【白猫】流星のエンブレム Story 後編
2017/03/31 |
目次
登場人物
ユキムラ・サイオンジ CV:杉山紀彰 多作で有名な紋章画家。 神経質な性格だが、破天荒な面も。 | |
イロメロ・リヴィエール CV:村上奈津実 芸術に対し抜きん出た才能を持つ女の子。 お絵かきは楽しく、がモットー。 | |
アイザック・リヴィエール CV:山崎健太郎 |
story6 スランプ脱出法
「昨日はずいぶんとお怒りだったなあ、ユキムラ?」
「当たり前だ! 何なんだ、あの手紙はっ!?」
「手紙と言えば、チョコを食べたら歯が溶けてしまってね」
「はあ!? 何を言ってるんだ、お前は!?」
「それでとうとう、オカシも全部食べられなくなってしまったんだ。もう何にも食べられなイ。
俺の好きだった物、全部……だって、ダッテエ――
体がトケテシマッタカラアアアア!』
「うわああああああ!
…………
今度はホラーパターンか……」
***
「いよいよ今日から、ですね……!」
「……本当に大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫です! あたしが生みだした、オリジナルのスランプ脱出法があるんです~♪」
「お前、スランプになった事はあるのか?」
「ないです!」
「…………」
「なんとなくなんとかなる~♪」
…………
……
<――広大な砂漠のド真ん中で、大の字に寝転がる男がひとり――>
「どういう事だこれは!? そしてココはどこだ!?」
「砂漠って、ハダカじゃないですか! なんか、ぜんぶさらけ出してて、カッコよくないですか!?」
「だから何だ!?」
「奇声を発してくださーい!」
「何故そうなる!?」
「ピョ~~~~~~~! ピョ~~~~~~~!」
「……クソ、何で俺がこんな事を……」
(……いや、待てユキムラよ。お前はもう長い事、スランプに苦しんできたんだ。
取材旅行、セラピー、催眠術……色々な方法を試してみたが、効果など全くなかった)
「ピョピョピョ~~~~~~~~!」
(俺は……描きたい! また描けるようになりたい!
今はこの娘を信じるしかないんだ……!)
「ピョ?」
「ピョ……
ピョーーーーーーーーーーーーッ!」
***
<深き山中にて、荒々しい滝に打たれる男がひとり――>
「ぐほぅぁっ! がはあっ! ゲベバァッ――!」
「ダメですユキムラさん! 紋章紙がぬれてます!」
「当たり前だろべばぁっ!」
「ジャブンと入ってシャシャシャと描いてください!
……あっ! ほら! 隣人のグレーさんがあまったがあまったおかずを持ってきてくれましたよ!」
「意味が……わから……!」
「あ、あ、あ! きましたきました! すいませんユキムラさん、あたしちょっと描きます!
ピョピョピョのピョ~っ! まんなか緑に、生まれた青! ブラウンさんはお出かけ中ー!」
「ちくしょーー-ーーっ!」
story
<ユキムラは来る日も来る日もスランプ脱出の為の努力を続けた。>
「ニョロニョロヘビのポーズ!!」
「シャーーーーーーーッ!」
<彼は彼女のいう事を素直に聞いた。彼女が崖から飛び降りろといったら飛ぴ降りたし、空を飛べといったら頑張って飛んだ。>
「みてみて! 素敵なお花のかんむりを作ったの!」
「もっと!! いとこのピンクちゃん、もっと!!」
***
「あきまへん。ヨモギモチ食べな」
「その若さが欲しい!」
「「「わはははははは!」」
<ユキムラは彼女を信頼する事にした。それ以外に道はなかったし、何より――
彼女が描く美しい紋章画は、信頼してみようと思わせるだけの力があったのだ。>
<ユキムラはイロメロが紋章画を描く様子をいつも、惚けた表情で見守っていた。
――彼女が紋章を描く様子が、あまりにも芸術的だったからだ。>
「聞いていいか?」
「聞かれてみますー!」
「どうして指で描くんだ? 何故、筆やペンを使わない?」
「だって、その方が線や色を感じやすいからです!
あー、まるまるちゃんが今日は不機嫌だーとか、お茶の子さんがいつもよりキラキラしてるぞーとか」
「……愚問だったな」
<しかし、何よりも――>
「夕暮れ君は、流れる川は、火山のあしおと。あなたの鼓動~♪」
<イロメロが、心の底から楽しそうに描いていたから――>
(あの兄にして、この妹あり、か)
「ウハハハハ! 見ろユキムラ、このズバーッとした線を! まるで戦場を征く孤独な兵士のようだろう?
このズバーッが大切な訳だ。わかるかな、ユキムラ君~♪」
「♪♪~♪~」
(楽しい、か……)
story8 焦燥と恐怖
<イロメロの意向で、久しぶりにアトリエヘと戻ったユキムラだったが……>
「……クソ、クソ! 駄目だ駄目だ駄目だ!」
<その表情は苦悶に満ちていた。――握った筆が、かすかに震えている。>
「いけるかも、と……! 思ったのに……
……何も変わっちゃいない。相変わらず、俺の描く紋章は、クソみたいなチリ紙でしかない……!
奇声を発した、滝行をした、漫才もやった! やれる事は全てやった!
なのにこの紋章は何だ。どこが芸術だ? この作品のどこに俺の魂が映っている?」
「あのね、ユキムラさん、まだです! まだやることが残ってるんです!」
「ふざけるなぁっ!」
「ダメだよユキムラさん。筆が、泣いてるよ」
「お前のお遊びには、もう付き合わない」
「……お絵かきは、楽しく、ですよ」
「楽しく、だと?
描くもん描けなきゃ、楽しくもクソもない。勝手な事ばかり言うな。自分の尺度でモノを言うな。
俺は描かなきゃいけないんだ。自分が信じているものの為に一分一秒も無駄にする事なくただひたすらに魂を切り刻み、めくるめく芸術へと昇華させなければならないんだ!
なのに描けない。どう足掻いても描けない。この絶望がお前にわかるか?
天才のお前にわかるかと聞いているんだ!」
「…………」
「俺の心が死んでゆくのを感じる。芸術に寄り添う事のできなくなった俺の心が、乾いた大地のように、ボロボロとヒビ割れていくんだ。
わかる訳がない。わかるわけがないんだ……」
「苦戦しているようだなあ?」
「…………」
「ハッハッハッ。まさかこれ程とはな。お前の絹豆腐メンタルには恐れいったよ」
「生き返ってくれ、アイザック。
生き返って、俺を導いてくれ。俺は、お前がいないと描けない」
「愛の告白か?」
「もう駄目だ。駄目なんだ。なあ、頼むよ」
「そいつは出来ない相談だな、ハッハッハッ」
「なら、俺を殺してくれ。
紋章画を……作品を描けない<ユキムラ・サイオンジ>など、何の価値もない。生きている意味などない」
「なるほど。確かにお前を殺すという経験は、俺のような天才には意味があるのかもしれん」
<アイザックはユキムラの首を――ゆっくりと締める。まるで何かを絞り出そうとするかのような、緩慢な動作。>
「不幸な人生だった」
「それはお前次第だ」
「……ぐ……ぐぅ、ぐうぅぅぅ……!」
「がはあっ! ……はあ、はあ、はあ……
あ、ああ……あああ……何故、何故――!
夢なんだ……っ!!」
…………
……
「おはよーございますユキムラさん! 今日もじつによいお天気で!」
「決めたよ、イロメロ」
「なにをでしょうか!」
「俺は、画家をやめる」
story9 約束
「やめる? 画家を?
ダメっす」
「軽いな」
「……昨日は、すみませんでした。ユキムラさんの気持ちも考えずに、勝手なことをいってしまいました」
「……俺も、すまなかった。それに……お前の言いたい事はわかる。
だが……もう、限界なんだ。俺は、もう、楽しむ事が出来なくなってしまった。
これ以上は……」
「…………
お見せしたいものがあります」
<そこは、花の都の島の一角にある、こじんまりとした倉庫だった。>
「ここは一体……」
「にいちゃんの倉庫です」
「アイザックの……?」
<倉庫にはただ唯一、布を被ったイーゼルだけが中央に置かれており、ぽつねんと二人を待ち構えていた。>
「いいタイミングで見せてやれって、にいちゃんの遺言です。……これはね、ユキムラさん――
にいちゃんが死ぬ前に描いた最後の作品なんです」
「!!」
「美術館に展示されているものは……ほんとうの遺作じゃない。
すごいですよね、にいちゃん。本当は筆を握ることもできないほど苦しかったはず。
なのにこれを描いて、ここまで運んで、手紙までしたためた。
どれほどの想いがあったんだろうって考えると、胸が苦しくなっちゃいます」
<ユキムラは何かに操られるように、イーゼルの布をそっと引いた。>
「…………!」
<それは、未完成の紋章だった。>
「どうしてもわからないんです。どうして、きれいに半分だけしか描かれていないのか」
「……約束」
「え?」
「おいユキムラ。俺は面白い事を思いついたぞ」
「面白い事?」
「俺とお前で作品を創るんだよ」
「紋章の共作……? そんなのは聞いた事がないな」
「だから面白いんじゃないか!
俺とお前はスタイルが違うだろ。ぶつけるんだよ、それを!」
「ただのちぐはぐな作品にしかならない気がするが?」
「その時はその時だ。批評家の連中に酷評され、二人は紋章芸術をバカにしていると後ろ指をさされる。
だが、考えると楽しくないか? 今まで誰もやって来なかった事を、俺達はやるんだ!」
「お前らしい考え方だな……」
「どうだ? やるか?」
「無論だ」
「よし。……だが! 今じゃない。
お前はまだまだ俺の足元にも及ばん。もっともっと、登ってきてもらわなきゃ困るんだ」
「また、そういう事を……!」
「俺がお前を天才だと認めた時……その時が来たら、一緒に作品を創りあげようじゃないか?」
「…………
お前……もしかして……また俺をおちょくった……?」
「……プッ。プフフフフフ……アーハッハッハッ!」
「アイザックッ! 貴様という奴はッ!」
「<約束>だぞ、ユキムラ! 親友同士の、決して破ってはならぬ約束だー! ハハハハハッ!」
「バカ野郎が……!
どこまで俺をおちょくれば、気が、済むんだ……!」
「……にいちゃんらしいですね。
あたしもよくからかわれたなあ。にいちゃんと一緒に暮らしてた時期があって。
あたしが絵を描く様子を見ては、あーだこーだいって、ゲラゲラ笑うんです。
でも最後には必ず、『絵は楽しく描かなくっちゃなあ』って、あたしの頭をなでてくれて」
「楽しく……」
「はい、楽しく。にいちゃんが教えてくれたのは、それだけでした。
……あたし、思うんです。にいちゃんはきっと、ユキムラさんと出会った時から、ずっとあなたを――――」
「……ずるいよなあ、そんなの。ずる過ぎるよなあ……! ちくしょう……!」
「ユキムラさん……」
…………
……
「というわけで、ネバーギブアップ?!」
「ネバーギブアップ!」
「やったぜっ!! 大丈夫です、トンネルの出口はもうすぐですから!
ユキムラさん、確実にテクテクとテクってきましたから! あたし、わかるんです!」
「うむ! 正直、今の俺なら何だって出来そうな気がしている!」
「ではではではっ! 最終段階とカチコミましょう!」
「ああ! 何なりと俺に指示するがいい!
今度は何だ!? 飛行艇バンジージャンプか!? それとも女装か!?」
「頭の中の魔物を退治します!!!!」
「………………は?」
story10 魔物退治
「ですから、頭の中の魔物を退治するんです!!」
「……魔物って、あの魔物か?」
「はい!! ウギャーでガオガオ、ドカンと一発なあの魔物です!」
「よし、わからない。説明を要求する」
「ゲージュツって、つまるところ、自分との闘いなわけじゃないですか!!
ユキムラさんと違って、あたしはヒャクパー、フィーリングでモンショーしてるワケなんですけど!!
それでもやっぱり、ウーンウーンてウナウナする時あるんですよね!!」
「……ああ……」
「そういう時って、頭の中に魔物がいるんです!!
あたしの中にいるオギャンでウゴーな悪いヤツを、コテンパンにボゲーンするんです!
モンショーでもなんでも、ゲージュツはときに魔物をドビーンしなくちゃいけないんですよ!
そしてそれができれば……ユキムラさんはみごと、スランプを脱出できるはずです!!
いじょうです!!」
「お、おう! ……おう?」
「さあ!! ユキムラさん!! さあ!!」
「いや……具体的にはどうすればいいんだ?」
「自分のありったけの魂をこめ――
無心で描きまくります!」
「……ああ! わかった!」
「いままでユキムラさんがやってきた事は、すべてこの時のため……!
あなたなら、きっとできます!」
「やってやろうじゃないか!」
<ユキムラはムンズと筆を握り、まっさらな紋章紙と向かい合った――!>
「いいですか!? 決して、考えてはダメですよ!」
「……てやあぁぁぁあぁぁぁあああ!」
<――大きなマルだ!>
「うごぁぁぁぁぁああああぁああ!」
<――マルの中に、変な模様が!>
「おわああああああぁああぁぁああ!」
<ニジュウマルになった!>
「ハイィッ!」
<イロメロが素早く紋章紙を取り換える!>
「うらあぁぁぁぁああああぁぁああ!」
<ユキムラは獣のように咆哮しながら、ただただ、目の前の紙に筆を走らせていった。
恐らく、その方が無心になれたのだろう――
――そして、その時はやってきた。>
「現れたな!」
「さあ、ユキムラさん――
砂漠のあつーい時間を思い出して!」
「ピョーーーーーーーーーーーーッ!」
「ユキムラさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
「なむさーーーーーん!」
「ニョロニョロヘビのポーズ!」
「シャーーーーーーーッ!」
「わたし、ユキムラっていうの! お花が大好きなの!」
「ヨモギ思たらパセリやった」
「もうええわ!」
「「どうもありがとうございましたー!」」
<イロメロと過ごした奇想天外の日々が――
ユキムラの筆を、<自由>にさせていた!>
「……フ……フフッ……」
<ユキムラは、とても久しぶりに笑った気がした――>
story11 決別
「今までにない、新しい<何か>を感じる……!
いけるっ! この調子なら――」
「よう、ユキムラ」
「!!」
「とうとう、ここまでやって来たな。おめでとう」
「……何故、お前が……」
「本当はわかってるんだろう?
俺を倒せ、ユキムラ」
「アイザック……」
「友の死は、乗り越えなければいけない。
友とは、決別しなければならない」
「……俺は……
俺には、出来ない……っ!」
「おいおい、何か勘違いしてないか?
……前に進め。止まっていた時間が、再び動く時が来たのさ。
俺のいない世界で、お前はお前だけの世界を創っていくんだ」
<ユキムラの目の前には、キレイに半分だけ描かれた、未完成の紋章が――>
「ユキムラさん……!」
「俺は……俺はっ!」
「さあ、有終の美を飾ろう。俺とお前の二人で」
「にいちゃんっ!」
「おーうイロメロ、久しぶりだな」
「ごめんにいちゃん、今回はあたし、ユキムラさんの味方だからね!」
「わかってるさ」
「……あたしもね、乗り越えたんだよ?
いっぱい泣いて、いっぱいにいちゃんって言って――
いっぱい描いた!!」
「……イロメロ」
「ひとりじゃないよ、ユキムラさん! さあ、あたしの心を感じて――」
<震えるユキムラの手に、イロメロはその手をそっと重ねる。>
「あなたの心を、あなたが信じるものへ!」
「来い! ユキムラ!」
「アイザック――!」
最終話 新しい世界へ
「――ああ――」
「俺はずっと、迷っていたのかもしれない。
いるはずもないお前を探して、出口のない迷宮へと足を踏み入れてしまったんだろうな。
だが……その壁を無理矢理ブチ壊して、手を差し伸べてくれた奴がいた」
「俺の妹はすごいだろう?」
「……こうなる事、全部わかってたんだな」
「親友、だからな」
「アイザック。
――ありがとう」
「ふ、お前に礼を言われたのは初めてかもしれんな。
……最後に、一つ聞きたい」
「ああ」
「描くのは、楽しいか?」
「…………
ああ、楽しいよ――」
…………
……
はい! おさないかけない! 作品には手を触れない!
列から出ないでくださーい!
へえ、これが……
……紋章、なんだよね、これ……
ふむふむ……こんな描き方もありなんだね……専門じゃないけど勉強になるなあ!
私ごのみの色合いだ……あとでレプリカ買っちゃおっと!
ねーねーおかーさん、だいめいの<メイユール・アミ>ってどういうイミなのー?
<親友>って意味よ。いちばん仲がいいお友達のこと。
へえ~。なんでそういうだいめいなのー?
おたがいに、親友を想って描いたからなんだって。
<ただ一つの紋章画に、人々が行列を作っている。その列は館内に留まらず、美術館をぐるりと一周する程だった。
そしてその様子を――ユキムラとイロメロが、離れた所からこっそりと見守っていた。>
いや~、にぎわってますね、ユキムラさん!
……お前はどう思う? <メイユール・アミ>。
大好きです!
こう、にいちゃんのズバーッ! を、ユキムラさんのサジャバー! がいなしつつも、田舎っ子の力ーキちゃんと都会っ子のネイビー君が――
ああわかったわかった。サジャバー! な。
……ありがとう、イロメロ。お前のおかけで、俺は自分を取り戻した。
そうですね! 顔を見ればわかります! ユキムラさん、モンショー! って感じですもん!
どんな感じだよ。
ユキムラ先生!
いやあ、やりましたなあ!<ミュゼ・デュ・アンブレーム>の一日の来館者数、これまでで最も多いみたいですよ!
<ユキムラ・サイオンジ>完全復活! これからさらに忙しくなりますねえ!
俺だけの手柄って訳じゃないんだがなあ……
うふふ♪
こっそり見てないで堂々と出てきたら、先生?
君たちか。今日はわざわざすまんな。
ほへー? ユキムラさんのお知り合いですか? あ、あたしはイロメロです!
飛行島から来たキャトラよ。こっちはアイリス、こっちは主人公。
ギルドの依頼で、しばらくこの美術館の警備を担当しているんです。
準備やら何やらで出入りする内に仲良くなってな。
ちょっとまってください! 飛行島って……なんですか!?
キョーミがあるならいらっしゃいな。
ユキムラさんも、落ち着いたらぜひ。
ああ、是非伺わせてもらおう。
……あっ! さわっちゃダメだってー! 目をはなすとすぐにコレね!
こらー!!
では、また後で。
では、あたしもそろそろ行きますので!
飛行島か? せっかちな奴だ。
いえ、その前にコレを友達に見せたくて!
コレ……ってお前、コレ! まだ展示中のデビュー作だろ!
はい! バリッとはがしてきました!
バリッとはがすんじゃない!
あのね、ユキムラさん!
もう、スランプなんかに負けちゃダメですよ!
……ああ、負けないさ、それに――
俺にはお前というライバルがいるからな。スランプになる暇などないさ!
おおっ! アツイですね! 愛と悲しみと高温のレッドちゃん! うちに秘めたるブルーハート!
あ! あ! あ! ユキムラさんきました! あたしきました! ちょっと描かねばなりません!
……む? むむっ!? イロメロ先生!? なぜ紋章画を手に!?
描かねばなりませーーーーーーん!
先生ーーーーーーーーーーーーーッ!
……ハハッ。
流星のエンブレム -END-