ショートストーリー投稿板 コメント一覧 (89ページ目)
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冒険者さん
4812014年12月02日 19:11 ID:qoh3dfk1「あなたに、私の気持ちはわかりませんよ……」
漆黒の闘気を解き放ちながら、マイは呟く。
「今の私のこの力は、人々のお米に対する絶望です」
「……」
「こんなにも、人々はお米に対して負の感情を抱いています」
「ならば、その感情ごと貴方を切り捨て、正気を取り戻させます!!」
ガーネットはそう言い放つと、緋剣に炎を纏わせマイへ肉薄する。
「メガフレイムブレイド!!」
灼熱の炎を纏った一撃を、マイは悲しげな瞳で見つめる。
「無駄です」
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冒険者さん
4802014年12月02日 19:04 ID:qoh3dfk1「憎い……憎い……憎い……憎い……憎いぃぃ!!」
マイは目を真っ赤に血走らせ、しゃもじを振るう。
「せい!!」
シャロンを軽々と吹き飛ばした一撃を、ガーネットはその緋剣で弾く。
「やあ!!」
「ちぃ!?」
体勢を崩したマイに、素早く剣を放つ。しかし、マイは紙一重でそれをかわした。
「……目障りですね」
マイはそう吐き捨てると、しゃもじを頭上で回転させる。
「豊穣の刻!!」
漆黒の陣を再び描き、マイの身体から力が巻き上がる。
「マイ……」
その様子をガーネットは悲しげな瞳で見つめる。
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シャロ×クラ
4792014年12月02日 18:55 ID:qoh3dfk1シャロン×クライヴの第十話です。
奈落でふなっしー三体に絡まれましたw
まじきめぇw
やっぱり欲しいとは思わないなぁ…
では、宜しくお願いします。
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冒険者さん
4782014年12月01日 23:02 ID:qoh3dfk1と、いったところで第九話完です。
なんだか、シャロンさんやられてばっかりですね……
まあ、最終回で活躍する予定ですからw
なんとか、そこまでは書き抜きたいですね。
まぁ……一ヶ月くらいかな
それではまた明日、宜しくお願いします!
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冒険者さん
4772014年12月01日 22:58 ID:qoh3dfk1先ほどは軽々と弾き返したしゃもじが、重くシャロンを押し込む。
「ぐぅ……」
ギリギリと歯を食い縛り、シャロンは堪える。
しかし、マイの身体からさらに漆黒の力が巻き上がる。
「パンが……憎い……お米のありがたみを思い知るのです!!」
「ぐぁ!!」
流星剣ごとシャロンを吹き飛ばすと、マイはギラリとガーネットへ視線を向ける。
「憎い……パンが……憎い……」
「クライヴは、こんな気持ちだったのか……」
狂気に満ちたマイを見つめながら、呟く。
「マイ、いま楽にしてやる」
スラリと緋剣を引き抜くと、ガーネットは緋色の闘気を解き放った。
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冒険者さん
4762014年12月01日 22:49 ID:qoh3dfk1「二人がかりなら、私に勝てると思いましたか?」
「なん……だと?」
シャロンの台詞に、マイはニタリと笑みを浮かべる。
「豊穣の刻!!」
マイがそう言い放つと、足元に漆黒の陣が浮かび上がる。
「なんだ、あれは!?」
「あれは、身体強化の陣!?あれは、失われた術では!!」
「お米のありがたみを思い知るのです!!」
驚愕する二人に、マイは強化された一撃を見舞う。
「やらせるか!!」
ギイン!!とシャロンの流星剣とマイのしゃもじが激しくぶつかり合う。
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冒険者さん
4752014年12月01日 22:41 ID:qoh3dfk1「く……だが、まだ本調子ではないな。クライヴにやられて、失われた力はそう簡単には戻らない」
『ふん……忌々しい』
『魔』はそう吐き捨てると、
『だが、米巫女のこの憎しみ、絶望を糧に力を取り戻す』
融けるように、消えていった。
「……やはり、マイを操るレベルでは力を取り戻していない」
「ですが、マイさんは正気を失っています。こう言ってはなんですが、彼女はかなりの剣の使い手です」
「案ずるな、ガーネット。例えマイが強かろうが、こちらは二人だ。確実に無力化できる」
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冒険者さん
4742014年12月01日 22:30 ID:qoh3dfk1シャロンは素早く剣を引き抜くと、マイの振るうしゃもじを弾く。
『ほう、気付いていたか……』
ユラリと、マイね背後に漆黒の霧が現れる。
「貴様は、あの時の!!」
『緋色の女か……くく、貴様の身体。なかなか悪くなかったぞ』
激昂するガーネットを煽るように、『魔』が騙る。
「落ち着けガーネット。怒りや憎しみはあれの力の素だ」
「く……」
『くく、冴えるな。その通りだよ』
『魔』は愉快そうに言うと、
『稲が全滅した人々の絶望。人々をパンに奪われた米巫女の怒り……非常に美味なり』
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冒険者さん
4732014年12月01日 22:22 ID:qoh3dfk1「人を惑わすのがいいとこ……ですが、今のマイさんは……」
「あぁ、非常に心が弱っている。そんなときに、アイツの悪意ある言葉を受けたら……」
シャロンがそう言って、歩みを緩めた。
その時だった。
「パンを排除します!!お米のありがたみを思い出すのです!!」
草陰から、狂気に身を委ねたマイが飛び出してきた。
「マイ!?」
「マイさん!!」
「お米のありがたみを思い出すのです!!」
驚愕する二人に、マイは真っ赤なしゃもじを振るう。
「く!!やはり、『魔』の言葉か!?」
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冒険者さん
4722014年12月01日 22:15 ID:qoh3dfk1「なあ、ガーネット」
「何でしょうか?」
「これは僕の勘なんだが、田んぼの辺りが怪しいと思うんだ」
「やはり、そうですか」
「ガーネットも同じか」
二人はそう言って頷くと、先ほど立ち寄った田んぼへと向かう。
「さっき、いやな気配がするって言ったよな」
「はい、そうですね」
「あれな、前にガーネットが操られた『魔』の気配に似てたんだ」
「っ!?では、マイさんは……」
「いや、あの『魔』に人を操るレベルの力は残っていなかった。せいぜい、言葉で人を惑わすのがいいとこだろう」
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冒険者さん
4712014年12月01日 22:09 ID:qoh3dfk1「米がないならパンでいい。そう言ったな?」
「あ、あぁ……」
「なら、パンがなくなったらどうする?」
「いや、無くならないだろ……」
「パンの原料は麦だ。麦が採れなければパンは作れない。麦が採れなくなったとき、君はどうする?」
「そ、それは……」
たじろぐ男に、クライヴは続ける。
「西の国に何とかしてもらうのか?君には自国の誇りが無いのか?」
「…………」
「……すまない。少し、感情的になってしまった」
クライヴはそう言うと、男に軽く頭を下げ次の人を探し始める。
「自国の誇り……か」
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冒険者さん
4702014年12月01日 22:02 ID:qoh3dfk1「とりあえず、手分けをして探そう。シャロンとガーネットは国の外を、俺は中を探すよ」
「わかった」
「了解です」
クライヴは町の外に消えていく二人を見送ると、さっそく人々に聞き込みを始めた。
「なあ、マイを見なかったか?」
「マイ……あぁ巫女様か。いや、見てないな」
「そうか、わかった」
クライヴはそう言うと、次の人を尋ねる。
「米巫女?いや、見てないねぇ」
「そうか……」
「てかさ、巫女なんて要らなくね?」
「……何故だ?」
怪訝な表情をするクライヴに、色黒の男が答える。
「この国にはパンがある。だから、米なんか要らないだろ?」
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冒険者さん
4692014年12月01日 21:52 ID:qoh3dfk1「なあ、クライヴ。マイ、遅くないか?」
「たしかに、そろそろ日も暮れてきた頃だな……」
シャロンは心配そうな表情をしながら、
「なんか、いやな気配がするんだ」
と言う。
「いやな気配?」
「あぁ……」
「では、皆さんで探しに参りましょう」
ガーネットがそう告げると、クライヴとシャロンが頷く。
「じゃあ、私はキャトラと待っているわ」
「すれ違いにならないためにもね」
「わかった。留守を頼むよ、アイリス、キャトラ」
三人はアイリスと消えているを残し、マイを探しに部屋を後にした。
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シャロ×クラ
4682014年12月01日 21:31 ID:qoh3dfk1シャロン×クライヴの第九話です。
ガチャ70連敗のあと、リカちゃん出ました!
技がスゲーカッケー!
壁叩いて親密あげるかな。
それではよろしくお願いします!
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孔那
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孔那
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冒険者さん
4652014年11月30日 23:06 ID:qoh3dfk1と、短いですが第八話でした。
第九話は、また明日書きます!
宜しくお願いします!
ちなみに、まだ俺のプレゼントボックスにチュンメイが届いて無いんだけど、不具合かな……
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冒険者さん
4642014年11月30日 23:02 ID:qoh3dfk1『米のありがたみを忘れた人々を排除するんだ』
「パンを排除……お米のありがたみを思い出すのです!!」
光彩の消えた瞳に殺意にも似た感情を宿らせ、マイは駆け出した。
『くく、さあクライヴ……どうする……』
漆黒の霧はそう呟くと、駆け出したマイのあとを追って行った。
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冒険者さん
4632014年11月30日 23:02 ID:k5xqqmzkコメントありがとうございます。
メガ系でもランスだけ明らかに範囲狭いですよね。何を考えているんだか運営は…(あ、しまった本音が…)
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冒険者さん
4622014年11月30日 22:58 ID:qoh3dfk1「一体どうしたらいいのでしょうか……」
マイはそう呟くと、がくりと膝を落とす。
その時だった。
『ならば、パンを排除はすればいい』
「……え?」
マイの目の前に、漆黒の霧が現れる。
『パンなどあるから、人々は米のありがたみを忘れるのだ』
「パンが……あるから……」
『そうだ。ならばパンを排除すれば、人々は米のありがたみを思い出す』
「ですが、どうしたら……」
『力ずくで教えてやるんだ。米のありがたみを。パンを排除するんだ』
「パンを……排除……お米の……ありがたみを……」
マイの瞳から、次第に光彩が消えていく。
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冒険者さん
4612014年11月30日 22:51 ID:qoh3dfk1「…………」
部屋を出ていったマイは、稲が全滅した田んぼの前に立つ。
そして、おもむろにしゃもじを取り出すと力を解放する。
金色の陣を展開し、マイは叫ぶ。
「豊穣の刻!!」
陣は田んぼを包み、稲に力を与える。
しかし、
「やはり……無理ですね」
折れた稲が蘇ることは無かった。
「人々の米に対する気持ちが薄れています……これでは……」
マイは米巫女。人々の米に対する気持ちが力になっていた。
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冒険者さん
4602014年11月30日 22:43 ID:qoh3dfk1当惑するクライヴに、マイは続ける。
「今回のように全ての稲が全滅しても、人々は力を合わせて乗り越えてきました。ですが……」
マイの目の前では、パンを頬張る人々が写っている。
「人々が困難を乗り越えようとせずに、パンと言う安易な道に逃げたことを悲しく思っています」
「……マイ」
マイは淋し笑うと、
「過ごし、散歩をしてきます」
そう告げ、部屋を出ていった。
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冒険者さん
4592014年11月30日 22:37 ID:qoh3dfk1「皆さん、本日はこちらでお過ごしください」
「突然押し掛けて申し訳なかった」
「いえ、こちらこそ大したもてなしができずに申し訳ありません」
長はそう言いながら部屋をあとにした。
「…………」
「……マイ、大丈夫か?」
クライヴは、窓の外を見つめるマイに話しかける。
「……米は弱い作物です」
「……え?」
「今回のように、激しい雨や風でダメになってしまうことは珍しくありません」
「そうか……」
「また、病気にも弱く、流行り病でダメになってしまうこともあります」
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冒険者さん
4582014年11月30日 22:29 ID:qoh3dfk1『東の国に米巫女が現れたようだな、ヴァルアス』
城内をあるくヴァルアスの前に、漆黒の霧が現れる。
「あらかじめ、人々には絶望を与えてあります。また、米巫女の嫌悪するパンの配布もすんでいます」
ヴァルアスは霧に向かって頭を垂れながら答える。
「あとは米巫女の絶望を煽り、堕とすことが出来れば完了です」
『いいだろう。ならば、最後は私がやろう』
漆黒の霧はそう告げると、だんだんと消えていく。
『あのクライヴには仮もある。くく……米巫女を使い、遊んでやるとしよう……』
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冒険者さん
4572014年11月30日 22:21 ID:qoh3dfk1「西の王よ、東の国の様子はどうなっている」
漆黒の衣装に灰色の髪、長身の男が威圧的に問いかける。
「これはヴァルアス様、東の国の食料は全滅。その後の様子も予定通りでございます」
西の王は、いやらしい笑みを浮かべながら男ーヴァルアスに答える。
「そうか、ならばそろそろか……」
ヴァルアスはそう呟くと、くるりと踵を返す。
「あとは貴様の好きにするがいい」
「あ、はい」
西の王は気の抜けた返事をしながら、ヴァルアスの背中を見送った。
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シャロ×クラ
4562014年11月30日 22:09 ID:qoh3dfk1シャロン×クライヴの第八話です。
にこ生、カムイが輝いてましたねw
ボックスに放置だったから、育てようかな……
それではよろしくお願いします。
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冒険者さん
4552014年11月30日 22:08 ID:e6mw7ea0結局自分がネタキャラだったと理解したロベルトは、セイクリッド家の一人娘のアンナに弟のように可愛がられて傷を癒したそうです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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冒険者さん
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冒険者さん
4532014年11月30日 22:04 ID:e6mw7ea0「そうだよ…それだ‼︎MAXスピードでなら、ベルトコンベアの逆走も出来る‼︎ありがとう!」「はっはっはー‼︎そうか、そいつは良かった!私も嬉しいぞ!」2人はガッチリと握手した。
すると猫剣士が……「サマーソウルさーん!ベンジャミンってベルトコンベア逆走出来るんですね!スキル無しで!」 「や、やめろバカ野郎!」ネコは、「タコスッ」といいながらぶっ飛んだ。「し、少年……気にするな、な?」そういったが、ロベルトは、「僕なんて僕なんて僕なんて僕なんて僕なんて……」という感じにいじけてしまった。
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冒険者さん
4522014年11月30日 21:38 ID:e6mw7ea0男「いいかよく聞け。妖精達を思い出せ!あいつらはな、ソウルがたくさんあるところに現れるっていう公式設定無視して飛び込んできてるんだよ!ブリキなんてどうだ?臆病なあいつですらあんなところからジャンプしてきているんだよ!運営が作ったAS?MAXスピード?それを乗り越えていくのがネタキャr……男の運命なんだよ!カスにはカスの闘いがあるって証明するんだよ!もっと熱くなれよ!お米食べろよ!」
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冒険者さん
4512014年11月30日 21:26 ID:e6mw7ea0ビクッと彼が体を起こすと、そこには夏にサーフィンでもしていそうな男性が一人……
ロベルトが誰かと尋ねると、「私だーーーーー‼︎‼︎」という返答が来た。モロ予想通りの返答にちょっとビビるも、とりあえず話を聞くことにした。
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冒険者さん
4502014年11月30日 21:18 ID:e6mw7ea0言うまでもなく次のフォースターで落選。彼は白猫に「MAXスピード!レディゴー‼︎」という迷言だけを残し、去っていった……。
そして現在に至るわけである。ロベ「ハァ…どうしてこんなことに…」 彼は今の惨状を嘆いていた。その時……「諦めんなよ‼︎」という、某熱血テニスプレーヤーともとれる?声が島中にひびいた。
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冒険者さん
4492014年11月30日 21:07 ID:e6mw7ea0その当時の状況を本人はこう話している。「すっごく充実してる」と。しかし数日後…「スピードアップ?www」や、「ガチャ引けね〜。ロベルトきたら怖いし」とまで言われるようになった。
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冒険者さん
4482014年11月30日 21:01 ID:e6mw7ea0ここは、飛行島のとある場所。そこにひとりの少年がいた。
彼の名はロベルト。少年発明家である。貧民街の出身である彼は、その発明センスを買われて、名家セイクリッド家に資金援助を受けている。そして、その性格や容姿のおかげもあり、念願のフォースター出場を果たした。
…までは良かった。
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冒険者さん
4472014年11月30日 20:51 ID:e6mw7ea0どうもはじめまして。今回は恵まれないあのキャラについて書きたいと思います。最後まで見ていただけたら、と思います。
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冒険者さん
4462014年11月30日 14:36 ID:k5xqqmzkコメントありがとうございます。前回のお話も読んでくださったのですね。
文章力はまだまだな気がするので、これから書くときには上達させていければいいなと思っています
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冒険者さん
4452014年11月30日 14:32 ID:k5xqqmzk返信ありがとうございます。チェルシーは可愛いですね(笑)
そちらのシャロクラのお話もいつも読ませていただいております。これからも頑張ってください
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冒険者さん
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冒険者さん
4432014年11月29日 22:41 ID:qoh3dfk1と、いったところで第七話完
です。
明日は、噂のイケメン黒幕としぶとい魔さんが登場予定です。
それではまた明日宜しくお願いします!
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冒険者さん
4422014年11月29日 22:34 ID:qoh3dfk1「そして、西の国はこう言うのさ『今回は麦を与えよう。代わりに次年度からの収める麦と買う麦の量を増やす』と」
「そ、それは!?」
「そうなったら最悪だ。だから、そうならないようにしなければならない。だが……」
シャロンは田んぼを見つめ、息を吐く。
「僕には、この惨状をどうしたらいいかわからない」
落ち込む一行に、長が告げる。
「皆さん、ここにいるのもなんです。宜しければ、宿を用意しますのでそちらに参りましょう」
一行はその言葉に甘え、長の用意した宿へ向かった。
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冒険者さん
4412014年11月29日 22:27 ID:qoh3dfk1「そうですね……麦を売った金で麦を買うのですから」
「人々は麦で作るパンを食べる。西の国はこの国に稲を作るなと言っているから、そうせざるを得ない」
「となると、人々の主食が、米からパンになる。……そこまで深刻でしょうか?」
「問題は主食が変わることじゃない。西の国がこの国の食料事情を操作できることが問題なんだ」
「ど、どうやって?」
「まずは、天候を操作して麦の収穫量を減らす。すると、麦を収めたあとに入る金が少なくなる。一定量を買わなければならない麦を買えない状況にする」
「食料危機ですね……」
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冒険者さん
4402014年11月29日 22:20 ID:qoh3dfk1「そう言われると……そうですね」
シャロンは半ば確信したように続ける。
「西の国に、何か裏で手引きしているものがいる。そして、そのものは天候を操る術を持っている」
「天候を!?いや、それはいくらなんでも……」
「大いなるルーンクラスの力を使えば、可能性はある」
「そして、もし天候を操れるなら、この国は最悪の事態になるな」
「なぜですか?」
「要求を飲むと小麦を作り、一定量を収める。その残りを売り金にする。そして、その金で西の国から麦を買う。まあ、このシステム事態馬鹿げているがな」
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冒険者さん
4392014年11月29日 22:13 ID:qoh3dfk1「この国に、来年を過ごす米の備蓄はありません……人々の食料の問題を考えるなら、西の商人の要求を受け入れるしかないでしょう」
「それは……あんまりでしょう……」
唖然とするアイリス。
マイは長の言葉にうつむき、小さく震える。
「なあ、クライヴ。僕は気になるんだ」
「シャロン、君もか……いや、俺もなんだよ」
「姫様に、クライヴ。一体何が気になるのですか?」
「明らかに、話が都合よく進みすぎている」
「稲が全滅して、商人が来てパンを配る。そして、国の乗っ取り交渉」
「西の商人……いや、西の国にとって話がうまく行き過ぎなんだ」
「怪しいと思わないか?」
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冒険者さん
4382014年11月29日 22:03 ID:qoh3dfk1「交渉をしよう。商人はそう言いました」
「交渉……どんな要求だったんですか?」
「この国に小麦を年間一定量を買い続けること。この国で、来年から稲ではなく麦を作ること。そして、麦を一定量西の国に納めること。この三点です」
「それは……」
「この国が西の国に奪われたも同然ではないですか!!」
「……長は、同意したのですか?」
マイの静かな問いに、長は目を伏せる。
「いえ、まだです。しかし、それは時間の問題でしょう……」
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冒険者さん
4372014年11月29日 21:57 ID:qoh3dfk1「……わかりました。では、なぜ皆はパンを食べているのですか?少なくとも、私のいた一週前までは、小麦など無かったはずです」
「それは……」
「答えなさい」
長は一つ息を吐くと、ゆっくりと答える。
「稲が全滅した次の日でした。西の商人を名乗る男が、このパンを持ってきました」
「次の日ですか?」
「はい。それで、商人は無料でそれを人々に配りました」
「無料で……」
「稲が全滅して食料の危機を感じていた人々は、そのパンに飛び付きました」
「……」
「瞬く間にパンは、人々の心を掴みました。その頃に、西の商人は国に現れました」
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冒険者さん
4362014年11月29日 21:48 ID:qoh3dfk1マイたちに追い付いたアイリスやシャロンを引き連れて、一行は田んぼへと案内される。
「……っ!!」
「これは……」
「酷い……」
「稲……ですか?全部倒れてしまっていますね」
一行の目の前には無残に倒れ、稲穂を水に浸けた稲の姿があった。
「つい、先日のことです。大雨と風で、収穫前の稲は……全滅しました」
「……そうですか」
「水に浸かったらダメなんですか?」
「水に浸かった稲穂は、芽が出てしまいます。そうなったら、食べられないんです……」
「そんな……」
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冒険者さん
4352014年11月29日 21:40 ID:qoh3dfk1「なぜお米ではなく、パンを食べているのですか!?」
クライヴがマイに追い付くと、彼女は村人を問い詰めていた。
「米巫女様……これは……」
「長を出しなさい!!」
「マイ、落ち着くんだ」
クライヴがそう言って、マイの肩に手をかけた時だった。
「米巫女様、これには理由があるのです……」
初老の男性が、二人の前に現れる。
「長……」
「説明しなさい。稲の収穫前の大事な時期に、何をしているのかを!!」
激昂すりマイに、長は悲しげな表情を浮かべる。
「田んぼを見ていただければ、わかるかと思います」
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冒険者さん
4342014年11月29日 21:33 ID:qoh3dfk1「パン?」
「あぁ。間違いない。バルラでは毎日食べていたんだ、間違えようがない」
「でも、マイさんの国ではお米が……あ、マイさん!?」
突然、マイは国の中へと走り出す。
「追いかけよう!!」
クライヴはそう言うと、マイの後を追って走り出した。
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冒険者さん
4332014年11月29日 21:27 ID:qoh3dfk1「これが、マイさんの故郷ですか」
「なんだか、独特な雰囲気ね」
「炊きたてのご飯の匂いがするんだろうなぁ!!」
「クライヴ、君は本当にご飯が好きなんだね」
「私としては、非常に嬉しく思いま……え?」
国の入り口に立ったマイは、首を傾げる。
同じように、クライヴも不思議な表情を浮かべている。
「どうしたんだ、二人とも?」
「おかしいです」
「ご飯の匂いがしない。むしろ、これは……」
シャロンの問いにクライヴが答える。
「小麦が焼ける匂い、これは……パンの匂いだ」
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冒険者さん
4322014年11月29日 21:21 ID:qoh3dfk1飛行島から降りたマイたちは、
軽く整備された道を歩いていく。
「マイ、米はどこで作っているんだ?見た感じ、そんな雰囲気が無いのだが」
「田んぼと呼ばれる場所で作っているのですが、田んぼは国の裏で作ってあります」
「あとで見てもいいか?」
「ええ、もちろん。今の時期でしたら、収穫前の稲穂をお見せ出来ると思います」
「稲穂?」
「お米は稲と呼ばれるものの実です。それを皆さんが食べやすいようにいろいろ手を加えるのです。稲穂とは、稲のお米が生っている部分です。金色に輝く稲穂は、この時期の風物詩です」
そんな話をしていると、マイの国が目の前に現れる。