西鳳酒・物語
一 意気投合・一
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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西鳳酒
「たかが着替えだけなのにこれほど手間取るとは。
これが軍隊なら、お前はもう数里な後れを取ってるぞ。」
その声と共に、樹の後ろ側からマントが一枚投げられた。
白衣の少年は、耳を赤くしてその後を追いかける。
【選択肢】
・あなたは郭執事第2号なのかな!?
・そんな一瞬で着替えるなんて無理だよ……
選択肢
あなたは郭執事第2号なのかな!?
西鳳酒
「オレが『十五秒で着替えろ』と要求したか?」
そんな一瞬で着替えるなんて無理だよ……
西鳳酒
「オレにそんなことができると思ってるのか?」
「衣装を着替えるのが、それほど大変か?」
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西鳳酒
「だが、お前はもっとテキパキと動いたほうがいいな。」
「オレたちは先を急がなければならない。服を乾かすのに時間を取られすぎた。」
「すべてはあの羽根の生えた猫のせいだ。昼間っから酒など飲むとは……」
回想
西鳳酒
「お前は何をしに来たんだ……?」
【選択肢】
・楚先生に頼まれて来た。
・あなたを手伝いに来た!
選択肢
楚先生に頼まれて来た。
西鳳酒
「あいつは一体何を考えているんだ……」
あなたを手伝いに来た!
西鳳酒
「オレを手伝いに来た、だと?」
「どうせ、楚逸に言われてきたんだろう。」
「まさか奴は、オレを試すために、この足でまといを寄越した?」
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西鳳酒
「言っておくが、今回秦国へ行くのは重要任務を執行するためで、遊びではない。」
「秦国は空桑とは比べ物にならない。
お前の痩せ我慢のせいで、任務を遅らせるようなことをならないように。」
西鳳酒は僕を引き寄せて、自分の前を歩かせた。
西鳳酒
「階段を上るときは気を付けろ。まさか陣法に突っ込みたいわけじゃあるまい?」
陸吾
「うにゃ……わ、わしはまだ飲めるにゃ!」
「白琊小僧、酒を持ってこいにゃ!」
西鳳酒
「まずい……」
すっかり酔っ払った陸吾が、万象陣の下でいびきをかいて眠ってしまう。
西鳳酒は陸吾を踏まないよう、急いで足を踏みとどまった。
だがバランスを崩し、前を歩く僕にぶつかって、一緒に万象陣に転がり落ちた。
『ドボンッ!!!』
西鳳酒
「コホ、コホコホ……」
「戻ったら、あの陸吾と『酒を手に剣術論をを交え』てやる!」
「だが、この池の水は深くない。早く起きろ、身体が冷えるぞ。」
僕は西鳳酒に抱え起こされ、びしょびしょになったまま岸に上がった。
【選択肢】
・本当に万象陣に落ちちゃったね……
・こんな姿勢で時空を移動するのは初めてだよ……
選択肢
本当に万象陣に落ちちゃったね……
西鳳酒
「そんなに気に入ったなら、もう一回やるか?」
「冷静になれ、だって?
オレは池の水を浴びたんだぞ。これでもまだ冷静じゃないと言うか?」
こんな姿勢で時空を移動するのは初めてだよ……
西鳳酒
「なぁ、お前はこれまで万象陣をどんな姿勢で飛び越えてきた?」
「なぜそんなに赤い顔をしている?」
「あれほど池の水を浴びたのに、まだ冷静になれないのか?」
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西鳳酒
「まずは服を乾かそう。でなければ行動するのに不便だ。」
「オレのマントは乾くのが早い。しばらくはこれを被ってろ。
服を脱いで乾かして、後で着替えればいい。」
回想終了
西鳳酒
「自分がどんな任務をするのか、その内容も知らないとは。
楚逸から何も聞いてないのか?」
「お前はオレの弟分として、黙ってオレについて来ればいい。」
「他のことは、お前が気にすることじゃない。」
西鳳酒
「付いたぞ。」
緑の生い茂る山腹に、道観が見えた。
【選択肢】
・道観?
・西上卿、出家する気なのかな……
選択肢
道観?
西鳳酒
「ああ。七国の情報網によれば、ここには重要な品があるらしい。」
西上卿、出家する気なのかな……
西鳳酒
「お前はいったい、何を考えている?」
「七国情報網によると、ここには重要な品があるらしい。」
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西鳳酒
「それも、オレがここに来た目的の一つだ。」
西鳳酒と一緒に上まで登った。彼は一人の道童をつかまえて何やら話をした。
すると道童は小さく頷いて、客人を連れて道観の内部に入っていく。
道童
「観主、このお二人は、アレを探しにいらっしゃったようですよ。」
観主
「ほお、待たせたな。」
観主は地味な長衣を身に着けている。
西鳳酒を見て、暫し茫然として難色を示す。
観主
「こ……これは……誠に申し訳ない……」
西鳳酒
「観主、何故、そう仰るのか?」
観主
「これは元来本観の宝じゃった……だが聖旨には抗えなかった……」
西鳳酒
「どういう意味?」
観主
「数日前、官服を着た者たちが突然ここへ押し入り、大福品を押収すると言った。
時間から考えると、おそらく皇帝の陵墓に入れるのであろう。」
西鳳酒
「皇帝の陵墓……? 天子が……崩御されたのか?」
観主
「数日前の事だ。天子は巡遊中に突然病気になられた。
そして、宮殿へ帰る途中で憔悴し崩御された。」
「宮殿の外で崩御されたのは、宮廷の人々は天子が民を愛する故だと述べて、
民間で万福の品を天家に贈るよう要求しました。何らかの由来のあるものは、
すべて宮中に捧げられ、後世の繁栄を守るために賢君と共に葬られた。」
【選択肢】
・万福の品?
・何か特別な力がある品かな……?
選択肢
万福の品?
観主
「ええ。伝説によるとその品は、眉間に鳳の文様がある聖人が、
修行の仲間と共に後世へと伝えたものだと言われています。」
「聖人はこの宝物を観中に預け、縁のある者が開くのを待てと仰った。
開かれるまでは、宝物もこの道観の土地を潤してくれるだろう、と……」
何か特別な力がある品かな……?
観主
「それは誤解です。伝説によるとその品は、眉間に鳳の文様がある聖人が、
修行の仲間と共に後世へと伝えたものだと言われています。」
「聖人は、縁のある者だけがこれを開くことができると仰いました。
ですが、それがまだ開かれていない時、宝物もこの道観のある土地を潤してくれるだろうと……」
「私たちには、これに神聖な力を与えるような能力はありません。」
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西鳳酒
「なるほど。」
「これはオレによって、とても重要な品なのだ。
私がその聖人の言う、縁ある者であるかどうかに関わらず……」
「オレは、これを手に入れなければならない。」
二 意気投合・二
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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西鳳酒
「まさか皇陵に送られるとは、縁起が悪いな……」
「言いたいことがあるなら言え。
まるで魚を見つめる猫だみたいだぞ。陸吾とかいう猫に習ったのか?」
【選択肢】
・あなたは道士だったの?
・あなた……道侶がいるの?
選択肢
あなたは道士だったの?
西鳳酒
「さっき池に落ちて、頭に水でも入ったのか?」
「少し頭を使えばわかるはずだ。
オレが道を修めようなどと思うはずはないだろう。」
あなた……道侶がいるの?
西鳳酒
「――!!あるわけがない!!」
「……お前に脚を引っ張られるとはな。」
「空桑の若様のくせに、見る目がないんだな。
よく見ろ、オレが道教の修行をするような奴に見えるか?」
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西鳳酒
「だがオレは、これを残した人物が誰なのか知っている。」
軍官
「お前のやったことを!よく見ろ!!」
「これは凱旋する戦士たちを迎えるための祝いの酒だ!」
「こんなミスをして、お前は兵士たちの指揮を下げるつもりか!」
酒官
「どうかお許しを!この酒の曲には問題があったのです。私は決して……」
軍官
「フン。言い訳なら、天子様に直接言うんだな!」
酒奴隷
「おまえは……宮中の楽師か?」
簫史
「ああ、私は簫史だ。」
「なぜここに隠れている?さっき私の簫の音に手拍子を打っていただろう?」
酒奴隷
「私はどこにでもいる酒の奴隷にすぎない。
あなたの簫の音に心を動かされ、つい立ち止まって聞き惚れてしまった。」
「どうかお許しを……」
簫史
「何を言う!
私の簫の音が分かるならば、お前は音楽を学ぶ才能があるということだ!」
「さあ来るといい。私が簫の音を教えてあげよう。」
西鳳
「簫兄、また弄玉公主の事を考えているのか?」
簫史
「コホン……適当なことを言うな!」
西鳳
「耳まで赤くなっているのに、否定するのか!」
簫史
「心で思うことしかできないのだ……私と彼女では身分が違う。
可能性は無いに等しい。」
西鳳
「簫兄、私に考えがある。お前が美人を抱けるような策だ。」
簫史
「ん?そんな方法があるのか!?」
西鳳
「お前がオレに協力すれば、秦公はきっとお前と弄玉公主のことを認めるだろう。」
「この計は、簫声で鳳凰を引き寄せる……『簫声引鳳』計策と名付ける。」
西鳳酒
「この策は成功し、秦公は弄玉公主を簫史に嫁がせた。」
「弄玉公主は感謝のため、無数の金銀を約束した。
だがオレはそんなものに興味がない。その代わり、軍営に入る資格を望んだ。」
「その後、彼らは道教を極めて『赤龍紫鳳』となり、九重の天へ上ったらしい。
道長が言ったのは、眉間に鳳凰の文様のある人物とは、彼らのことだろう。」
「恐らく立ち去る前に、オレに贈り物を残してくれたんだ……」
「こんな話、お前が気にする必要はない。準備しろ、もうすぐ皇陵に着くぞ。」
西鳳酒
「守備の数が予想より多いな。」
「オレ一人なら、無理やり突破することもできるのだが。」
「しかし……今はお前と言う足手まといがいる。」
【選択肢】
・今こそ策を練る時だよ!
・力じゃなくて智慧を使おう!
選択肢
今こそ策を練る時だよ!
西鳳酒
「そうだな。お前もかつて軍師だったのだ。」
「今こそ、お前が存在価値を証明するときだ。」
力じゃなくて智慧を使おう!
西鳳酒
「お前は今日、まだ策を論じていないだろう。」
「今こそ、そのときだ。」
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護衛
「誰だ!?」
西鳳酒
「慌てるな。」
護衛
「無法者め!ここがどこだかわかってるのか!」
西鳳酒
「わかってるよ。ここは皇陵だ。」
護衛
「知っていて乗り込むとは。お前、死にたいのか?!」
西鳳酒
「この無知が!天子は市井で崩御され、臣民は国を挙げて哀哭している。」
「天下万福の品々を集め、賢君とともに埋葬し、
後世万代の安泰を願っているのではないのか。」
護衛
「ごちゃごちゃ煩いぞ!」
侍衛長
「待て、こいつらの目的を聞いてみよう。」
西鳳酒
「オレたちはある情報を聞いて、ここに来た。聞いたことがないか?
百年前、ある楽官が簫の音で鳳凰を呼び、天下に福をもたらしたという話を?」
侍衛長
「楽官である簫史と弄玉公主の物語は、皇室に古来より伝わる美談だ。」
西鳳酒
「〇〇。」
西鳳酒がマントを翻すと、白衣の少年が突然現れた。
手には一本の長簫を持っている。
侍衛長
「な、なんだと?」
西鳳酒
「この簫は、あの楽官が用いていたものだ。
鳳凰を呼び寄せる長簫が、万福の品ではないというのか?」
侍衛長
「お前たちは……一体誰だ……」
西鳳酒
「この簫を作成した者だ。」
侍衛長
「じゃあこの人は?」
西鳳酒
「彼は……鳳凰を呼ぶ簫は万福の品だ。これを汚すことがないよう、
清らかで得が高い、全身に福が満ちた者に運ばせる。」
【選択肢】
・上卿、褒めすぎだ……
・上卿に、そんな風に思われてたとは……
選択肢
上卿、褒めすぎだ……
西鳳酒
「オレは適当に言っただけだ。」
上卿に、そんな風に思われてたとは……
西鳳酒
「バカなことを考えるな。」
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西鳳酒
「大事なのは、目の前の難関を突破することだ。」
侍衛長
「……なるほど。貴人が自ら、福を届けにいらっしゃったということですね。」
「お前たち、この二人の貴人が品を献上されるので、皇陵までご案内しろ!」
兵士が厳重に守る皇陵の扉がひとつひとつ開かれていく。
侍衛長は松明を手に、二人を暗い墓のなかへ案内した。
侍衛長
「ここが陵墓の主室だ。万福の品は、すべてここで天子とともに永眠する。」
西鳳酒
「道案内、ご苦労。」
「〇〇、竹簫を捧げなさい。」
二人が竹簫を陵墓の祭壇に捧げようとしたそのとき、あたりが急に暗くなる――
墓室的の扉が、外から閉じられてしまったのだ。
西鳳酒
「おい、早く扉を開けろ!」
侍衛長
「その簫が鳳凰を呼ぶとしても、それを吹くものが必要だろう!」
「お二位は福に満ちた人物なのだろう。ならば万福の品と一緒に、天子にお供するが良い!」
扉の外の足音はしだいに遠くなり、ついには扉の隙間から僅かな灯りさえ見えなくなった。残されたのは深く沈黙。
しばらくして、西鳳酒の声が聞こえた。もう怒ってはおらず、落ち着いたようだ。
西鳳酒
「手をこちらに。
ここは暗くて広いから、一度はぐれたら、見つけることは難しい。」
「さっき見えたのだが、天子の聖体はまだ棺に入られていないようだ。
怖がる必要はない。まずはオレたちの必要とするものを探し出す。
それから、ここを出る方法を考えよう。」
「皇陵を建築する際、通常は避難する道を残しておくものだ。
その道さえ見つかれば、外に出られる。」
西鳳酒は僕の手を固く握る。掌から伝わる彼の体温で、少し冷静になった。
真っ暗な中、彼は何かに導かれるように、あたりを模索した。
半時ほど探した後、わずかに温かさを感じる小さな箱を見つけた。
西鳳酒
「見つけた!」
西鳳酒は繋いだ手を勢いよく引く、近くまで引き寄せる。
その瞬間、周囲に異常な振動を感じた。
西鳳酒
「オレに掴まれ!地面が――!」
三 意気投合・三
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
共通
暗闇で何者かが仕掛けを踏んでしまう。
僕たちはふたりで、狭い空間へと落ちていった。
西鳳酒
「大丈夫か!どこか怪我は?」
【選択肢】
・大丈夫だよ。あなたが支えてくれたから……
・あなたが下敷きになったから、大丈夫。
選択肢
大丈夫だよ。あなたが支えてくれたから……
西鳳酒
「大丈夫ならいい。」
「あんな高いころから落ちたからな。
オレが抱えてなかったら、お前みたいな小さいヤツは、一溜まりもないだろう。」
あなたが下敷きになったから、大丈夫。
西鳳酒
「大丈夫だったなら良かった。」
「……オレが支えていなかったら、怪我していたはずだ。」
「そうなっては、空桑の人々に言い訳が立たない。」
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西鳳酒
「……脚を捻ったのか?」
「オレのマントから飛んだときに捻ったのだろうか?」
「お前、マントに隠れるのが得意だって言ってなかったか?」
「怪我をしてるなら、ここに黙って座ってろ。オレが脱出する方法を探してくる。」
【選択肢】
・何か変なことをしなきゃ出られないわけじゃないよね?
・(ピ――)をしなきゃ出られない密室なの?
選択肢
何か変なことをしなきゃ出られないわけじゃないよね?
西鳳酒
「……お前、何を考えている?!」
「こんな時によくそんな冗談が言えるな。」
(ピ――)をしなきゃ出られない密室なの?
西鳳酒
「……一部、伏字になってたぞ。」
「もういい。そんな重要なことじゃないからな。」
共通
西鳳酒
「……おかしいな。全く出口が見つからない。」
「この控えの間は、人を死地に嵌められるように設置されている。」
「たとえ仕掛けを踏まなくとも、呼吸困難で窒息死させられる可能性が高い……」
「……何の音だ?」
「逃げろ!!弓矢だ!!」
「……!」
貴族
「奴隷は奴隷だ!一度奴隷になれば、後世はすべて奴隷!
お前まさか、玉の輿にでも乗るつもりか!」
酒奴隷
「美酒を醸造する日々苦労を重ねても、日々暴力と侮蔑を浴びせられるだけだ……
死ぬまでこんな日々が続くと言うのか……」
西鳳酒
「金銭などは求めない。ただ、軍営に入る資格が欲しい。」
「国主のために戦争に出て敵を殺せば、いつか尊敬を勝ち取り、
人としての身分を勝ち取ると信じている。」
【選択肢】
・西鳳!起きて!
・西鳳!起きないとキスするよ!
選択肢
西鳳!起きて!
西鳳酒
「まだ揺すり続けるなら、重臣暗殺の罪に問うぞ。」
西鳳!起きないとキスするよ!
西鳳酒
「――!お、お前……」
「ほう、オレをからかっているのか?
……よし、〇〇がこれほど大胆ならば、試してみてはどうだ?」
共通
西鳳酒
「手を放せ。安心しろ、先程の矢は少し体を掠っただけで大した怪我じゃない。」
「ただ壁にぶつかって、少し気を失っただけだ。」
「オレはお前を守ろうとしたんだ。だが、お前が逆に転がり込んできた。
足下がふらついたのか?それともオレを守ろうとでもしたのか?」
西鳳酒の目は暗闇に慣れ、周囲の状況が少し見えるようになった。
視線の先に、よろよろと立ち上がり、こちらに歩いてくる人影が見える。
西鳳酒
「お、おい……気を付けろ!」
歩こうとして転んだ僕を、西鳳酒が受け止めて懐に入れる。
安心させようとしてくれた。
【選択肢】
・私たちは兵馬桶になっちゃうの?……
・誰かに見つかったら、渡したちはもう兵馬桶になっちゃうんだろうね……
選択肢
私たちは兵馬桶になっちゃうの?……
西鳳酒
「そんなものになる訳がないだろう。」
「バカなことを考えるな。」
誰かに見つかったら、渡したちはもう兵馬桶になっちゃうんだろうね……
西鳳酒
「……」
「オレがいれば、そんなことはさせない。」
共通
西鳳酒
「兵馬桶は、王の奴隷だ。」
「お前は空桑の若だ。奴隷の姿で人々の前に現れていいわけがないだろう?」
「オレは絶対、お前をそんな殉葬品にはさせない……」
「お前には、オレのような目に遭わせたくないんだ……」
将軍
「今回の戦役も、西鳳の智略と勇猛のお陰で勝利した!」
「よくやった、西鳳!褒美として黄金も与えよう!」
西鳳
「オレは黄金など興味はありません。」
「将軍から、仲間たちにわけてやってください。
特に、戦没した仲間たちの家族には多くあげてほしい。」
将軍
「西鳳、お前には大局の心があり、才知にもたげている。大物になれる器だ!」
「だが残念なのは……」
西鳳
「将軍、憐みは不要です。オレは国主のために戦争に出て敵を殺せば、
いつか尊敬を勝ち取り、人としての身分を勝ち取ると信じている。」
”西鳳……”
”国主は崩御され、国を挙げ哀悼するため、殉葬される奴隷が選ばれた。”
”その中に、お前の名前も入っている――”
西鳳酒
「あり得ない!オレは多くの敵を倒し、戦功も山ほど積んできたんだ!
なぜこの暗い陵墓で殉葬しなければならない!」
「オレが奴隷だからか!?この忌々しい刺青のせいか!?」
「ならば、オレは天に逆らい、運命を変えてやる!」
「西の果てにある黒い秦の国で、白い鳳凰が万人の上に立つ……
オレは、もう無名の酒奴隷などではない!」
「このオレ、西鳳は必ず万人の上に立って見せる!」
西鳳酒は殉葬の隊列に火を放ち、胸元の刺青を鳳凰の文様に変えた。
すると炎の中で赤い血が滴り落ち、異様な光を放っている。
僕は西鳳の胸にそっと手を当て、僅かに震える声で言った。
【選択肢】
・痛くないかな……
・息を吹きかけたら痛くないんじゃないかな……
選択肢
痛くないかな……
西鳳酒
「痛みはない。」
「もうとっくに痛みはない。」
息を吹きかけたら痛くないんじゃないかな……
西鳳酒
「フッ、バカか。よくそんな子どもじみたことを思いつくな。」
「安心しろ、もうとっくに……痛みはないから。」
西鳳酒
「〇〇、オレの過去のために悲しみ必要はない。
あのようなことがあったからこそ、今の西鳳酒があるのだから。」
「もう泣くな。それより、早くここから出る方法を考えよう。」
「皇陵は、いくらか霊気のあるところに建てられるものだ。
湘妃竹も外界へ繋がることができるだろう。」
「こうなるとわかってれば、楚逸のところから墓石をいくつか持ってきたのだが。
舜帝の墓石なら役に立ったかもしれない。」
【選択肢】
・そうだ!楚逸!
・思い出した!錦嚢!!
選択肢
そうだ!楚逸!
西鳳酒
「楚逸がどうかしたのか?お前は今、オレの傍にいるんだぞ。
叫ぶならあいつの名前じゃなくて、オレの名前だろうが。」
「ん?彼からもらった錦嚢がある?」
思い出した!錦嚢!!
西鳳酒
「錦嚢がどうした?」
「出発前に楚逸から貰った錦嚢があるって?」
共通
少年は手探りで錦嚢を取り出し、開けてみた。
中に入っていたのは一枚の……白い紙だった。
西鳳酒
「……白紙?」
「これが彼のくれた錦嚢か?」
二人は暫くその紙を調べ、ふと同時に笑顔になった。
【選択肢】
・賢い人にしかわからない内容だね
・楚逸が私たちに道を残してくれた
選択肢
賢い人にしかわからない内容だね
西鳳酒
「空桑の若よ、慧眼だな。」
「その誉め言葉、素直に受け取っておこう。」
楚逸が私たちに道を残してくれた
西鳳酒
「あいつは本当に屁理屈をこねるのが好きだな。」
「こんな回りくどい方法で伝えるとは。」
共通
西鳳酒
「だが、こんな方法だからこそ、彼らしいとも言える。
オレたちは今、彼と同じくほとんど目が見えないのだからな。」
「紙はツルツルしてるほうが表側。凸点が黒石、凹点が白石だ。」
「彼の錦嚢には、記号のある碁石が数枚忍ばせてあるはずだ。」
二人は白い紙を地面の上に敷き、指示通り、錦嚢に入っている墓石を置いた。
西鳳酒が湘妃竹の簫を取り出し、そっと吹いた――
白い閃光と共に、墓石に残された舜帝の力が、二人を密室から運び出した。
西鳳酒
「すぐに目を開けるなよ。陽光の強さに、目が損傷する。」
「手を繋ぐんだ。オレがお前を空桑に連れて帰ってやる。」
「お前はオレに三日もつきまとって、聞き出せないとわかると、
今度は楚逸に三日もつきまとったんだな。それで、やつも懲りたんだろう。」
「ほら、オレが皇陵から一体何を持ち出したのか、知りたいんだろう?
見せてやる。」
【選択肢】
・これは……『海外仙山図』?!
・この図、見覚えがある……
選択肢
これは……『海外仙山図』?!
西鳳酒
「お前もそれほどバカじゃないようだな。」
「その通り。これは海外仙山図だ。」
この図、見覚えがある……
西鳳酒
「海外仙山図だ。楚逸から聞いていないのか?」
「空桑の若としても、知らないでは済まないぞ。
少なくとも、これはお前に役立つものだから、覚えておいたほうがいい。」
共通
西鳳酒
「七国情報網から得た情報だが、当時の簫史と弄玉が龍と鳳凰になる前に、
オレに残してくれたプレゼントが『海外仙山図』である可能性が高いと聞いた。」
「楚逸はそれを知って、この図がお前にとってかなり役に立つと教えてくれた。」
【選択肢】
・だからこんなに必死だったの?
・だからこんなに気になったのかぁ。
選択肢
だからこんなに必死だったの?
西鳳酒
「こ、これのどこが必死だと?」
「楚逸がお前なんか寄越すからだ。オレ一人ならとっくに持ち帰ってるところだ!」
だからこんなに気になったのかぁ。
西鳳酒
「コホン。オレは旧友がオレにくれたプレゼントを、受け取りにいっただけだ。」
「楚逸のヤツがお前なんかを寄こさなければ……
オレ一人だったら、とうに任務は完成していたはずだ!」
共通
西鳳酒
「それにオレは今、お前に兄さんと呼ばれる立場だ。
このようなものがお前の役に立つというなら……」
「お前と兄として、オレに取ってくる義務があるのは、当然だ。」
「ちゃんとこれを使えよ、オレの期待を……」
「オレの気持ちを、裏切るな。」
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