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クリスマス版ディオニス・思い出

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動画

思い出1

じんぐるべ~る、じんぐるべ~る、

じん――あ、ディオニスじゃない!


ふむ。キャトラにアイリス、

それに主人公か。

メリークリスマスだ。


はい。メリークリスマスです。


めり~くりすま~す♪


うむ。お前たちは楽しそうに、

過ごせているようでなによりだ。


そんなの当然でしよ。

今日はクリスマスなんだから♪


ああ、そうだな。


あの……ディオニスさんは、

楽しめていないんですか?


いいや。そんなことはない。だが、

俺は守らなければならないモノが

あるのでな。


守るってなにをよ?


このクリスマスの平和をだ。


クリスマスの平和……ですか?


今日、クリスマスは『愛の日』……

ゆえに、誰にも悲しい思いをせず、

過ごしてほしいのだ。


そのためには、このクリスマスを

俺が守らねばならん。


いや、でも、クリスマスを守るって、

どうやるのよ?


そうだな。まずは、

この楽しげに弾む空気を守ろう。

そのためのフォーマルアーマーだ。


……なるほど。その鎧なら

雰囲気は守れそうですね。


たしかに出来そうだけど、

それ普通の服でいいじゃん。

鎧だと寒いんじゃない?


心配は無用だ。

寒さ対策はすでに施してある。


……対策してまで着るって……

まあ、いいけどね。


皆が笑顔で過ごせる

ー日になるように、

俺は全力を尽くそう。


ディオニスさん……


さあ、お前たちは安心して、

このクリスマスを楽しんでくれ!

思い出2

パーティーの会場へ向かう中、
強く冷たい風が
アイリスたちへと吹き付けた。


きゃっ!?


む、北風か。アイリス、

マントの陰に入るといい。

俺がそなたを守ろう。


あ……ありがとうございます。


いいや気にするな。

レディの守護は紳士の義務だ。


は、はあ……?


うう……アタシも寒いんだけど。


無論、キャトラたちも守ろう。

さあ、俺の後ろへ。


は~、よいこらっさっさ~

よいさっさ~、

今宵は今宵のベルが鳴る~♪


あ、レンファさんね。


本当だ。でも、

こんな所でなにしてんのかしら?

……レンファー!


――え?あれ、みんな?

な、なに、どうしたの?


それはこっちのセリフよ。

こんなところでなに踊って……

って、アンタ震えてるじゃない。


え!? そ、そんなことないわよ!?


いや、あきらかに震えてるって。


それに唇も青くなってますよ?


あ、う……ちょっとだけね。

ちょっとだけ寒くて……


もしかして……

それでずっと踊ってたんですか?


ほ、ほら、体を動かしてたら、

あたたまるでしよ?


そりゃそうかもしれないけど……

その服じゃ、頑張っても寒いわよ。

着替えたらいいじゃない。


でも、このドレス……ママが

クリスマスプレゼントで

贈ってくれたものだから……


ああ……だったら着替えるのは、

ちょっと嫌よね。


そのドレス、

レンファさんに似合ってるしね。


そ、そう?

ありがと……すっごく嬉しい♪


ふむ。ならば、着替えることなく、

この寒さを防げばいい。


そんなの出来るの?


……レディ、その震えを

俺がとめてさしあげよう。

……さあ、これを受け取りなさい。


ディオニスは鎧の内側から、
いくつものカイロを取り出して
レンファに手渡した。


はあ~……あったかい……

でも、いいの? もらっちゃって。


ああ。母のドレスを着て、

今日―日を笑顔で過ごすといい。

俺の願いはそれだけだ。


あ……ありがとう。

そうだ、ウチ、お礼に踊るわよ!


では、会場で一曲お願いしよう。


ええ! 楽しみにしててね。


ディオニスさんとレンファさん……

踊りの意味が違ってる気がするけど

……いいのかな?


いいんじゃない。

それもパーティーらしいじゃない♪

思い出3

お~! どこもかしこも

キラキラになってる~!

あはは! おもしろ~い!


元気すぎる声だと思ったら、

エシリアじゃない。


彼女はとてもいい笑顔をしているな。

子供はこうでなくては。


あ、チェシヤとアイリスだ!

それに主人公もいる!

エシリアと遊びにきたの?


みんなでクリスマスパーティーの

会場に行くところなんですよ。


パーティーなら、

エシリアも行くところだよ~!


そうなのね。

それじゃ、いっしょにいく?


あはは、なにこれ~!

服みたいな鎧? 鎧みたいな服?

へんなの~!


って、ひとの話を聞きなさいよ!


ぴた~!


ひやあああああああ一!!


あははは~!

チェシャが跳び上がった~!


そんな冷たい手で、

いきなり触られたら、

びっくりするに決まってるでしよ!


へっくちゅん!


うう……ずずっ。


え、ちょっと?

アンタ風邪でもひいた?


体が冷えただけかも。

エシリアちゃんの手も冷たいし、

外で遊ぶのは止めたほうが……


ええ~! エシリア、

まだまだ遊びたい!


気持ちはわかるけど……でも……


この小さなレディの笑顔は、

俺が守ろう。その手には大きいが、

この手袋を使うがいい。


……ディオニスは
身につけていた手袋を外すと、
エシリアの手にかぶせてやった。


……ほわあ~。いいね、これ!

ありがとう!


うむ。だが風邪には気をつけろ。

病気になれば、なにも楽しめん。

この後のパーティーもな。


あ、そうだね!

わかった、気をつけて遊ぶ!


それがいいだろう。

では、また後で会おう。


うん。また後でね、キング~!


…………


ディオニスって、

子供の扱いが上手かったのね。


そのようなつもりはなかったが、

子供は国の宝だからな。

大切にせねば。


お前たちも、風邪には

気をつけるのだぞ。


はあ~い♪

思い出4

……光栄に思うがいい。

お前を、この我の花嫁にしてやる!


う~ん……だめだ。

まだインパクトが薄いな……

もっと僕の威厳を見せつけて……


……なにしてんのよ、アンタ。


――うわあああ!?

って、アイリス!?

い、今の見てたのか!?


……えっと……ごめんなさい。


こ、これは違う!

別にパーティーにそなえて

練習してたわけじゃないぞ!


ああ、うん。そうね。


なんだよその目!

全然信じてないだろ!


ダイジョブよ。信じてる信じてる。


ぐぬぬぬ……!

やっぱり信じてないな!


少年よ、なぜ誤摩化すのだ。

君はなにも恥じることはない。


ふん、人間風情が知った口を――


自らを高めるために、

より良き道を常に模索する。

それは崇高な行為だ。


……なに?


……そ、そうかしらぁ?


キャトラ。


俺は同じ男として、

君にひとつ、アドバイスをしよう。


少年。女性に想いを伝えるなら、

もっとエレガントに。

そして大切なのはまごころだ。


え、エレガント……まごころ……


女性に振り向いてほしいなら、

男には包み込むようなぬくもりが

必要なのだよ。


……我は吸血鬼だ。

その我に、ぬくもりだと?

なにを馬鹿げたことを……


……フッ。

なにも馬鹿なことではない。


――え?


うつむいているメルクリオに、
ディオニスは自分のマフラーを外し、
そっと巻いてやった。


あたたかい……ハッ?!

まさか、これがお前の言う

くぬくもり>なのか!?


え!? それでいいの!?


そのまごころが伝われば、

少年がなに者であっても

それは小さな問題だろう。


……ふん、一つ貸しが

できたようだな、人間。


この<マフラー巻き>は、

我が花嫁をめとる足ががりとして

受け取っておこう。


うむ。貴公のクリスマスが、

よき一日になるよう祈ろう。


ふん……お前もな。


…………
………


なんかいい話っぽいけど、

子供をたさ付けただけよね。これ。


思い出5

……クッ! これは……もしや……


いきなり倒れ込んだディオニスを、
主人公が支えた。


え? ディオニスさん?


ちょ、ちょっと?

いきなりどうしちゃったのよ!?


……か、体が……うまく動かん……

それに……クッ……


なに? なんなのよ?


…………さ……


さ!?


……寒い……


わかった! 寒いのね!

寒いなら……え? 寒いだけ?


う、うむ……

体の震えが……止まらん……


びっくりしたじゃない! もー!


でもキャトラ、

ディオニスさん、すごく寒そうよ。


ええ!? だって、防寒対策は

出来てるって言ってたじゃない。


たしかに防寒対策はしてあった……

しかし皆のクリスマスを守るため、

それらは使用してしまったのだ。


ああ!! アレが防寒対策だったの!


それをみんなに配ったから……


……まさか、このような目に

遭おうとは……不覚であった……


……不覚っていうか、

自業自得っていうか……


クツ……このままでは、皆が楽しむ

クリスマスを守ることができん!

俺はいったいどうすれば……


その前に、

自分のことが先でしよ!


このままだとディオニスさん、

凍えちゃうもんね。

主人公お願い!

思い出6

これは……ルーンの光……

そうか主人公か……

またお前に守られたのだな。


うむ、心配をかけた。

まさか、ここまで寒さへの

防御が下かっていたとは……


大丈夫ですか?


いくら見た目が服でも、

鉄の鎧は冷えますから……


冷たくなってきていたのは、

気づいていたのだがな。


アンタねえ……

冷たいなら脱げばよかったでしよ!


ぬげ、だと!?

なにを言う。この鎧がなければ、

クリスマスを守ることなど――


できてたじゃない。


――なに……?


今日のディオニスは鎧の性能で、

みんなを助けたわけじゃないし。


それって、鎧のあるなしじゃなくて

ディオニス自身の力で

クリスマスを守れるってことよね。


ッ!?


…………そ、そうか……俺は……

自分の力で守れたのか……


必要なのは鎧ではなく、

俺の意思と行動だけだったと……

フフ……フフフ……


あ、あれ?

アタシ、なんか変なこと言った?


いいや。そんなことはない。

それに俺は今、感謝しているのだ。

お前からのプレゼントにな。


アタシ、なにもあげてないわよね?


いや。もらったとも。

お前は俺に気づかせてくれた。

俺が……俺自身が守護の力だとな。


……え、あれ?

そんな話だったっけ?


まあ、いいじゃない。

ディオニスさんが感謝してるって

言ってるんだから。


そ、そっか。そうよね!


今はたいした礼も出来んが、

せめてこの胸に灯ったぬくもりを

受け取ってくれ、キャトラよ。


あ、うん。いいわよ!

って、え? なに?


ディオニスはキャトラの
真つ白な体に手を伸ばすと、
包み込むように優しく抱きしめた。


ぎいにゃああー!!

つめたあああ一一い!!


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コメント (クリスマス版ディオニス・思い出)
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  • 最終投稿日時 2015年12月08日 17:51
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