【白猫】ディーン(ジルベスタ)・思い出
2019/05/31 |
ジルベスタ物語 Story
ディーン・バルト cv.逢坂良太 剣貿騎士団の総長になった若き騎士。 褒められても奢ることなかれ。 |
思い出1
やあみんな! 久しぶりだな! ディーンだ!
♪♪♪
おっ、ありがとう! ありがとうみんな!
いやーこの島のみんなは、いつも褒めてくれるよなー!
マジ嬉しいぜ!
いくらでも褒めてあげるわ。アタシらでよければ。
そうそう土産があるんだ。うちの島で作ったやつだぜ。
アララ、これって……
生ハムだよ。 一本まるごとだ。
ぜーたくだわ!
いいものですね……!
だろう? うちの島の特産なんだ。
剣の島って、こういうのも作ってるのね?
騎士のひとたちが作ってんの?
そういうわけじゃねえ。騎士だけじゃなく、いろんな立場の人がいるんだ。
俺の親父は、そういう人たちをまとめていたんだよ。
ディーンさん……
俺は親父のしたことは許しちゃいねえ。
自分の欲望のためにたくさんの人を巻き込んで、戦争を始めた。
身勝手にもほどがあるぜ。ただ、な……
俺はもう、怨んじゃいない。
…………
……
<剣誓騎士団本部……ローエングリン城>
でへへへ……
まだにやけてんのか! いい加減目を覚ませ!
いいだろ~。久しぶりに褒められたんだしよ~。
パン屋のおかみさんに褒められただけで、これかよ……
いいじゃないか。ディーンのそういうところは、周囲を明るくする。
でもこいつ、いちおうウチの総長なんたぜ。しめしがつかねえ。
押さえつけるだけが、治める方法ではない。
どのみち俺には無理だ。親父のようにはできねえよ。
俺ができるのは、でっかい声をだすことくらいさ。
ディーンはそれでいい。剣誓騎士団からは、多くの者が去ったが……
新たに門をくぐったものも多い。ディーンが率いるのは、そういう騎士たちだ。
だが――
何だよ。
君は知らねばならない。
思い出2
<カレンは、一冊の本をディーンに手渡した……>
な、なんだよこれ……日記じゃねえか……
資料を整理したら出てきた。前総長の日記だ。
……読まねえよ。
……ディーン。私達は、知る必要かある。
我ら剣書騎士団が、どうして野望の走狗となり……帝国に対し戦端を開いたのか。
だったら、お前が読めばいいだろ。
私も読む。だが、まずは君だ。
なんで俺なんだ!
君が前総長カイデン・バルトの息子だからだ。
…………
……
「畜生、カレンめ……あいつ本当に甘くねーのな」
「しょーがあるめえよ」
「だいたい俺が親父のことを知ってどーすんだよ」
「情報は必要だろ」
「俺には活かせねえよ。そうだキース、お前が読め」
「それじゃ意味ねーんだよ」
「なんでだよ」
「お前は総長だ。あれこれ考えるんじゃなく、思いに応えるのが仕事だ。
お前の親父がどうしてあんだけのことをしでかしたのか……
それを知るのも、受け継ぐってことだろう」
「わかった。わかったよ……
だけどよー。親父の日記とか、読みたいか普通?」
「ぜってー嫌だ」
…………
……
部屋に残されたディーンは、日記を睨んでいたが……
ようやく、ページを開いた……
思い出3
ディーンは、日記を読みながら……
しかめ面をしていた。
カイデンという男は――実に退屈な男だった。少なくとも日記の上では。
「そりゃ――他人の日記が面白いってこともねえだろうが……
単なる覚え書きだぜ、こいつは……」
日記の大半は、一日に起こったことの簡潔な記述である。
プライベートな内容は皆無。そして――
「今の所、一行も無しか……」
家族のことを書いた記述が、一行どころか、一文字もない。
「……はー。マジで関心がなかったみてえだな……
予想通りではあったがよ……しかし……
俺が生まれた日も……何も書いちゃいねえ……」
ただひたすらに己を高め、周囲の期待に応え続ける男。
己に厳しく、そして当然のように他人にも厳しい。
「……おっ、これって……? 俺のことか……?
”……午後は管区を視察。設備の拡充の必要あり。
できそこないが城の中にいない。どうして手間をかける?”
「あー、そういや城を抜け出して街までいったことあったな……
できそこないねえ……」
ディーンはページをめくる。
以降、しばらく記述はない。だが唐突に――
”できそこないが、騎士の真似事をしていた。何を考えている?
俺に褒められたいとでも思っているのか?”
「……へえ」
”無能の努力ほど……醜いものはない”
「うおおおおおお!!」
ディーンは机をひっくり返した!
「ふざけんじゃねえ!!
こっちだって好き好んでお前の息子に生まれたんじゃねえ!
こんなもん!!」
ディーンは日記を握り……
窓の外に捨てようとしたが……必死で自制した。
「……くっそ……闇とかのほうが、まだマシだぜ……」
思い出4
「おい、ディーン。大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だよ……」
「本当か?」
「よっと……」
<ディーンは照明用のルーンにソウルを流した……>
「ウッ……今日は一段と……こたえるな……」
「おい、そういうのは俺がやるから」
「いーんだよ。これくらいは俺にもできる」
「無理してんじゃねえの? 俺相手にそんな必要あるか?」
「笑っちまうよな……ルーン一つろくに使えねえ、そんな騎士がいるかよ。
確かにできそこないだよな……」
「おいディーン、なんだそりゃ。お前の必殺技はどうした」
「何の話だよ」
「自画自賛だよ。てめーのやってんのは、その逆だろ」
「褒められる価値もねえってのに……自画自賛もねえだろうが……」
「おい……」
<キースは、机の上にある日記に目を留めた……>
「今日は寝ろ」
「いーや。読むぜ……あと少しなんだよ……」
「ディーン……てめぇ……」
「あの野郎の息子だからじゃねえ……
俺は、総長として、前総長の器を測らねえといけねえんだ」
「まだやる気なのか」
「たかが日記読むだけだ。なめてんじゃねえ。
気になることもあるしよ……」
「……忘れてたぜ。ディーン・バルトって奴は、追い詰めた後か怖いってな」
「そういうこった……!」
…………
……
「副長、あんたは読んだのか?」
「読んでない」
「あいつがあそこまで追い詰められるって、普通じゃねえぜ」
「いつかは、向き合わねばならないことだ」
「確かに親父ってのは、そういうもんだがな」
「ディーンはこれしきで折れはしない」
「へえ」
「ディーンは総長の器だ。混迷極まるこの時代に、騎士のあり方を示す男だ」
「それ直接いってやれよ。すげえ顔になるぜアイツ」
「そこまで私は甘くない」
思い出5
<ディーンの机には……山程の資料が積まれていた>
「この日か……」
「ヴァルミア島の件か」
「そうだ。うちも関わってるんだろ?」
「日記にその件が?」
「ああ」
「連邦は島の利権を奪うため、ヴァルミア島を狙った。
直接手は出さず、剣誓騎士団を動かしてな。
……ヴァルミア島の人たちは、闇を信仰してたっていうが……
そんなもの、根も葉もない噂だ。
しかし剣誓騎士団は、鋼の国の要請のまま、査察の名目で島に進駐。
抗議活動に対し武力を用いた。その後は知ってのとおりだ」
「……俺の親父は、眉一つ動かさなかったってな」
「日記には?」
「数字だけだ」
<ディーンがつぶやいた数字に、カレンは眉をよせる>
「……虐殺された人の数だ」
「……俺の親父は、責任を……感じてたのか……?」
「私にはなんともいえない。日記はどこまで読んだ?」
「……多分、次のページで……俺の母さんが死ぬあたりだ」
…………
……
ディーンのお母さん……確か……
殺された。犯人は見つかってない。
親父が本当におかしくなったのは、それからだ。
そうだったのね……
俺は次のページに何が書かれているか考えた。
今までどおりだったら、多分何も書かれちゃいねえ。
親父はそういう男だ。母さんも俺も、重荷でしかねえ。
だが……俺の見た親父は、背負ったものを捨てられねえ不器用な男だ。
わかっちまったんだよ……親父が救いを求めた理由がな。
剣誓騎士団は、戦争をするための道具だった。
だが、騎士がそれでどうする。俺遷は平和を守るのが仕事だろうがよ。
親父はその矛盾を一人で抱え込んだ。
その結果があの戦争だよ。
お? どうした主人公?
思い出6 (友情覚醒)
ひさしぶりだなあ。主人公の独特の褒め方。
なんつーか元気が出てきたぜ!
まー心配すんなよ。この件についちゃ、もう片付いてんのさ。
…………
……
<数ヶ月前。ローエングリン城・練武場……
ディーンは、鬼気迫る様子で剣を振るっていた……>
次!!
- いくぜ!ディーン坊!
<ディーンは一撃で騎士を吹き飛ばした!>
- ぐはっ!!
<ソウルを使った戦闘技術、神気剣……
ルーンを使えぬディーンにとって、ただ一つの騎士として戦うための術>
- なんと凄まじい……この力、前総長に匹敵する……
生きてるうちに……もっと話しておきゃよかったな。
親父……あんたは強かった。
だがきっと、それだけじゃ足りねえんだよ……
次! どんどん来い!
…………
……
疲労は頂点に達したが……気力は高まっていた。
ディーンは日記を手にする。
日付はディーンの母、セリア・バルトが帰らぬ人になった日。
セリアは何者かに暗殺された。未だ犯人は不明である。
なぜ母が死なねばならなかったのか――
冬の国の宰相を父にもつセリアは、ガランド家の機密を知る立場にあった。
だから、冬の国が消した――とも。
復讐であるとも……宰相は、国民に酷く恨まれていたこともある。
ディーンは最後のページを開く。
「これか……日付はあの日だ」
記されていたのは、ただー文。
”私は、獣にならねばならない”
それ以降のページは、白紙であった――
「何の思いもねえのに、こんなことは書かねえよな……
あんたは世界を変えたかったのか?
それとも壊したかったのか……?
俺はあんたに、褒めてもらいたかった。
でも、今は……あんたを褒めてやりたい」
…………
……
<ルーンをもたぬ人が成し得た、戦うための術、神気剣……
人間がもつソウルを、武器とする技術。
力を持たぬ少年が選んだのは、そのような技術であった>
さらなる高みに達したか。ディーン。
<ディーンは、剣を構えたまま、黙祷している……>
高み、ねえ……ま、そういうもんかもしれねえけどよ……
なんか、俺も生きているし、お前も生きてる、みたいな……
剣を握るたびに、なんかそういうことを考えるようになったかな。
ほう……
ところでカレン、今俺を褒めたよな?
評価はしたとも。
いや~嬉しいな~。いままでニヤけるのを我慢してたんだぜ~。
君は変わらないな。
変わらねーよ。お前らがいる限りな!
覚醒絵・覚醒画像
剣誓騎士団総長 ディーン・バルト
その他
画像 | 詳細 |
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ディラン・アレス cv.立花慎之介アレス三兄弟の長男にして、元騎士団員。正義感が強く、家族思いな青年。 | |
ヴィクトール・フォントネル cv.高坂篤志<氷の国>の騎士団長の青年。圧倒的武力により、騎士団を統率する。 | |
ダンテ・ガルディーニバルラ城塞王国を襲った闇の勢力を追う、勇敢なる騎士。 | |
クライヴ・ローウェル cv.三浦勝之騎士の家系に生まれ、英才教育を受けた、真面目で実直な青年剣士。 | |
ブライ・マグマイア cv.室元気騎士団の副団長を任されている魔法使い。良家の子息で、豪華な装備を身につけている。 | |
イリア・ノクターン cv.沢城みゆき主を持たない孤高の騎士。敵を倒すことに固執し、己の身も顧みず戦う。 | |
ディーン・バルト cv.逢坂良太褒められることが人生の目標という騎士。称賛を求めて人助けを続ける。 | |
カレン・ガランド cv.瀬戸麻沙己の甘さを断ち切りたいと願う騎士。古の魔道を駆り、正義を執行する。 | |
カシス cv.髙坂篤志 |