手紙『空桑の約束』
目次
百日の旅(ログイン100日/徳州扒鶏)
若様へ:
若、時は白駒の隙を過ぐるが如し。貴方が『食物語』の修復に努力を始めてから100日が経過しました。
羽根が生え揃って、空を高く飛んでいく鳥の子どもを見ているようです。オレはこの上ない喜びに胸が満たされました。他の者たちもきっと同じ気持ちでしょう。今日が記念すべき100日目であると知って、符は「大したことじゃない」と口では言いつつも、楽し気な曲をハーモニカで吹いていましたよ。そして、いつもはとても無口な氷糖湘蓮と龍井居士が、口元をそれぞれ8°23′と9°47′上げていました。
空桑にいるすべての食魂にとって、若との出会いと再会、また、共に旅したことは一生の宝物になるでしょう。これからもずっと若のお傍にいたいです。そして次の100日も、その先の長い歳月も、共に過ごせることを願っています。
徳州扒鶏
半年の付き合い(ログイン180日/揚州炒飯)
若さまへ:
若様、今朝は早く目が覚めました。皆さんも同じですよ、今日は特別な日ですからね。みなさん、とても喜んでいるのだと思います。
今日は若様が『食物語』の修復のために戦いを始めてから半年経った記念日です。
私にとって、この半年間は長いようで短かったです……若様もそう感じているのではないでしょうか? 若様との出会いは、まるで昨日のことかのように呼び起こされます。今でも、あのときの若様がどんな表情だったか語れますし、風で舞い上がった服の裾や空中で舞い散った金色の埃を思い出すことができます。ですが、改めて考えてみますと、私たちはこれまで様々なことを経験して、長い旅を続けてきましたよね。一品鍋と一緒に裏山へピクニックへ行ったこと、えび餃子のためにコンサートを開催したこと。それだけじゃありません、空桑運動会の笑い声、離れ離れになっていた友人を迎えたときの感激の涙、そのすべてがまるで一枚の絵巻のようです――そして、その中心であなたはいつでも清らかに輝き続けている月光のようです。
この手紙を書いているとき、窓の外には穏やかな風が吹く、麗らかな日でした。梅の枝先には花が咲き乱れ、廊下からは若様と葫蘆たちの笑い声が聞こえてきました。
揚州炒飯
一周年記念(ログイン365日/鍋包肉)
若さまへ:
若様、努力家のあなたのことですから、私が机の上に置いておいた『年度訓練計画』を読み、辛抱強く最後のページをめくった後に、この手紙を見つけたことでしょうね。
私がなぜ手紙を書いたのかと、訝っておいでですか?毎日あなたの進歩を記録し続けることは、執事として当然のことです。
スケジュール日誌の365ページまで到達したときに、今日があなたが『食物語』の修復を始めて一周年記念日だということに気づいたのです。
この一年、あなたは空桑の管理の仕事を真面目にこなされ、体力も知力も素質を大いに伸ばされました。
その身を危険にさらしても、なお冷静に、正確な判断をなされました。
あなたの成長を目の当たりにし、執事としては、当然嬉しく思います。
この手紙があなたに自信を与え、前に進む力を与えてくれればと願っています。
十項全能、百項全優、いえ、私に目に映るあなたは、それよりもっと素晴らしい。
以前あなたは、この執事を永遠に必要としていると、行ってくれましたね。
それが一時の冗談ではないことを、どれだけ願ったことでしょう。なぜなら、あなたの執事はこれからもずっと、あなたのお傍にいるからです。
そして、空桑の食魂の皆も、来年と再来年も、ずっとあなたを促し、励まし、あなたの成長を見守っていくはずです。
鍋包肉
復帰時手紙(鵠羹)
若さまへ:
若、お元気ですか?
私は若と離れてから、毎日新しいお菓子を作って、若のお戻りを待っております。
朝になると、春巻がいつも綺麗なお花を摘んできて、若の窓台に置きます。鍋包肉はあまり喋りませんが、机に置いていた『若育成手帳』もだんだん薄くなってきました。彼も若の負担を減らそうとしているのでしょうね。若が不在の間、皆は各々の方法で、若のことを待っておりましたよ。
そして私はといえば……ずっと若の帰還を待っていましたので、嬉しさが溢れ、うまく言葉にできません。ですのでひとまず、『お帰りなさい』を言わせてくださいね!
鵠羹
楽曲共作(一周年イベント)
1日目(佛跳牆)
若さまへ:
出会ったころは、少々未熟なところもありましたが、今や一人前の空桑の若に成長しましたね。
星のように輝く瞳に優雅なふるまい――こんなに素晴らしい成長を見届けることができて、わたしは幸せ者です。もちろん、あなたはいつでも、目が離せないほどお美しいのですが。
今の美人なら、どんな困難にでも立ち向かい、解決に導くことができるでしょう。しかし、わたしは、そんな美人が心配でなりません。どんな時も、わたしがお傍にいることを、知って頂きたいのです。美人とは、このかぐわしい香りの中で、いつまでも共に歩み続けることができると信じていますよ。
佛跳牆
2日目(北京ダック)
若さまへ:
昨日、カレンダーを見て気づいたのだが、愛卿と共に戦うようになって、ずいぶん時間が経った。そこで、愛卿のたゆまぬ努力を称えるべく、祝いの宴を開くことにした。早速、アヒル兵士たちに、新鮮な食材の調達をさせている。それと、朕の点心の腕前もかなり上達した。今日は愛卿のために、この腕を振るおう!
これまで、愛卿とは何度も力を合わせて戦い、喜びも苦しみもわかち合ってきた。たとえそれが、成功であろうと、失敗であろうと、愛卿はいつも笑顔を見せてくれる。民と国を守るのが朕の役目だが、愛卿の笑顔と空桑のすべてが、朕の心を守っているのだ。
これからも、朕と共に歩んでほしい。どんなに高い空でも、果てしない土地でも、広い海でも、愛卿がそばにいてくれるなら、孤独を感じることはないだろう!
北京ダック
3日目(徳州扒鶏)
若さまへ:
若、昔、「正しい線路をたどっていけば、山を登っても坂を下っても幸せで穏やかな終点につく」という言葉を聞いたことがあります。あのとき、正しい線路とはなんなのかと首を傾げたものです。60kgの鋼製(こうせい)レールなのか、それとも75kgも鋼製レールなのか? その答えは、津浦鉄道(しんぽてつどう)で若に出会ったとき、ようやく見つけることができました。
懸命に『食物語』を集める若からオレも力をもらいました。おかげでもっと自分に厳しく、符(ふー)も頑張らせることができました。若が成長したとき、その右腕としてふさわしい自分になっていたいし、ずっとそばに居たいと思います。
まだ終点は遠い。人生という名の線路で、若の前進を阻む障害を乗り越えながら、一緒に進んで行きましょう。
徳州扒鶏
4日目(符離集焼鶏)
若さまへ:
ハーモニカを教えれば、すぐに俺と合奏できるようになったし、射撃を教えればすぐに命中させやがって。なにもかも覚えるのが速いっつーの!このままだと、ついていけなくなりそうだぜ。
昨日、徳州のやつが窓のそばで何か書いていたのを見たぜ。お前に手紙でも書いてたんだろう。言っておくが、この手紙は徳州と張り合うために書いたんじゃねーぞ! ただ、「ありがとう」って言いたかっただけだ。人間界から空桑に連れてきてくれてありがとうな。いつもガミガミうるせーけど、お前といる時はなかなか楽しいぜ。
チッ、ったく、こんな生あったかい手紙なんて俺らしくねー。読んだらさっさと忘れろ! 後で秘密基地に来いよ。最近の成長のご褒美として、いいものを用意してやったぞ!
符離集焼鶏
5日目(四川火鍋)
若さまへ:
○○、時間ってのは、花椒が駆け抜けるように、シューっとあっというまに過ぎると思わないか? これまでの旅で、若さまはますます頼れる、すごい仲間になったと思うぜ!
でもときどき、花椒や八角のように、おれの懐に隠して守れたらって思うんだ、誰にも傷つけられないように。でも、おれたちの若さまは、ただ守られてばかりの人じゃないってわかってる。若さまは困難に堂々と立ち向かえる、おれの尊敬する人だもんな!
これからも若さまのそばにいさせてほしい。一緒に前に進もうぜ!
四川火鍋
6日目(詩礼銀杏)
若さまへ:
君が私の弟子になってから随分経った。
まだ『論語』を丸暗記できていないようだが、毎日の答酬(とうしゅう)から、常に勉学に励んでいることがわかる。最初の時は『詩』『書』『礼』『易』もそんなにわからなかったというのに、今はすでに私と道理を語り合えるようにまで成長したからな。
これまで、授業の後は星空の下で一緒に星を見てきた。先生は果てしない銀河の中で、春秋(しゅんじゅう)の歴史の成り行きを見守り、万物の神秘を探ると言ったな。あの時は言いそびれたが、星のように輝く君の瞳からは探求意欲と大きな意志を感じられた。
『士は以(もっ)て弘毅(こうき)ならざるべからず、任(にん)重くして道遠し』。近頃の『食物語』を修復するための努力に私も感心する。
今日は休養をとってはどうだろう?木の鳥を掘るなり、凧(たこ)をあげるなり、君の好きなことにつきあおう。
詩礼銀杏
7日目(吉利エビ)
若さまへ:
○○、昨日の夜、ボクはベッドでずっと考えていました。若との愛を求める旅をずいぶん長く歩んできたと。みんなと……若と一緒に過ごしてきた時間を考えると、心が不思議な気持ちでいっぱいになるのです。
こんなとき、窓の外に輝く星の光を見ると、若の優しい笑顔が思い浮かびます。あぁ~なんという不思議な気持ちでしょう。これが愛というものなのですね! ボクが探し求めていた愛は、ずっとすぐそばに、この空桑にあったのです!
若との旅は、これからも続くでしょう。でもボクにとってはこれまでとは違います。愛を探す旅から、愛を守る旅になったのです!
この愛を守るために、ボクも自分を磨いていきますので、楽しみにしていてくださいね!
吉利エビ
8日目(一品鍋)
若さまへ:
拝啓
あなたと共に過ごした日々は、森の中にいるように自由なものだった。絵について語り合うことも、山々の風景をめぐることも、誰にも言えなかったことを、あなたになら、つい話してしまう。あなたは人から信頼される人間に成長したね。
ずっと森や山を自由にめぐりたいと願っていたけど、世間のつながりが鎖となり、私を縛っていた。そんな苦しみのなか、あなたは私を束縛から解放して、風や鳥、そして山などの、あらゆる自然を与えてくれた。これからは、あなたと共に歩んでいきたい。ふたりで山々をめぐり、大切な思い出の絵をたくさん残すことを願っている。
一品鍋
9日目(鵠羹)
若さまへ:
この静かな夜に、古びたアルバムを見て、若と一緒に過ごしてきた日々を思い返せば、子の刻になっても、眠気を感じることはありません。
若と再会した日のことは今も忘れられません。まるで光のように、私を眠りから呼び覚ましてくださいました。
あの日から、私たちは友を探す旅に出ました。若はいつも私のことを頼れる仲間だとおっしゃってくださいますね。実は私のほうこそ、どんどん成長していく若から、食魂として生きる意味を頂いているのです……。
今、このアルバムは新しい物語で満たされています。私と若の途切れた糸も再び繋がりました。いいえ、最初から途切れたことなどなかったのかもしれませんね。そして、これからも途切れることはありません。だって、若がどこにいようと、この鵠羹が常にお傍におりますから。
鵠羹
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