猫耳朶・物語
一 天気晴朗・壱
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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ゆらゆらと紗のカーテンが太陽の下で優しく揺れ動き、コーヒーの芳醇な香りが漂う。
スイーツの甘い香りと、陽気な世間話に溢れたティータイム。
その中には時々、軽いため息も聞こえて来る――
春巻
「くっ……」
「はぁ…」
【選択肢】
・どうかしたの?
・ため息をつくと幸せが逃げるよ
選択肢
どうかしたの?
春巻
「青団子たちと春のピクニックに行くって約束していたのですが、足を怪我してしまいました」
ため息をつくと幸せが逃げるよ
春巻
「うぅ…若様の言う通りですが…」
「春のピクニックに行けなくなると思ったら、つい悲しくなってしまって…怪我をしなければよかったです…」
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そのとき、猫耳朶が春巻の背後に現れ、テーブルにスイーツを置いた。
猫耳朶
「はい、春の日限定メニュー!春巻だけの特別ミルクセーキにゃ~」
春巻は興味深くさまざまな角度でスイーツを観察し、信じられないとでもいうように目をこすった。
春巻
「フリージア、カモミール、白いシャクヤク…」
彼の目の前には、細長い瓶に注いだミルクセーキがあった。
上部には花が咲き、緑色の蔓がクリームから瓶の底まで伸びている。
春巻
「わあ、花束みたいですね!」
そして、猫耳朶は素早く「花束」の隣にコーヒーを置いた。
春巻
「きれい…、マグカップに半鐘蔓が浮かんでいますね!」
悲しいことをすっかり忘れた春巻は、花とコーヒーの香りに浸っている。
春巻
「甘くておいしいです…芝生や湖に咲いているお花を見た気分です…。流石です、猫耳朶お兄さん!」
トレイを脇に挟んだ猫耳朶は、春巻のあたまをそっと撫でた。
猫耳朶
「こんなに春の要素を見つけるなんて、春巻は素晴らしい才能をもっているにゃ」
「若様の感想も聞かせてもらえたら嬉しいにゃあ」
【選択肢】
・ミルクセーキについて聞く
・コーヒーについて聞く
選択肢
ミルクセーキについて聞く
猫耳朶
「飾り花に興味があるのにゃ?」
「これらの花は爽やかな色合いで、緑の葉っぱは食欲を増進させる効果があるにゃ~」
コーヒーについて聞く
猫耳朶
「これは…バニラコーヒーにゃ」
「きれいな磁器に漂う花、透き通った水のように見えるにゃ」
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猫耳朶
「さて、春巻の悩みは一時的に解決したにゃ…」
猫耳朶は願いかけ便箋にチェックを入れ、願いかけスペースにあるもう一枚の便箋に目を向けると――
猫耳朶
「吉利エビの悩みは…情熱的な愛に欠けている…にゃ」
吉利エビ
「ここ数日…恋愛エネルギーがちっとも感じられません!もう厨房で働く気力もないですよ!」
「猫耳朶の特製ドリンクを飲み続けると、素晴らしき恋に出会えるって龍須酥が言っていましたが――」
「まだ一度も実現してないんです…」
猫耳朶
「若様、どうやら吉利エビがすごく悩んでいるみたいですにゃ」
「彼の力になりたいのですが、若様に何かいい案はありますにゃ?」
【選択肢】
・恋愛ガイドブックを薦める
・ラブロマンス映画を見る
選択肢
恋愛ガイドブックを薦める
猫耳朶
「ああ、若様はそのような本も知っているのですにゃ…」
「白さんの『マーフィーの法則と吊り橋理論が異性交遊の実際応用について』?」
「各年代女性のいい男性基準や、種族別の最高攻略法もはっきりと書いてあるにゃ!」
「しかしその裏表紙には…「恋愛ガイドブックですが、恋は本から勉強できるものではありません」と書かれていますね」
ラブロマンス映画を見る
猫耳朶
「食事中にラブロマンス映画の鑑賞…若様は本当に、ロマンチストですね~」
「いい考えですにゃ、試してみましょう」
猫耳朶はしばらくの間カウンターを探り、DVDを何枚か持って来た。
猫耳朶
「どれどれ…『哀愁』、『タイタニック』に『ゴースト/ニューヨークの幻』…」
「うーん、定番のラブロマンス映画はほぼ悲劇…
このようなものを見たら、逆効果かもしれないにゃ」
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猫耳朶
「うぅ…やはり恋の味がするコーヒーを淹れてあげましょう…」
「腕前には自信がありますにゃ」
「僕にとって、コーヒーはただのコーヒーではありませんからにゃ」
「みなさんも僕の手料理を食べたときは、暖かい愛情が感じられると嬉しいですにゃ」
「お客様の幸せは、晴れの日みたいな素晴らしいものですからにゃ~」
吉利エビ
「この恋味のコーヒーを飲んだら…いい考えが浮かびそうです!」
「魅力的な食魂たちのまねをしたら、女運が上がるかも知れません!このように――」
「コホン…よお、べっぴんさん。ボクの香りが好きなのかい?じゃあもっと近寄ってきたら…ん?」
そのとき、風鈴が鳴り響いたとともに、願いかけスペースから一枚の便箋がゆらりと落ちた。
吉利エビ
「わぁ、本当にべっぴんさんがいらっしゃいました!」
黄色い服を着た女性が、彼らの前を通り過ぎる。
清楚な美人だが、顔色が悪く、体から苦い薬の匂いがした。
黄色い服を着た女性
「私の便箋…風に吹き飛ばされてしまいましたか?」
猫耳朶
「今すぐ拾いますにゃ」
「ご心配には及びません。どんな悩み事でも、必ずいい案を出しますにゃ…」
その便箋を読むと、猫耳朶の手が思わず震え始めた。
猫耳朶
「「一度だけでもいいから、この鴬は一生をかけても、その玉麒麟の人に会いたい」杭州の鶯より…あれ、これって…」
黄色い服を着た女性
「いいえ、気にする必要はありません。…これはただの贅沢な望みですから」
「はぁ…まだ生きているこの時間に…もう一度あの人に会えるのであれば、死んでも構いません」
何か悲しいことを知ったように、猫耳朶は顔を隠してテーブルの隣に座った。
猫耳朶
「どこかで会ったような気がしますが…まさかにゃ…」
【選択肢】
・どうしたの?
・知り合い?
選択肢
どうしたの?
猫耳朶
「ああ、これは…参りましたにゃ」
知り合い?
猫耳朶
「知り合いというべきかな…けど、彼女が本当に実在する人物とはにゃ…」
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猫耳朶
「お嬢さん…そう落ち込まないでください。今はたぶん僕のことを覚えていないかもしれませんが、このことは…僕にも責任がありますにゃ…」
「何としても、力を貸してあげますにゃ!」
猫耳朶はその客をなだめた後、気分転換をするために荘園に来た。
猫耳朶
「あの時の善意が、今となって苦果になるとはにゃ…」
吉利エビ
「善意?苦果?」
猫耳朶
「はあ…いつもはみなさんの悩み相談に乗っていますにゃ…今回は僕の悩みを聞いてくれませんか?」
【選択肢】
・もちろん!
・あなたにも悩み事があるの?
選択肢
もちろん!
猫耳朶
「あっさりと承諾してくれましたにゃ」
「理解してくれてありがとうございます…。その心遣い、今の僕にとって本当に大事なものですにゃ」
あなたにも悩み事があるの?
猫耳朶
「当然ですよ。医者だって病気になりますにゃ」
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猫耳朶
「リアル過ぎる夢を見たのにゃ」
「元々は…ただの夢に過ぎないと思っていましたが、今日空桑食堂で、夢に出た彼女に会いましたにゃ」
「しかも彼女は、ずっと夢の件で苦しんでいましたにゃ…」
二 天気晴朗・弐
◆主人公男女共通◆
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雲の隙間から差し込んだ陽光が甲板にあたり、まるで砕けた黄金のように眩しかった。
猫耳朶
「スー…スー…」
手足を丸めて昼寝を楽しんでいる猫耳朶の肩が、少しずつ舟の端へと滑っていく…
猫耳朶
「ひゃあーっ!!」
「だ、誰か助けてください!僕は泳げないにゃ!」
その声を聞いてか、船倉から何名かの護衛が出てきた。しかし猫耳朶を見た瞬間、彼らはつまらなそうな表情を浮かべた。
護衛
「チッ、何かと思ったら、ただ猫が水に落ちただけかよ」
「さっさと仕事に戻るぞ!こんなことで見張り番をサボって、四爺さまにバレたら損するだけだぜ!」
【選択肢】
・猫ではありませんにゃ!
・助けてにゃ!
選択肢
猫ではありませんにゃ!
猫耳朶
「み、見てください…僕の手には肉球がついていないにゃ!」
「ぐぷぷぷ…もう水はやだ、このままじゃ溺れ死ぬ…早く高いところまで行かないと!」
護衛
「ほう、この猫、水が苦手らしいぜ。高い所まで行く気か?」
助けてにゃ!
猫耳朶
「人助けすると報われるって!誰でもいいから、ぐぷぷぷ…たすけてくれにゃ!」
護衛
「にゃーにゃーにゃーにゃーうるさいな。早く船を出せ。四爺さまが邪魔されないようにな!」
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猫耳朶
「一体どういう事ですかにゃあ!さっきまで街で昼寝をしていたのに、目覚めたらこんな古代漁船の下にいるとはにゃ……」
「それに、冷たく猫として扱われるなんて……これが悪夢なら、早く目覚めたいですにゃ…」
舟から子供の声が聞こえ、猫耳朶のそばに縄が投げられた。
女の子
「猫ちゃん!縄につかまって、よじ登って来て!」
女の子
「可哀そうな猫ちゃん…。びしょぬれだ…寒いでしょうね」
子供はコートを手に取り、震えている猫耳朶を覆った。
護衛
「漁師の娘よ。この猫の世話をして、舟上の魚が盗まれないように気を付けるんだぞ!」
女の子
「本当に冷たい人ね!おじいちゃんも言ってたよ、人助けをする者は幸せになれるって!不運を招くこともないんだよ!」
猫耳朶
「……」
見る見るうちに、垂れ込める黒い雲が日を遮った。
次から次へと来る激しい波は舟を揺さぶり、前進することを拒む。
猫耳朶
「野良猫扱いされて、こんな悪天候になって…はぁ、ついてないにゃ!」
「厨房から妙な動きがする…」
【選択肢】
・もう少し待つ
・行ってみよう
選択肢
もう少し待つ
猫耳朶
「今の状態では何もできないし、もう少し待とう」
「けど、あの助けてくれた子は…何か悩み事でもあったのかにゃ?」
行ってみよう
猫耳朶
「あの子の言う通りですにゃ、人助けをする者は幸せになれる…」
「僕も自分から行動をして、悪い事からいい人を守ってみせます!」
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窓を覗くと、女の子の前に立っている、豪華な服を着た青年貴族の姿が見えた。
猫耳朶
「あの様子じゃ…護衛たちが言っていた四爺さまなのかにゃ?」
四爺さま
「舟の方をほっといて、ここで何をしている?」
女の子
「あっ…みんな寒がっているかもしれないので、温かいお粥で体を温めてあげようと…」
青年貴族の顔は、寒さで青白くなっているが、その傲慢な表情は変わらなかった。
四爺さま
「あいにく、お粥を食べる気分じゃない。機嫌を取りたいなら麺でも作ってくれ。そっちのほうがマシだからな」
女の子
「麺粉ならあるけど、出汁になる食材がたりないよ…。どうしたらいいんだろう…」
猫耳朶
「あの四爺様…少し理不尽ですにゃ。人の厚意を機嫌取りと勘違いするなんてにゃあ……」
「何事も、腰を据えて、ゆっくりと話し合えばいいのにゃ」
「厚意でやったことに難癖つけられるなんて、あの女の子、可哀そうだにゃあ……」
「そうだ! 背中を押してあげれば、二人ともお互いの気持ちを知るかもしれないにゃ~」
厨房を見渡し、猫耳朶は役に立ちそうなものを探している。
猫耳朶
「麺……麺か……出汁がない麺もあるにゃ!」
女の子
「猫ちゃん? 麺粉なんてくわえてどうしたの? ……クリームと砂糖まで!」
【選択肢】
・手伝いに来たにゃ!
・にゃ~
選択肢
手伝いに来たにゃ!
猫耳朶
「麺の作り方を教えてあげましょうにゃ! ……彼らにとって僕はただの猫か……」
「ここはやはり、直接的に行動で教えたほうがいいですにゃ」
にゃ~
猫耳朶
「仕方ないのにゃ。猫扱いされたなら、その役をちゃんと演じましょうか!」
「麺料理の指導を、行動で説明してあげましょう!」
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女の子
「揚げ麺を作るの?わ、私も手伝う!」
食魂の指導を受け、女の子はすぐに黄金色に揚げた麺を作り上げた。
四爺さま
「猫が麺の作り方を教えてくれただと…?」
不思議な出来事に驚いた貴族は、気を緩めて箸で揚げ麺を口に入れた。
四爺さま
「……」
猫耳朶
「もう少し素直になってもいいのにゃ~。顔色は三月のお日様より暖かいくせに、また黙り込んじゃって~」
四爺さま
「あなた、名前は?」
女の子
「鴬…鴬です!」
優しい南風に撫でられたように、貴族が少し微笑むと、その傲慢さは消えていた。
四爺さま
「よい名前だ。この揚げ麺は猫耳朶という名を付けよう。この玉麒麟はその証としてあなたに贈ろう」
猫耳朶
「いいですね~。二人で座って話しながら、湖の雨景色をみましょう~」
「おかしいですね。この子、顔が真っ赤ではありませんか…。あっ、しまった! これって、その人に気があるってことですかにゃ!?」
吉利エビ
「雨の日に一目惚れ…とてもロマンチックですね!どうして困っているんですか?」
猫耳朶
「はぁ……悲しいことに、あれは身分違いの片思いですにゃ……」
「あのとき、間違ったことをしたのではないかと、今でも思っているのにゃ……。船頭の平民と船渡りの貴族を座らせたから……」
「漁師の子は叶わぬ恋に焦がされ、貴族の名前を知ることすらできませんでした」
「彼女の体は状況がどんどん悪くなって、今年まで耐えられるかどうか……」
「暖かい猫耳朶で人助けがしたいのに、結局災いをもたらしてしまったのでしょうか?」
「このことを思うと、切なくて辛いですにゃ……」
その後、猫耳朶はひとりであの子を宥めることにした。
毎日人探しに精を出している猫耳朶は、機嫌も悪そうで、作り上げたコーヒーの風味も昔より劣っていた。
猫耳朶
「この味……うーん、ダメですねぇ……渋すぎますにゃあ。ああ、角砂糖を入れたら甘すぎるにゃ」
「吉利エビの特製ドリンクに、特別に女運要素を多めに……やや、逆に害になるかもしれないにゃ! やっぱり、やめておきましょう!」
龍須酥
「貴方……不運な顔をしていますね」
猫耳朶
「龍須酥? こんな時間に出かけるのにゃ?」
龍須酥
「この季節は、欽天監の視界が格段にいいですから、徹夜して天体観測するには丁度いいのです」
肌寒い夜風に吹かれ、猫耳朶は龍須酥を追いかけると、温かいコーヒーを彼に渡した。
猫耳朶
「はい、オーダーしていた特製ドリンクですよ~! 徹夜にはこれが最適ですにゃ」
龍須酥
「……」
「……若様は貴方の運勢について、全て話してくれました」
【選択肢】
・気遣ってくれて、ありがとう
・助けを求められているのだろうか?
選択肢
気遣ってくれて、ありがとう
猫耳朶
「この前言ったこと、まだ覚えてくれていたんですかにゃ……」
助けを求められているのだろうか?
猫耳朶
「僕の悩み事をみなさんに話して、力になって欲しかったんですにゃ」
共通
猫耳朶
「何か心当たりはありますかにゃ?」
龍須酥はテーブルに置かれた玉麒麟を見て、首を横に振った。
龍須酥
「『天機洩らすべからず』……それは、言えません」
「欽天監に暫く滞在することになったので、コーヒー粉を貰ってもいいですか?」
三 天気晴朗・参
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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猫耳朶
「3番テーブルのアイスクリームコーヒー、5番テーブルのかぼちゃ餅と抹茶…」
猫耳朶はけりをつけるために、何度も遠出をして人探しをしたが…
あの貴族について何の情報も掴めず、漁師の子の体も悪化する一方だった。
猫耳朶
「コップを割ったのは何回目にゃ…」
「僕は一体どうしたのでしょう…」
「あの事を思い返すと、手足が鉛のように重くなるにゃ…」
「あの四爺さまが見つからなかったら、このままずっと落ち込んでしまい…」
【選択肢】
・皆もついていくよ!
・助けを求めるべきだよ
選択肢
皆もついていくよ!
猫耳朶
「……!」
「若様…こんなにも多くの食魂を連れて、一体…」
助けを求めるべきだよ
猫耳朶
「助けを…?そうかもしれませんが…誰に助けを求めればよいのでしょうか?」
「若様!?こんなにも多くの食魂を連れて、一体どこへ行くつもりですか?」
共通
徳州扒鶏
「とにかく、状況はおおむね把握しています。警務部の皆さんの力も借りて、人探しに協力します。」
宮保鶏丁
「情報収集は私たち行政部に任せてください。」
餃子
「鶯さんの病気は私が診ているねぇ~」
猫耳朶
「みんな……」
春巻
「朶朶にいさん、遠足部の皆さんとカフェの手伝いに来ましたよ!」
食魂だけではなく、カフェに通う食通たちも、人探しを手伝ってくれた。
食通
「ほら、どんな男か、詳しく話してくれ!」
食通
「ええい!四爺だろうが五爺だろうが、耳兄のために何としても探し出せ!あの子の願いも叶えてやる!」
猫耳朶
「みなさん…ありがとうございます!」
「いつも、みんなが悩みを打ち明けてくれました。
そして今回は、僕が悩んでいる時にみなさんが駆けつけてくれたにゃ…。」
「何というか…暖かみを感じました。本当は助かりますにゃ。」
食通
「気にしなくてもいいんだぜ!何と言っても、お前が淹れた美味しいコーヒーを飲めないことが一大事だからな!」
猫耳朶
「あはは…みんなが僕のことを優しく応援してくれるから、僕もやる気満々で働かなきゃ~」
数週間後
みんなのおかげで、人探しはスムーズに進んでいる。
しかし鶯の状況は、雨のせいですっかり悪化してしまった。家族は故郷にいると落ち着くと考え、彼女は実家まで戻ることになった。
今日は彼女とこの空桑食堂で会える最後の日。
猫耳朶
「お願いです……四爺さま。彼女のためにも、来てあげてください……」
「『猫耳朶』から生まれた物語ですから……やはりハッピーエンドみたいですにゃ。」
時は流れ、店に客がどんどん入ってきた…
食通
「茄子の佃煮一つで!」
「すみません、六人用の席はありますか?」
「猫耳朶ってある?」
「え?玉麒麟?見たことないな~」
しかし、あの玉麒麟の元の持ち主は終始現れなかった。
猫耳朶
「……う!」
「もしかして、また調査対象を間違えましたか?そんな…」
体の任意の位置に触れる
触れ合い
頭に触れる
猫耳朶
「若様……!僕の頭を自ら撫でてくるとは……初めてですにゃ……」
「左…、もう少し上…、そうそう~耳のあたり、気持ちがいいのです~」
「そうですね。みなさんがこうして力を貸してくれていますから、僕も張り切って踏ん張らないと…」
胸に触れる
猫耳朶
「君は…突然ここに触れて、悩み事でも聞いてくれるのにゃ?」
「でも、もう迷いはありませんにゃ。みなさんの努力はきっと実りますから。」
手に触れる
猫耳朶
「僕の手には肉球がありませんにゃ…」
「心配しないでください…君とみなさんのことを、信じていますからにゃ…」
共通
猫耳朶は期待の眼差しで店の入り口を見る。
猫耳朶
「願い事は、叶いますかね…」
彼の期待に応えるように、そこに人影が――
龍須酥
「なぜそんな目で見ているのですか。」
猫耳朶
「俺……」
龍須酥
「前にも言いましたよね。卦象は既に決定しております。信じる信じないにかかわらず、決してその結果を変えることはできませんし、疑う余地もありません。」
【選択肢】
・猫耳朶のことも理解してください!
・猫耳朶も努力したよ!
選択肢
猫耳朶のことも理解してください!
猫耳朶
「ただ疲れただけなので、心配しないでください…」
猫耳朶も努力したよ!
猫耳朶
「ありがとうございます。しかし今回は…力及ばず…」
共通
龍須酥
「予測できぬ者ばかりです…」
「欽天監に好奇心旺盛な皇子の生徒がいます。
彼は遊ぶために、勝手に王宮から抜け出しました…。」
「皆さん、どうかご注意を。」
???
「蘇先生、これぐらいはお許しください…公務がありますから、遊ぶなんて久しぶりです…」
猫耳朶
「……」
彼はまだ耳を垂らして落ち込んでいた。
???
「先生が贈ってくれた「コーヒー粉」は、公文審査の時に飲むと、効果抜群でした。」
「今回はそのコーヒーは作った職人さんを尋ねに…え?」
「この玉麒麟は…懐かしいです。」
猫耳朶
「……!」
猫耳朶は驚いて顔を上げた。
猫耳朶
「貴方は…その玉麒麟を…ご存知ですか?」
???
「忘れるわけがありません。あれほど美味しい猫耳朶ですから…もう一度食べてみたいです。」
半月後
吉利エビはドアを開け、コーヒーの匂いに満ちた小さな店に入った。
猫耳朶
「いらっしゃいませ!吉利エビ、機嫌がいいですにゃ~」
吉利エビ
「龍須酥の予言が…ついに一度当たりましたよ――
猫耳朶の特製ドリンクを飲み続けると、本当に素晴らしき恋に出会えました!」
猫耳朶
「そうですね。ハッピーエンドでよかったですにゃ。」
「あれから鶯も元気になったそうですよ。」
「あの四爺さまは、彼女が江南で店を開く手伝いをしてあげたそうです。
あの方が南下する度に、二人は会えますにゃ~」
吉利エビ
「あの店は、猫耳朶の専門店らしいですよ。これで猫耳朶の名が広まりますね!」
「あ~今まさに、愛の光を浴びています…」
猫耳朶は優しく微笑むと、ある願いかけ便箋にチェックを入れた。
猫耳朶
「これでよし。吉利エビの悩み事も解決しましたにゃ。」
「あっ、願いかけスペースにまた新しい便箋が…」
【選択肢】
・みんなに頼りにされてるね
・助手になってあげる!
選択肢
みんなに頼りにされてるね
猫耳朶
「同じ空桑にいる仲間ですからにゃ。」
「若様は?最近何か悩み事でもありましたか?あればぜひ、聞かせてください~」
助手になってあげる!
猫耳朶
「……!」
「よ、喜んで!君がいてくれれば、どんな困難でも乗り越えられる気がします。」
共通
猫耳朶
「いつだって、空桑のみなさんと一緒に、思いやりの心で助け合えることを願っていますにゃ~」
いつもの平和を取り戻した珈琲館。みんなが集まり、話が花が咲いている。
猫耳朶は生クリームを注ぎながら、窓外の景色に目を向ける。
今日も素晴らしき晴れた日だと、爽やかな風がそう囁いた。