【白猫】The Shining Shadow 3章 Story
story戦いの記憶
……この遺跡にも充満してる……たくさんの人の、悲しみ、憎しみ、恨みが……!
うぅっ――!
アイリス!?だいじょうぶ!?
……ごめんなさい、平気よ。少し気分が悪くなっただけ……
よし!こんなところもぐるのやめよう!
そうも言ってられないわよ……
前の二つの遺跡のように、ここにもきっと、<闇>に対抗するための武器があると思うし……
それに……
アイリス……?
……少しでも<闇>のことがわかるなら、私だって、避けては通れないもの……!
……でも、気をつけてこ一ね。れーにもれず、ここの魔物も、たぶんチョー強いだろうから!
…………
……
「「「討て!討て!討て!」」」
数百人の戦士たちが、思い思いの得物を手にし、闇の魔物たちに踊りかかる。
「「「討て!」」」
戦士たちを二重三重に取り囲む無数の闇の魔物。……戦力の差は明白だ。
「「「討て!…………<闇>を!」」」
戦士たちは一歩も退かない。仲間の屍の上に陣取り、なおも意気高く戦い続ける。
「声を絶やすな!誇り高き<蛇>の戦士たちよ!」
一際大柄な戦士が檄を飛ばす。
しなやかな、それでいて鋼のような筋肉を躍動させ、巨大な魔物に飛びかかる!
「ウオオオオー!!」
雄叫びと共に、戦士は手に携えた剣を、魔物の頭頂に突き立てた!
が――
「――!?」
魔物の肉体の内側から、<闇>が剣を押し出す……!
――抜け落ちた剣は、闇の瘴気に侵され、金属の輝きを失った――
「……ウォオオー!!」
地面をまさぐり、倒れた仲間の武器を手に、男は再び魔物に挑みかかる――
野には、戦士の骸ばかりが増えていく――
story 服従の拒絶
――屍で埋め尽くされた荒野に、男が一人立っている――
「――見事なり、<闇>よ、<闇の王>よ――!
俺の名はアシャクァトル。誇り高き<蛇>の戦士。その最後の一人。
我ら一族死力を尽くし、闘うも勝利すること叶わぬは、地の、天の、太陽の神の、意志と導きなのだろう。
ならば従わねばならぬ。
大戦士アシャクァトルは、敗れし者のならいにより、<闇>にこの身を捧げる。
血と魂に研ぎ澄まされしこの力これより、好きに使うがいい!」
…………
「なにっ!」
周囲の<闇>が渦を巻き、アシャクァトルを飲み込んでいく――
「膝なら着いた!貴様を主と認め、忠誠を誓うと言うのに!
なぜだ!?」
闇はますます<濃く>なり、その周囲ごとアシャクァトルを塗り潰していく――
「おのれ……!<闇>よ、戦士の誇りを踏みにじるか……!
許さぬ……!
何万年の時が経とうと、必ずや屠り、背後に照る落陽ごと呑み込んでくれる!」
――闇は膨張し、見渡す限りの荒野を黒く染めると、地中深くへと沈んでいった――
…………
……
「……うぐ、ぐぐぐ……!
グォォォアア――!」
あ、イシュプールまたいた!
そりゃあいるよ。同じ者を追ってるんだもん。
アタシたちは誰かを追つてるわけじゃないけど?
それはわかってるけどね。<シバルバーの魔神具>を探してる以上は、同じことさ。
イシュプールさん、この遺跡について、何かわかりましたか?
時を経て、地中にあった魔神具が、いろんな遺跡に押し出されているみたいだね。
そういう<地点>なわけだから、<闇>も濃ければ魔物も強いよねえ。
なるほど……
彼の……いや、彼らの<剣>は、見つかったのかい?
ふむ。やっぱり呪われているね。力を引き出したいのなら、また苦労することになるだろうね。
今度のソレも結構強いと思うから、がんばってみてはどうかな?
いけそうだったらがんばるわ。
そうだね、無理は禁物だ。もちろんわかっているとも。じゃ、今日のところはここで。
……イシュプールってば、相変わらず情報を小出しにするんだから。
それがイシュプールさんのモットーなんじゃない?
そんなこと言ってたわね。ったく、あの蛇男は……
……で、どうする?奥に進んでみる?
……私は行ってみたいわ。
おっけい。でも、やばそうだったらすぐに逃げましょうね。
The Shining Shadow 1章 Story ~闇に堕ちた太陽~
The Shining Shadow 2章 Story ~太陽に弓を引く蛇~
The Shining Shadow 3章 Story ~光を失くした剣~呪剣
The Shining Shadow 4章 Story ~蛇想う祈りの杖~
The Shining Shadow 5章 Story ~叛逆の槍を弾く鏡~
The Shining Shadow 6章 Story ~斧の音が誘う贄~
The Shining Shadow 7章 Story ~黒き彼我見の双刃~
The Shining Shadow 最終章 Story ~落日の蛇~
花言葉を伝えて Story 2015/05/22