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明爐焼響螺・手紙

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作成者: 皮蛋納豆丼
最終更新者: 皮蛋納豆丼

目次 (明爐焼響螺・手紙)

半分風雅

主人公名:

近頃、とにかく忙しい。嵐で商船の往来に困難をきたしたり、漁船が沿海で座礁し、危険に見舞われたり。俺は朝早く出て、夜遅く帰る毎日だ。お前に会えないから手紙を書く。


あの時、お前は俺と一緒に海に出ると言ったな。忘れてはいないぜ。天気がよくなって、海が落ち着くまで待とう。準備ができ次第、お前に声をかけるよ。

羅響


同袍同沢

主人公名:

前の手紙に、天気が良くなったらお前を連れて海に出るって書いてたよな。帰航中、甲板に立って風を受けている時、今が最高の時だと思ったんだ。そうそう、船にいる兄弟たちにも伝えておいたぜ。あいつら、とても喜んでたよ。「次の航海は、うまいメシが食えるぞ!」って言ってな。今は甲板で大騒ぎだ。だが、あいつらの相手をする必要はない。お前を海に連れ出すのは、料理を作らせるためじゃないからな。素晴らしい海の風景を、お前に満喫してほしいだけなんだ。


伝書鳩で手紙を送るぞ。届く頃には、俺は着岸しているだろう。あわてる必要はない。港で待ってるぜ。

羅響


以心伝心

主人公名:

近ごろは漁業のオフシーズンで、漁船は海に出していない。俺も商船乗りの兄弟たちに休暇をやった。せっかく時間ができたことだ、潮州にも何日か泊ったぜ。


とても奇妙な感覚だった。ふるさとにいるのに、知り合いが誰もいない。俺の両足は、馴染みのある土を踏んでいるのに、周囲のすべてに見覚えがない感じだ。


だが、変わっていないものも、いくつかあった。周りで聞こえるふるさとの言葉は変わっていなかったんだ。みんな朝から飲茶(ヤムチャ)を楽しんでいる。それに俺の好物の粿条(クエティオウ)は、100年経っても変わらない味だった。


明日は空桑に帰るぜ。のんびりとした日々も、あまり長引かせるべきではありません。あなたの好みに合わせて、粿条と緑豆餅をお土産にします。鴨母捻は、やはり出来立てがおいしいので、今度一緒に食べに行きましょう。

明爐焼響螺


金蘭之契

主人公名:

今日船に乗っていた時、移動するクジラの群れに出くわしたんだ。俺たちの船にくっついて、長時間一緒に泳いでた。珍しい事だ。クジラは、南洋では少ない。船乗りの間では、海の神の加護を得たこととされ、縁起のいいことだ。


ただ前回お前が船に乗った時、クジラが好きだと言っていたな。だからクジラの群れを見た時、撮影しようと思ったんだが、全部ピンぼけだったよ。あの貴重な瞬間も撮り逃してしまった。


俺は絵も描けないから、見た景色は言葉で記そう。


クジラのひれは刀のように、朝日に映える海面を分かつ。潮吹き穴から水面に霧を吹き出すと、火縄銃が爆発したような音が響く。巨大な尾びれを持ち上げて水面に落とし、再び深海に潜る。そして海水を伝わって、遠くて近いような、クジラの鳴き声が鼓膜に届くんだ。


文才のある兄弟に手を入れてもらった。お前にこの臨場感が伝わるといいな。


<最後に1行、別の文章が添えられていたが、途中で破られていた。よく見ると、これからのすべての風景を、お前と一緒に見られますように」と書いてあったようだ>

明爐焼響螺


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