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【白猫】怪盗ピアナと贋作王の壷 Story1

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

開催日:2018年8月14日



怪盗ピアナと贋作王の壷

怪盗ピアナと贋作王の壷 Story0

怪盗ピアナと贋作王の壷 Story1

怪盗ピアナと贋作王の壷 Story2

怪盗ピアナと贋作王の壷 Story3



目次


Story

Story

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登場人物





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story1 ピアナの秘密



ここが世界屈指の展示物の数を誇る美術館<ギャラ・リ・ランテ>……

今回は警備の仕事じゃないから、しっかり見られるね。

まずは壁一面にずらりと並んだ絵でも……

ややっ!?その前にあの石像が気になるわ!こっちのお皿も!

キャトラ、落ち着いて。ただでさえ、お客さん多いんだし……

そうね。マナーは守らないと。



Oどうやら大盛況のようだね。これもピアナくんのおかけだ。

手前の絵画は子供向け、親子連れが集まることで導線をふさいでくれる……これで隅っこの壷には……


Oピアナくん?なにをブツブツと。

それになぜ、壷を隅っこに?ウチの一番の目玉が……

め、目玉だからですよ。だからこそ、たまには脇役に徹することで逆に存在感を出すんです。


Oそ、そういうものかね?

そういうものです。では、仕事してきます!


O、待って……まあ今に始まったことじゃないか。

……すごい絵画だな。時間が経つにつれ、ひび割れがアクセントになるよう計算して描かれている。作者はおそらく……

この絵はゴーゲンが120年前に描いた風劇画です。

富裕層と貧困層の格差を描き、国王の考えを改めさせたと言われています。

もっとも、絵はだいぶ傷んでいたので、半分くらい私が修復したんですけど……

これを君が?ゴーゲンの独特な色使いをここまで再現するなんて……

そんなたいしたことでは……

ユキムラさん、見てください!トゲトゲでキラキラのピカピカな銅像さんです!

イロメロ、静かにしろ。

ユキムラさんにイロメロさん……?もしかしてあの紋章画家の?

そうです!

お目にかかれて光栄です!是非、次の展示会にお二方の絵を……!

あ、ああ。そうだな。マネージャーに伝えておくよ。

ちょ、ちょっと!この石って……!

あ、それは3000年前に発見された<プリズムオーシャン>で……

空と海を閉じ込めたような輝きを放つ鉱石。その美しさから落石トラップブームの最中でも、人にぶつけることを許されなかったとされている……でしょ?

ふふ、お詳しいんですね。私のお仕事がなくなっちゃいました。

これでも古美術商だからね。それなりに美術品の鑑定もできるわ。

え?……鑑定も、ですか?

急に冷や汗なんかかいて、どうしたの?

「この壷が、かの有名な陶芸家ドリンの遺作か……

「繊細かつ優美な模様。この<ゆう掛け>は、彼にしか出せないわ……

すごいひとだかり……

ぎにゃー!アタシもみたい!


 (ちょいミスった。いつの間にか壷に大勢……)

……あの壷、気になるわね。

 (やばい……鑑定眼のある人に壷を見られたら……)

でも、こんな時間か。待たせる訳にもいかないし、もう行かなきゃ。

そ、そうですか。――それは、残念です。

ようやく順番がまわってきたわ。さあ、壷をおがませてもらうわよ。

(私には誰にも言えない秘密がある)


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story2



<10年前――>


 「お父さん、どお?

「これで、完成だ。

「驚いたな……どこからどう見ても、わしの作品じゃ……

さすがは贋作王メイヘルンといったところか。

「あんたこそ、さすがは世界のドリンだ。この独特の鰹縞<かつおじま>を再現するのは骨だったぜ。

娘のアイデアがなければあきらめてたかもしれねえ。

 「えヘヘ、私もてつだったんだよ!

「二人とも礼を言う。わしのわがままを聞いてくれて……

「いいってことよ。病気じゃ仕方ねえさ。

「……それはいいわけじゃ。わしはもう人々の期待には応え続けることはできん……

奇跡をもたらす力など……今はない……

「お、おい。

「ごほっ、ごほっ……これで安心して死ねる……

あとは頼んだぞ……人々に笑顔を……

「ああ、約束する。そのために贋作つくってんだ。


私は贋作を作る父のことを、尊敬していた。あの日までは――


「ごめんな、ピアナ。……ごめんな。

「どこいくの!いや!置いてかないで!お父さん!

「今から大事なことを言う。しっかり聞くんだ。

……贋作づくりは悪いことだ。だから今までのことは、忘れろ。

「え……?

嘘、だよね?……ねぇ、お父さん。

「…………元気でな……ピアナ。

「待っ―― 待って!お父さん、置いてかないで、――お父さん!

「くそっ!逃げられたか!

「やめて!お父さんをいじめないで!

「……違うんだ。そうじゃないんだ。

「じゃあ、なんで?おじさんのせいで、お父さんが……

「……お父さんはね。いけないことをしたんだ。

「うそ……でもお父さんは、いっつもみんなを笑顔にするって……

「…………

「お父さんの言ってることは、嘘、だったの?


大好きだった父は、私を置いていなくなった。贋作作りは、悪いことだから。


――そこから3年後ここギャラ・リ・ランテでドリンの最後の壷が飾られていることを知った。

『贋作は偽者。作ることは、悪いことだ――』

真実が明るみになることを恐れた私は、キューレーターとして美術館で働き、現在に至るまで、壷の行方を見守り――

――みんなを騙し続けている。それが私の秘密――

全部、お父さんのせいだ。――だから私は、父が大嫌いだ。


cこの壷、気に入っちゃったわ~。なんでかしら?xどことなく、力二カマっぽい模様だからかな?

p(いつかは壷が偽物だと、バレるだろう。だけどもし、怪盗さんが壷を盗んでくれたら……

本物として、みんなの前から消すことができたなら……)



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story




rまた逃げられたな。

tしかし、今回盗んだのはニボシ。あそこに忍び込んでまで、なんでペットの猫のエサを?

rさあな。奴の思考が読めれば、とっくに捕まえてる。

tそれより、ラーメン買ってこい。次の張り込みに備えるぞ。


…………

……


Oピアナくん、壷に照明当てすぎじゃないか?あれでは模様が……

pそそ、そうですよね!いくらうちの照明が美術品に優しいとはいえ、あれはさすがに……

Oなんか、話をそらしてないかい?


zなあ聞いたか?また怪盗が出たらしいぞ。

zしかもすぐ近所じゃ。物騒じゃのう。

p…………

z今夜、うちの美術館に怪盗が来たりして。

pわ!清掃員のおばさん!!

z冗談よ、冗談。

pも、もう。笑えないですよ……

z悪かったね。さてさて掃除、掃除。

ったく、なんでパンくずが……館内は飲食禁止だってのに。


z腹へってんだから、いいじゃん。

zすいません、うちの息子が。もお、目を離すとすぐ……

p……オーナー。

Oん?なんだい?

p怪盗さんが来るかもしれないんですよね。何か対策を練りませんか?

O一理あるけど、急に対策と言われてもね……

警備員の数でも、増やしてみるかい?

pいいえ。

私に、任せてください。



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story 盗んでください



<――夜になり、ピアナだけが残っていた。>


pこれは、チャンスなんだ。あんな壷、怪盗さんに盗んでもらえばいい!

そこで考えた作戦が……THE・わかりやすさ!

<さっそくピアナは美術品を一旦外へ出し、部屋の真ん中にドリンの壷を配置した。


p壷は淡いブルー。つまり後退色。

目立たせるために、まわりに黄色やオレンジの花を飾ってと……

そして照明で壷のコントラストを強めに……

……よし、次は花の絵画で壁を埋め尽くしてっと。


こうすることで、壷だけが特別な存在に見えるはず。あとは――


…………

……



pうん……レイアウトはこんなもんかな。

……次は部屋までの導線を考えよう。

ドアの鍵をかけないと、かえって怪しまれるから厳重に……

あ、怪盗さんの脱出経路も考えないと……あとは――


…………

……


pうん……導線も完璧。

…………

ほんとにそう?石像の指先が目的地を指してるって伝わる?

なんか一周まわって壷のコントラストも罠に思えてきた……

そもそも自然体のほうが盗みやすかったのかも……

あーして、こーして、つまり答えは……

…………

一からやり直そう!

急げ、急げ~。早くしないと怪盗さんが……




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story




zいたぞ!奴は茂みの中だ!

<大勢の警官が茂みに駆け寄ると――>


z違う!これは人形だ!

zということは、我々をおびき寄せ、その隙に奴は屋敷の中に……

r待て。人形を調べろ。

zくくく……

zに、人形が動いて……!?

<人形が立ち上がり、手のひらで顔をなぞると、不敵に笑う真の表情が現れた。>

rよくわかったな。

r俺だって学習はするさ。

fだが遅い。目的の品はすでに俺の手の中だ。

z確かにあの首飾りは……

rその手には乗らんぞ。そいつは偽物だろ!

fなら、金庫室を調べてみればいい。

t逃げちゃいましたね……やっぱり、金庫の中はもう……

r……いや、待て。


…………

……


<――金庫室。>


r首飾りは……!

やはり、部屋の中央に……

z当然です。金庫室のパスワードを知るのは私だけ。私は完璧です。

宝に触れようとすれば、各方向からレーザーが照射され、触れれば大火傷。

怪盗は、なにもできません。なぜなら私は、完璧なのだから。

f完璧、か。

zか、怪盗!?なぜここに……

rやはり首飾りは偽物。そして家主に金庫室を開けさせ、ついでに罠も解除させるのが狙い……

読み通りだ!

fん?

<大勢の警官が金庫室に続々と集まってくる!>

r学習したと言ったろ。さあ、袋のねずみだ!どう逃げる!

f瞬間移動さ。

zなっ!?あいつ、いつの間に首飾りの前に!いや……

<入口と部屋の真ん中、両方にファクティスがいる!>


t分身……!

r違う!入り口にいるほうは……鏡に映った虚像だ!

f鏡じゃなく、氷の壁だけどな。

zだからなんだ馬鹿め!完璧だと言ったろ!宝に触れればレーザーの餌食だ!

f……ふっ。試してみるか?

rな、なぁにぃいいい!!

f首飾りはいただくぞ。ついでに教えてやる。

完璧なものなど、存在しない。

<ファクティスが指を鳴らすと、氷の壁が砕ける!

ファクティスが首飾りに触れる。途端に、無数のレーザーが部屋を駆け巡る!

しかし、レーザーは部屋中に散らばった氷の破片に反射する。そして人が走り抜けるのに十分な空間ができた。>


zなにーっ!?

fまた勉強になったろ、警部。

rちきしょー!持てー!ファクティース!


…………

……


Oおはよう。って、大丈夫かい?目が真っ赤だよ。

p徹夜で怪盗さんを捕まえる準備してましたから。

……来ませんでしたけども。

Oそれでどんな罠を?

p――全部、片づけました。

Oええ……?



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story




z1000人で警備!?マジでそこから逃げ切ったのかあの怪盗……

z警備の数が多いほど、燃えるらしいぜ。

zけど、カッコいいよな。俺も怪盗になろっかな。

pすみません。こちらで立ち止まりますと通行の邪魔になりますので……

zあん?んだよー。

p邪魔になりますので。

z……チッ!行こうぜ。

p(どうして?どうして怪盗さんは、来てくれないの!?)

<ピアナはドリンの壷をにらむ。>


p! 警備の数、か……


…………

……


<その夜。ギャラ・リ・ランテには……>


pみなさん、本日はお集まりいただき誠に恐縮です。

rおや?君は……いや、なんでもない。

pは、はあ……?

rそれで、本当にあの怪盗がここに?

pはい、こちらが予告状になります。

r見せてもらえるかな?

pどうぞ。ささっ。

rえ?あの……すぐに引っ込められると確認が……

pわかりました。ふぁふぁ。

rうん、揺らしても一緒だね。

pしっかり見てください。

rいや近い!予告状、目に貼りつけないで!

pじゃあ音読します。『午後9時にドリンの壷を頂く』だそうです。

rどれだけ読ませたくないの!

p(これはただのポイントカードなので……)

rけどもうそれでいいよ。君を信じる。

pそれで相談なのですが、部屋の警備をもっと増やしてはいかがかと。

聞けば先日、1000人もの警備をもってしても怪盗に逃げられたとか……

というわけで、倍の人数をこの部屋に。

rま、待ってくれ。そんなことしたら身動きが……

pだからこそです。それなら怪盗も簡単には盗めません。

r確かに……

p(あれ?盗ませたいんだから敵が多過ぎるのも……)

rん?どうしました?

p間をとって警備の数を500にしましょう!

rなんの間?それに500もじゅうぶん多いって……

t500人増員しました!

rなに勝手に!しかも早えよ!

pあ、美術品には触らないでくださいね。

(これだけ警備がいれば、燃えるでしょ?

いつでも来て、怪盗さん。

お願い。あんな偽物の壷、はやく、盗んで……!)




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story 正義の味方?




zたすけてー!


qうるせえガキだな。怪我したくなけりゃ、じっとしてろ。


zぐすん……


q心配しなくても、お前の大好きな姉ちゃんが大金をもって助けに……


fへえ、ここが盗賊団のアジトか。てっきりドブネズミの巣穴かと。


qだ、誰だお前!何しにきやがった!


fその子は俺の獲物だ。


zおにいさんだれ?


f怪盗ファクティス。今宵、君を奪いに参上した。お嬢さん。


qまさか例の……!だ、だったらよ……同業者なんだし仲良くしようぜ……


f同業とは心外だな。


qへっ、余裕こいてろ。言っとくが、そこら中……

f罠なら盗ませてもらった。


qなっ!?

<盗賊たちは網にかかり、空中へ吊り下げられた。>

1くっそお……

zあはは、ミノムシ~♪

fお似合いだな。

zところで、おにいさんだれ? なんであたしをたすけてくれたの?

f助けたんじゃない。君を、盗みに来た。

qそこを動くんじゃねえ!撃ち殺すぞ!

f……まだいたのか。

qこ、こっちに来るな……

f早く撃てよ。

qこの銃は本物だぞ!はったりじゃねえぞ!それ以上近づくと、銃口が……

<ファクティスは銃口に額をくっつけた。>


fこれだけ近づけば馬鹿でも外さない。

q後悔するなよ……

fお前、本当に盗賊か?怪盗を不用意に近づけるなよ。

<ファクティスの手には銃が握られている。>

qそ、その銃は……!じゃあ、俺が持ってんのは……

fおもちゃだ。

qすり替えやがったのか!いつの間に……!

fこいつはおまけだ。

qなんだ……足が動かねえ……!

fあんたの両足を凍らせた。無理に動くのはおすすめしない。

溶けるのを待つんだな。もっとも、警察の到着のほうが早いだろうが。

qち、ちっくしょー!!


…………

……


「リンカ!」

「あ、おねえちゃん!」

「よかったリンカ!ごめんね!お姉ちゃんが目を離したせいでこんなことに!」

「子どもから目を離すな。自分たちは大丈夫だ、なんてのは、幻想だ。

その価値観では、自分で自分を守れない。

柵の中の羊に、甘んじるな。」

「え?

誰も、いない。今の声は――」


…………

……


rなにぃ!?奴が盗賊のアジトに現れただとお!?

pえ!?そんな……

tみんな、いくぞ!

pそんな!待って!待ってください!待って!

どうして、来てくれないんですか……!




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story 悪に染まれ



p…………

z元気がないね。どうしたんだい。

p最近、色々とうまくいかなくて。どうして、なんでしょうね。

zさぁねぇ。でもね、うまくいかなくたってお客さんは来るんだよ。

あんたが元気なくて、どうするんだい?

pそう、ですね……

zそう言えば、聞いたかい。怪盗の話。

p怪盗さんの!?なんですか?

zあの怪盗は、悪い奴から盗みを働いているらしいって噂だよ。

p悪い、奴から……

zそうさ。泥棒だっていいことすんだ。そんなにめでたいってのに、あんたが笑わないでどうするんだい。

p……笑う?

zギャラ・リ・ランテは笑顔がモットー、だろ?

pありがとうございます!おばちゃん!

zいいってことさ。年の功だよ。

Oおお、床がキレイになってる。さすがは、おばちゃん。いつもながら完璧だ。

zふふ、喜んでいただけて。掃除したかいがあります。



p怪盗さんが来ないからって、落ち込んでたらダメだ!

来ないなら、仕方ない!怪盗さんが来たくなるようにすればいいんだから!

私の仕事は、みんなを笑顔にすること。

そのためなら、私が悪い人になってやる!

偽物の壷なんか、いつまでも展示させてるわけにはいかないんだから!



zへ、変態だ!

pどおっ!?

<ピアナは驚いた拍子に、壁の下へ落ちた。>

pいたたた……あー、びっくりした。

今の声、近くに変態がいるの……?気をつけないと……

さて――

<ピアナは鋭い眼光で、広大な敷地の真ん中にある巨大な建物を見据えた。

そこは<アダムス・メポロ>。ギャラ・リ・ランテと肩を並べる人気の美術館である。>

p裏口まで突っ走る!

この美術館には何度かお世話になったことがあるから、内部事情はおおよそ把握してる……

裏口の警備はクレマンさん一人。いつもこの時間になると10分間の休憩に入る。

その隙に私は中へと侵入し、名画<モネリーゼ>を盗む……

やるしかない。悪い奴のところに来てくれるなら私が悪い奴になるしかないんだ。

どうせ私は、お父さんの、贋作なんか作る娘なんだから……


<ピアナは無人の敷地を駆け抜け裏口のドアに体を貼り付けた。

そして針金を取り出し、裏口のドアノブに集中する。

pえっと……鍵穴に針金を差し込んで、カチャカチャカチャっと……

あ、開いた。意外と簡単……?

qやあ――

pえっと……鍵穴をふさぐには粘土を詰めて……

qちょっと君!ここ開けてよ!

pやです!なんなんですかあなた!

q僕は泥棒だよ!盗みを終えたから、外に出たいんだ!

p嘘だ!さては、あなたが変態さん!?

q知らないよ!見た目でいったら君も――

zなにをしている!

pクレマンさん!?ちょうどいいところに!ドアの向こうに変態が!

zなにっ!?いや待て、君も怪しいぞ!しかもどこかで見た顔……

p今はそんなこと言ってる場合ですか!

q開けてよ!ねえ!ねえってば!

p……ああ、そうだな。とりあえずドアを開けよう。

むむ!?なんだ?鍵穴が詰まって……

pどうやらドアを突き破るしかなさそうですね……せーので体当たりしましょう!

zよし、わかった!せーの!

qぬおっ!?なんだなんだ!?

z貴様、その格好……それに美術品を……

p変態なうえに泥棒……!捕まえましょう!

zおとなしくしろ。さあ、こっちに……

q美術品は返すから許してくれよ……

あり?お嬢ちゃんは……?


pなんとか潜入成功!さて、モネリーゼはどの部屋だっけかな……

nにゃ~ん。

pどぉ!?の、野良猫……?

ん?ニボシが落ちてる!なんでこんなところに……

たんま。この猫、つかえるかも……

nにゃ?



zさあ、どうなるかな。楽しみだ。

qん?どうしたあんた。雰囲気が……


qあ、あんたはまさか、伝説の怪盗……!

fただの通りすがりさ。――悪いが、この舞台は、彼女に譲ってやってくれ。



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