紹興酔鶏・手紙

主人公名：

　　＜空桑の餐庁でお客さまがこの手紙を届けに来たが、手紙からはまだお酒の匂いがする＞

　　あけましておめでとう！　あ、ううん、大丈夫！　ぼくはどこにいたって、ちゃんと戻るからね！　心配しないで！　心配……あれ？　ぼくのペン……いつの間に……増えちゃった？

　　＜そこからは見知らぬ筆跡で書いたもの。＞

　　この小僧はぼくの店で喧嘩の仲裁をしようとするとき、転んで頭をお酒のかめに突っ込んだら、いきなり周りの人を殴り始めたんだ！　コイツの袖に｢空桑、醤油10本｣と書いてあるから、あなたはコイツの主だろう！　さっさとコイツを連れ戻しに来てくれ！

紹ちゃん

主人公名：

　ここ数日、オレはあまり食堂にいないんだ。なぜかっていうと、ずっと酔い覚ましのお茶を研究しているからだ。その謎なレシピに対して、オレは結構自信を持ってるんだ。信じられないかもしれないけど……郭さんには好評だったよ！

　太白鴨は最近お客様に結構迷惑をかけたようで、彼に試させたらどうだ？　オレが持ってってもすぐどっかへ飛んで逃げるから。

　それで、あなたがもしオレの字と似ている奴から手紙を貰ったら……気にしないでくれ！　お願いだ！

　〈布の包みには鶏爪の形にしている果物が入っている。〉

紹興酔鶏

主人公名：

　郭さんと太白鴨はいつも酒はいいモンだって言っているけどさ、絶対に信じちゃ駄目だ。一時の快楽を求めて、大切なものを永遠に失った人がたくさんいる……そんな情景を、酒場でたくさん見てきたからな。困ったことがあったら、オレが相談に乗ってやるよ、絶対、酒は飲むなよ。

　それと、いままでずっとオレの世話をしてくれて、本当にありがとな。オレは酔っ払うとあんな風になっちまうけど、あなたが耳元で話してくれたこと、オレを撫でる優しい手、あなたは本当に太陽のように温かいな。オレの真っ暗な「夢」の中での唯一の記憶なんだ。すごく大切にしている。もしオレがもっと冷静になれたら……

　まぁとりあえず、お酒っていいモンじゃないからな！

紹興酔鶏

主人公名：

　＜包みには期間切れのクーポンで作られたメモ帳が入っている。恐らく陸吾が荷物を郵送しているときにうっかり入れちゃったのもだ。＞

三日　青団子の凧を修理する。氷糖湘蓮のかわりに出前をする。四川火鍋に火鍋の素を買ってくる。

　＜メモ帳の隅々までいろんなことが書かれている。＞

　……

九日　休み。空桑でゆっくりと気分転換をする。〇〇が見た景色を、オレも鑑賞してみたい。

十一日　初めて他人の頼みごとを断った。〇〇が厄介なことに巻き込まれたって聞いて、ちゃんと時間を空けとかないとって思った。〇〇のことは、オレのことでもあるからな。最優先事項だ。

　万が一、戦うことになったら、オレも……

紹興酔鶏