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普茶料理・物語

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作成者: ユーザー
最終更新者: uehisakita



建築の道・壱

◆主人公【男性・女性】共通◆


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昼近く、廊下は珍しく静かだった。寝室で片付けをする音が響く。


???

「○○、中にいますか?」


???

「入るぞ!」


【選択肢】

・ちょっと待って!

・どうぞ

選択肢

ちょっと待って!

鶏茸金絲筍

「急用があって来たんだ。下僕のお前に、なんの許可を取る必要がある?」

「ぎゃあっ──(振動+転倒音)」

「なんで入口に本の山があるんだ。さては、俺様をこっそり殺すつもりだな!」


どうぞ

鶏茸金絲筍

「結構探したのに、全然見かけなかった。こんなところにいたとはな。」

「おいっ、何してんだ?散らかしまくって、ホコリだらけじゃないか。」

「ん?片付けしてんだって?それはいいから、さっさと物をどけて場所を空けろ。大事な話がある。」



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猛スピードで片付けて、机と肘かけを置いた。そして、なんとかお茶ができるスペースを作る。


鶏茸金絲筍

「よしよし、なかなかの手際だ。さすが俺様が鍛えた下僕だな。」

「最近、有名な建築家が来たよな。前から考えてんだけどよ、古くなったところを一から設計、改装しなおしてさ、もっとおしゃれな雰囲気にしたらどうかな。」

「いい機会だろ。なんか良い提案があれば、俺の代わりに相談してこいよ。資金のことは心配いらない。お前が金を出す必要はないさ。」

「ほら、さっさと行けっ。俺様はここで、朗報を待ってるぞ!」



部屋に誰かいるようだ。

しかし、室内から感じる気配は、廊下と同じように静かである。

部屋の真ん中で、数人が息を潜めて、床の上に座っている。来客の足音だろうが、机の上の小物がぶつかった音だろうが、彼らの集中力を遮断させることはできないだろう。

暫し沈黙が続き、ついに普茶料理が目を開けて、その沈黙は破られた。


普茶料理

「法師様のご指南、感謝致します。今日はお話させていただき、心中が随分と明浄になりました。」


鼎湖上素

「阿弥陀仏、誠実な施主には、貧僧も自ずから礼をもって接します。」

「けれど、長い時間待たせてしまった方がいるようですね。」


普茶料理

「○○、なぜここに?」


【選択肢】

・相談したいことがあります

・さっきは何をしていたんですか?

選択肢

相談したいことがあります

普茶料理

「私にですか?」

「少々お待ちください。やらなければならないことがありますので、用が済み次第、貴方の元に伺います。」


普茶料理は机上に置かれたミニチュアの鹿威しを慎重に持ち上げ、ゆっくり振り返った。


普茶料理

「これは故郷から持ってきた贈り物でして、禅建築によく見られる装飾品です。これを置くことで、心をより静め、精進するのによりふさわしい雰囲気の部屋にすることができます。法師様、どうかお受け取り下さい。」


鼎湖上素

「阿弥陀仏、施主のお心遣いに感謝致します。」


さっきは何をしていたんですか?

普茶料理

「瞑想のことを言っていますか?」

「故郷にいた頃は、心中の邪念を払うため、暇さえあれば寺院を訪ねていました。」

「自然や鐘を突く音に耳を澄ませる環境で、心静かに過ごす。それは、私にとってとっても有益なことです。」


鼎湖上素

「衆生を済度するのは、仏教徒の修行の道です。施主のお役に立てたなら幸い。どうかお気遣いなく。貧僧はなすべき事をただしただけですから。」


普茶料理

「今日の参禅は終わりましたので、お先に失礼致します。また今度お茶でも飲みながら、有名な寺廟建築のお話を詳しく聞かせてください。」



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その後、普茶料理は部屋の中央からゆっくり立ち上がり、ゆっくり端の方へと歩いていく。


普茶料理

「○○、突然貧僧の元へ来るとは、何かございましたか?」

「はい?部屋を改装したい、ですって?どうして急にそのようなことを?」

「農場の飼育エリアを広げたいだとか、もしくは餐庁をもっと大きくして、集客を増やしたいとかの希望がおありでしょうか?」

「施主自信にも具体的な要望がわからない?何故ですか?」


【選択肢】

・人に頼まれて相談しにきた

・建築専門家の意見が聞きたい

選択肢

人に頼まれて相談しにきた

普茶料理

「他の方に頼まれておいでになったのですね。」

「個人の部屋、もしくは特定の場所を改装したいのであれば、大したことではありません。ただ貴方に相談を依頼した方の希望が大規模な改装か、そうでないのかわかりますか?」


建築専門家の意見が聞きたい

普茶料理

「専門家の意見ですか?役に立つアドバイスはいくつかできるかと。」

「具体的な要望に応じて、相応な建築スタイル設計を計画できるでしょう。」

「良い建築設計とは、顧客の本質的な要望をもとに考えて形にし、常に素材の確認と自然環境への影響がないかといったことにも配慮が必要です。」

「自然との調和や共存を維持することこそ、建築設計における長い道のりです。もちろん、物の秩序も重要ですよ。」



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普茶料理

『空桑内はどこのエリアも、長年に渡り外部から破壊され、修理が必要な状態です。もっと耐久性が高く、寿命の長い素材を使って設計してほしい。餐庁と農場内の一部には、他にも機能的な建築や部屋があります。その場所の相応な拡張や、或いはその他の機能面での改善計画をしたいのです。』

「そうした考えがあるのですね……貴方に依頼をした方は、その方なりの理由があるようです。」

「こうしましょう。私もここに来てからしばらく時間が経ちましたが、空桑全体の建物をじっくり観察する機会はありませんでした。」

「今ちょうど時間がありますので、私をいろいろな場所へ連れていってください。この土地にある建物の状況について理解と把握をし、その上で専門的な回答をさせてください。」




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普茶料理

「この廊下の床の材質……それから隣の立柱……」

「国外ではあまり見かけない上質な木材ですね。なるほど、今後の設計を考える上で参考になります。」

「この設計は、和室と少し似ていますね。」

「ふむ……屋内に鉢植えをいくつか足せば、全体の雰囲気が変わり、心地良くなるかと。」

「ここが頻繁に壊れる場所ですか?」

「見てわかる通り、このように何度も手直しされた跡は隠すのが難しいのです。それと、塗り直された塗料の色が不揃いなのはどうしてでしょう?何故こんないい加減な処理が……。」

「ここは普段から散歩をする場所ですので、通りかかったときにじっくりと見てみました。お客様をおもてなしする場所ですから、様々な点で細やかな設計が必要です。深く研究する価値がありますね。」

「……今の空桑は色の組み合わせや協調性において、明らかに問題がある場所が多く、頭が痛くなりますね。」

「ですが、どれも細かい工事で済みそうです。大がかりな調整や、一から設計し直す必要はありませんよ。」


【選択肢】

・調整や設計し直しは必要はないということですか?

・餐庁などは改装してもいいのでは?

選択肢

調整や設計し直しは必要はないということですか?

普茶料理

「そうです。私の話をそのまま、貴方に相談を依頼した方に伝えてください。私から見れば、空桑は一から設計、改装する必要はありません。」


餐庁などは改装してもいいのでは?

普茶料理

「一から設計し直して改装し、まったく違った雰囲気の餐庁として食事を提供するのも良いかもしれません。しかし空桑の餐庁は特殊です。様々なお客様が三界の各地からやって来ます。現代風に設計を変更するのが相応しいとは限りません。」



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普茶料理

「私の回答に疑問があるようですね。」

「まだ時間がありますから、この客間で一休みしましょうか。私はお茶を用意してきますね。その後で、昔話をさせてください。その話を聞けば、私の考えを理解していただけるかもしれません。」


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建築の道・弐 

◆主人公【男性・女性】共通◆


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過去


夜の帳が下りる頃。広間で白熱灯の光が、夜の風景を照らし続けている。窓の外のネオンもピカピカと輝き、この街が賑やかなことを示している。

室内の作業机にたくさんの設計図や文章が広げられている。オフィスオーナーがクリップでまとめられた発注書の中から一つを取り出し、じっくりと考えごとをしているように見える。


助手

「先生、ずいぶん長くその発注書を見つめて考え込んでいらっしゃるようですが、何かありましたか?」

【選択肢】

・この発注は、自分で処理しようと思う

・では代わりに、残りの発注書を他の社員に割り振ってくれ

選択肢

この発注は、自分で処理しようと思う

助手

「先生が選ばれた発注書……見せてください。スケジュールを確認してみます。」

「あの、先生はどうして、大手の取引先やホテルの発注をほったらかして、どこにでもある住宅の改装設計依頼ばかり選びますか。」

「確かにこうした案件は口コミを広げることはでにますが、私たちは起業したての小さな会社ではありません。こういう金や権力のある人たちは非常にやりにくいことを理解してください。これで私はまた、何日も眠れない日が続くのです。」


では代わりに、残りの発注書を他の社員に割り振ってくれ

助手

「それは取引先の大手企業や星付きホテルの設計発注のことですか?」

「先生がそうした重要な機会を他の同僚たちに与えるのは、彼らを鍛えて、実力を確かめたいのだということは、私にもわかっています。」

「しかし、これらのクライアントは思い通りに対処できる相手ではありません。もしプレッシャーに押しつぶされてミスしてしまえば、結局は先生が処理をすることになります。」

「そのミスのせいで悪いイメージがついてしまったら、今後、私たちの事務所が発展するのに、よくない影響が出てしまいます。」



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普茶料理

「心配しすぎは、却って仕事に影響を及ぼします。私がこうした選択をするのは、より良い機会を他の同僚に与えて、力をつけて欲しいから──それだけではありません。」

「建築物の美しさは、設計を通じてその理念を形にし、人に見てもらうものであって、誰にでもそれを楽しむ資格があります。」

「この決定は、部外者たちが言うような精力の無駄遣いではありません。」


助手

「はぁ。毎回どうやっても先生を説得できない。分かりました分かりました。後ほどこれらの発注書を調整して、メールで事務所の他の人に連絡します。」

「先生のスケジュールについては、私が調整しておきます。先生が選んだこの発注書は、新婚夫婦からのものです。新しく購入した家を豪華なヨーロッパ風に改装したいようですね。市内からさほど遠くはないようです。その日の内に行って帰ってこられるでしょう。他に何か問題はありますか?」


普茶料理

「呼び方について、前に話し合ったはずですよね。直接、名前を呼んでください。」


助手

「それは……先生が対等に接することを大切にしていることは理解しているつもりです。けれど、私にとって先生は上司でもあります。この仕事に就いて随分経ちましたし、この呼び方に慣れてしまって変えるのは難しいのです。」

「これからも引き続き、これまで通りの呼び方をさせてください。その方が仕事もしやすいですから。」




改装発注した新婚夫婦との約束の日がやって来た。彼らは、ちょうど中心エリアと外環エリアの境界辺りに住んでいる。

半分モダンでおしゃれな高層建築が立ち並び、半分はのんびりとした古い街の雰囲気で、新婚夫婦が住む場所からはふたつのまったく違った建築の趣きをしっかりと見渡すことができる。


奥様

「普茶先生、まさか本当に貴方自らいらしてくださるとは。先生に家を設計してもらえるなんて、本当に光栄です!」


通りすがりの男性

「ええ、本当に。これはとんでもなく光栄なことです。昨日電話でご連絡いただいたときには、他の方がいらっしゃるのだろうと思っていました。」


普茶料理

「『先生』ではなく、名前で呼んでくださればと思います。」

「さて、よろしければ先にお宅の周辺を拝見させていただけたら。以前メールで送った設計図は、現時点で室内インテリアと大まかな計画だけです。具体的な案については詳しく調べてから決めましょう。」


奥様

「もちろんです。どうぞこちらへ。あちらの緑化エリアを通り抜けたら、すぐに見えてきます。」


夫婦の案内で歩いていくと、すぐに緑化エリアに出た。その突き当たりにやってくると、周囲よりも広々とした景色に変わる。独立した一戸建てが整備されたアスファルトの道路沿いに並んでいる。

ここにはお金持ちの多くが住民として住んでいることが見てとれた。


普茶料理

「とても素晴らしいですね。きちんと整備されていて、雑然としていない。」


通りすがりの男性

「先生、着きました。ここです。」


【選択肢】

・両手を合わせて祈る

・数珠を手に黙って祈る

選択肢

両手を合わせて祈る

通りすがりの男性

「先生、どうかしましたか?」


普茶料理

「個人的な習慣でしてね。土地に対して、敬意を示させていただきました。」


数珠を手に黙って祈る

通りすがりの男性

「先生、どうしました?」


普茶料理

「どなたかが守っておられる土地に足を踏み入れるのです。敬意を示すのは当然のことです。」



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普茶料理

「いいでしょう。それでは、行きましょうか。」




そうこうするうちに、三十分以上が過ぎていた。一行はやっと屋敷から出て、再び広々とした庭へと出てきた。遠くに見える外のスタイルが、まったく異なる趣きを見せる建築が、また視線の先に現れた。


普茶料理

「周囲の状況は、大方把握できました。」


建物の立地とそれに対応したデザインをぐるりと見まわして、普茶料理はすぐに視線を傍にいる新婚夫婦に戻した。


普茶料理

「ご希望通りに家を一から設計して改装しますと、二つ問題があります。一つは、他の家との違いが、全体のスタイルを壊し、ご近所との関係に影響が出るかもしれません。もうひとつは、周辺の自然環境に僅かですが再度成長の兆しが見られる今、広大な土地を動かしますと、生態に影響を及ぼす恐れもあります」

「全体を西洋風の別荘と庭に設計し直すと、外部の装飾を追加して取り付け庭を整理し、内部もヨーロッパ式のゴージャスなスタイルの家具に変えれば、確かに違った居住体験をもたらしてくれるでしょう。」

「ですが、『自然との調和や共存』という前提には相応しくありませんし、おふたりの希望と完全に一致するわけではありません。」


奥様

「それはどういうことでしょうか?私たちが費用を支払えないのではと心配していらっしゃるのですか?」


通りすがりの男性

「普茶先生、支払いについてなら問題はありません。私たちはこの住宅地により良い、相応しい装飾を期待しています。それに、せっかく購入した土地です。普通過ぎてはご近所さんの笑いものになるかもしれません。」


【選択肢】

・首をふって説明する

・黙る

選択肢

首をふって説明する

普茶料理

「決して金銭の問題ではありません。私の見立てでは、この家には大規模な改装の必要がないと判断しました。」


黙る

奥様

「なぜ黙っているのですか?お金の心配なら大丈夫ですから、希望の額を仰ってください。一流のデザインをしていただけるのでしたら、お金がどれほどかかったとしても、決して無駄にはなりません。」


普茶料理

「金銭の問題ではありません。私はただ、合理的な視点から、最も相応しいと思われる設計案を提供するだけです。」



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普茶料理

「どれだけ外観を飾っても、身分や地位があろうとも、それは上辺に過ぎません。中身までは、変えることはできません。」

「私の見立てでは、この家は大規模な改造は適していません。元の状態を基礎に、少々シンメトリーにしたら十分でしょう。」

「快適に暮れせれば、不必要なことにお金を費やす必要はありません。これは自然環境の保護にとってもいいことです。」


奥様

「それは一体どういう意味ですか?」


普茶料理

「私からの提案は大規模な改造ではなく、簡単なインテリアの変更を行うだけで良いというものになります。」


奥様

「そんな……発注を引き受けると仰ってくださったのに、今更デザインをしてくださらないなんて。私たちの希望通りに設計していただけたら良いのですが。」


普茶料理

「おふたりはお客様です。もちろんご希望を最優先に考えます。しかし、その中での利害関係、そして、より合理的で優れた案があれば、おふたりにきちんと説明しなければなりません。」

「これは設計建築士である私の基本原則です。」


通りすがりの男性

「もう結構です。どうせ私たちが費用を負担できないとお考えなのでしょう。これ以上お話する必要はないですね。発注を受けてくださらないなら、他にも設計事務所はありますから、他の方に発注することもできますからね。」


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建築の道・参 

◆主人公【男性・女性】共通◆


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その話は普茶料理がその後、新婚夫婦の発注を正式に断ったところで終わった。彼は話を続ける気はないようだ。机上の茶碗を持ち上げ、口元に寄せて、そっと数回、息を吹いた。


【選択肢】

・その後、どうなったんですか?

・彼がお茶を飲み終わるのを静かに待つ

選択肢

その後、どうなったんですか?

手にしていたその茶碗を、普茶料理は目の前に差し出した。


普茶料理

「慌てずに。まずはこのお茶を味わって、喉を潤してください。これは特別に故郷から持ってきた緑茶です。仕事が休みのときに、いつもこれを飲んでいます。」

「……少し渋いですか? やはり蒸茶の技術には、まだまだ鍛錬が必要なようですね。」


彼がお茶を飲み終わるのを静かに待つ

手にしていたその茶碗を、普茶料理は目の前に差し出した。


普茶料理

「少し冷ました。ですので、火傷することはないでしょう。まずはこのお茶で喉を潤してください。大分長い時間、話をしました。ですので、水分の補給を。」

「これは故郷から持ってきた緑茶です。他所で取れた物と比べても、遜色はないでしょう。貴方に気に入って頂けたら嬉しいのですが。」



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勢いのままに渡された茶碗を受け取って、ゆっくりと飲んだ。お茶の温度は普茶料理が何度も息を吹きかけていたせいか、さほど熱くなくなった。

少し苦味はあるが、長時間、話し続けて少し疲れていた喉をお茶で潤した。


普茶料理

「あのあと、新婚夫婦は希望どうりに改装できるよう、別の会社を探しました。」

「人づてに聞いた話ですが、かなりの大金を費やして、庭を希望どうりの形に改装したのです。そのため、あの土地の環境は再び壊されてしまいました。」



【選択肢】

・環境破壊は深刻なんですか?

・それは昔のことで、もう終わった話だよね。

選択肢

環境問題は深刻なんですか?

普茶料理

「あの家があった周辺は別荘が集まったエリアでした。元々過度な開発が行われていたのですが、やっと回復の兆しが見られていたのです。そんな自然生態を、再び壊すべきではありません。」

「環境開発が行われれば、周囲の緑化もきっと長くはもたない。そうなればきっとすぐに、緑も枯れてしまうでしょう。」


それは昔のことで、もう終わった話だよね。

普茶料理

「あの土地の状況を思うと、今もひどく心が痛みます。」

「環境保護の理念に反した、見栄を張るためだけの、無駄遣いな建築デザインは、決して美しいものにはなり得ないのです。」



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普茶料理

「あの夫婦は最終的に希望した上流生活は送れずに、もともとあった充実した幸せな生活までも失ってしまったそうです。」

「日に日に高まる、偽った上辺だけの要求を満たすことだけに、精力と財力を浪費し続けています。」



【選択肢】

・あぁ、本当に悲しい話ですね。

・先生、わかりました

選択肢

あぁ、本当に悲しい話ですね。

普茶料理

「この昔話から、私の意図はしっかりと伝わったでしょうか。」


先生、わかりました

普茶料理

「どうやら私が言いたかったことは、貴方に伝わったようですね。」



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普茶料理

「今の空桑は全員の生活習慣や文化様式が調和した、まさに完璧と言える姿をしています。一からの改装や設計は必要ありません。豪華で立派なものはとても俗っぽく、無駄なもので、環境にも優しくありまけん。」

「無意味な外部装飾を施すより、そこを利用している方の実感や要望にもっと耳を傾けるべきです。それを基礎とした上で、新たな要望があれば、また話し合えば良いかと。」

「今の会話内容を、貴方に相談を依頼した方に伝えてください。」

「まだ何か疑問があれば、私のところに来てもらってくださいりそのように細やかな人であれば、きっと道理を理解してもらえるはずです。」



数日後。遠く離れた廊下から、賑やかに議論をする声が聞こえる。



鶏茸金絲筍

「では普茶先生、ここにはどういう改装や設計が相応しいと思う? ここは常に損壊が深刻なエリアなんだ。改装する際、基礎に基づいて耐久性を高めることができれば、資金と修繕素材を節約することもできる。」

「省エネかつ環境にやさしい。郭さんも賛成してくれるはず。」


普茶料理

「確かに元の木材をより丈夫なコンクリートの壁に変更することで、焼損する可能性を減らすことができます。」

「このエリアの改善計画をスケジュールに入れておきましょう。より詳細で全体的な設計案を作っておきます。出来上がったら責任者と一緒に話し合いましょう。」



【選択肢】

・にぎやかだね、皆は何してるの?

・呼んだ?

選択肢

にぎやかだね、皆は何してるの?

鶏茸金絲筍

「俺様は普茶先生と一部のエリアを改修する計画について話し合っているんだ。この前お前からの提案は俺様も筋が通っていると思った。それで一から計画し直して、必要なエリアだけ訂正したんだ。」


普茶料理

「あなたも高レベルの教育を受けた方ですから、そのような滑稽な呼び方はどうかやめてください。」


呼んだ?

鶏茸金絲筍

「ちょうど来てよかった、◯◯、お前のことを話しているんだ!俺様は空桑の一部を一から改修する予定で、何かもっといい提案はないか、ついでに普茶先生に家の設計を見てもらおうと思ってな。」


普茶料理

「鶏茸金絲筍殿が練り直した計画には私も賛成です。完成予定図が出来上がってから詳しく相談しようと思っていたところにちょうどあなたが現れた。」

「もしかして、これも必然的な縁かもしれません。」



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普茶料理

「私がこの発注を受けようと思ったのは、個人的な考えもあってでして。数日前、あなたに案内してもらい、空桑の各地でどのような設計をするのかを見ました。」

「確かにクラシックな趣あるこの土地は、私の仕事の参考になります。とても高い価値のあるものです。ただ……」

「様々な場所での色使いや、家具装飾のゆがみ、壁の角、目に入ってくる角度、不ぞろいの線……問題は多く残されていて頭が痛いです。少なくともあの家具装飾のゆがみを先に正す必要があります。」

「私の設計には、無秩序な配置や線はあってはならないのです!」



普茶の口から堰を切ったように、部屋の細かな問題点がどんどんと溢れ出した。活気ある議論は他者を引きつけたようで、今回の改修計画を聞いた者は全員、興味を示して提案や議論に加わった。

空桑全体で皆が、賑やかで充実したひとときを過ごした。




昼食を満喫した午後、空桑に再び、暫しの静寂が戻ってきた。

そんな折、不意に部屋の扉がノックされる。



【選択肢】

・どなたですか?

・どうぞ


選択肢

どなたですか?

普茶料理

「私です。失礼します。」


どうぞ

普茶料理

「失礼します。」



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普茶料理

「部屋にいらっしゃるのではと思いまして。ちょうどよかった、午前中に話し合った改修デザインですが、完成予定図ができあがりました。見てみてください。」

「素材、スタイルの傾向、及びコストなど、各項目の詳しい説明も設計図の下に、文書を添付してあります。」



話しながら、普茶料理は真剣な様子です、部屋の周囲を観察し始める。



普茶料理

「それと……別の設計図も用意しました。貴方の部屋の設計図で、特別に設計した内装になります。一緒に見ていただけたら。」

「部屋に戻ってひとりのとき、珍妙なアイデアが浮かびまして。貴方の希望に最もふさわしい部屋を設計できればと思います。」

「貴方には私が設計した空間店暮らして、楽しんでもらえたらと。」



「申し訳ありません。本来は、このような雑念があってはなりません。また、今の貴方に必要とは限りませんでしからね。」

「もしこの設計図を気に入ってくださったら、まず故郷の住まいでこの設計を元に内容を調整します。そのときは、貴方も一緒に私と故郷に行って、自ら体験していただけたらと思います。」


「私の建築理念を通し表現した居住環境で、貴方にいつもと違った生活を体験してもらい、共に過ごせる時間があることを願います。」




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