れずに。

ガブリー

うん！

ガブリー

生きとし生けるすべてのものに

全身全霊の感謝を込めて……

いただきます！

ボイス

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