桃花粥・手紙
半分風雅
主人公名:
春祭のことを覚えているか? あんな不思議なことが祭りで起こるなんて誰も予想しなかった。あのときは遊侠であるこのボクも行き詰まってしまってね、どうしたらいいかわからなかったが――人々は春牛のお腹にあるボクの粥を見つけた。
あの二人は本当にハッタリ屋なんだな。よくもあんな嘘をつけたものだ!あいつらは桃花島の誰よりも武侠小説では高手に見える。ひねくれ者で神出鬼没、眼差しで簡単に人を頷かせることができる――彼らが言う通り、遊侠は自分を愛さなければならない。己を信じなければならなかったんだ!
この手紙は、いつか空桑で名を知られるようになったら、君に出そうと温存していた。今度お茶で勝負するときは、また雨前龍井茶を淹れさせてくれ。
桃花粥
同袍同沢
主人公名:
ボクが怪我した君を抱きあげたのを見て、吉利工ビの奴がまた妄想してたようだ⋯⋯まったく、あいつの奇妙アホ毛を切りたくなる!
人を抱える理由はいくつもあるだろう。あいつはこんなこともわからないのか?お母さんが子どもを抱えて尻を叩くのも、戦士は敵を抱きあげることもあるだろう⋯⋯君を抱えた理由は、その可能性の中でも、比較的控えめで純潔な理由だった。
なのに、奴は絶対に変な妄想をしていた⋯⋯いつか奴も他の男に抱きあげられるときがあるだろう。そのときも、そんな風に笑えるといいな!⋯⋯あと、君がこの文句だらけの手紙を読むとき、怪我が治ってたらいいと思うよ。
桃花粥
以心伝心
主人公名:
この手紙を嗅いでみてほしい。いい匂いだろ? 数日かかって収集した「桃花エキス」を便箋に塗ったんだ。
よく見たらわかると思うが、エキスを塗ったら、乾いた紙がツヤツヤになった一ーけど手紙を書いて、君の注目を引きつけるために研究したんだと、吉利エビに揶揄された。君ならわかるだろ? そんなつまらない理由のはずがないって。でも君が寄ってくれるなら嬉しいけどな!
とにかく、吉利エビが「桃花公子が長文を書いたのは、ただ君に会いたいだけ」とか言ってきても、真に受けないでくれ!
桃花粥
金蘭之契
主人公名:
街を歩いてたら、色とりどりの灯籠や花、因縁の糸を見たぞ。どこも俗っぽい雰囲気が漂っていた。そういえば、人間界は今日、あの憎々しい祝日だったな!
そんな祝日より、寒食節こそ記念されるべきだ! そうあるべきだとボクは思っている。だが⋯⋯花の露店に通りかかったとき、不意に足を止めてしまった。それはきっと、その花屋の店員が君に似てたからだな。魔が差して桃花の花束を買ってしまって、君の家まで行って、門前に置いてきた⋯⋯きっとボクは修業しすぎて、頭がフラフラになっている。そんなことをしてしまったのは、そのせいだろうな!
とにかく、元凶は君だ! 誰にも見られないうちにそれを受け取っておいてくれ!
桃花粥