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新風鰻片・物語

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作成者: ユーザー09683
最終更新者: 皮蛋納豆丼

一 秘密の暗号・一

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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電磁的なメロディーがゆっくりと流され、

最初の軽やかで生き生きとしたテンポが変化し、

サビに近づくにつれて熱を帯びていく。


勢いよく流れ落ちる雨の音と共に、エレキギターの調べが徐々に主張をはじめ、

伴奏のギターの音と雨の中を踏み出す足音が交錯し、

小雨の街を楽し気にゆく人々の印象を織りなしていた。


新風鰻片

「これも最近の閃いたメロディーの一つだ。

 アイデアを探しに出た時に、ちょうど雨に降られてさ、

 街角のカフェに立ち寄って、雨をやり過ごそうとしたんだ。」

「窓際に座って、コーヒーを飲みながらぼんやりしていた時、

 学生たちが通りかかってね。その時はすごい雨だったんだけど、

 彼らはそんなこと全く気にしてなくて、自由に雨の中を飛び跳ねていたのさ。」

「僕はすぐに感じたよ。これこそが僕の求めていた閃きだって!」


【選択肢】

・私も雨と親しく触れ合ってみたいな

・斬新なアイデアだね

選択肢

私も雨と親しく触れ合ってみたいな

新風鰻片

「おっ!お前もこういうの興味があるのか!」

「だったら今度、

 思い切って僕と一緒にアイデア探しに出かけてみるっていうのはどう?」

「いつも違う場所を訪れてるんだ、

 きっとお前をガッカリさせたりしないだけの風景と音との出会いがあると思うよ。」


斬新なアイデアだね

新風鰻片

「創作の源は日々の暮らしとこの頭だからね~」

「日々の暮らしを愛する心があれば、

 突飛な空想だってただの空想じゃなくなるんだ。

 お前だっていつも可愛らしい空想をしてるだろう?」

「イメージが膨らんだ分だけ、絶えることなく閃きが生まれるし、

 もっとたくさんの人たちの笑顔が見られるんだぜ~」


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新風鰻片

「ああ、いけないいけない。また一人の世界に入っちゃってた。」

「どうかな、〇〇?

 この曲、僕のデビュー記念コンサートで演奏するに相応しいと思うんだ?」

「僕としては、これまでの――鳥の鳴き声とか淹れたてのコーヒーの香りとか、

 早朝の小川のせせらぎみたいなのをモチーフにした作曲スタイルと喧嘩しないか、

 それが心配なんだよね」

「雨ってさ、普通の人は陰鬱な天気を連想しちゃうだろ?」



【選択肢】

・私はその歌声から楽しい気持ちを感じたけどな

・一生懸命作った曲なんだから、きっと大丈夫だよ

選択肢

私はその歌声から楽しい気持ちを感じたけどな

新風鰻片

「そうかな!良かった――」

「メロディーを通って、

 インスピレーションの源泉となった光景をしっかり描けてないかも、

 って思ってたからさ。」

「あの時のあの学生たちがどうしてあんなに自由に、

 雨を気にすることなく心から街の通りで踊っていたのか、

 僕には分からないんだけど。」

「ただそういう自由を表現できる人って、

 きっと素晴らしい感受性の持ち主だと思うんだ!」

「僕はこの歌を、そういう屈託のない自由の喜びについて想像を巡らせながら、

 少しずつ創作したんだ!お前にそれが分かって貰えるなんて、本当に嬉しいよ!」


一生懸命作った曲なんだから、きっと大丈夫だよ

新風鰻片

「僕はどの曲も精一杯心を込めて作曲してるよ。」

「音楽は力をもたらしてくれる。そして僕にはリズムを調和する天賦の才がある。

 だからたゆまず、心を込めて、いつも一番感動的な楽曲を生み出して、

 ファンに力を勇気を届けるべきなんだ。」

「僕の歌を聞いた人たちが、その中から楽しさを見出して欲しいんだ。

 僕もみんなの笑顔を見ると嬉しくなるからね。」

「特にお前の笑顔は、いつも温かくて、

 僕のことをすごく励ましてくれているんだぜ!」


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新風鰻片

「コンサートの曲リストの雰囲気とあっていると思うなら、

 僕も安心して演奏できると思う。」

「いつも助けてくれて、ありがとうな!」

「ほんとほんと、もしお前みたいなキュートで有能なマネージャーがいなかったら、

 僕のタレント人生がどんなに滅茶苦茶になっていたか、

 想像もしたくないぐらいだよ」

「お前が傍にいてくれて本当に良かった。これからも僕の傍にいてくれよな!」

「構わないって?お前ならそう言ってくれるって分かってたよ。」

「僕も自分で仕事を探したって?なんだ気付かれてたのか。

 お前もやらなきゃいけない仕事があるだろ。迷惑かけちゃいけないと思ってさ。

 それにタレントとして、自分で仕事を手配するのも普通のことだから。」

「曲リストは今の計画通りで練習する。

 そうだそうだ、もう一つ解決してない問題があるんだった。

 サプライズって何がいいかな?新曲発表に頼るだけだと単調な気がしてるんだ。」



【選択肢】

・あなたの好きな干し魚の格好で演奏したら?

・新曲と記念品で宣伝したら?

選択肢

あなたの好きな干し魚の格好で演奏したら?

新風鰻片

「なに?干し魚の縫いぐるみを着てコンサートで歌うって?

 ファンとの距離を縮めることができるかもって?」

「そのアイデアも悪くないんだが、

 動きの多いコンサートには適用できるかどうか?」

「今のところ決めた曲リストの中には、ダンス付きのソロソングは2曲ある。」

「ダンスを練習する時に、縫いぐるみを着たまま動きにくい動作を洗い出せるかな?」

「お前の言うことにも一理あるかも、やってみる価値はある気がするよ!」


新曲と記念品で宣伝したら?

新風鰻片

「いつもと同じようなプロモーション、

 曲もそれぞれ基本的には新曲がメインになると思うんだ。」

「「記念」っていうテーマをポイントとして押し出すべき、

 その辺をメインにコンサートを作りたいって?」

「なるほど!僕、これまでの記憶を呼び起こすような演出を挟んでみる。

 「記念」ってことなら、デビューした頃、

 僕専用のグッズ「干し魚のキーホルダー」を使うのはどう?」

「〇〇、んじゃその辺は任せるよ。

 信頼できるメーカーに多めに作ってもらってね。

 元サンプルは後で渡すよ~」

「それを入場の記念として、

 コンサートに参加してくれるファンのみんなにプレゼントするんだ!」


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新風鰻片

「本当にすごいアイデアだよ、〇〇!」

「どっちの考え方も参考になる気がするし、

 いっそのこと直接故郷の波の音を参考にして作ったあの曲を、

 干し魚の縫いぐるみで踊るダンスに合わせてみたらどうかな!」

「前に造った曲にも、記念すべきな意義があると思ってたんだ。

 時間がある内に、新しい素材を取ってその曲をアレンジしてみるよ。」

「その内容は――マネージャーでもしばらくは秘密にしておかないとね!」

「お前の言うように、これは感謝のためのサプライズなんだから、

 当然お前だって、その対象になるからな~

 先に明かしてしまったら、期待した効果が得られないかも知れないからさ~」

「じゃあ今回のデビュー記念コンサートの段取りは、お前に任せるね。

 僕も全力で練習するからさ!」



【選択肢】

・あなたはもうスーパースターでしょ

・一緒に頑張ろう!

選択肢

あなたはもうスーパースターでしょ

新風鰻片

「へへ、僕も手配してるって、心配しないで~」

「僕も自分で努力してちゃんとやるから。

 だけどお前がいれば僕はもっとうまくやれると思うんだ!」


一緒に頑張ろう!

新風鰻片

「うん!一緒に頑張ろう!」

「今回の重要な記念コンサートを完璧にこなして、最高の楽曲を、

 これまでずっと支えて来てくれたファンたちに聞かせてあげるんだ!」


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新風鰻片

「よく考えみれば、デビューした当初から、

 だいぶ時間たったんだな――今の僕は、ちょっとした有名人ってところかな?」

「そうだ、〇〇、僕たちの出会った頃のことまだ覚えてる?あの日……」




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二 秘密の暗号・二

◆主人公【女性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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その時


街は人で溢れ、熱気が大小の通りを満たしている。

そこは良く知られた商業エリアだった。


周囲の熱気とは裏腹に、エリアの中心地で開催されている野外コンサートでは、

観客の心は通い合っていなかった。

疎らな人の入りがその冷めた様子を物語っていた。


舞台裏手の休憩室内では、

綺麗に着飾った青年が眉間にシワを作りながら行ったり来たりをしていた。


???

「まずいまずい、緊張のせいでどんどん頭が混乱して来る!」

「スタッフのお兄さんやお姉さんはどこに行ってしまったのだろう。

 一体どうすれば……」


【選択肢】

・手助けが必要みたいだね

・ごほごほ、ちょっと失礼

選択肢

手助けが必要みたいだね

新風鰻片

「あっ、スタッフの人ですか!」

「良かった、僕ちょうどどうすればいいのか迷ってたんですよ!

 救世主が現れるなんて、ツイてる!」

「良かったら、僕の相談を聞いてくれませんか。

 ここの演出の流れで、分からないところがあるんですよ。」


ごほごほ、ちょっと失礼

新風鰻片

「あ、すみません、すません……」

「すいません、もしかしてスタッフの人ですか。

 みんな最後の調整中で、他のスタッフを捕まらなくてさ。

 最後の最後にお前を見つけるなんて、本当に良かったよ!」

「ここの流れが、僕には全く分からなくて。詳しく説明してくれませんか?」


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当時の新風鰻片はまだ初々しくて、

握りしめていたプログラム表をゆっくりと目の前の人物に差し出した。


新風鰻片

「ここはこうで……ここでこう……ふんふん。」

「うんうん……なるほど。全体の流れはこういう感じなんだ。

 他の先輩たちが舞台に上がっている今の内に、僕も準備を……」


緊張が去って行くにつれて、

あんなに複雑に見えた内容がしたいに簡単なものに感じられていった。


辛抱強い説明の下、新風鰻片は次第に全てのプログラムの内容を消化していった。


新風鰻片

「ありがとう!大体理解できたよ、説明してくれて本当にありがとう!」

「どうやってお礼をしたらいいのか……

 そうだ!後で舞台に来て僕の演奏を聞いてよ!」

「先輩たちのすごいレベルまでにはいかないけど、

 これは僕がずっと練習して来た曲なんだ。

 僕の歌声、きっと楽しめるって保証するからさ!」

「もし気に入ってくれたら、舞台下から僕に手を振ってよ。

 そのジェスチャを見たら、僕が音楽を通じて伝えようとしてる気持ちが、

 全部伝わってるってことが分かるからさ~」

「じゃあそうしよう、約束だよ!後で舞台で会おう!」

「おっと!そうだ、まだ自己紹介をしてなかったね。

 知ってると思うけど、僕は最近デビューしたばかりの新人――新風っていうんだ。

 目標は僕が作った音楽をみんなに楽しませること!」

「いつか、みんなが僕の名前を覚えてくれるといいんだけどな~」

「君の名前は?」


風の音が音響装置を通して奏でられ、ギターの弦を震わせる。

その軽快なメロディーは春の野原の中で、無邪気な風の要請たちが、

あちらこちらで生き生きと舞っているかのようだった。


その一方で流れ落ちる爽やかな流水が、

枯れることのない湖水がこの様々な自然音声が組み合わされた楽曲の中を通り、

流れ出て来るかのように、すべてをその快楽の中に浸そうともしていた。


それまで疎らだった人の流れも、この不思議な音色にゆっくりと引き寄せられ、

今や舞台の前は最初の演者が現れた時を遥かに超える熱気に包まれていた。

言葉を交わす声と拍手が混ざり合い、演奏と歌声に匹敵する情熱を喜びを織りなしていた。


新風鰻片

「ふぅ――」

「このリズム、すごくいい感じだ……この調子で、まだまだ盛り上がるんだ。」

「がんばれ、お前ならできる!きっとできるぞ!」


舞台の中心で注目の的となっている青年は、

全身全霊をかけた演奏で流れ落ちる玉の汗を拭った。


つづけて、彼の目が舞台の下へと探るように向けられた。



【選択肢】

・ゆっくりと手を上げる

・彼に向かって手を振る

選択肢

ゆっくりと手を上げる

舞台で注目を集めていた青年は、

ゆっくりと腕を持ち上げるその人の姿を見付けると、

嬉しそうに頷き、次の楽曲へと移って行った。


新風鰻片

「次はメロディ勝負だ、みんなからの歌声を引き出す!」

「僕の演奏を期待してくれている人がいるんだからな!」


彼に向かって手を振る

舞台で注目を集めている青年は、すぐに力いっぱい振られている両手に気づいた。

彼は嬉しそうに笑い、同時にその手の主にウィンクをしてみせた。


新風鰻片

「Wow~僕のリズムに合わせて、みんなで盛り上がろうぜ!」

「最大の情熱、最大の歓声で、みんな揃って歓喜の音楽の中に沈んで行こう!」


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音楽のリズムがどんどん激しく、喜びに満ちていくと、

その迸る情熱が素早く拡散し、商業エリア全体を濃密な熱狂で包み込んだ。


観衆か旅行客かに関係なく、みんなで新風の奏でるリズムに

吸い寄せられて足を留め、華やかとは言えなかった舞台の前には、

すでにぐるりと何層にも人の輪ができていた。


新風鰻片

「ふぅ、やっぱり歌ったりエレキギターを弾いたり、

 その上踊ったりしてたら、かなり体力を消耗しちゃうね。」

「だけどいいんだ、僕ならできる。ずっと色々と練習して、

 有酸素運動もして来たのは、この時のため、この舞台のためなんだから!」

「それに……あの人に感謝するために、僕は全力を出さなきゃいけないんだ。

 完璧にやり遂げるって約束したんだから!」


ギターのメロディーは今やより自由なそよ風へと変わり、

街の通りという通りを吹き抜けるだけではなく、

さらに遥か遠くへと飛んで行こうとしていた。


終盤に差し掛かると、メロディーは喜びの中で段々と緩やかになってゆき、

最後に自らの変える場所を見付けたかのように、

あるいは旅の途中で一時体を休めようとするかのように、

ゆっくりと、歌声がギターの電子音の中で静かに消えていった。


雷鳴のような拍手が鳴り響き、それに伴って再び静寂が訪れた。


新風鰻片

「わっ、見付けた!」

「とっくに行っちゃったと思ってたよ。良かった良かった、残ってくれてたんだね。」



【選択肢】

・どうしたの?

・あなたの歌を聞いて嬉しい気持ちになったよ

選択肢

どうしたの?

新風鰻片

「さっき知ったんだけど、君ってスタッフの人じゃなかったんだね。

 質問攻めにしてしまって、本当にごめん!」

「だけど君の指導のおかげで、僕も間違わずに済んだよ。

 でも君だってスタッフじゃないのに、どうしてそんなに詳しかったのさ?」

「たまたま今回のコンサートイベントの食事の準備をしに来た人だって言うのか。

 あの細かいリストは、確かに内容が散らかってはいるけど、改めて整理し直せば、

 理解するのは難しくないって?」

「なるほどね、君はすごい人なんだな!今日は本当にありがとう!」


あなたの歌を聞いて嬉しい気持ちになったよ

新風鰻片

「聞いたよ、お前はここのスタッフじゃなかったよね。

 さっきの質問攻め、本当にごめんな!」

「気に入ってくれて嬉しいよ!これも真相を知った後に気にしていたことだから!」

「お前の指導があったおかげで、間違いをせずに済んだんだ。

 今日は本当にありがとう!」


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新風鰻片

「あの、僕なんてデビューしたばっかで、人気だって他の先輩に及ばないけどさ。

 だけどこれからも頑張って創作を続けていくよ。

 僕の楽曲に込められた気持ちを世界中に届けたいからさ!」

「偶然な出会いは縁があり。

 縁があったから、これからも僕のこと応援してくださいね!」

「これからもたくさん出演するから、

 今日のこの手振りを僕たちの秘密の合図にしようよ、どうかな。」

「約束するよ、僕は絶対お前を失望させたりしないって!」



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三 秘密の暗号・三

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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空桑、現在





新風鰻片

「あれから、お前も僕のコンサートをよく来てくれたな。」

「僕、嬉しかったよ!そのおかげで、お前ともっと仲良くなれたんだから!」

「舞台の裏で音楽について話し合った時、

 お前は僕の編曲が斬新だって言ってくれたよね!

 毎回僕にアイデアを出してくれたりして、思い出すだけで温かい気持ちになるよ。」


【選択肢】

・あの後、あなたにマネージャーになってくれって誘われたんだよね

・私もたくさん学ばないといけないね。

選択肢

あの後、あなたにマネージャーになってくれって誘われたんだよね

新風鰻片

「そうそう、それも思い出の一つだよ。」

「僕、まだ覚えてる。お前は僕の本当の正体を知っても少しも驚かなかったよね。

 まさかお前があの噂に聞く空桑の若だったなんてさ。」

「お前が僕のマネージャーになれば、

 そりゃこれ以上ないぐらいしっくり来るはずだよ!」


私もたくさん学ばないといけないね。

新風鰻片

「学ぶ?ああ、僕のマネージャーになってくれって言われたことだね?」

「実を言うと僕の個人的な理由も含まれてるんだ。

 僕は長期に渡って旅行に出て、閃きの素材を集めて創作するから、

 マネージング会社の規約と合わないことが多いんだ。」

「僕は自由が好きなんだ。

 歌をうたうのだって歌に込められた楽しさを伝えるためなんだ。」

「だからお前の正体を知った後、僕は、お前に手伝ってもらいたかった。」


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「だけどここのところコンサートの仕事も多いし、

 普段の仕事からそれ以外の仕事まで、

 確かに連絡や手配の手伝いで苦労させちゃってるのは事実だよね。」

「本当にお前には感謝してるんだ!よく見てね

 今回の記念コンサート当日には、きっと最高のサプライズを見せるから!」


新風のデビュー記念コンサート当日。


これまでとは異なり、いつもと同じ商業エリアにも関わらず、

人の数は少なくなかった。効果的な宣伝の下、設置の終わった部隊の周りには、

すでにチケットの検査を待つ人々の列ができていた。


そればかりか、かなりの数の人々が応援用のTシャツを着て、手にはサイリウムとネオンの応援カードを持ち、打ち合わせたスローガンを大声で叫びながら、スターの登場を首を長くして持っていた。


新風鰻片

「やっぱり記念にするなら、より記念的な意義のある場所を選ばないとダメだよね?」


【選択肢】

・うん、だからここを選んだんだ

・とことんやらないとね

選択肢

うん、だからここを選んだんだ

新風鰻片

「あの日の出演で、僕はたくさんの観客からの愛を受け取ることができた。

 僕の曲風も、あの時から少しずつ受け入れられて、人気になっていた。」

「ファンの応援があるからこそ、僕はここまで来たんだ。

 だから僕は全力を尽くして、

 今回の記念コンサートを成功させないといけない!」

「お前の笑顔だって僕の最高のエネルギーの源だよ!」


とことんやらないとね

新風鰻片

「確かに、干し魚グッズ以外にも、リマスターされた過去の曲や、

 着ぐるみのダンスなども、どれもこれも僕を象徴する要素だもんね。」

「干し魚もデビュー後に、すぐみんなからマスコットとして受け入れられたし、

 記念的な意義を押し出す以上、会場だってそれに合わせるべきだと思う。」

「うん!ここはすごく良いと思うよ、

 というか最初からお前ならここを選ぶんじゃないかって感じてたんだ!」


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新風鰻片

「もう少しで開演の時間だ、僕のためにこんなにしてくれてありがとう。」

「んじゃ、僕のライブを存分に楽しんでくれよ!」


鉄骨でできた大きな舞台は職人たちの働きによってすでに組み上げられ、

煌々と光る夕日の色彩に照らされて、空間全体がハチミツ色に染まっていた。


チケットレーンはすでに流れ始めていて、待ちきれない人々が前へ前へと押し合いながら、チケットごとに割り振られた位置へと落ち着き、調整用の演奏がまだ鳴らない内から、すでにファンたちが新風がデビューして以来の歌を合唱していた。


新風鰻片

「はい、みんな、今日は来てくれてありがとう!」

「今日はここに戻って来れて嬉しいよ。

 ファンのみんなはきっと知ってると思うけど、

 ここは僕のタレント人生が始まった場所なんだ。」

「かつての部隊も、ずいぶん賑やかになったなぁ~僕は分かってるよ。

 これもすべてみんなの支持と応援のおかげで、

 だからこそ僕は今日まで歩いて来れたんだって。」

「そして今日は、これまでずっと僕を支えてくれたみんなに感謝するために、

 新作の曲とダンスを全力でみんなに見せたいと、

 みんなに忘れられない一日をプレゼントするよ!」



一曲また一曲と決められた曲リストの通りに、プログラムは正常に進んでいった。


深海からのクジラの呼び声、その孤独な叫びと混じって、

かもめの羽ばたきが聞こえ、

早朝の雨露が緑の葉脈を伝って流れ落ち、滑らかな玉石を叩く。


耳に心地よい爽やかなヒバリのさえずり、続けてやって来たのはイルカの群れが海面を飛び跳ねる楽しさ、そして新風もまた干し魚の縫いぐるみを来て、

舞台の上で疲れも知らず音楽に合わせて跳ね回っていた。


新風鰻片

「ふぅ、いいね。今のところすごく順調だよ。」

「練習の成果が余すところなく発揮できてる。」

「さて、そろそろ時間かな……」


海洋の喧噪と熱気に満ちた楽曲が終わりを迎えると、

新風は部隊の正面に向かって深くお辞儀をしてから、

ゆっくりと舞台裏手へと退いた。


二分間も経たないうちに、

着ぐるみを脱いだ新風が再び舞台に上がり、熱狂が再び燃え上がった。


新風鰻片

「僕たちみんなで、これからも歩いて行こう!」


新風は舞台の中央に立ちながら人差し指を高く掲げ、舞台の下に向かって叫んだ。


新風鰻片

「次の曲は、僕がデビューしたばかりの時に作った曲、

 今日のデビュー記念っていうテーマに合わせて、

 特別に歌詞と曲をアレンジしたよ。」

「みんなが気に入ってくれると嬉しい!みんなの情熱を聞かせてくれ――」


メロディーが鳴り響き始めた。自然音声の他にも、

新風はその楽曲にレコードプレイヤーのようなノスタルジックな雰囲気も加えた。


新風鰻片

「お前の笑顔が、僕を強く、絶え間なく成長させていく♪~」

「今この時、僕たちはまたここに戻って来た、かつて、僕たちが出会ったように♪~」

「ああ――お前は覚えているだろうか、僕たちの出会いを?

 僕は秘密の記号を、もう一度こっそりと掲げる♪~」


音楽のメロディーがこの時穏やかになり、

舞台中央の新風がゆっくりと自分の腕を持ち上げた。


【選択肢】

・ゆっくりと手を上げる

・彼に向かって手を振る

選択肢

ゆっくりと手を上げる

新風鰻片

「僕はこれからも強くなり続ける、全力でお前を守るよ♪~」


彼に向かって手を振る

新風鰻片

「最高にかわいいお前が、毎日僕をときめかせる♪~」


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楽曲のメロディーが一瞬にして跳ね上がり、

激しい情熱的な感情を伴って、どんどん陽気で躍動的に変わって行った。


新風鰻片

「できれば、お前をきつく抱き締めたい。これから毎日、お前に傍にいて欲しい♪~」

「僕の歌声の中にいるのは、お前だけ~僕の心の中にあるのも、

 すべてお前さ~ぜんぶ~お前だけしかいない♪~」


エレキギターの伴奏が新風の歌声の終わりと共に静かになり、

激しい拍手が舞台の四方八方から沸き起こった。


新風鰻片

「ありがとう――ありがとうみんな――」

「これからも、僕のことを支えてください!

 一緒に進んで行こう!

 僕はきっともっと良い曲を書いて、みんなの期待に応えるから!」

「今日のコンサートはこれで終わりじゃない、

 僕がお前たちをもっと素晴らしい音楽の世界へと連れて行かせるよ!」


新風はそう言いながら、突然舞台下のとある場所を見て、

腕をまだ引っ込めていない人に向かって、眩しいウィンクを送った。


新風鰻片

「これからの日々も、よろしくね。」



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