肉骨茶・手紙
半分風雅
主人公名:
<今にも手紙から飛び出して来そうな、踊るような文字だ。>
ふふふ、空桑は食魂の桃源郷だね!私をつかまえて風呂に行かせようとする婆やもいない。時計を指して早く寝ろって言うメイドや、勉強するように見張る白髪の家庭教師も、みんないない!まるで普通の人みたいに過ごせる……アハハ!自由すぎて、雲の上にいるみたいだ。こんなに楽しいのは久しぶりだよ!
&color(#d58632){<P.S.:でも、たまにヒヤっとすることもある……そうそう!あの郭っていう執事の視線を感じた
ときとかね。>
快活な阿茶
}
同袍同沢
主人公名:
<手紙と一緒に小包が1つ届いた。なにやら甘いココナッツの匂いがする。>
昨日あんたと一緒に街で買い物したとき、クエケタヤップを買って戻るのが遅くなった理由を教えるね。実はあの時、ある親子を見ていたんだ。父親が小さな子供を背負って、一緒にケタヤップを食べながら談笑してた。ごく普通の光景なのに、なぜか目が離せなかったんだ。
それを見ながら、養父を思い出してしまってさ。あんなふうに一緒に笑いながらケタヤップを食べられる普通の親子だったら、どんなに良かったか。私は父を愛してるし、父も私を愛しているはずだ。でも愛ゆえの期待や責任が重すぎて、息がつまりそうなんだ。だから私は……ハハハ!大丈夫、大丈夫。いま私は、あなたと一緒に笑って、しゃべって、このケタヤップを食べることができる。あなたはこのお菓子が好みみたいだから、また買ってきたんだ。手紙といっしょに送るよ!
ココナッツ味の阿茶
以心伝心
主人公名:
<手紙と一緒に壺1つが送られてきた。中から薬の匂いがする。>
今朝、あんたのところに遊びにいったら、あんたは昨日の深夜まで働いて体調を崩してるって鵠羹から聞いてさ……あんたはいつも元気で笑顔だから忘れたけど、空桑の若様として、重い責任を負ってるんだよね。でも、どうしていつも青空を飛ぶ小鳥のように、あんなにのびのびと自由なの?
あーあ、あんたのそんな様子を見てたら、私が実家を捨ててきたことも、これまでやってきたことも、ただのひどいわがままなんじゃないかって思えてくるよ。
<P.S. 滋養茶スープを煮たんだ。これを飲めば、少しは楽になるはずだよ!安心して。くしゃみの出る粉も、痒くなる粒も入れてない。あんたにそんな悪戯はしないから!>
茶の湯味の阿茶
金蘭之契
実を言うと、あんたに出会うまで、「責任」なんてものは、自由の翼を縛り付けて幸せを台無しにする冷たい足枷だと思ってた。でもあんたと一緒にいるうちに、いつの間にそんな考えは変わってきた。
私があんたと共に過ごし、あんたを守るっていう食魂としての責任を果たしているとさ、疲れや焦りじゃなくて、湧き水のように透き通った喜びを感じるようになったんだ。これこそが「幸せ」っていう感情なのかもしれない……
そんな私を白さんが、成長したねって言ってくれたんだ!それで嬉しくて、あんたに会いたくなったんだよ。このあいだ行った場所に、もう一度あんたを連れていきたいな。あの街角の食堂へ、手をつないで行こう。そして一緒に笑ったりおしゃべりしたりしながら、クエケタヤップやチェンドルを食べようよ!
<注:早く来てね。裏庭のハイビスカスの花壇の前で待ってるよ!>
成長した阿茶