温泉版マール・思い出

温泉版マールの思い出とボイス

思い出1

マール

やっほ～みんな～♪

どう？　ハッピーしてる～♪

キャトラ

ええ♪　アタシたちは、

けっこういつもわりとハッピーよ♪

マール

ひざこぞうとか、

すりむいたりしてない？

キャトラ

どこのワルガキよ。

ガレア

マール。やたらに

幸運を与えようとするのはよせ。

マール

だってあたし、

ラッキーを届ける天使だもん。

マール

努力したのに

報われてなかったら……

ラッキーあげなくちゃ！

マール

それがあたしの仕事だもん！

間違ってないでしょ、ガレア？

ガレア

間違ってはいない。が、

いつも言っている通り、

それには厳正な審査が必要だ。

マール

う～……わかってるよぅ……

ガレア

わかっている感じがあまりしない。

マール

わかってるの！

ガレアのおこりんぼ！

ガレア

怒ってもいない。

キャトラ

まぁまぁまぁ。

まぁまぁ。

まぁ。

アイリス

……ふふ。

お二人は、仲が良いですよね♪

マール

うん……いろいろあったけどさ……

マール

いまのあたしは幸運の天使だから！

先輩のガレアに認められるよう、

毎日がんばんなきゃね♪

キャトラ

毎日一緒なのね。

なにか面白い話が聞けるかしら？

マール

ガレアはねぇ、最近買った

＜バイク＞がお気にいりなの。

キャトラ

ばいく？

ガレア

ある島で作られている、

二つの車輪で走る

機械の馬のようなものだ。

キャトラ

おおっ！？　すごそうっ！！

ガレア

当然だとも……！

自動車もいいがな、

風を体で感じられるバイクは、

また爽快感が違う……！

キャトラ

うひゃ～♪　いいわね～♪

乗せて乗せて～♪

ガレア

それは出来ない。

キャトラ

えぇっ！？　どーしてよ！？

ガレア

自動車に比べると、

乗る方にも少し

技術を要求するからな……

ガレア

キャトラは……

サイズ的にも、無理があるだろう……

キャトラ

な～んだぁ……がっかり……

マール

じゃあ、

ぽっぽに乗せてあげよっか？

キャトラ

え？　いいの？

マール

ぽっぽは誰も嫌がらないよ～。

さあ、レッツゴー！

キャトラ

うひょ～い！

アイリス

いっちゃった……

ガレア

ブロウ。

ガレア

また世話になる。

よろしく頼むゼ……！

思い出2

マール

ぽっぽ～、ぽっぽはぽっぽっぽ～♪

マール

ぽっぽ～、ぽっぽは豆が好き～♪

アイリス

ごきげんね、マールさん♪

キャトラ

いまはガレアはいないのね。

マール

おでかけだって～。

あたしはぽっぽとお留守番～♪

キャトラ

うむうむ、ぽっぽぽっぽ……

キャトラ

じゃないわ！！！

マール

うひゃあ！？

急に大きな声出してどうしたの？

キャトラ

言いたいことがあるからよ！

マール

なぁ～にぃ～？

キャトラ

ぽっぽはね……

キャトラ

ハトじゃないわ！！

マール

なーんだ、それは

知ってるよー。霊鳥でしょー？

キャトラ

知っているのなら、

そのハト扱いをおよしなさい！

マール

なんで？　ぽっぽは

お豆が好きなんだもんねぇ？

ぽっぽ

…………

マール

ほら。

キャトラ

たしかに、そうパクパク食べてる

姿には、説得力も

あるけれど……

キャトラ

もっといきものを大切に！

マール

してるってばー。

毎日ブラシもかけてあげてるし、

一緒にお散歩にも行くし。

キャトラ

むむむむ……！

アイリス

キャトラ……

マール

あたしとぽっぽは

仲良しだもんね～♪

ね？　ぽっぽ？

ぽっぽ

…………

マール

あれ～！？　どこいくのよー！

待って～！

キャトラ

ふむ……

この関係なら、いいのかもね。

アイリス

どうしてそう思うの？

キャトラ

ぽっぽは自分とマールが

対等だと思ってるみたいだからね。

キャトラ

それなら問題ないわ。

アイリス

（そういうことなのかなぁ……？）

思い出3

マール

……うーん……んぅ～……

キャトラ

あら、今日はぽっぽもいないのね。

アイリス

うんうんうなって、どうしたの？

マール

ガレアに宿題を

出されちゃってさぁ……

アイリス

宿題？

マール

『あるところにとっても報われない
二人がいました』

マール

『ですが…一人に幸運を

あげると、もう一人が

不幸になってしまいます』

マール

『どうしたらいいでしょう？』

……だって？

アイリス

……うーん、それは……

キャトラ

問題がはたんしてるわね！

キャトラ

たとえ話過ぎるわ！

この世に、まるっきり

おんなじ人なんていないし！

キャトラ

もっと条件がなければ、

答えなんて出せないわね！

無理なぞなぞよ！

アイリス

キャトラ……

マール

ガレアが言いたいのは、

そういうことじゃ

ないんじゃないかな～？

キャトラ

……まあね。

アタシも本当はそう思うわよ。

マール

……多すぎる幸運がさ……

どんな事態を起こすかは、

前のことで知ったよ……

アイリス

……あのとき、あの子たち、

食べ物は手に入れたけど、

回りの人を不幸にして

しまったものね……

マール

うん……

必ずってわけじゃないけど、

幸運は偏りやすいらしいから……

マール

でも……

だからって、二人とも

報われないままなのも嫌だし……

アイリス

マールさん……

マール

……考えてみると、

あたしってとっても

偉そうだよね……

キャトラ

え？

そんなことないと思うけど？

マール

ううん……だって、

あたしの行い一つで、

誰かの運命が決まるかも

しれないんだよ……

アイリス

……そういえば、ガレアさんは……

アイリス

（……選んだのよね。

マールさんを。マールさんの

お母さんじゃなくて……）

マール

ガレアは……あたしのために、

……本当に辛かったと思うけど、

決断したんだよね……

マール

もしも……前みたいに、

何もわからずにやるんじゃ

なくってさ。

マール

いまのあたしが……

他に、どうしようもなくなった

ときには……

マール

ガレアみたいに……

……傷つく覚悟、あるかな……

キャトラ

……今日はずいぶん真剣なのね。

マール

しっけいだなー！

いつだって真剣だよー！

キャトラ

ほらほら。

やっぱりマールは

明るい方がいいわよ。

アイリス

でも、宿題……

マール

う～ん、まだ答えは出なそうだし、

今考えるのはこのくらいに

しとくよ～。

キャトラ

おお！？　じゃああそぼ！

マール

うん！

マール

（でも……いつか……）

思い出4

キャトラ

ガレアはわかってないわ。

ガレア

いきなりなんだ？

キャトラ

世の中ね、アンタみたいに

考えるのが得意な

ひとばっかりじゃないの。

キャトラ

アタシやマールみたいに、

おばかもいるんだからっ！

アイリス

（キャトラ、自分で……！）

ガレア

ふん……潔いことだな……

たしかに、キャトラの

言う通りだろう。

ガレア

だが……必要なことだ。

考えるのは、

早ければ早いほどいい。

キャトラ

そうかしらねぇ～……？

ガレア

失敗を繰り返してきた、

先輩からの言葉だぞ？

キャトラ

むぅ……

マール

ガレアー！

ガレア

……どうした？

マール

なんか、胸がチリチリするから、

出かけてくるねー！

ガレア

……ちりちり？

マール

いくよ！　ぽっぽ！

ガレア

…………

キャトラ

相変わらず感覚で生きてるって

カンジよね、マールってば。

ガレア

……不運に

気づいたのかもしれない。

キャトラ

へ？

ガレア

忘れたのか。

俺たちは、ある程度

＜運＞の量を感じ取れる。

ガレア

こう見えても

＜幸運の神＞だからな。

キャトラ

そうだったわね。

ガレア

……しかし……妙だな……

ガレア

いや……まさかな……

…………

……

マール

なんか……

なんだろ……このカンジ……！

ぽっぽ

…………

マール

……ぽっぽは、わかるんだね……

行かなきゃいけないところが……

ぽっぽ

…………

マール

うん……お願い……！

思い出5

マールを乗せたぽっぽは、
とある孤島に辿り着いた。

マール

！！

そこには、一人の男が
倒れていた――

マール

おじさん！　大丈夫！？

商人

……？

誰だ……？

マール

こんなところに一人で……

遭難？

船が嵐にでも巻き込まれたの？

商人

ああ……そうさ……

……必死でかき集めた積荷も……

……海の底だな……

マール

そんな……！

……あたしのラッキーで、

どうにかなるかなぁ……？

商人

……？

よくわからんが……

船が沈んで、良かったのさ……

マール

え？

商人

運んでいたのは、武器だからな……

マール

……！？

――相手を選ばず、兵器を届ける
＜死の商人＞――
それが男の生業だった。

商人

……私など、ここで果てるなら

それでもいいと思っていた。

商人

……生きて帰れば……

私は、人間同士に

殺し合いをさせる。

商人

それが私の仕事だ。

家族や部下もいる。

やめることは出来ない。

マール

…………

商人

私がいなくなっても、

戦争がなくなるわけでないが……

束の間、休戦は訪れるだろう。

商人

だから……

どちらでも良かったのだ。

マール

……そんな……

なんでそんなことが……

商人

お嬢ちゃん。

人間は、綺麗な仕事だけを

するわけではない。

商人

知れば反吐が出るような……

そんな職業だって、

決して少なくはないのさ……

マール

なんで……どうして……？

商人

さあてね……

考えないことにしたよ……

私は……

マール

…………

商人

……お行き、お嬢ちゃん。

私のことは、

見なかったことにして。

マール

そんなこと……出来ないよ……！

商人

……なら、どうする。

私は、生きている限り、

罪もない人々の暮らしを脅かすぞ！

マール

……！

商人

行け！　行くんだ！

思い出6

商人

……この光は……？

マール

――あたしは――

商人

……？

マール

みんなが――ハッピーがいい！

マール

みんなみんな――

ハッピーがいいの！

商人

お嬢ちゃん……

マール

おじさんは、間違ってないけど……

マール

おじさんがいなきゃいけない

この世の中が

間違ってるのッ！！

商人

！！

マール

み～～～んな……

ラッキーに、なってよ……！！

…………

……

マール

――ガレア～！

はやくはやく～！

追いてっちゃうよ～！

ガレア

そう急ぐな。

物事には適正な速度がある。

マール

だってこれが

ぽっぽの普通なんだも――！？

マール

ひゃ～！

ぽっぽ、そんなに

とばさないでぇ～！

ガレア

…………

ガレア

……思った以上に、

早いものだな……

成長というのは……

…………

……

商人

……わかった。

国に戻ったら、働きかけてみよう。

商人

他国の戦争で儲ける仕事より……

それを減らすための

仕事はないか……

商人

……考えてみるとしよう。

諦めずに、な……

マール

うん！　それがいいよ、おじさん！

マール

よかったね、ぽっぽ！

あたしって、ラッキ～♪

ガレア

……ブロウに感謝しろよ、マール。

マール

あ！　ガレア！

さっきの光だね！

うん！　おかげで助かったよ！

マール

いや～、あたしが一番

ラッキーだったみたいだね♪

あはは、ラッキーラッキー♪

…………

……

マール

ぽっぽ～～～～！

は～や～い～よ～！

ガレア

…………

ガレア

あの男は本来、考えを変えるような

小者ではなかっただろう。

ガレア

――それを曲げたのだ。

マール自身が、

幸福になることで――

ガレア

それが、どれほど多くの人間に

影響を与えたのか……

ガレア

……本当に、

とんでもないことなんだぞ、

マール……

ガレア

――幸運の女神、か――

ガレア

そう呼ばれる日も、

遠くないかもな……

マール

ガレア―！

ぽっぽに怒ってよー！

ぽっぽったら、あたしが嫌がること

ばっかりするんだよー！

ガレア

……そうか、ぽっぽ。

ガレア

空には制限速度がないと

思いがちだが、

実はそうでもなくてだな……

マール

え～～～！？

そういう怒り方なの～～～！？

ガレア

冗談だ。

……まだまだ子供だな、マール。

マール

も～！　いまに見てろよー！

ガレア

……ああ。お前の成長を、

楽しみにしているよ――

ボイス

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