【白猫】流星のエンブレム 序章 Story
2017/03/31 |
目次
story1 少年の生きる道
「……うーん。なんでこの人はこんなに悲しそうな顔をしているんだろう。
なんども見てるけど、わかんないや……
……この人が生きていた時代にかんけいあるのかな?」
少年は、絵が大好きだった。
毎日のように美術館に行っては、日が暮れるまでー流の画家たちによる作品を飽きる事なく鑑賞する。
「だめだ。どうしてもアサギ色にならない。」
「ユキムラ、いい加減に寝なさい!」
「はーい。……もういちど、試してみるか……」
家に帰れば、寝るまで筆を手放さない。そんな少年だった。
旅先の美術館で、少年は自身の運命を変える作品と出会う。
「なんなの、これ……とっても、きれいだ……」
それは<紋章>だった。緻密な構図と美しい色彩。少年は直感する。
「これこそ、僕のめざす芸術だ……!」
少年は、己の生きる道を決めた――
***
「違うな。これではバランスが悪い……」
――
「――桜花爛漫。散りし命、が、大地に根付き……
ああ、何故そうなるんだ。」
――
「…………」
――
「クソッ!
足りないっ!
違う……違うっ!」
story2 少女の生きる道
「かきかき! かきかき!」
「かきかき! かきかき!」
「かきかき! かきかき!」
少女には、絵に対する天賦の才があった。
水彩、油彩、版画、ペン画……彼女なら、どの絵画でも難なくモノにしただろう。
しかし彼女が選んだのは、彼女が最もその才能を発揮したのは――<紋章>だった。
「これは、お嬢ちゃんが描いた紋章かい?」
「うん、そうなの!」
「……素晴らしい作品だ。プロの紋章画家と何ら遜色ない。」
「ソンショクってなにいろー?」
その才能を最大限に開花させるべく、両親は彼女を連れ、世界中を旅して回った。
「♪♪~♪~
ゆうやけさんは、あたしの心臓! どくんどくーんってなみうってる!」
「迎えに来たぞ、イロメロ。」
「あっ! にいちゃーん!」
「今日も、楽しく描けたか?」
「うん! しろいろさんがね、ゾウさんみたいにパオーンっていって、それを、あおいろさんがチャプチャプあそびにきたの!」
「ハッハッハ。そうか、さすがは俺の妹だ。」
「にいちゃん、あたらしいモンショーできたんでしょ!? はやく見せてー!!」
「慌てるな、後でたっぷり見せてやる。――さあ、帰ろう。」
少女の生きる道は、いつでもまばゆい光に包まれていた――
***
「は~! ひさしぶりにきました、ゲージュツの都!
変わってないなァ……街灯のテテンッってした感じとか、石だたみのカラコロトッバーン! とか……
……あ! ああっ! きましたきました! お野菜お肉に川の色、カラフルフルフル~っ!」
「わっ! おねーさん、なにやってるのー?」
「モンショーを描いてるんだよー! ほら、見てて!
シュバーーーッときてからの、サラ~~~~~ッ。最後にデュワ~~~……」
「わあ~~~っ、きれ~~~い!」
「すっげ! なにこれ、どうなってんの!?」
「へっヘヘー。これはね――
って、あたし、美術館にいかなきゃなんだった! ……これ、ふたりにあげるね!」
「ほんとう!? ありがとう!!」
「ばいばーい!」
**
「さーーーーてっ!
明日から、いそがしくなるぞ~っ!」