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吉利エビ・物語

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一 団欒円満・壱

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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宮保鶏丁

「○○様、地図は濡れています。その文字は読めませんね。

ふむ、まさか万象陣から湖に落ちてしまうとは。準備不足でした――」


吉利エビ

「わーっ!○○!季兄!その草むらを見て!」


宮保鶏丁

「ん?何かあったのか?」


吉利エビ

「二匹の兎がギューッて寄り添ってるよ!きっと相思相愛だね!

あっ!○○!季兄!あの川を見てよ!」


宮保鶏丁

「ん?今度は何があった?」


吉利エビ

「魚が二匹、並んで泳いでるよ!これはまさに「愛に溺れる」ってヤツだね!

いやぁ、本当にめでたいね!」


宮保鶏丁

「……これが噂の「恋愛脳」か。勉強になる。」


吉利エビ

「あーっ!○○!季兄!あの木の後ろ!」

【選択肢】

・今度はなんだ?

・オオカミ少年か?

選択肢

今度はなんだ?

宮保鶏丁

「小鳥が二羽、木で仲睦まじく、毛繕いでもしてたか?

ここは、空桑みたいに安全じゃない。もう少し警戒しろ。」


吉利エビ

「違うよっ!木の後ろ……木の後ろの誰かいるよ!」

オオカミ少年か?

宮保鶏丁

「○○様が言ってるだろう。このような僻地で騒がしくしないでくれと――」


吉利エビ

「オオカミでもないよ!人だ!木の後ろ……木の後ろに誰かいる!」

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宮保鶏丁

「その者が敵か友かわからないが、道を聞いてみるか。」


吉利エビ

「あっ、みしかして家族に黙って、こっそり逢引きする恋人たちかも!?

シッ!邪魔したらダメだよ!」


宮保鶏丁

「○○さまと一緒に声を出しても、あなたには適わないだろうな。」


宮保鶏丁は苦笑いして、木の後ろに目をやった。


宮保鶏丁

「ふう。あの木の後ろの人影は、ふたつだけじゃないな。

あなたの妄想は脆く崩れ落ちた――

まずい!山賊が女を取り囲んでいる!

近くに行くぞ!」


山賊

「さっさと金になるものを出せ!でないと……イヒヒッ、ひん剥いてやるぞ!」


女性

「これ以上近づいたら、知らないよ!」


吉利エビ

「うわあっ!男のくせに、大勢でひとりの女の子をいじめるなんて!

みっともないなぁ――

あ、心配いらないよ!ボクたち、キミを助けに来たんだ!」


女性

「――!?」


山賊

「お前ら、どこのモンだ?変な服、着やがって……

ヒヨッコが、女の前だからってまさかの英雄気どりかよ――」


吉利エビ

「えいやーっ!」


三人で手際よく山賊たちを倒す。

先ほどまでタガを外していた山賊たちは、三人の腕に驚いて逃げていった。


「ボクは綰と申します。助けてくださり、どうもありがとうございます!」


宮保鶏丁

「綰さん、一番近い町まではどれくらいかかりますか?」


「一番近い町?フフッ、奇遇ね!ボクもここから一番近い町に行くのよ!」


吉利エビ

「あそこで綰ちゃんは何をしてるんだい?」


「知り合いに会いにいくつもりなの――」


綰さんは、旧友の林という侠客に会いに行くらしい。

さっぱりした性格の彼女は、剣を片手に家を出てきたようだ。

吉利エビは興味深く彼女の話を聞いた。

いつでも何かに夢中になっている彼は、また変な妄想でもしているのだろう……


吉利エビ

「……。」

体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(彼の頭を撫でる)

吉利エビ

「うわ!なになに!?木の実でも落ちたのか?

あ!○○か……びっくりした……」

体に触れる(彼の肩を叩く)

吉利エビ

「――!!

うう!また山賊かと思ったよ!まさか○○だったとは……

びっくりしたよぅ……」

手に触れる(彼の手を引く)

吉利エビ

「うわ!ゆ、指がザリガニに挟まれた!」


宮保鶏丁

「……これはただぼんやりしてた訳じゃなさのうだな。何を考えていた?」


吉利エビ

「うぅ!○○だったのか……びっくりした……」

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吉利エビ

「なにを考えてたかって?べ、別になにも……

そうだ!綰さん、良ければボクたちと一緒に行きましょう!

何かあったら、手伝うこともできるからね!」


夜になって、空気が澄んで涼しくなり、気持ちが良い。

微睡みの中で揺れている吉利エビからため息が漏れる――


吉利エビ

「あぁ……ふぅ……」

【選択肢】

・発音の練習?

・うるさいなぁ

選択肢

発音の練習?

吉利エビ

「発音の練習って?あのさ……ボクはえび餃子じゃなくて、吉利エビだよ!

まあ同じ蝦で作られた料理だけどさ……

歌が上手に歌えたらいいよね。

そうしたら、未来の恋人にラブソングを捧げることもできるからね。

……ってちょっと!さっきのボクの声、そんなに大きかった?」

うるさいなぁ

吉利エビ

「もしかして、眠れないの?篝火の音がうるさいとか?

え?○○はボクの事を言ってたのか!」

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吉利エビ

「ごめん!綰さんの話に感動してさ。思わず感嘆の声を出しちゃった……

キミはどう思ったかなぁ――

彼女は、どれほど遠くても苦労をしても、旧友を探すんだよ!なんてロマンチックなんだ!

こういうことからきっと、美しい恋の花が生まれるんだをうね!」


宮保鶏丁

「恋の……花だと?恋の芽生えさえ見えなかったぞ。

彼女も言ってたじゃないか、その人は旧友だと……

しかも「いくら遠くても、苦労しても」だと?

いくらなんでも、妄想が過ぎる。」


吉利エビ

「うぎゃ!季兄も寝れなかった!?

もう!それはロマンチックに言っただけだよぅ!

本当に鈍感だな、季兄は!

ボクの頭に立った2本の毛、見える?

恋の信号を受け取ったから、この毛はアンテナのようにピンと立っているんだよ!

もう疑う余地もない!これは間違いなく……恋だ!」


宮保鶏丁

「その…なんだ。まったく理屈が成り立ってないが…」


吉利エビ

「もう!理屈なんてどうでもいいんだよ!

恋はね、理屈だけじゃ通じないもの!予想外の恋こそ美しい~♪

○○、季兄!

彼らの恋の花が咲き誇る瞬間を、ボクはこの目で見届けるよ!」


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二 団欒円満・弐

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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綰さんと同行した数日後、ようやく町にたどり着いて、彼女の旧友に会えた……


宮保鶏丁

「○○様。林さんは親切な者で、住むところも世話してくれた。

 いつか必ずこのご恩を――」


吉利エビ

「……。」


宮保鶏丁

「うん?吉利、顔色が悪いな。どうした?」


吉利エビ

「だ、大丈夫!毎日忙しなくしてさ。あんまり休めてないからかも!」

「○○、李兄、ふたりも休みはちゃんと取ってね。あははっ。」


吉利エビ

「はぁ……」

「綰さんと林さん、夢のような再会が見れると思ってたのに。

 まさか挨拶だけで終わるなんて……残念だったなぁ……」

「あ!もしかして人の前だったから照れちゃったのかな……?」

「……。」

「よーし、決めた!吉利エビの「鴛鴦之契」計画――発動!

 ふたりをくっつけちゃうぞ~!」

「綰さんと林さんは甘い恋に落ちて……

 夫婦仲の良かった吉さんと利さんのように、

 互いを知り、守り、ずっと離れなくなる……!」


数日後、林さんが「山紫水明」という言葉に相応しい場所に招待してくれた。

林さんはこの先の道を調べにいき、残された四人は陰で休むことにした。


吉利エビ

「あ~、風は涼しいし、鳥のさえずりや花の香がいいね!

 まさに密会にもってこいの場所だね。」


宮保鶏丁

「あなたにかかれば、どこだって「密会の名所」になるだろう。」


吉利エビ

「もちろん!恋人たちが寄り添っていれば、

 どこ行ったって天国にいる気分になっちゃうよ!」


宮保鶏丁

「その話自体は問題ないが、あなたが○○様に寄り添う必要はないっ!」


「あははっ!今回の旅で、あなたたちのような友だちができて、本当に――」


綰さんが言い終わる前に、森の中から騒音が響き、刀を手にした男が現れた。


「まさか……また山賊?

 面白いな……山賊たちにボク、狙われてる?」


吉利エビ

「綰さん、心配いらないよ!必ず守ってあげるからね!」


相手がどういった動きをしたのかは謎だが、飛びかかった吉利エビは

悲鳴を上げながら、真っ直ぐに飛ばされ、地面に落ちた。


吉利エビ

「ぎゃあ!もうダメだぁ!お、お手上げだよぅ!

 ボクじゃ……敵わない……。」


助け起こそうと、吉利エビの手を掴んだ。

しかし、逆に引っ張られて、その胸に抱き寄せられる。

【選択肢】

・起きようとしてもがく

・状況を見る

選択肢

起きようとしてもがく

もがきつつっも立ち上がろうとしたら、

吉利エビが大げさに喚き、低い声で言った――


吉利エビ

「ちょっと、○○!ボクは大丈夫から、心配しないで!

 ただその……キミの肘があたって、あまりも痛くって……うぅ……」

「ほら、キミも山賊に倒されたふりをして、ボクと一緒に……

 えっと、地面に横たわってていいから、あとはボクの指示通りにして!」

状況を見る

吉利エビは何を企んでいるように見えるから、そのまましておこう。

彼は大げさに喚いて、また低い声でそう告げた――


吉利エビ

「しっ!わ、わざと強く抱きしめるんじゃないからね、○○!

 ただ計画破綻させたくないから……」

「そうそう、そのままじっとしてて……よしよし!」

「ほら、キミも山賊に倒されたふりをして、ボクと一緒に……

 えっと、地面に横たわってていいから!」


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宮保鶏丁

「○○!吉利!あなたたち――」

「な、なん――うぅぅ!?うぅ!」


吉利エビはジタバタする宮保鶏丁を押さえつつ、

大声で道探しに行った林さんに呼びかけた――


吉利エビ

「林さん!はやく綰さんを助けに来て!!

 悪いヤツに囲まれて、ボクたちはもう限界なんだ!!」


「アンタ、よくもボクの友達を侮ってくれたね……

 覚悟はできているのか?」

「吉利、自分の身を守ってな!

 林さんを呼ばなくたって、ボク一人でも十分だ!」

「くらえ……!」


抜刀した綰さんは、剣で凄まじい技を繰り出す。

林さんが来る前に、山賊たちは既に彼女が揚々とやっつけてしまった。


吉利エビ

「……。」


宮保鶏丁

「……。」


吉利エビ

「わわっ……綰さんってこんなにもすごい人だったの?

 じゃあ、どうしてあのときは、山賊に囲まれてたの?」


「ん?ああ、あのときもあいつらを懲らしめてやるつもりだったけど、

 アンタたちに先を越されちゃったんだよ。」


吉利エビ

「……なるほど!まさに「能ある鷹は爪を隠す」だね……あ、あはは……」

「くうう……せっかくの計画が台無しだぁ!」


宮保鶏丁

「なんだって?もしかして……

 あの山賊たちを手配したのはあなたなのか?」

「道理で……彼らが少人数で喧嘩売ってきた理由がわかりましたよ。

 強いあなたが簡単に倒されて、ボクと○○のことも引き止めたのも、

 静かにしてと行ったのも、全部――」

「本当に、あなたという人は……」


吉利エビ

「その……恋愛小説でよくあるじゃない?

 ヒーローは悪い人からヒロインを救って、そして彼女を慰めて……

 ヒロインを強く抱きしめて、一生彼女の傍を離れないって誓うんだ!」


宮保鶏丁

「……。」


吉利エビ

「他の案も考えてたんだよ。

 綰さんを転ばせて、林さんの胸元に飛び込ませるとか!」

「ほら、恋愛小説にもヒロインが転んで、

 抱きあったり、キスしたりするシーンがよくあるんでしょ?」

「けど、彼女をうまく林さんの胸元に向かって転ばせられなかった。

 その上、バランスを崩した彼女に思いっきり足を踏まれてしまった……

 うぅ、マジで痛かったよぅ~!」

「そ、それとね……」


【選択肢】

・それはいつの恋愛小説?

・どれほどの変なことしたのよ

選択肢

それはいつの恋愛小説?

吉利エビ

「ええ?もう時代遅れのパターンだった?ボク……白先生に騙されたの?

 本を貸してくれたとき、「これは数多くの少女の心を動かした恋愛小説なんだ」

 ……って言ったのに!」

「ボクもすごく感動したんだ!

 特にあのヒロインがヒーローに助けられたシーン!

 声を枯らすまで泣いちゃったよっ!」

「はあ……やはり麻婆豆腐から少女漫画でも借りて読むべきか?」


どれほどの変なことしたのよ

吉利エビ

「変なこと??うぅ……そこまで言うの……」

「たくさんの恋愛小説を読んで立てた計画だよ!変なことじゃないから!」

「なに?小説は現実と違うから、参考にならない……?」

「その……えっと……ボ、ボク……恋愛したことないんだけど!

 本を参考にするしか……」


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吉利エビ

「……。」

「このままじゃダメだ!

 ラブストーリーから生まれた食魂であり、空桑の『月下氷人』でもある!

 愛し合う人々の恋愛を成就させる……それがボクのただ一つの願いだ!」

「だから、このぐらいの挫折で凹まないよ!

 あらゆる困難を乗り越えて、綰さんと林さんを恋人にしてやるんだから!」


宮保鶏丁

「はあ……彼らにはその気がないだろう。だからとても難しいだろうな。

 むしろ無理させても、無駄だぞ。」

「ん?吉利?」

「おい、人の話ちゃんと聞け!

 ○○を連れてどこへ行くつもりだ!?これ以上ふざけると――」


「林さん、実は……」


「……。」


宮保鶏丁

「おい……気に隠れて何をしている?」


吉利エビ

「わぁ――!!」

「驚かさないでよ!○○の望遠鏡が水に落としたところだったよ……」


宮保鶏丁

「何故○○様まで……

 こんな風に覗き見をするなんて、よくないことです。」


吉利エビ

「もう!○○はボクが強引に連れて来ただけだよ!

 そう、「計画」の確認に――」


宮保鶏丁

「計画?ま、また何かやったのか?」


吉利エビ

「ほら見て!できたできた!あの二人の愛情溢れた目線が……

 あれはきっと心に秘めた思いを訴えているんだ!」

「ふたりの名前で、ボク、それぞれに手紙を書いて送ったんだ!

 待ち合わせ場所をこの庭にして――」

「清い風に良い景色、一対のオシドリが湖でくつろぎ、

 恋人たちが愛の言葉を囁く――まさに絵になるロマンチックシーン!」

「その恋の甘い香り……李兄には感じる?」


宮保鶏丁

「いや。」


吉利エビ

「くっ……李兄はいいや!○○は?どう――」

「わああ!ふ、ふたりの距離が近づいてるよ!ううっ、ドキドキする!」


吉利エビが手を握ってくる。彼の手のひらからわずかな熱を感じた。

どうやら随分と緊張しているようである……


【選択肢】

・どうして手を握ったの?

・握り返す

選択肢

どうして手を握ったの?

吉利エビ

「あっ!つい……」

「ごめんね、痛い?緊張し過ぎたから……」

「でも○○と一緒に、この素晴らしき瞬間を見届けられるなんて……

 本当に嬉しいよっ!」


握り返す

吉利エビ

「――!!」

「ああ、清い風に良い景色、一対のオシドリが湖でくつろいで、

 手の握ってお互いを見つめる……とってもロマンチックだね!」

「フフッ!このまま握っててもいい?

 もう少し恋人と手をつなぐ感じをイメージしたくって!」


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三 団欒円満・参

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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吉利エビ

「よっし!エビフライ出来上がり、

 ソースをかけて、あなたたちの恋もこの料理みたいに甘くなりますように。」

「愛情……ああ、愛情!

 ボクはこの素晴らしいひとときを謳歌したくて待ちきれない……」


【選択肢】

・こっそりと近づく

・声をかける

選択肢

こっそりと近づく

吉利エビ

「――!!」

「わぁっ!なんだ、○○と李兄か!

 もう、びっくりさせないでよ、ソース多めにかけるところだった……

 これはロマンチックパーティーの目玉料理だよ。しくじったら台無しなんだ!」

声をかける

吉利エビ

「あっ、○○と季兄か!ちょうどよかった、

 この手作り手毬はどうかな?ボクが作った吉利エビの味見を頼むよ!」

「ロマンチックパーティー成功するように、万全の準備をしないと!」

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宮保鶏丁

「ロマンチックパーティー?」


吉利エビ

「もう昨夜のこと忘れちゃった?ボクの努力は実ってたんだ!

 彼らはついに恋人になった……これは恋であり、愛そのものなんだ!

 彼らのためにパーティーを開けて、お祝いしてあげるんだ!」


宮保鶏丁

「……。」

「○○、吉利エビは恋のことになると大げさに言う癖があります。

 ここはやはり本人たちに確認してからでないと……軽率なことになるかと。」

「え?本人たちに直接確認するのも軽率だと?

 申し訳ありません、配慮が足りませんでした……

 ボクも恋愛について疎いですね……」


吉利エビ

「本当だよ!季兄はロマンチックなことが全然分かってないよ!」

「ああいうことはね、はっきりと言葉にしちゃうと、甘酸っぱい恋の儚さも、

 「猶抱琵琶半遮面」(はにかんで、僅かしか姿を見せない)……

 そんな美感すらなくなっちゃうんだよ!ねぇ、○○――」


「ん?いい匂いだね!」


吉利エビ

「あっ、綰さんだ!」


「このご馳走、全部吉利が作ったの?

 あっ、このエビの色、みかんに似て、綺麗ね!」

「立派な料理人とは思わなかったよ!

 そうだ、今日は何の日?なんかあちこち飾っているように見えるけど。」


吉利エビ

「それはさ、あなたと林さんのために用意したんだ!」


「ボクたちのため?もしかして……もう知ってたの?

 ボクたちが義兄妹になるってことを。」

「久しぶりに会ったから、ぎこちなくなるかなって思ったけど……

 数日過ごしたら、むしろ仲良くなって、いっそ義兄妹になろうってね。」

「昨日会ったときに、このことを話したら、林さんも同じ気持ちだって!」


吉利エビ

「うん!そうなるって初めからわかって……」

「ん?い、今なんて――」

「ぎ、義兄妹だって!?○○、季兄!聞き間違いかな!?」


宮保鶏丁

「ボクにもそう聞こえたな。聞き間違いではないな。」


吉利エビ

「義兄妹、義兄妹って……そうなんだ……でも、どうして……?」

「ひょ……ひょっとしたら、これが噂の「恋人はやがて兄妹になる」ってやつか!

 うわぁあああ……!」


宮保鶏丁

「それとは違うと思うが。」


「ちょっと待って。吉利は、一体何を言ってるの?

 ますますわからなくなってきた……「恋人」ってなんの話?」


吉利エビ

「それはその……」


綰さんに問い詰められた吉利エビは、イタズラをした子どものように、

項垂れてこれまでのことを話した。それを聞いて、彼女は噴き出した――


「アハハハハハハハッ!」

「あなたたちはボクと林さんのことを「恋人」だと勘違いしてたの?

 残念だけど、どれだけ頑張っても無駄なことだよ。」


【選択肢】

・勘違いしたのは彼だけ

・誤解だったんだね

選択肢

勘違いしたのは彼だけ

宮保鶏丁

「〇〇様の言う通り。吉利エビだけが勘違いしてたんです」


吉利エビ

「〇〇!季兄!ひどいよぅ……!すべてボクの思い込みだったの?」

「ボクは信じないよ!綰さん、何か問題があったんじゃない?

 なんでも言って!ボクたちは全力でキミの恋を成就させてみせるからさ!」

誤解だったんだね

吉利エビ

「うぅ……本当にただの誤解だったの……?」

「ボクは信じないよ!綰さん、何か問題があったんじゃない?

 なんでも言って!ボクたちは全力でキミの恋を成就させてみせるからさ!」

「たとえ火の中、水の中!なんだってやるよ!

 ボクは、良縁を結ぶために生まれてきたんだ!」


「あー……○○、そこの、言うこと聞かないヤツを殴ってもいいかな?」

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「ボクは、あなたの頭がどうなってるか見てみたいなぁ……」

「まあ、しいて言えば、確かにボクと林さんは「情に厚い人」だね!

 ただ、その「情」は「愛情」の「情」じゃなくて――」

「「十人十色」という言葉があるんじゃない?

 人それぞれ、色んな気持ちがあるんだよ……

 なんでもかんでも、恋や愛と名付ける必要なんて、ないよね。」


吉利エビ

「で、でも、恋している吉さんと利さんはすっごく幸せそうだったよ……

 恋愛は素晴らしいものだ……なのに、どうして……」


「素晴らしい友情や家族愛だってあるよね?

 それに、愛を素晴らしいものにするのはその人自身で、

 愛情と素晴らしさには直接の関係はないでしょ。」

「ふぅ……理解したかどうかはわからないけど……

 あんまり勝手なことしたら、いつかしくじるのよ。

 ○○、ちゃんと教育してあげないとね!」


綰さんが○○と吉利エビを見てから、こちらを見て意味ありげに笑った――


「へえ~!吉利エビったら、よくそこまで他人のことが気になるよね。

 アンタこそ、ここ何日かはずっと○○と一緒にいて、

 ボクと林さんより親しそうじゃない!もしかしてあんたたち……フフッ!」


吉利エビ

「ボクと○○……ボクと○○の関係は……うーん……」


「えっ?なんで急に口ごもるの?まさか……図星だったりして!」


宮保鶏丁

「な……!?ボクは知らなくていいことを知ってしまったような――」

「痛っ!若様、どうしてデコピンを……!」





吉利エビ

「○○~!○○、来たんだ~。」

「うーん、綰さんが言ってたこと……わかったようなわからないような……

 む……難しいなぁ……」

「世の中には、いろんな気持ちがあるって綰さんが言ってたんだけどさ。

 だとしたら、ボクと○○の関係ってなんだろう?」

「わぁ!笑わないでよ!これはボクにとって、大切な話なんだから!」

「ボクは、ずっと考えてたんだ。恋は、この世でもっとも素晴らしい感情だって。

 けど、○○と知り合って長い時間が過ぎて……

 ボクとあなたの間に生まれた感情がどんどん深くなって……」

「恋みたいに甘かったり、恋よりもっと、もっと……ん。

 とにかく、言葉じゃ表現できない、とっても良い気持ちなんだよ!」

「「愛を素晴らしいものにするのはその人自身だ」って綰さんが言ってた――」

「それでね、ボクにとって「素晴らしいもの」って、

 ○○じゃないかって思うんだ!」

「今はまだ、わからないこといっぱいあるけど、唯一確定できるのは――

 ○○、キミがボクにとって、大事な人ってことだよ!」

「だから、これからもずっと○○と一緒に歩んでいきたい!

 親友のように、家族のように、そして、恋人のように」

「ボクもあなたとエビハートに、「もう二度とはなれない」って誓いたいけど……

 あ、あなたはどうかな?」

「あ、何も言わないってことは、同意だって思っていいよね!」


体の任意の位置に触れる

触れ合い

頭に触れる(吉利エビの頭をそっぽに向かせる)

吉利エビ

「うわ!なんでいきなり頭押したの?そっちは何か特別なものでも――

「あっ!月を見てってことだね!あの……ボクと一緒に散歩しない?」

体に触れる(吉利エビを押す)

吉利エビ

「こ、腰を抱かれた!もしかして〇〇、ボクを……

 も、もしかしてこれから情熱な告白時間が始まる!?

 って、わあ!どこまで押すの――」

「あっ!月を見てってことだね!あの……ボクと一緒に散歩しない?」

手に触れる(吉利エビの手を引っ張る)

吉利エビ

「うわ、なんでいきなり手を引っ張るの!

「暗くて……なんか照れるな!」

「えっ?昨日の仕返し……?そっか……」

「うん?月が昇ってきた?じゃ……ボクと一緒に散歩しながら月見しようか?」

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「いこう!柳の傍へ!」

「詩人曰く「柳の梢頭に月は上り、人は約す黄昏の後を」でね!

 ロマンティックだな」

「わぁ~!月が綺麗だな……」

「夜風から甘い花の香りがするよ……この香りで、酔っちゃうかも!」

「ああ、清らかな月とほのかな香り――」

「こんな良い夜に、こんなにも……美しいあなたと……」

今夜もきっと、夢の中で遇えますね!」



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