素蒸音声部・物語
一 心を動かす旋律・一
◆主人公【女性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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素蒸音声部
「……。」
「この旋律も……」
素蒸音声部は琵琶を弾きながら旋律を記していた。数ページほど記録したところ、唐突に感情が少し高ぶりをみせ、うっかり紙を落としてしまった。すると誰かが、彼よりも先にその紙を拾い上げた。
彼が顔を上げると、そこにいたのは微笑む空桑の若様だった。
素蒸音声部
「来たのか?」
彼は微笑ながら楽譜を受け取ったが、
相手の指先に触れた瞬間、目の前の人物は瞬時に姿を消してしまった。
素蒸音声部
「……。」
「ただの具象化された姿だったか。」
「今に始まったことではないが、最近の私はどうしてしまったんだ?」
優美で感動的な琵琶の音色が再び響き、
その音が仙境を作り出すと、素蒸音声部はその中へと足を踏み入れた――
仙境の中で、三人の仙女と素蒸音声部は樹の下で言葉を交わしていた。
柳琴弾きの仙女
「なるほど、夙音は○○に感謝の気持を伝えて、彼女に喜んで貰いたいのですね?」
素蒸音声部
「ええ、私は借りを作るのが好きじゃない。その時は慌ただしい別れで、一曲しか弾くことができなかった。送った数箱の財宝も、主厨としての報酬を払ったに過ぎない、正式な謝礼とは言えない。」
「彼女は私を手助けしてくれた。蓬莱国も今は安定している。彼女に正式に感謝のお礼を準備しなくては。」
「義理人情には音楽ではどうしようもない。貴方たちは私よりもずっと分かっているはず、何か考えがあるのか?」
笙吹きの仙女
「そうね、それだったら!彼女にあなたの最も優秀な一面を見せるといいわ、○○もきっとあなたの魅力に溺れて抜け出せなくなるわよ!」
素蒸音声部
「……。」
柳琴弾きの仙女
「夙音の最も優れた一面といえば、卓越した音楽の才能でしょう。私たちが指摘するまでもないと思いますが。」
「○○は美食の地から来たのでしょう、美食に関心があるはずです。宴を開く方が良いのではないですか?」
阮咸弾きの仙女
「夙音、衣装を用意する必要はあるの?」
「「人は服によって引き立つ」って言うじゃない、あなたの優れた養子に、美しい衣装が加われば、きっと夢中にさせられるわ。」
【選択肢】
・才能があるのになぜ顔に頼る?
・何か勘違いしているのでは?
選択肢
才能があるのになぜ顔に頼る?
素蒸音声部
「まさか彼女は私の顔しか見ていないとでも?」
「彼女はそんな浅はかな人ではない。だが、彼女に相応しい恰好をすることは、確かに必要だ。」
何か勘違いしているのでは?
素蒸音声部
「分かった、貴方の提案を預かります。」
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素蒸音声部
「その意見、私なりにできるだけ試してみるよ。」
龍須酥
「若様、私のために新しい望遠鏡を置いてくださって、ありがとうございます。夜の星がより見えやすくなりました。」
「今夜はどの星域を観測しているって?」
「最近はある星域で星の軌跡の変化が続いていまして、ここの数日は、それらの変化の記録を付けていました。ご覧ください、この方角です――」
望遠鏡で、龍須酥の言う方向を覗いてみた――
【選択肢】
・この方角だと、蓬莱の方かな……
・この星の並び方、何か不思議なことでもあるの?
選択肢
この方角だと、蓬莱の方かな……
龍須酥
「若様はそれと対応している位置をご存じですか?」
「残念なことに空桑からでははっきり見えないのです。もし蓬莱まで行って近距離から観測できれば、より多くの記録が得られるでしょう。」
この星の並び方、何か不思議なことでもあるの?
龍須酥
「星の並び方を元に占ってみたのですが、吉兆半々、複雑な結果となりました。」
「若様はどうして心配そうな顔をされているのですか?」
「なるほど、あちらは蓬莱の方角でしたか……若様は蓬莱国の行く末を案じておられるのですね。もう一度占ってみましょう、災がどうやって解決されるのか……」
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陸吾
「○○、夙音国主から手紙が来てるにゃ。蓬莱国へ遊びに来ないかって話みたいだけどにゃ?」
「今回の任務も終わったことだし、夜食でも食べてから寝るとするかにゃ。」
龍須酥
「この星の並びが対応している卦象は「半吉」ですね。吉なのか、それとも凶なのでしょうか?もっとよく観察することができれば、あるいは……」
「若様、私も蓬莱までご一緒させてください。」
国主の寝室のドアがノックされ、清商祭司が外から報告している
清商祭司
「国主、空桑の若様がお見えです。」
素蒸音声部
「うん、丁重にもてなしてくれ。用意していたドレスもお渡しするんだ。それから、少し待って欲しいと伝えてくれ。」
清商祭司
「はい、国主。」
素蒸発音声部が部屋から出ようとした時、
唐突に彼は阮咸弾きの仙女の話を思い出し、やおら手鏡を取り上げると、
納得がゆくまで威儀を吟味してから、ようやく部屋を出た。
相和祭司
「空桑の若様、またお会いしましたね。今さっきご到着ですか?散策などされてみては?」
「今や蓬莱は国主の管理の下で、多くの変化を迎えました。お時間があれば、平民区をご覧になると良いかと。」
「ああ、国主がお越しになられました。」
素蒸音声部
「〇〇。」
【選択肢】
・快く彼に声をかける
・夙音を見詰めながら、彼が口を開くのを待つ
選択肢
快く彼に声をかける
素蒸音声部
「私が用意したドレスを着てくれたのですね、よくお似合いだ。素晴らしい。」
夙音を見詰めながら、彼が口を開くのを待つ
素蒸音声部
「……。」
「私を見て、言葉を失いましたか?」
「さきほど、相和と楽し気にお話をされていましたね。」
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素蒸音声部
「ご友人をお連れですか?」
龍須酥
「私は蘇と申します。占星術師でございます。この度は蓬莱上空の星の並びを観察しに参りました。」
素蒸音声部は僅かに頷いて挨拶に代えた。
素蒸音声部
「〇〇、貴方に来てもらうのは、貴方に正式なお礼をするためだ。」
相和祭司
「国主は普段国務でお忙しいのですが、今日は特別に一日の時間を作り、諸々の支度をされたのです。〇〇もきっとご満足されると思いますよ。」
素蒸音声部
「相和、今日は随分と積極的に話をするのだな。」
相和祭司
「はは、宴が終わりましたら、蘇学士を蓬莱の占星術師の元までお連れいたします。」
清商祭司
「国主、お客様方、仙楽宴席の支度が整いました。ご着席ください。」
素蒸音声部
「〇〇、あんまり元気のないようだが?疲れたのか?」
【選択肢】
・一度の食事で、食器を十も替えるなんて
・一度の食事で、音楽を十曲も替えるなんて
・一度の食事で、衣服を十回も替えるなんて
選択肢
一度の食事で、食器を十も替えるなんて
素蒸音声部
「食事の際には味わいの異なる料理ごとに、それぞれの体験があるもの。それに相応しい食器を用意するのは当然のことだ。」
「貴方の言うまどろっこしさ以外は、すべて礼儀に適っている。なにか問題でも?」
一度の食事で、音楽を十曲も替えるなんて
素蒸音声部
「記憶違いだ、トータル十二曲がある。食事中は二名の楽師が異なる三つの音色を奏でたので、全部入れ替えた。」
「食事の際には味わいの異なる料理ごとに、それぞれの境地があるもの。それに相応しい音楽を用意するのは当然のことだ。」
一度の食事で、衣服を十回も替えるなんて
素蒸音声部
「まさか私の目を疑っているのか?」
「私の用意した服を身に着けた貴方は、どの服も素晴らしく似合っていると思っている。」
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素蒸音声部
「いいだろう……どうやら貴方の機嫌はあんまりよくないに見える。不満ということは、私の謝礼が貴方には届いていないということだ。」
「ここからの予定は全て取り消す。新しいものを用意する――」
「どうして首を振るのか?貴方は何を求めている?言ってみなさい、私が満足させる。」
「私と一緒に平民区を見てみたいだっと?」
「……。」
「私をどこへ連れて行くつもり……」
二 心を動かす旋律・二
◆主人公【女性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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素蒸音声部
「なるほど、どうやら貴方は私とシンプルな一日を過ごしたいようだな。ただぶらついたり、目的もなく出歩いたりするのは、あまりにも”シンプル”過ぎると思うが。」
「違いますか?」
「まぁいい、それが貴方の望みであれば、付き合おう。」
素蒸音声部の振舞いは優雅だった。
市場を通る時も、予想していたような苛立ちは見せず、むしろ冷静で落ち着いていた。
素蒸音声部
「以前の私であれば、決してここへ足を踏み入れることはないだろう。これまでの王宮では、人々は貴族と平民の一線を守っている。」
「しかし境界が破られてから、お互いの音楽には、お互いに魅力があるということを理解できた。そうして今に至る一連の新たな取り組みが生まれた。」
「民衆は自由に望んでいる音楽を学ぶことが可能だ。ただ、一度どれかの音楽に決めれば、その音楽の基準を守らねばならない。」
「平民は音楽庁で古典音楽を鑑賞できる。ただしブラなカッコや、大声で騒ぐことは禁止だ。貴族も村で民謡を聞いても問題ない、他の貴族もこの行動に指図することはできない。これは、音楽の品格に対する敬意だ。」
「そういった「本当の自由」を尊重できる国を作りたい。」
蓬莱の市場は変わらず熱気に包まれていた。けれどよく見れば少なくない変化があった。音楽庁が新たに建設され、通りを貴族が行き交い、洗練された音楽と通俗的な音楽が同じ舞台上で即興演奏されている、といった具合に。」
【選択肢】
・音坊はすごいね。人々のためになることを沢山したんだね。
・平民区にも沢山の新しい変化が起こっているね。
選択肢
音坊はすごいね。人々のためになることを沢山したんだね。
素蒸音声部
「貴方という人は、本当に参ったな。変な呼び名で呼ばないでとあれほど言ったのに。」
「二人きりの時でも禁止だ。」
平民区にも沢山の新しい変化が起こっているね。
素蒸音声部
「私は相和と共に平民区を視察して、音楽庁と音楽教室の設置することに決めた。」
「今の貴族区にも少し変化がある。もし興味があるのなら、王室へ戻る途中で、案内してもいいんだが。」
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平民A
「聞いたか?劇院で西洋から入って来た新しいミュージカルがあるんだってさ。」
平民乙
「聞いたよ、ファンタジーが題材だってさ。とある王子様が呪いを受けて、醜い野獣に変わってしまうんだ。その後である女性と出会って、一緒に呪いを破るって話だそうだ。」
素蒸音声部
「○○、貴方もあの音楽劇が気になるのか?」
「構わない。ただ一つの条件がある。いつもいつも私の袖を引っ張らないでください。貴方のせいで、またシワが……」
劇が終わり、夙音と共に人の流れに沿って劇院を後にした。
音楽劇は異様な熱気だった。観劇にやって来た人はすごい数で、ホールは満席、互いに距離を取るなど不可能だった。夙音の色白の顔は、熱気のせいで赤く上気していた。
素蒸音声部
「……。」
体の任意の位置に触れる
触れ合い
頭に触れる(彼の汗を拭いてあげる)
素蒸音声部
「劇院は風通しが良くない、額の汗がたまらない。民衆の音楽体験に多大な影響がある。建築士に再設計する必要があると清商に命令を下すべきだ。」
「なぜ私の汗だけを拭く?ハンカチを貸してください、貴方の汗だくの様子を見ると、とてつもなく我慢できない。」
体に触れる(彼の衣服を整えてあげる)
素蒸音声部
「劇院の出入り口は狭い。入る者と出る者でごった返してしまう。民衆の音楽体験に多大な影響がある。建築士に再設計する必要があると清商に命令を下すべきだ。」
「なぜ私の服だけを整える?貴方の服も乱れているぞ。」
「ふふ、今になって気づいたが、大人の貴方がなぜボタンを掛け違えている?このドレスの設計は多少複雑で、ボタンは内と外で二つずつある。こうやって掛けるんだよ。」
「道理で貴方の格好を見ていると、どこか違和感があったわけだ。」
手に触れる(彼の手を引く)
素蒸音声部
「劇院の出入り口は狭い。入る者と出る者でごった返してしまう。民衆の音楽体験に多大な影響がある。建築士に再設計する必要があると清商に命令を下すべきだ。」
「私の手を引いていれば、離れ離れになることはない。良い考えだ。」
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素蒸音声部
「さっきの音楽劇の感想?」
「第三幕の第二段、バイオリン演奏者の誰かズレた音を出している。第四幕の第三段、全体の雰囲気と劇の情感が食い違っている。終幕、男性役者が歌っていた第八文の音色が完全に不調和になっている。省略しても構わないほどバラバラだ。」
「もし私が監督なら、そんな齟齬なことは決して許しはしない。」
「物語については……なかなか面白いものだ。」
「もし呪いが解けず、野生と狂気に身も心も呑み込まれることになっていたら、主人公は生涯を通して、それでも王子でいられるのか……」
「なんでもない、我を失っただけだ。○○、そろそろもどろう。」
王宮に戻った時には、すでに夜の帳がおりていた。
広場では音楽会が開催されているところだったが、突然遠方から爆発音が響き、人々が散り散りに逃げ始めた――
素蒸音声部
「どうしたの?」
貴族甲
「国主、はやくお逃げください。空から突然火が降り注いで来て、目の前の宮殿を破壊してしまったのです。」
素蒸音声部
「――!」
「命令を下す、直ちに、民衆を避難させるよう。それと十祭司に、第三神殿に集合するように連絡せよ。」
貴族甲
「は、はい!」
素蒸音声部
「○○、貴方は安全な場所に隠れてください。でないと、私の気が散る。」
【選択肢】
・私も手伝うよ!
・だけど私だってあなたが心配だよ!
選択肢
私も手伝うよ!
素蒸音声部
「……。」
「では、民衆の避難を手伝ってください。あと、神殿には近づくな。」
だけど私だってあなたが心配だよ!
素蒸音声部
「国主として、蓬莱国において、私以上に力を持つ者はいない!」
「貴方は自分の面倒をみていればいい。あと、神殿には近づくな。」
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民衆は次々に避難させられることになった。
それが終わった時には、宮殿前の広場には誰の姿もなかった。
遠くで、数名の祭司が宮殿から歩いて出て来るのがみえた。
彼らの顔には疲労の色がはっきりと浮かんでいた。
相和祭司
「空桑の若様ですか?どうしてまだこんな場所にいるのです?」
「国主と十祭司が防御壁を作動させて、火災の侵入を防いだところです。火災の数は多くなく、また国主の通知が迅速だったために、今はすでに危機は去っています。貴方も早く戻ってお休みになってください。」
「国主はどこにいるのか、ですか?彼なら……」
清商祭司
「空桑の若様、国主は神殿の後ろにおられます。早くお会いになってください!」
相和祭司
「清商、国主は言っていたはずだ。空桑の若様には……」
清商祭司
「なぜ?まさか国主に一人で苦痛に耐えろというでも?国主は先ほどまで、我々を守るために、一人で法陣がもたらす精神の反発に耐えておられたのです。今は空桑の若様しか、国主を癒やすことはできないのに!」
相和祭司
「あぁ……空桑の若様――」
冷たく静かな神殿の廊下で、素蒸音声部は柱に寄りかかりながら、身体を丸めていた。
顔には苦痛の色が浮かび、青白い顔面いっぱいに玉の汗を浮かべていた。
素蒸音声部
「○○!?」
「近づくな。来るなと言ったはず、私を見るな!」
素蒸音声部は苛立った様子で体を隠すと、宴霊たちに追い払うように命じた。
【選択肢】
・夙音、私なら以前のようにあなたを治療することができるよ。
・どうして近づいてはダメなの?
選択肢
夙音、私なら以前のようにあなたを治療することができるよ。
素蒸音声部
「それは昔の話だ!今は違う、全く違うモノだ!」
「神殿には近づくなと言ったはずだ、私は貴方の治療など必要ない、必要ないんだ!」
どうして近づいてはダメなの?
素蒸音声部
「貴方に恐れられるぐらいなら、私はここで……ここから、出ていけ!」
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素蒸音声部
「なぜって?ふっ、なぜって……」
「○○、頭痛がするから貴方を求めているのではない!病気だから貴方が必要なのではない!貴方のことがずっと思っているから、心から貴方と会いたいから、貴方を蓬莱に呼んだ……まだわからないのか!」
「私は……二度と貴方を私の解毒薬にしたくないんだ!私は気づいてしまった……貴方への感情を、あまりにも酷い目的を!」
彼は指揮棒を荒々しく床に落とし、投げやりに椅子に腰を下ろした。
素蒸音声部
「感情すらコントロールできない……」
「こんな私では、酷い野獣とどう違うというんだ!」
「私に触れるな!」
「私は貴方を傷付けたくない、傷付けたくは……」
「○○、これ以上私の治療のために貴方の力を使いたくない!」
三 心を動かす旋律・三
◆主人公【女性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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素蒸音声部
「これは……オカリナの音?」
「さっき私たちが市場で買った……あの楽器?」
「やめろ!貴方の浄化の力を音色に中に込めるような真似はやめてください!」
【選択肢】
・約束する、浄化の力は使わない
・音色にはどんな力も入っていない、ただあなたに寄り添いたいだけ
選択肢
約束する、浄化の力は使わない
素蒸音声部
「はっ、貴方はいつもそうやって私を騙して、あやして、子供のように扱うんだ。私が知らないとでも……」
音色にはどんな力も入っていない、ただあなたに寄り添いたいだけ
素蒸音声部
「そうだ。貴方はいつもそうだった。私の醜い一面を知っても、怖がるどころか、逃げることすらしないで……」
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素蒸音声部
「貴方が浄化の力を使う度に、貴方の体が傷付くのだと、あの龍は言っていた。貴方は普通じゃない、貴方こそどうかしているんだ。」
「知らないだろ?かつての私は、人々から天才と称され、部屋に閉じこもって絶え間なく音楽を奏でていたのだ……」
「孤独に苛まれる時には、数十の宴霊を呼び、音楽に合わせて踊らせ、寄り添わせることしかできなかった。そうしていれば、私は一人じゃない気がする。だがそんなものはただの偽物に過ぎない。どんなに華やかでも空虚でしかない思えない」
「家族たちと……貴方が、私に本当の愛情を恋焦がれさせた。」
「何者にも真似できないほど美しい存在。だが……狂った者がそんな美しい感情を持てるわけがない?」
「狂った天才など、呪われた王子のように、狂気と苦痛の中で、野獣となるだけだ!」
「彼はその感情を取り戻したかったけれど、取り戻すことができなかった。狂った彼は……彼を気にかけるすべての人々を傷付けることしかできなかった。」
「だから……彼は……自分を幽閉することを選んだ。」
「フ……」
【選択肢】
・私には彼の不器用な本心が見える
・彼は野獣じゃない、ずっと優しい王子だった
選択肢
私には彼の不器用な本心が見える
素蒸音声部
「貴方……のためにしたことすべてを、気に入ってくれた?」
「どう考えても、今日の私は今までにない失態をしてしまった。」
彼は野獣じゃない、ずっと優しい王子だった
素蒸音声部
「感情とは、抑制され、制御されたものだ。」
「優しい?違う、彼のやり方はひどいものだ。」
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素蒸音声部
「気になる人がいるということは、その人の前で醜い自分の姿を晒すまいと憂うようになってしまうこと……」
「私はようやく……あの野獣の気持を……理解できた。なぜ、美しい人を城から出して村へ帰らせたのか。それは……」
「どれほど傲慢な姿でも、どれだけ冷徹な内面でも、その人の前では、一撃にも耐えられないほど脆い、劣等感に変わってしまう……」
「○○、また私の機嫌をとるつもり?ふふ、貴方は間違いなく……浄化の力を音色に込めた。」
「でなければ、なぜ、私が……貴方の奏でる曲に、これまでにないほどの……安らぎを感じることはない。」
唐突に、肩が重くなった。
次第に、耳元に規則正しい呼吸音が聞こえて来た。
けれどオカリナの音色は止めることなく
柔らかな曲は、あの人が眠るまで奏でられ続けた。
囚牛
「小僧、昨夜の火災はどうやら天韵殿の仕業のようじゃ。吾らが異常を察知して、降下して探りを入れて来た。」
「だが、流火は極めて威力が大きかったものの、「謎の力」によって大幅に威力が削られてしまったらしい。」
素蒸音声部
「その手助けしてくれたのは、一体何者なのです?」
囚牛
「ふむ、吾が思うに、おそらく天機殿のあのお節介な者だろう……」
「最近、蓬莱の星の動きに注意を払ったが、その中にヒントがあるのかもしれん。」
素蒸音声部
「ふむ、もともとそういう考えはあったが、今の貴方の話を聞いて、より確信をできた。」
そんな時、ベッドの上でかけ布団を動かす音が聞こえた。
素蒸音声部は囚牛との連絡を絶った。
【選択肢】
・えっ、目が覚めた途端になぜあなたがいる?
・昨日の晩……私たち、どうなったの?
選択肢
えっ、目が覚めた途端になぜあなたがいる?
素蒸音声部
「自ら起こしに来たのに、喜んで然るべきでは。」
「まだ起きていないと見たら、もう少し寝かせてあげたいだけだ。勘違いするな。」
昨日の晩……私たち、どうなったの?
素蒸音声部
「か……勘違いしないでください。」
共通
素蒸音声部
「昨日の夜中に目が覚めた時、貴方が疲れて眠っている。野宿させるわけにもいかないから、貴方を部屋まで連れ戻して休ませた。」
「その後は、蘇学士を探して星の並びについて相談した。なにかの手がかりがついたところ、貴方を起こして相談をしようかと。」
「早速口をすすいで、着替えをして、朝食をとってください。私は外で待っている。」
その後、彼はカーテンを閉じた。
心地の良い伴奏が聞こえた。
彼の奏でる音色がカーテンを通して、桃の花のイメージを伴って耳に届いた。
龍須酥
「夙音国主、貴国の星の並びと蜃気楼の記録を調査したところ、確かに蜃気楼の移動と星の軌跡が符号しました。」
「これは数日に渡る蓬莱上空の星の記録です、よくご覧ください――」
素蒸音声部
「規律……リズム……」
リズムに対して敏感な素蒸音声部は、
星の記録の中から”隠された言葉”を読み取り、規則に則って曲を一首書き出した。
素蒸音声部
「清商、私と一緒にこの曲を演奏してみよう。相和、貴方は海辺の展望台に行って、蜃気楼の変化を観測するのだ。」
二人の祭司は揃って答えると、それぞれ命令に従った。
相和祭司
「国主、本当に蜃気楼に変化が現れました。」
素蒸音声部
「よし、やはり思った通り。」
「この曲があれば、蜃気楼を制御できる。こちらから蜃気楼を動かすことで、天韵殿の監視を避けることができるはず。」
清商祭司
「天佑ですな、すべてが良い方向に向かっていますよ!」
相和祭司
「これはまさしく蘇学士のおかげさまですね。」
龍須酥
「私に星を見せてくれた皆様にこそ感謝します。蓬莱島の上空は広いですから、星の観測点としては絶好の場所です。占いをしてみたいのですが、また観測に来る機会があるかどうか……」
相和祭司
「はは、気にしないでください。蓬莱はいつでもあなたたちを歓迎しますよ。」
もう一方――
素蒸音声部
「○○、また貴方に助けられたな。次もまた、貴方へのお礼を用意しなければならないようだ。」
「もちろん、また貴方を蓬莱に招待するよ。貴方にも拒絶する理由はないと思うが。」
「なぜ突然私の眉間に触れる必要がある?私が眉毛をひそめたからって?」
「別に悲しくはない、懐かしく思う気持ちは多少あるが……」
「私にできるのは貴方に別れの曲を弾きながら、貴方が去ってゆくところを見守ることだけのようだ。」
「いや、なんでも……貴方と貴方のご友人ども、早く船に乗ってください。」
船が薄霧を抜け、遠く離れていった。
岸辺に立つ素蒸音声部は、心に迫る調べを奏でていた。
彼の周囲にゆっくりと仙人の住まう美しい景色が広がり、再び彼はその中に入って行った……
笙吹きの仙女
「どうだった?どうだった?」
「へへ、音坊、私たちの行った通りにした?」
柳琴弾きの仙女
「夙音の淡々とした笑顔を見る限り、○○とかなり楽しい時間を過ごせたみたいね。」
阮咸弾きの仙女
「○○と夙音はきっと楽しい一日を過ごしたんだと思うわ。」
素蒸音声部
「ふ……貴方たちの提案には何の価値もありませんでしたよ。」
「華麗な宴席と服装など、あの一日の散策と、一晩の付き添いには及ばない。」
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