麻婆豆腐・物語
一 心得違い・壱
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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残暑が弱まり、杲々たる秋陽が昇る。
清々しい風が吹き、初秋の半透明で、まだらな黄金色が世界を染めていた。
西堀の櫓の曲がり角で、開水白菜は窓にもたれかかって書物を読み、とても快適そうな表情を浮かべていた。
開水白菜
「ん、ようやく来たか。あなたがこの本を借りた途端、すぐに返却を求める人がいた。知らない人が見たら、この丸腰の国分先生が借金取りに遭ったと思うだろうね」
「ドンドン、ドンドン、ドンドン――!」
重い足音が窓の外から響き渡り、続いて来るのは激しい振動だった。
双皮ミルク
「わあわあわあ―― た、助けて!ホットミルクになっちゃうよ――!」
麻婆豆腐
「陰で小細工をしやがって、許さんわ!」
開水白菜
「○○、気を付けて。イカれている乳製品がこっちに走って来る」
「ドカン」、巨大な黒い影が窓を破り、中に転がり込む。続くのは機敏な一つの人影、その人影はこちらにぶつかる寸前だった――
麻婆豆腐
「双皮ミルク、喰らえ――!」
【選択肢】
・ここを通りたければ、金をよこせ!
・上様のご命令だ!やめなさい!
選択肢
ここを通りたければ、金をよこせ!
麻婆豆腐
「あ、あんた?どけや!」
上様のご命令だ!やめなさい!
麻婆豆腐
「もう、どけや!勝負してる時に大言を吐くな! ……ん?お前か!?」
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空中を舞う麻婆豆腐は手のひらの炎を消し、本棚を蹴って、その勢いのまま姿勢を変え、水牛の背に着地した。
麻婆豆腐
「○○、あんた急に出て来て何するんや!わしの掠風火扯があんたに当たりそうやったぞ!」
水牛
「ムーー」
双皮ミルク
「あ!麻婆豆腐、あんなに強くぼくの韋駄天に当たってどうするの! ほらほら見て、びっくりして涙が出てるじゃん!」
開水白菜
「「ムーー」とも言ったしね」
双皮ミルク
「そうだよ!彼は言ったよ。「ううう、この勤勉して空桑餐庁にいっぱいの水牛ミルクを貢献した人生…ようやく散歩の機会が与えられたのに、ある人に踏まれてハンバーグになった!」ってね」
麻婆豆腐
「お前、くだらねえ事ばっかり! これ以上法螺を吹くと、今すぐハンバーグにしてやる!」
麻婆豆腐は話が終わるやいなや、すぐに手のひらの炎を燃え上がらせた。双皮ミルクは怯え、水牛を抱き締めながら、急に号泣し始めた――
双皮ミルク
「ぼくの牛くんを焼かないでよぉ。彼は川菜で使う牛じゃなくて、広東の大水牛、威厳のある牛だ!毎日水牛ミルクを産出して、高栄養と低産量、子供の成長と発達に必要な亜鉛、鉄、カルシウム、アミノ酸とビタミンを豊富に含んでいるんだ……」
【選択肢】
・麻婆豆腐、黙らせましょう
・麻婆豆腐、喧嘩は良くない
選択肢
麻婆豆腐、黙らせましょう
麻婆豆腐
「フンッ、双皮ミルク、聞いたかや?あんたのHPはもう風前の灯火のようや――」
麻婆豆腐、喧嘩は良くない
麻婆豆腐
「よく言った!やけど、それはまったく意味がねぇや! 午前中ずっと奴のくどい話を聞いてたわしに、ようやく仕返しする時が来たんや!」
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開水白菜
「ん?ここで喧嘩するつもりか?」
麻婆豆腐
「わ、わしは……別に関わりたくはねえよ、こいつが熱くなりやがって……」
「わしが一番嫌いなことをしたんや、許さんわ!」
【選択肢】
・ゲームアカウントを削除したのか?
・プラスチック人形を壊したのか?
選択肢
ゲームアカウントを削除したのか?
麻婆豆腐
「こいつにはその勇気はねぇわ!わしのアカウントに手ぇ出す奴は必ず潰すからな!」
プラスチック人形を壊したのか?
麻婆豆腐
「おい、○○!例えあんたでも、あいつらをプラスチック人形と呼ぶんじゃねぇ!あいつらはわしの、旧、旧、旧友やからな!」
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麻婆豆腐
「今日は朝から気分が絶好調だった! 餃子と、朝ご飯を食べたら一緒にゲームする約束だったから……」
「やのに、飯店で出された牛乳の瓶に、レッテルが貼ってあったんや! 上に――」
双皮ミルク
「「ひょろり」って書いてあった!!」
麻婆豆腐
「……」
「それ自慢かや? 「ひょろり」って何だや、わしが貧弱って言いてえのか!?」
麻婆豆腐の怒りは激しく燃えている。双皮ミルクを地面から持ち上げた。その目にはまるで炎が灯っているようだ。
麻婆豆腐
「この麻婆豆腐は堂々として生きていて、嘘もつかんわ!一番嫌いなのは陰ででたらめ言ってあだ名をつける奴や!」
「言っとくが、この前の奴も、その前の前の奴も、そしてその前の前の前の奴も、わしの陳婆にあだ名を付ける奴は全部わしがノックアウトしたんや!」
数年前
夕暮れ時、萬福橋港の隣の小さな飯店にはまだ客が多い。
食通A
「兄さんよ、陳婆はまだ戻ってこないかい? 料理というのは、油を見分けると同じ、経験のある人が作った方がうまいと思うぜ!」
食通B
「そうだな。陳婆の豆腐はね――それこそ天下一品!一日荷物を背負って運んできたのは、ここで休みを取って、うまいものを食べたいからだぞ。陳豆児、おかわり頂戴!」
麻婆豆腐
「おうよ!牛肉おまけにしてやるから、またこっち来てくれや!」
豆腐は紅油のソースの中に浮かび、口に入ると柔らかく、麻辣の香りが上がってきて、後味が際立つ。
食通B
「ああ、これは最高に美味い! もし陳婆のお肌もこの豆腐のようにぷるんぷるんやったら、商売もきっと――」
隣の客が急いで彼を止めた。店にいる客たちは期せずして一緒に麻婆豆腐の方を見た。麻婆豆腐はそれを聞いていないようで、テーブルを拭く雑巾を握っている。
麻婆豆腐
「……もう戊の刻や。まだ戻らねぇのかや」
「申し訳ない、客の方々。今日は早めに店を閉めないといけねぇや。また明日もっとさっぱりとした辛い自家製豆腐提供するかや!」
麻婆豆腐は飯店のドアに鍵を掛け、急いで西へ歩いて行く。
陳婆
「はぁ……配達をするたびに皮肉を言われるわね……けど商売はやらないといけないし……」
「キャー!」
麻婆豆腐
「陳婆?やっと戻って―― ちょっと、目ぇ赤いぞ?誰かにいじめられたかや?」
陳婆
「な、何を言ってんの。このおばさんをいじめる人なんていないだろう…… ほら、見てごらん。今日の配達で結構稼いだよ!早く家に戻って数えよ……」
【選択肢】
・今後の配達はわしがやる
・戻るのが遅い
選択肢
今後の配達はわしがやる
陳婆
「あ……あんたはこういう仕事には向いてないよ!店はあんたに任せるから!もう心配はいらないよ、配達も出来ないなら、店は早く閉めた方がいいね……」
戻るのが遅い
陳婆
「儂らみたいな小商いはね、少し苦労したって何でもないのさ! 豆児は、儂の事を心配しすぎてるんだ……」
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陳婆は麻婆豆腐の背中を押して、優しく戻るよう勧めた。
月が上り、星が明るくなる。彼女は彼の影の中で、涙を拭った。
二 心得違い・弐
◆主人公男女共通◆
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賓客甲
「王さんよ、またその陳興盛飯店の焼き豆腐を頼んだと聞いたぞ! あのアマがあんたの客を奪ったってのに、なんでまた助けるんだ?まさか……」
周店主
「はぁ、同じ町内で商売をやる同士、客を奪い合うなんて人聞きが悪い。今日はやっと白先生を招待したのだから、うち以外の料理も食べてもらわないといけないだろう!」
開水白菜
「「陳氏の麻婆が名高い、彼女の豆腐は暖かくて美味い、萬福橋の屋台が賑やかなのは、豆腐と一緒に飲む酒も格段に美味いから。」
『錦城竹枝詞』を聞いてから、ずっと麻婆豆腐に憧れているのは確かだ」
麻婆豆腐
「お待たせしました!陳興盛飯店の焼き豆腐です! ご覧ください。この痺れて、辛くて、熱くて、丸ごとに、柔らかくて、風味のある豆腐ーー!」
周店主
「え、今日は何故――何故お前なんだ?」
麻婆豆腐
「陳婆は体調不良で、今日はわしが代わりに配達しに来ました。ここ数日ありがとうございました。また店があるので、先に失礼します」
開水白菜
「今のは…」
周店主
「白先生、今のは陳興盛飯店の使いです。ほら、彼の顔にも……コホン、それがあの店の特徴かもしれません」
賓客甲
「何だそれは!女将さんはあばた面で、使いもあばた面か?その店、あばたが移るんじゃないのか? 港の運び屋からそっちの豆腐を食うと腹を壊すと聞いたが、これ当たるんじゃないのか?」
周店主
「よせよせ、陳婆のアマ、寡婦一人で店を経営するのも簡単ではない! 毎日色んな男の周りを行ったり来たりしてるんだ、もう冗談はやめておけ」
開水白菜
「……」
周店主が庭の外を見ると、麻婆豆腐の姿はもうなかった。彼は思わず胸を撫で下ろした。
周店主
「怖いと思うなら、お前は食べるな!俺が最初に――」
周店主が立ち上がり、袖で顔を隠しながら、豆腐を匙ですくい、口に運ぼうとした。
その瞬間、一つの赤い光が塀から飛び降り、一撃で食卓を打ち砕いた。バラバラになった食卓や料理に、来客がみんな驚いている。
麻婆豆腐は周店主の左手を掴んだ。その掌には粉々にしたセンナが握られていた――噂の便秘に強い効果を持つ霊薬だ。
周店主
「は、離せ…!」
そのとき、弁当箱を持った一つの小さな姿が、外から急いで走ってきた。
陳婆
「陳、陳豆児!?あんたどうしてここに…」
【選択肢】
・ちょうどよかった!
・正義を果たしに来た!
選択肢
ちょうどよかった!
麻婆豆腐
「陳婆、ちょうどよかった! あんたをいじめるのはこの人たちかや?ずっと気になってて、あんたに内緒にして配達に来たら――」
正義を果たしに来た!
麻婆豆腐
「ずっとわしを行かせんかったんは、きっとまた誰かにいじめられると思ってたんや! わしが先に来てなかったら、きっとまた店が面倒事に遭う!あれを見てくれや――」
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周店主は慌てて握っていたセンナの粉を捨て、床に落ちたスープに混ぜて何回も踏みつけた。
周店主
「陳婆!同じ町内の飲食業者同士だから、俺は散々援助したってのに… お前がそれを無下にしたのはまだいいが、使いに命令してうちの宴会で暴れさせるとはどういうことだ!?」
麻婆豆腐はそれを聞いてさらに怒りが燃え上がった。もう怒りは抑えきれず、相手を押し倒す。
麻婆豆腐
「チッ!証拠がないからって許すと思うなや!あれこれいう奴もお前が雇ったんかや!」
陳婆
「もう、陳豆児、離しなさい!また問題を起こしたらどうする…!」
場はもう混乱していて、賓客たちは横で陳婆を見てぶつぶつ陰口をきいていた。
開水白菜は膝をつき、地面に落ちた料理を見て沈黙している。
開水白菜
「周店主、あなたの白油肚條に一匹の鉤翅青尺蠖がいるよ」
周店主
「な、何だって?」
皆は恐れながらも集まり見つめれば、ひっくり返されたスープの皿には、一匹の緑色の蛾が入っている。
麻婆豆腐は開水白菜を見つめ、一瞬で、狡猾な笑顔を浮かべた。
【選択肢】
・あんた、なんで料理に蛾が入ってるんや!?
・だからわしがテーブルを壊したんだ!
選択肢
あんた、なんで料理に蛾が入ってるんや!?
麻婆豆腐
「これは客に出す料理かや!食材もそうだし、わしらは焼き鍋の前に立つ時はマスクもしてるんや!陳婆はわしに言った。客に出す料理は、家族に出す料理と一緒や!万全にする事はもちろん、愛も込めたんや!」
だからわしがテーブルを壊したんだ!
麻婆豆腐
「おっと、遠くからスープに緑のものが浮かんでるのが見えたんや。あんたたち、全然気づかんかったかや? フンッ、もしこれを食べたら、ただじゃすまんぞ!」
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賓客乙
「周店主、これは…あなたも飲食店の店主なのに、衛生管理もできないのか! この蛾の粉末は、食べたらどんな毒があるかも分かってないのか!」
賓客丙
「はぁ…毎日陳婆の所の料理にいっぱい文句を言ってたのは、あなたが厳しいからだと思っていたが… 一度もそこで食べたことがない…」
周店主
「こ、これは…そのあばたの使いの戯言を聞くな!この蛾はきっとさっき飛んできたのだ。こんなに大きい虫が入っているのに気付かないわけがない!町内の皆さん、よく見てください…」
開水白菜
「ん?この虫の腹部は水に浸って膨らんでいて、足もただれている。これは高温で煮込んだ証拠――」
周店主
「白先生!ご自分が有名だからってそんな根拠のない話をしないでください!今後あなたを宴会に招く人もいなくなりますよ!」
【選択肢】
・え、わしなら招くけど――
・そうだ。戯言はわしがやる――
選択肢
え、わしなら招くけど――
麻婆豆腐
「皆様、申し訳ございません!この陳豆児は短気な奴でして、皆様の宴会を台無しにしてしまいました。お詫びとして、どうか今夜ぜひ陳興盛飯店にお越しください!」
「白先生、あんたもぜひ来てくれんかや!出来上がりの豆腐は本当に――最高なんや!」
そうだ。戯言はわしがやる――
麻婆豆腐
「正義は民の心にあり、うちに八つ当たりして白先生まで怒んなや! 宴会はな、一番大事なのは、気持ちなんや!」
「皆様、安全面からしたとは言え、皆様の宴会を壊したのも事実です。お詫びとして、どうか陳興盛飯店に足を運んで、うち陳婆が作った特製焼き豆腐を味わって頂きたい!」
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賓客衆
「そうだな。前は周店主の顔色をみて、陳家のホクホクの焼き豆腐を食べた事がなかったな…」
陳婆
「本日は皆様にご迷惑をおかけしました。まずは陳興盛飯店にお越しください。この割れた食器は、私、私が…明日精算して一括で補償します…」
麻婆豆腐
「チッ!そんな事言わなくてもいいかや!早く客達を飯店に連れて、料理の腕を振るうんや!」
麻婆豆腐は大声を出して、陳婆とみんなを追い出した。
彼は振り返り、ぽかんとして床に跪いている周店主を見た。
麻婆豆腐はぶつぶつ独り言を呟き、一枚の紙を彼の手に握らせてから、また顔を上げ離れた。
周店主は震える手でその紙を伸ばし、紙には汚い字で――
商業秘密:
外地から見習い工の一群が北門の順河街に来ました。辛いのは苦手で、白油肚條が大好物です。
彼らの人数は多く、まだ食事をする飯店を確定していません。お大事にしてください!
三 心得違い・参
◆主人公【女性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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麻婆豆腐
「フンッ、その後、陳婆はよくこの件でわしを説教したんや。わしが無鉄砲で気性が激しいから、飯店の商売に危機をもたらしたとか言ったんや!
あのでたらめばっかり言う連中は、陰で陳婆の悪口を言うしかできねぇ。わしは、女手一つで飯店を経営する方が、よっぽど偉い事だと思うかや!
陳婆は何も悪いことをしてねぇのに、なんでいじめられるんや!彼女の事を馬鹿にする奴が居るなら、この麻婆豆腐は一番最初にそいつの前に立つ!正しい事でも、例えみんなが反対してもわしはやり切って見せる――!
だから警告するぞ双皮ミルク。あばたでからかうんはやめ――
おい、双皮ミルク?目閉じちまったぞ?」
開水白菜
「さっきあなたは話しながら舞い上がっていてね……双皮ミルクはあなたの「螳螂拳」、「蛇歩」と「鴉翔式」を受けていた、気絶するのは当然だ。」
【選択肢】
・双皮ミルクはようやく「発言禁止」された
・自分をちゃんとコントロールしなければならない!
選択肢
双皮ミルクはようやく「発言禁止」された
麻婆豆腐
「よっしゃ、ようやく数分間の安寧が来たかや!」
自分をちゃんとコントロールしなければならない!
麻婆豆腐
「わ、わしはただ興奮しただけだろう!揺れて気絶しただけならよかった…」
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開水白菜
「そういえば、私の牛乳瓶にも「メガネ怪人」と書かれたレッテルが貼ってあったが。」
麻婆豆腐
「何だと?あんたもか?まさか…わし一人だけに変なあだ名をつけたわけじゃねぇのかや。」
【選択肢】
・瓶にある
・瓶にない
選択肢
瓶にある
麻婆豆腐
「あんたにあだ名をつけただと!?教えろ、もしいじめられたら、わしが真っ先に奴に聞いてやるかや!
ゴホンッ!ちょっと取り乱した…悪い悪い、頭撫でてやるかや!少女漫画にはいつもそう描いてあるんやろ?」
瓶にない
麻婆豆腐
「おいおい、なんだそのがっかりした表情は!そんなにあだ名が欲しいかや?
これは男子の青春だと?意味が分かんねぇ!とにかく、人にあだ名をつけられるのは許さねぇ。それは嘲笑だ!」
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麻婆豆腐
「…いけねぇ。やっぱり起こさねぇと!今日は絶対にこのレッテルをはっきりさせてやる!」
晴天の日、双皮ミルクは温かいわらの上で寝ていて、涼しい風が吹く。
彼はゆっくりと目を開け――
双皮ミルク
「わぁ…この匂い…懐かしい…」
麻婆豆腐
「よし!奴を水牛の群れに放り込んだやっぱ正解や!ん?奴の隣の水牛、ウンコしてんぞ、早く離れさせようや!」
双皮ミルク
「あれ?あなたたちは…大顔、尾短、韋駄天、曲げ角、しわしわ鼻、メガネ怪人、麻婆豆腐?」
【選択肢】
・ぼくもいるけど!
・麻婆豆腐?
選択肢
ぼくもいるけど!
双皮ミルクは何かを言いたげにしているが、隣にいる麻婆豆腐の姿を見れば、また口を閉じた。
双皮ミルク
「ぼく、ぼくはもう痛いのは嫌だ!ほら、麻婆豆腐の目線が真っ直ぐこっちに向いているじゃないか――」
麻婆豆腐
「もうやめろや!牛にまで全部名前を付けたのかや!まさか普段――」
麻婆豆腐?
双皮ミルク
「二、二回も殴られたんだよ!こんなに優しくて可愛くて純粋で明るいぼくが、どうして殴られるのか分からないけど、もう一回「ひょろり」って呼んだら、ぼくは100%死ぬってはっきり分かったよ!」
麻婆豆腐
「〇〇、わしは、もう頭が痛い…
「ひょろり」はさておき、あんたのくどい話を聞くと頭が痛くなんわ!牛にまであだ名を付けるんだ。まさか普段――」
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麻婆豆腐
「あ、あんたは普段牛と話したりするんのかや!?」
双皮ミルク
「もちろん!ぼくたちとは違うけど、知性は高いんだよ!喜ぶ時は尻尾がこやって揺れる!悲しい時は耳がこうなる、ほら!あとはね、悲しい時は…
本当に涙を流すよ!ぼくはね、毎日放牧して、いい天気で景色もいい時に、いつも誰かにこういう事をシェアしたいんだ…。あまり意味はないけど、ぼくにとってはとても大事な事だから!」
麻婆豆腐
「……。陳婆と出会った時も、彼女は一人でもやしと話してた…」
麻婆豆腐は喋りは止まらない双皮ミルクを見て、沈黙に入った。
開水白菜は朝の牛乳を取り出し、一口飲んだ。
開水白菜
「…ん?双皮ミルク、「メガネ怪人」の牛乳に何か入れたのか?」
双皮ミルク
「分ったかい!ぼくはあなたの水牛ミルクに、新鮮なニンジンジュースを入れたんだ。ビタミンA、B1、B2、花青素、カルシウムと鉄が含まれていて、視力が悪い人にいいらしいよ!
そしてあば――麻婆豆腐の水牛ミルクには、豆乳を入れたんだ!細身で背が高いから、まるで驢打滾が言った「ひょろり」のように、風が吹いたら飛んじゃうかなって心配してね!」
麻婆豆腐
「「ひょろり」…わしのあばたを馬鹿にすることじゃなかったかや?」
双皮ミルク
「あばた?あばたって何?どうして馬鹿にしなくちゃいけないの!ぼくはただ、ぼくが飼っている水牛みたいに、大きくてたくましくなってほしいだけだよ!」
【選択肢】
・誤解だったね
・喧嘩をしないと友達になれないんだね
選択肢
誤解だったね
麻婆豆腐
「わ、わしは北の方に言った事がねぇから、北の「ひょろり」がどういう意味なのか知るわけねぇだろうが!」
喧嘩をしないと友達になれないんだね
麻婆豆腐
「け、喧嘩と言ってもわしが一人でやって…チッ、初心者相手に圧勝してもつまらねぇ!」
共通
麻婆豆腐
「おい!今週はちょうどゲームシーズンが終わるから、毎朝暇なんだ!その…その…
今週はわしも一緒に放牧してやる!話す相手が居なくて悶々と死ぬのを見たくねぇからな!でも先に行っておくが!もし陳婆みたいに毎日うるさいならわしは耐えきれねぇぞ!」
双皮ミルク
「わわわわわわ――!本当に本当に本当?じゃあ早速友達の事を紹介するね!大顔、尾短、韋駄天、曲げ角、新しい友達だよ!早く早く!」
麻婆豆腐
「ちょ、ちょっと、離…離せ!」
開水白菜
「麻婆豆腐、あとで書斎から本を持っていけ。若殿が借りた本は全て整理した。
ん?なんだその表情は?〇〇に知られてはいけない事だったか?」