【白猫】The Shining Shadow 5章 Story
story
――あのときの私は、わかっていなかった――
一匹の翼持つ蛇が、太陽へ向かって飛翔している――
大蛇は口から光の槍を吐き出した!
光の槍は一直線に、光の槍は一直線に、太陽を目指し、宙を裂く――
「……愚かなり、白蛇よ。
我が名は<贋作の太陽>。<異存>を弾<、<黒き鏡>――
――堕ちよ!」
太陽に到達するかに見えた光の槍は――寸前!軌道を翻した!
見る間に大蛇へと迫る!
槍は大蛇の頭部を射抜き、その身を四散させる。
大蛇は小さな白蛇となり、ゆっくりと地表へ落下していく。
………………
…………
……
昏き地の底……闇と瘴気のヘドロの中で、精悍な男が悶えている……
「……ウ……!ウウウウウ……!」
矢、剣、斧……無数の武具が、男の体に突き立ち、とめどなく血を溢れさせている……
「……ウグゥ……!……アアアアアアアア……!」
苦悶の表情を浮かべ、男が身をよじるほどに、黒く染まった凶器は。より体内深くに食い込んでいく。
「グアアアアアアア……!!!」
はるか中天より、また一本――
――降ってきた槍が、男の頭蓋を貫き、ねじる……!
「……グゥ……アアアアアアアア!」
…………
……
れーによって、ここもあぶなそ一ね……!慎重にいきましょ!
…………
……
ううん、平気よ。心配しないで。だけど
――このままだといずれ、なにか、とてつもないことが起こりそうな――
……そんな予感がするの……!
そうね……猫のカンも、そう告げているわ……!
でもとりあえずいこう!
強い武器、敵に渡るよりは取っちゃったほうがいいモン。そうじゃない?
ええ……そうね……いまはそれしかないわ……
……いきましょう!
story
今度は槍だ……
それ私のなんだ。
イシュプールさん?
いつもいるわねアンタ。
そう言わないでよ~ん。
イシュプールさんの槍……?それにしては、この力……?
うん。それはね、元々白かったのさ。
それで奴を倒しちゃおうかと思ったんだけどね。跳ね返されちゃったんだよ。
ヤツ?
<太陽と蛇の民の里>で人々に生贅を求める、<贋作の太陽>さ。
うう……ヤな話だワ……
私は逆に、その槍でやられちゃってねえ。そのときの力も失ってさ。
でもまあ、なんのかんのあって、いまではこうしてここでにょろっとしてるわけだけどさ。
……キミは恨んでいるかい?私のことを。
A…………
<贋作の太陽>は<黒き鏡>――敵の力を逸らし、そしてそれでキミを縛っていた。
君の体を貫いていた槍の一本は、私の牙だ。当時は知らなかったとはいえ、すまなかった。
A…………
…………
ダメっ!
A……ワレハ、<セツリ>二、シタガオウトシタ……
ダガ、コバマレ……!ナガキニワタル、セメクヲウケタ……!
……<蛇>ヨ……
……なんだい?
Aワレトトモニ、ノミコムノダ……アノ<タイヨウ>ヲ!
――グアアアアア!
持て!地べた這いずりのたうつ蛇よ!
t陽の当たらないところでコソコソと……気に入らぬな、白蛇よ。
アンタは、こないだの!
t奴はまだ不完全。少しの力であの通り、我を忘れて暴走だ。
ククク……あれで伝承の<蛇>などと、ちゃんちゃらおかしいじゃないか。
おやおや、堂々としてるね。いいのかい?やっちゃうよ~ん?
<イシュプールが放つ禍々しい魔弾は、男の体を素通りした!>
……ちぇっ。うまくいかないねえ。
t忘れたか。我は鏡であり、煙。
――そして、<摂理>だ。
……は?
t蛇どもよ。何に楯突いているのか、わかっておらぬようだな。
<闇>とともに燃え盛り、中天に輝く我こそは、<贋作の太陽>――
意志と命の循環を識る者なり!
時代遅れだと思うけどね!
クェーっ!
<魔弾が巻き上げる爆炎の奥から、声が響く。>
――見せしめが必要だ。原初より存在する、この世の<摂理>――
――それに挑むなど、まさしく天に唾する行為!己の愚かしさを思い知れ!
いずれ貴様ら蛇どもには、死よりも凄惨な苦痛を与えてやる!
それまで首でも洗っているがいい!
<――気配は消えた――>
…………
…………
悔しいけど、奴の掌の上、って感じだね。
――いまのところは。
……見ているがいい、<贋作の太陽>よ!
新たな意志が解き放たれたとき、<落陽を呑む忘我の毒蛇>は天高く舞い上がる!
その時が貴様の……<恐れ>と<敵意>に基づいた<摂理>の――
――最期になるであろう!
ってね。
……難しいわね。結局どういうこと?
実は、私も完全にはわかってなかったりしてね。
なによ!
でも、手強いのは確かだね。
わざと反逆者を作って、その力を利用しちゃうんだもん。
そんなの……勝てるの……!
やるしかないよ~ん……
――クェーっ!!
The Shining Shadow 1章 Story ~闇に堕ちた太陽~
The Shining Shadow 2章 Story ~太陽に弓を引く蛇~
The Shining Shadow 3章 Story ~光を失くした剣~呪剣
The Shining Shadow 4章 Story ~蛇想う祈りの杖~
The Shining Shadow 5章 Story ~叛逆の槍を弾く鏡~
The Shining Shadow 6章 Story ~斧の音が誘う贄~
The Shining Shadow 7章 Story ~黒き彼我見の双刃~
The Shining Shadow 最終章 Story ~落日の蛇~
花言葉を伝えて Story 2015/05/22