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メイン・ストーリー・1ライスの食材〜10疑念

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グルイラオ編

1.ライスと食材 碧月一日ヒレイナ~風なき密林

レストランの食在庫を充実させるため、ライスは引き続き食材集めを決めた!?

碧月一日

ヒレイナ

主人公「ライス? おーい! ライスー!」

主人公「どこ行ったのかな?」

オリビア「○○、探し物か?」

主人公「オリビアさん。ライスに食事を作ったんだけど、返事がなくて。」

オリビア「食霊に食事? おぬし、面白いことを言うな。」

主人公「どこかで遊んでるだけならいいんですが……」

オリビア「実は、これを届けに来た。」


 手紙を受け取った。


主人公「……これは?」

オリビア「ドアに挟まっていたぞ。おぬし宛のようだな。」

主人公「なんだろう……」


【はいけい、御侍さま。きのうと同じ場所へ、食材集めに行ってきます。わたし一人でも大丈夫だから、心配しないでください】

【――ライスより】


主人公「そんな……一人で行くなんて、危ないに決まってる……」

オリビア「ライスも一人前の食霊として、おぬしに認められたい気持ちがあるのだろう。」

主人公「……探しに行かないと!」

オリビア「いや待て。どのみち食霊は、危険な状態になれば契約者のもとに戻る。見守ってやったらどうだ。」

主人公「オリビアさん、すみません、今日は休業にします!」


***


碧月一日

風なき密林


 少年の表情は愁いを帯びていた。何日も森をさまよった挙句、腐った果実を食べて腹を壊し、たき火の煙にむせ、超ヤバい状況にあることは明らかだった。


???「ゴホゴホ!」

???「ふぅ……まったくこのぼくが迷子になるとは……ぶあっくしょん!!」

???「でも今日こそ、ここを抜け出してやるんだ。」

???「料理御侍になる前にくたばるわけにはいかない。見ていてくれ! うおおおおおおおお」

ライス「きゃああっ!」

???「お、ぼく以外にも人が。いや食霊? びっくりさせてすまない。」

ライス「いえ、わたしの方こそ……」

イキ「ぼくの名はイキ。好きなものは料理、夢はひとつ、料理御侍になること!」

ライス「あ、あの……すてきな夢ですね……」

イキ「ハハハ、やはり口に出して言うのは恥ずかしいな。」

ライス「そんなこと…… 料理御侍はたくさんの人を助けられる、立派なおしごとです!」

イキ「キミ…… なかなか見どころがあるな。」

ライス「あの、イキさんはここで何してたの?」

イキ「うん、見ての通り森で修行だ! ハハ…… キミこそどうしてここに?」

ライス「その、抜け出してきたんです…… こっそり。」

イキ「こっそり? 何かあったのかい?」

ライス「わたしの御侍さまのために、食材をいっぱい集めてきたら、きっと喜んでくれるから……」

イキ「なるほど……じゃあ、この森から抜け出す道も知ってるんだね!」

ライス「実は……わたしも道に迷っていて……」

イキ「そんなぁ……やっぱりぼく自身の力でここを出るしかなさそうだな。」

主人公「おーい! ライスー!」

ライス「お、御侍さま?!」

主人公「ライス、探したよ。何も言わずにいなくなるから……」

ライス「ごめんなさい。御侍さまのお役に立ちたくて。」

主人公「ライス……。そのためにこんな遠くまで……」

ライス「ごめんなさい。」

イキ「キミの御侍か? これでぼくも助かったのか?」

主人公「こちらは?」

イキ「イキです。ここであなたの食霊に会って、ぼくもそろそろ帰ろうかななんて……」

主人公「そうか。それなら……えーと……」

ライス「御侍様?」

主人公「あれ、どっちから来たんだっけ?」

イキ「ま、また迷子がひとり増えた……」


 この時すでに、無数の堕神に取り囲まれていたことを、路頭に迷った三人が気づくことはなかった。森の湿った空気が突如一変し、ようやく異変に気付いたのだった。


主人公「なっ!? いつの間にこんな……!」

イキ「仕方ない。一緒に片づけましょう。」


***


イキ「ふぅ……何て危ない森だ。」

主人公「イキ、よくここで何日も暮らせたね……」

ライス「ねえ、帰ろうよ。夜になったらもっと危ないよ。」

イキ「だから今道に迷って……ん?!」

主人公「なんだ?」


 イキの体は限界に近くなっていたが、近づいて来る堕神の影を見逃さなかった。ライスも異変に気付き、神経を研ぎ澄ませた。


イキ「つ、ついにここまでか……もうだめだ、最後に料理御侍と戦えて幸せだったよ。」

主人公「イキ、しっかりするんだ! 力を合わせて、一緒にここを抜け出そう!」

ライス「そうだぞ! 一緒に戦うんだぞ!」

イキ「……そうか、これが料理御侍の強さ! ぼくはまだ、諦めるわけにはいかない!」

知らない人「何者!?」

主人公「え?」

イキ「何だ? 堕神じゃない……?」

知らない人「……貴様ら、なぜ後をつけて来た。」

イキ「はあ? ぼくたちはただの迷子だ! 後をつけた覚えはない!」

知らない人「……ともかく早々にここを立ち去れ。」

主人公「道を教えてくれれば去ります……」

知らない人「貴様ら……一体何のマネだ?」


 仕方なく、怪しげな人物にすべてを打ち明けた。


知らない人「ハハッ! 地図も持たずにこの密林に踏み入るとは、大した愚か者たちだ。」

イキ「なにー!!」

ライス「待ってください!」

ライス「ごめんなさい、困っているんです、どうか助けてください!」

知らない人「…………」

知らない人「こっちだよ。」

ライス「ありがとうございます!」

イキ「……ライスには優しいのかよ。」

主人公「しっ! いまはとにかく、黙ってついていこう。」

2.突然の敵意

ようやく森の出口にやってきた一行だったが、そこで待ち構えていたのは!?

知らない人「ここから行けばすぐだよ。」

イキ「ちぇっ、こんな道があったのか。」

ワイス「助かりました。ありがとうございます!」

知らない人「では、報酬を頂こうか。」

ライス「うん、いいよ! 何がいい?」

知らない人「この食霊の契約を解除して、私に譲ってほしい。」

ライス「え? え!?」

主人公「何だって?!」

知らない人「別にいいだろう? 霊力のない食霊など、連れていて何の価値がある? 礼の品として、決して高いものではないと思うがな。」

ライス「ごめんなさい! わたし、嫌です、御侍さま……!」


 ライスは瞳に涙をため、両手でしっかりと○○の袖を握りしめた。


主人公「ラ、ライスは譲れない! まだ出会ったばかりだけど、そう簡単には渡せない……!」

知らない人「そうか。ならば、手荒なマネはしたくなかったのだが……」

イキ「待て!」

ライス「イキさん?」

知らない人「ほう、たかが食霊一匹のため、貴様も死に急ぎたいと?」

イキ「そうじゃない!」

知らない人「ならば、口出し無用だ。」

イキ「お前、料理御侍のくせに食霊に手を出すつもりなのか?!」

知らない人「ふん。もはや話にならん。やれ、麻辣ザリガニ。」

麻辣ザリガニ「ふふ……お任せあれ。」


***


主人公「う……!」

イキ「ゴホゴホ、くぅ……」

ライス「御侍さま、イキさん!」

麻辣ザリガニ「まだ息があるようだな……」

イキ「や、やられる!」

麻辣ザリガニ「くく……怖いか? お前たち人間の命を握りつぶすなど、俺にとっては造作もないこと。」

ライス「だ、だめです!! もうやめて!」

麻辣ザリガニ「立派な食霊気取りか? 契約などなければ、人間などとうの昔に……」

主人公「なんのことだ……! そ、それより逃げないと!」

麻辣ザリガニ「くく……見苦しい。とどめを刺してあげよう。」

知らない人「待て……もう十分痛めつけた。貴様ら命拾いしたな。」

麻辣ザリガニ「な?! 生かしておけば面倒に……」

イキ「お前ら……ぼくがタダじゃおかない……」

知らない人「その程度の力でか? 忠告だ。我々に会ったことはここで忘れろ。」

麻辣ザリガニ「……まあ、またどこかで会うかも知れんがな。」


 ザリガニと正体不明の人物は、謎を残したまま去っていった。

3.手土産

ようやく危機から脱した3人だったが、イキは少々困ったことになった。

ライス「御侍さま、ご無事ですか?」

主人公「大丈夫だよ。ライスも無事でよかった。」

ライス「あのザリガニ、なんかいやな感じでした…………わたしが勝手に飛び出したから……」

主人公「いいんだよ。さあ、とにかく早くここから出よう。」

イキ「ようやく森とおさらばだ! ぼくは野宿にするけど、キミたちはどうする?」

ライス「今日も野宿ですか?」

イキ「見ての通り、もうクタクタだからね。どこか安全な場所を探して……」

ライス「御侍さま……」

主人公「イキ、うちのレストランでよければ泊まっていかない?」

イキ「えっ、でもぼく……いいの?」

ライス「イキさんおいでよ! みんなであそぼ!」

主人公「助けてくれたし、ほんのお礼の気持ちです。」

イキ「そ、そういうことなら……お言葉に甘えちゃおう。もちろんお礼はするよ。」

ライス「お礼?」

イキ「まだ時間もあるし、近くで食材収集でもしようかな。ぼくがご馳走するよ。」


***


イキ「これでよしっと!」

ライス「イキさん、お疲れさま!」

主人公「準備万端! 出発しよう!」

4.審査 碧月一日 レストラン

イキの助けに感謝し、暫くの間彼らをレストランに泊めてあげることにした。

碧月一日

レストラン

主人公「美味い!!!!! 味がしみてて舌触りもなめらか……! 驚いたよ、イキ。」

イキ「ああ、これでも料理御侍を目指しているからね!」

主人公「そういえば、ギルドに行く時間は大丈夫? あまり話し込まないほうがいいかな。」

イキ「大丈夫。おもてなしも料理御侍のお仕事だからね。」

イキ「おもてなしが出来てこそ、一流の料理御侍! それに……聞いてる?」

オリビア「○○、ライスは無事か。」

イキ「えっ?」

主人公「はい! 途中気になることもあったけど……オリビアさん、お食事は?」

オリビア「お構いなく、今日は良い知らせだ。」

主人公「よい知らせ?(まさか、正式に料理御侍に……)」

オリビア「おぬしも知っての通り、各地の惨状がこのまま続くようでは、ヒレイナだけでは料理御侍が足りぬ。」

オリビア「そこでだ。レストランにギルド支部を設立する。会長のご意志だ。」

オリビア「目的は、ギルドメンバーの活動拠点を増やし、任務範囲を広げるということだな。」

主人公「それで、このレストランも……?」

オリビア「左様。」

主人公「……て、てっきり料理御侍になれたかと思った……」

オリビア「そう気を落とすな。ここが支部になれば、料理御侍を束ねる役割が、おぬしに与えられる。」

主人公「おおっ!」

オリビア「さらにギルドに活動経費を申請できるし、任務完了で3%の報酬が手に入る。おぬしにとって悪い話ではないだろう?」

主人公「そんなに……! それなら、イキはここで料理御侍になれば……」

オリビア「イキ?」

主人公「密林で会って、ここにしばらく泊めてやってるんです。おーい、イキ!」

イキ「はじめま……あっ! ギルド戦闘支部隊長のオリビア?! ぼ、ぼくを料理御侍にしてくれるの?!」

オリビア「気が早いぞ。が、私を知っているのか。腕には自信がありそうだな。」

主人公「料理の腕は保証します。支部ができたら、イキはここに置いてくれませんか?」

オリビア「人選は上が行う。ギルドに入るには、あるを試練を受けてもらうぞ。」

イキ「試練……いいね、どんな試練?!」

オリビア「戦闘だ。」

オリビア「風なき密林付近に出現する、強力な堕神を討伐してもうおうか。それを倒せば認めてやろう。言っておくが、油断禁物だ。」

イキ「よし、任せとけ!」


***


イキ「少し休んだら力が湧いてきた……! ザリガニヤローでも何でも来い!」

イキ「この森で過ごした苦難の日々……ん? あれは……狼煙があがってる。」

イキ「救援信号かな? うんうん迷子の気持ちはよく分かるよ。」

イキ「いや、もしかしてあいつらか……このぼくをからかってるのか?」

イキ「でも迷子なら見過ごせない! ぼくのようなお人好しはそういないぞ!」

5.遭遇

クエストをクリアすれば料理御侍になれる! イキは、目的地に向かった。

イキ「おーい……誰かいるんだろー……」


 狼煙の方角へと向かっていくと、なぜだか香ばしい匂いがした。たどり着くと、誰かが旨そうな魚を焼いていた!


???「……誰だ?」

イキ「なんだ、迷子かと思ったけど。キミ、ケガはない?」

???「あ? 誰か知らんがあんたに心配される義理はない。」

イキ「でもキミさ、こんなところで魚焼いてると堕神が来るよ。」

???「ここは俺の家だ。家で魚をグリルにしているだけだ。」

イキ「キミ、ここに住んでるの? 変わり者だなあ。まあぼくも同じような経験があるよ。腐った木の実を……」

???「ってか腰を落ち着けすぎだろ! 勝手に人の魚食うなよ! 帰れよ!!」


 相手はイキを追い払うべく、火のついた棍棒を振りかざし、襲い掛かってきた!


イキ「わ、分かった! 帰るよ。」

???「ああ、さっさと失せろ。」

イキ「もう、冷たい人だなあ……」

???「…………」

???「…………」

???「こんなところにまで人間が入り込んでくるなんて、もはや我々に残された場所はないのか?」

イキ「お~い!!!! おいおいおいおい!!」

???「何者!?」

イキ「いや、ぼくだけど」

???「き、きさま……!」

イキ「そうじゃなくて! うしろ! うしろ見て!」

貪食女「ニンゲン……オイシイノ、タベル……!!!」

???「この……また来たか……」


***


イキ「大丈夫だったか?」

???「この程度何の問題もない! 分かったら消えろ!」

イキ「まあそう言わずに。魚を食べさせてくれた礼を言うよ。」

???「そうか。気持ちだけで十分。」

イキ「あんなに美味しい魚は久しぶりだったよ。どんなレシピなんだ?」

???「悪いが、教えられない。帰ってくれ。」

イキ「なら、せめて名前だけでもさ。」


 相手は背を向けたきり、何の反応もなかった。


イキ「…………」

イキ「(……この人、もしかしてこの森の種族の人かな?)」

イキ「おっと、もう日が沈みそうだ。こうしちゃいられない。」

光耀大陸編

6.ティラミス 碧月二日 レストラン

詳細を得るため、ティラミスと共に光耀大陸に向かう。(右下の地図を開いて光耀大陸を選択しよう)

碧月二日

レストラン

イキ「……とまあ、華麗にやっつけてきたというわけなんだ!」


 イキは、クエスト完了の知らせを手土産にレストランに戻り、得意げに戦果を語った。


ライス「イキさん、すごいです!」

主人公「おめでとう。早速ごちそうを用意するよ。」

オリビア「ともかく、よくやってのけたな。素晴らしい。」

イキ「いや~そんな!」

ライス「じゃあ、イキさんは合格?」

オリビア「それは改めて報告する。何はともあれ、○○に支部の仲間ができたな。」

主人公「支部のチームらしくなってきましたね。」

オリビア「では支部をより強化するため、おつかいに行ってきてくれ。」


 オリビアは買い物リストを取り出し、皆の前にかざした。


主人公「なにこれ?」

オリビア「建築用資材だ。」

イキ「何に使うんですか? レストランの内装? ハハ……」

オリビア「うむ。レストランを改造する。」

主人公「開店したばかりで改造!?」

オリビア「支部発展、ひいては料理御侍のためであるぞ。」

オリビア「レストランを心地よい場所にして、任務に励みやすい環境をつくるのだ。」

主人公「はあ、なるほど……」

オリビア「おぬしたちが外出している間に、私が食材を運び込んで来てやろう。」

オリビア「立派な支部として、このみすぼらしいレストランを巨大に改造する!」

主人公「みすぼらしいって何ですか!」

オリビア「いや、すまぬ、少々言い過ぎた。とにかく食材も、物資も、すべて入るほど大きくするのだ。」

主人公「まあ確かに、ギルド支部としては小さすぎますかね。」

オリビア「うむ。この後のことは彼女に聞いてくれ。」

ティラミス「○○さま、お願いいたしますね。」

主人公「やあ、ティラミス、こちらこそよろしくね。」


***


商人「らっしゃい! おっとお客さん、ギルド支部の○○さんで?」

主人公「これはありがとう……や、ティラミス、これは……?」

ティラミス「わたくしの御侍さまが手配された商人の方ですわ。」

主人公「なるほど。」

商人「ご依頼の建材は揃いましたぜ。ささ、お茶でも召し上がっていってください。」

主人公「ありがとうございます。」

7.多地域協力

支部を設立するには、建材を使ってレストランをリニューアルしなければならない。しかし光耀大陸で面倒事に巻き込まれた。

 店主が立ち去ると、○○は室内をしげしげと眺めた。

 建材調達のため来たとはいえ、○○はここ北の地がグルイラオとは全く違うことに、やや心が踊った。

 南部の巨大城壁――天城のお陰で、ここは堕神の侵入を免れている。人々の生活も平和で落ち着いているようだ。

 建築や衣服、人々の所作、どれをとっても、この洗練された美しい自然に溶け込んでいた。

 そして、○○は視線をティラミスに戻した。それを感じて振り向き、微笑みを浮かべるティラミス


ティラミス「○○様、大丈夫ですか?」

主人公「いや……初めて食霊と仕事をするものだから、慣れなくてね……」

ティラミス「慣れない? ライスちゃんといるときもですか?」

主人公「食霊って戦闘と厨房の仕事しかできないんだと……すまない、そう思っていたんだ。」

ティラミス「それも間違ってはいませんわ。」

ティラミス「わたくしたちはそもそも、堕神との戦いのため召喚されたんですもの。」

ティラミス「ですが、有機体でできた人間と違い、食霊は零体を本質として生まれたので、脳も含めた体のあらゆる器官は単なる模倣物。実際の機能はないんです。」

ティラミス「オリビアさまのように思考や探索を教えてくれる人間がいたおかげで、わたくしたちも「主観的思考」を持ち、人間の知識、行為、理想を学びました……」

主人公「それって……、「主観的思考」はもともと、食霊に備わっていないということ?」

ティラミス「はい、わたくしたちが契約に従うのはただ本能的なものです。「主観的思考」のお陰で「自我」の大切さを知るのです。」

ティラミス「自我を知ることが、契約を超えた関係を結ぶ第一歩ですわ。ライスちゃんにとっても……」

主人公「きっと、契約より、大切なことがあるんだろうな。」

主人公「教えてくれてありがとう、ティラミス。」

ティラミス「お役にたてて光栄ですわ。」

商人「おーい、お二人さん。」

ティラミス「店主さん、仕事は済んだんですか?」

商人「ああ……だが二人に言わなければならないことがある。」

商人「最近建材が不足気味でな。買い付けの人間を手配しようと思っているんだが、彼らの食事がな。」

商人「デリバリー契約しているレストランがあるんだが、よそで堕神にやられたとか。生きてはおるまい……」

商人「近所の店はどこも注文でいっぱい、しかしみんなを腹ペコのまま働かせるわけにはいかないしな……」

主人公「それは困りましたね。」

ティラミス「他のレストランをあたってみてはいかが?」

主人公「ティラミス、それって……」

商人「ありがたい! デリバリー、頼めるか?」

ティラミス「○○様、支部の設立と同時に、レストランの経営も重視しなければ。光耀大陸からデリバリーの受注を受けられれば、周辺地区の宣伝にもなりますわ。」

ティラミス「お店の知名度を上げるいい機会ですわよ。」

主人公「いい考えだね……商売上手なんだね。」

ティラミス「もちろん。」


 ティラミスがほほ笑むと、頭のリボンが揺れた。○○には、彼女はかわいい女の子としか見えていなかったが、印象が変わっていくのを感じていた。


商人「よし、最初の注文はこれで頼む! 今後もよろしくな!」

主人公「こちらこそ。では契約を! 今すぐイキに食材を準備させます!」

8.追随

ティラミスの話を思い出すと、心がざわつく。

 商人と契約を交わし、店に戻って最初の注文が来たのは、それから二日経ってからのことだった。

 朝食メニューが終わり○○とライスは店の片づけをしている。食事を終えた客が次々と立ち去る九時は、一日の貴重な静かな時間だ。

 ライスのお陰で、店の仕事はだいぶ楽になった。それに、訓練に付き合ってあげた結果、ライスの喋り方もだいぶまともになってきた。

 だけど……○○の心は落ち着かない。この静かな空間は、もしや話しかける絶好のチャンス?


主人公「デリバリーの調子はどう?」

ライス「順調だよ! あの店主さん、じきに建材も用意できるって。」

主人公「そうか、ならそれが届きしだい工事開始だな。」

ライス「よかったですね、御侍様~」


 話が終わると、厨房の仕事を続けるライス。その背中を見ていると、二日前のティラミスとの会話が思い出され、言葉が喉元まで出かかってくる。


主人公「ラ、ライス?」

ライス「はい、何でしょうか?」

主人公「ライスライスって……いや、何か思ってることはないか? 不満とか……」

ライス「それってどんな食べ物ですか?」

主人公「ハハ……、食材のことじゃなくて。契約のことで……」

ライス「もちろん、御侍さまを全力でお助けするだけです!」

主人公「うん……ありがとう。」


 ○○はティラミスの考えを理解していたが、それにライスに話そうとして、気の利いた言葉が出てこないことに気が付いた。

 瞳を輝かせて真剣に考えこむライス。だがやがてまぶたが重くなってきた。


ライス「ううん……? 眠くなってきちゃった。」

イキ「おーい、○○、朝から難しい話?」

主人公「そんなことより遅刻だよ、イキ。」

イキ「寝坊。それで、何の話をしてたの?」

主人公「ライスが主観的思考をもっているかだよ。危険な目に合わせたくないんだ。どう説明すればいいか、わからないんだけど。」

イキ「それは……食霊にも思考はあると思うけど。」

主人公「大事なことだと思うんだ。」

イキ「フフフ、ライス、キミの一番の願いは?」

ライス「もちろん御侍様のおそばで、全力でお仕えすることです!」

イキ「ほら、これの何がダメなの?」

主人公「いや、いいんだ。どうかしてたね。」

ティラミス「○○様!」

主人公「ティラミス? どうしたんだ?」

ティラミス「ご存じないんですか、建材屋さんが……」

主人公「どうしたんだ?」

ティラミス「オリビアさんの受け取った手紙です。」

主人公「建材の手配をしていたスタッフたちが堕神に襲われた?」

ティラミス「はい、それに、彼らが連れていた食霊たちが、事件後に姿を消しているんです。」

イキ「姿を消す? それは怪しいな。」

主人公「前回会ったあの人でしょう、それが本当なら、様子を確かめに行かなきゃ。」

主人公「ティラミス、オリビアにこのことを伝えておいてくれ。イキ、行くぞ。」

ライス「わたしも行く!」


 出発しようとしていた皆は、突然立ち上がったライスに気が付いた。ピンと伸ばした背筋、真剣な眼差しには、大きな決心の色が見えた。


主人公「ライス……。今回は危険だよ。店番をお願い。」

ライス「御侍さま、おねがい! 帰りをまつだけなんていやです!」

ライス「そばにいられないなら、わたし……どうかおねがいします!」

主人公「だが……」

イキ「連れて行ってあげたらいいと思うな。」

主人公「ライス……「契約」より大切なことがあるんだ。」

ライス「……?」

主人公「……危ない目にあったら、まずは自分のことを守るんだよ。いいね?」

ライス「うわ!」

9.掃除 碧月四日 光耀大陸郊外

ようやく食霊の最後の足取りが掴めたが、どうやら堕神の仕業じゃないみたい!?

碧月四日

光耀大陸郊外

主人公「食霊たちは、ここで姿を消したんですね?」

イキ「情報によると。それに、ほら周りと比べて新しい足跡が残ってるし。」


 イキは東側の川辺の茂みを指さした。あたりには、食霊の魔法による木の幹の焦げ跡や、なぎ倒された草が。建材屋のスタッフはここで堕神の襲撃に遭ったに違いない。


イキ「ほら、こんなに痕跡が、彼らはこちらへ向かっていたのかもしれないな。でもこんな場所へ、どうして……?」

主人公「何かを追っていた? まさか、捕まったとか。」

ライス「みんな……無事かな?」

主人公「何とかしないと、建材は調達できない。それに、食霊の動きも気になる。」

主人公「しかしこの様子からして、堕神の数は多そうだな、前からこうだったのか?」

イキ「いや、天城に綻びでもない限りは考えられないね。」

主人公「人が堕神を連れて来たのか……?」

イキ「調べてみないとわからないな。その前に、この目障りな連中をすべて片付けてしまわないと!」

主人公「うん……ライス、無理はするなよ。」

ライス「……はい。」

10.疑念

森の奥まで探索。その奥には一体なにが隠されているんだ?

 茂みの奥は巨木によって日光が遮られ、昼間でも薄暗くなっている。

 大きな音に驚いて茂みから飛び上がる小鳥たち。木の下に一人の食霊が倒れている。体中の傷から霊力が滲みだし、うつろな目にはもはや生気がない。

 その傍らでは赤い服を着た白い髪の男が、冷ややかなまなざしで息も絶え絶えの食霊を見つめている。「フン」という一声で、巨大なハサミの電光が消えた。

 さらにその後ろに、黒い服を着た謎の人物が、すべてを黙って見ていた。


知らない人「奴は死んだか、ザリガニ?」

麻辣ザリガニ「まだ息はあります。この体、使いますか?」

知らない人「時間があればな……まったく。」

知らない人「奴らを見くびっていたようだ。今や食霊の力を借りなければ片づけることも困難だ。」

麻辣ザリガニ「こんなものは朝飯前の仕事。悲観することはありませんよ。」

知らない人「ああ、すべては自由のため……」

麻辣ザリガニ「とは言え、もう我々の手は血に染まっていますよ……」

知らない人「……貴様とも、そろそろ別れどきだな」

麻辣ザリガニ「気分次第かな。」

イキ「おーい! こっちこっち!」

知らない人「あの少年は……」

麻辣ザリガニ「おや、ついて来たのがまだいるようだね。」

主人公「イキ、あの食霊は行方不明になっている……」

麻辣ザリガニ「ちょうどいい、お前の仲間だろう?」

ライス「ど、どうしてこんなことを!?」

知らない人「もちろん、生きるためだよ。」

ライス「……生きる?」

知らない人「生きるためには、食霊の体が必要なんだ。」

イキ「食霊を何だと思っているんだ?」

知らない人「道具に決まっているじゃないか。」

イキ「何だと……?」

知らない人「知っているか、こいつらはこの星にもう何百年もいるんだ、こんな奴らを仲間だと思うなんて、バカな人間もいたもんだ!」

知らない人「こいつらは人間が作った存在なんだ、どうしようと人間の勝手だろう。」

知らない人「こっちに利益さえもたらしてくれれば、死のうが生きようが関係ない。」

イキ「ふざけるな!」

ライス「イキさん、落ち着いて。」

主人公「じゃ、ここの人たちが堕神に襲われたというのも、お前らの仕業か?」

知らない人「堕神? あの食霊のことか? こうなったら、もう教えてもよかろう。」

知らない人「あれは堕神だが、正確にはもとは食霊だった。」

イキ「しょ……食霊!」

主人公「さっき倒したのは商人の連れていた食霊……!?」

知らない人「なんだ、あいつらを探していたのか? 気が付かなかったのか? どうだ、食霊を殺した気持ちは?」

イキ「お前なぁ……!」

知らない人「じゃ、話はこのぐらいで、時間もないし、ザリガニ、あとは頼んだぞ。」

麻辣ザリガニ「フンッ!」

知らない人「ぐわあっ! ザリガニ……貴様?!」


 黒服は自分のために時間稼ぎをしてくれると思ってザリガニのそばを通り過ぎたが、ザリガニは巨大なハサミを振りかざし、黒服に反応する隙も与えず、その首を挟んで体を宙に持ち上げた。


知らない人「ザリ……ガニ………………!?」


 巨大な鋏を振りほどこうとする黒服、だが人間の力では食霊と勝負にならない。生死の瀬戸際にあってなお、彼にできるのは無駄あがきだけだった。


知らない人「おい! に……逃がしてやったじゃないか……なぜだ……?」

麻辣ザリガニ「なぜか? 私も「食霊」だからですよ。」

知らない人「グッ……!」

麻辣ザリガニ「あの人との約束で仕方なく人間と協力していたんだ。だがあんたみたいな下賎な生物といるのはもうたくさんだ。命で償いをしてもらおう。」


 相手の次の言葉を待たず、ザリガニはハサミに力を込めた。あがいていた黒服はうめき声を一つ上げ、それきり体はだらりと垂れ下がり、動かなくなった。


ライス「ど……どうして人間を殺したの!?」

麻辣ザリガニ「おまえは、この前の空っぽの食霊さん?」

麻辣ザリガニ「こんな下賎な生物に同情など必要かい?」

ライス「……私たち食霊の使命は、人間を助けることじゃなかったの?」

麻辣ザリガニ「使命!? ……ハハハ、ハハハハハハハハハハハハ!!!」

ライス「…………」

麻辣ザリガニ「堕神が暴れ始めてからというもの、人間は食霊とともに世界を守ってきたように思われているが、知っているか、奴らは食霊を堕神化させるものを秘密裏に製造しているんだ。」

ライス「食霊を……堕神化?」

麻辣ザリガニ「なぜか知っているか? 知りたくないか? 信じないのなら、今からすることをよく見ておくがよい。」


 ザリガニは死んだ黒服の服の中から注射器のようなものをまさぐり出し、ハサミで倒れている食霊を捕まえて中身の液体を注射した。そして、すぐにその場から逃げ去った。


イキ「おい! 待て!」


 追いかけようとしたイキは、思わず足を止めた――虫の息だった食霊はけいれんを起こし、唸り声を上げ、異様な光が宿る両目を見開いたのだ。


イキ「これが……食霊?」

主人公「いや違う……「堕神」だ!」


***


酒呑童子「ああ、御侍様……ど……どこ?」


 ○○たちの健闘により、「敵」は倒されたが、その時の相手のやるせない声により皆は悟った……この戦っている相手は食霊なのだ、他の食霊たちもこうして堕神になったのだと……


イキ「危ないところだったな!」

主人公「…………」

ライス「なぜ……こんなことに?」

主人公「ライス……!」

ライス「もしや、今まで倒してきた堕神は、私の仲間……? そんな、そんな、今まで耐えてきたのに……!」

主人公「ライス?」

ライス「……!」

主人公「その「今まで」ってどういうこと?」

ライス「え? 私……今何か言いましたか?」

イキ「緊張しすぎて、思ってもいないことを言ったんじゃないか?」

ライス「そうですね……ごめんなさい。」

主人公「ライス。あいつが食霊に何をしたのか知らないが、どうか信じてくれ、契約者として、食霊を傷つけることは絶対にしない!」

ライス「御侍様……わ、私は平気です、心配させてごめんなさい。」

主人公「……」

イキ「○○、これを!」

主人公「何か見つけたのか?」

イキ「これは大発見だよ。」

主人公「さっきザリガニが使っていたものだな? 食霊を堕神にしたのも、この中身と関係がありそうだね。」

イキ「このマークを見て。」


 イキは注射器の末端を指さした。銀で刻まれた美しいマークの下に、小さな字が。

【ナイフラスト魔導学院製】


ライス「まどうがくいん?」

主人公「ライスは知らないか。もとは精霊が魔法を研究する場所だったが、人類が魔法能力を失ってからは、様々な用途の魔導工具を研究する場所になったんだ……」

主人公「私たちの契約に使った幻晶石も彼らが開発したものだよ。」

ライス「じゃ、彼らはどうしてまたこんな恐ろしいものを?」

イキ「それは彼らに聞かないとわからないな。」

主人公「魔導学院は普通の人間が出入りできる場所じゃないよ、どうしよう?」

イキ「うーん……オリビアに相談してみよう。ここは片付いたんだ、建材屋にもそう伝えて、レストランに戻ろう。」


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タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
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  • RPG(ロールプレイング)
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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