鵲橋会・ストーリー
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鵲橋会
プロローグ
そびえ立つ山々の周りに、雲霧がゆらゆらと渦巻いていた。
山の麓には桃の林が連綿と広がっていた。
林を越えた先には、古色を帯びた庭園があった。流水は止めどなく流れ、桃の香りが立ちこめていた。
雷雲十五日 昼
庭園の東屋
湖に波紋が広がっており、柔らかな水の音と共に、庭園から軽やかな笛の音色と歌声がこだました。
しばらくして、笛の音色が止まると、歌声も止んだ。
西湖酢魚:……廬山、申し訳ありません、また気が散ってしまいました。
廬山雲霧茶:問題ない。悩みがあるのでは?
西湖酢魚:……いいえ……ただ……
廬山雲霧茶:ただ?
西湖酢魚:……暑過ぎるが故に、疲れてしまったのかもしれません。
廬山雲霧茶:……
廬山雲霧茶:それなら早めに休んだ方が良い。
西湖酢魚:申し訳ありません……
笛の音が再び鳴り響き、廬山雲霧茶は湖に沈んでいく西湖酢魚を見送った。
廬山雲霧茶:(彼女になにかあったのか?)
廬山雲霧茶:(まあ良い、今日はもう戻るとしよう。)
西湖酢魚:(廬山に……気付かれてしまった?)
ストーリー1-2
雷雲十五日 昼
書斎
廬山雲霧茶はいつも通り書斎に本を取りに来たが、そこである人に出会った。
ワンタンは静かに机の前に座り、一通の手紙をまじまじと読んでいた。
廬山雲霧茶:(手紙……故人の物か?)
廬山雲霧茶:(そうすると……酢魚はもしや……)
―――
ここまで考えて……
・<選択肢・上>ワンタンに直接聞く。
・<選択肢・中>まず他の事を話し始める。
・<選択肢・下>それとなく酢魚の事を持ち出す。
―――
ワンタン:あぁ……廬山?
廬山雲霧茶:……
ワンタン:すまない、時間を忘れていた、もうこんな時間か。
ワンタン:……何かあったのか?顔色がおかしいような。
廬山雲霧茶:おかしい?
ワンタン:あぁ、少しだけ。何かあったのか?
廬山雲霧茶:酢魚が……
ワンタン:酢魚の事か?
廬山雲霧茶:……近頃、彼女は少し情緒が不安定な様子。
廬山雲霧茶:先程のそなたの表情が彼女のものと似ていた故……
ワンタン:だから私に聞いたのか?
ワンタンは指で手紙を軽く撫でた。
ワンタン:さっきは……ただ昔の事を偲んでいただけだ。
廬山雲霧茶:では、酢魚も……
ワンタン:それはわからない。しかし、酢魚は確か怪我を負った事があっただろう?
ワンタン:彼女の身と心を、ここまで傷つけられるのは、きっと彼女の近しい人だけだろう。
ワンタンは窓の外を眺め、視線は揺れ動いていた。
ワンタン:もうすぐ七夕だ。七夕、そして彼女を傷つけた近しい人……ほら、答えもうそこにあるだろう?
廬山雲霧茶:七夕……
廬山雲霧茶:捨てられた……愛する物か?
ワンタン:何か思いついたみたいだな。
ストーリー1-4
雷雲十五日 昼
湖畔
西湖酢魚は湖畔の岩に寄り掛かり、思い出に浸っていた。
この時、彼女の背後から男性の声が聞こえて来た。
亀苓膏:大丈夫か?
西湖酢魚:!
亀苓膏:申し訳ない、驚かせてしまったか?
西湖酢魚:いいえ……
亀苓膏:何か悩んでいるようだが?
―――
……
・<選択肢・上>正直に言う。
・<選択肢・中>話をそらす。
・<選択肢・下>黙ったままでいる。
―――
亀苓膏:少し前、外出した時に見かけたのだが……
亀苓膏:君が人々が川に流した花灯篭を開けていた所を。
西湖酢魚:いいえ……あれは……
亀苓膏:別に君を責めるつもりはない、ただ何に悩んでいるのかを知りたいだけだ。
亀苓膏:私が役に立てるなら。
西湖酢魚:……
西湖酢魚:……思慕の言葉。
西湖酢魚:妾は好奇心故に灯籠を開け、その中に思慕の言葉が書き綴られている紙を見つけました。
西湖酢魚:あの文字を見ていると、思わず廬山の事を思い出したのです。
西湖酢魚:だから妾は……
西湖酢魚は身体を沈めた、湖の水は彼女のあごまで隠した。
白い頬が薄紅に染まっている姿は、言いようのない美しさがあった。
ストーリー1-6
雷雲十五日 昼
書斎
廬山雲霧茶:ありがとう、酢魚の悩みはもうわかったわ。
―――
(だが、七夕の行事はよく知らない。)
・<選択肢・上>ワンタンに聞く。
・<選択肢・中>自分で調べる。
・<選択肢・下>飩魂に聞く。
―――
ワンタン:しかし廬山はどうすればいいかわからないだろう?
廬山雲霧茶:……七夕の事は、確かにあまり知らない。
ワンタン:廬山らしいな。
廬山雲霧茶:……
ワンタンは廬山雲霧茶に七夕の行事を風習を教えたが、いくつかの点はぼかしながら伝えていた。
廬山雲霧茶:故に、彼女に何か贈り物を用意するべきだと?
ワンタン:気持ちを込めて贈り物を選び、行動で彼女に示したらいい。過去に囚われず、今彼女を大切にしている者がいると。
ワンタン:これが、この症状を治す最適な薬だ。
廬山雲霧茶:……
廬山雲霧茶:一理ある。
ストーリー2-2
雷雲十五日 昼
湖畔
亀苓膏:わかった。
亀苓膏:まず、それは恥ずかしい事でも不安になるような事でもないという事をはっきりと理解するべきだ。
西湖酢魚:……妾にはわかりません。
亀苓膏:あれは七夕の下準備。
亀苓膏:人々は自分の願いが書かれた紙を灯篭に入れ、川に流す。
亀苓膏:自分の願いが叶うように。
西湖酢魚:七夕……ですか?
亀苓膏:あぁ、七夕は美しい気持ちの象徴だ。
亀苓膏:君を困らせている感情は、これらの気持ちに影響され生じたのだろう。
亀苓膏:美しい気持ちに感化され廬山の事を想うのは、これは嬉しい事ではないのか?
西湖酢魚:……わかりません……しかし妾は確かに不安な気持ちになりました。
亀苓膏:では廬山に自分の気持ちをそのまま伝えるのはどうだ?
西湖酢魚:いいえ!そのような事は……出来ません。
亀苓膏:何故?
西湖酢魚:……わからない……妾にはわかりません……
亀苓膏:不安の原因は、私の解説だけしか聞いていないから。こういった事は自分で確かめに行かねばならない。
亀苓膏:君が一番知りたいのは、廬山が君のその気持ちをどう受け止めるかだろう?
亀苓膏:自分で伝えなければ、その不安は永遠に続くだろう。
西湖酢魚:……
西湖酢魚:……先生、もう少し何か助言を。
亀苓膏:まあいい、君は直接廬山に言えないだろう、では何か贈るといい。
亀苓膏:贈り物で自分の気持ちを伝えればいい。
―――
贈り物ですか……
・<選択肢・上>簪を贈る。
・<選択肢・中>菓子を作ってあげる。
・<選択肢・下>竹笛を贈る。
―――
亀苓膏:ただ、贈り物と言うのは高価な物程良いという訳ではない、重要なのは気持ちがこもっているかどうかだ。これだけは忘れるな。
亀苓膏:本末転倒にならないように。
西湖酢魚:気持ち込める……
西湖酢魚:ありがとうございます、勉強になりました。
ストーリー2-4
雷雲十五日 昼
書斎
ワンタン:で、贈り物はもう決めたのか?
ワンタン:女性の装飾品など、持っているだろう?
廬山雲霧茶:装飾品であれば……
―――
御侍が残してくれた物はある。
・<選択肢・上>耳飾りを贈る。
・<選択肢・中>同心結びの飾りを贈る。
・<選択肢・下>腕輪を贈る。
―――
ワンタン:やはり、私が考えてあげよう。
廬山雲霧茶:……
廬山雲霧茶:ただ迷っているだけ。
廬山雲霧茶:装飾品は……適切ではないような気が。
ワンタン:じゃあ、君の考えを聞かせてもらおうか。
廬山雲霧茶:そなたの言う通り、贈り物で気持ちを伝えるのは良い。
廬山雲霧茶:しかし金や銀の装飾品を贈るというのは……
廬山雲霧茶:俗っぽさが過ぎるのでは。
ワンタン:もしや曲を贈ろうと考えているのか?
廬山雲霧茶:……
廬山雲霧茶:確かにそうしようと思っている。
ワンタン:ダメだ、それは良くない。
廬山雲霧茶:何故?
ワンタン:他の者であるなら、確かに趣向を凝らした良い案ではある。
ワンタン:気持ちも込めやすい、しかし廬山はダメだ。
廬山雲霧茶:その理由は?
ワンタン:廬山が、そういうひとだから。
ワンタン:物にこだわりがなく、気持ちだけ重視する。
ワンタン:だが酢魚は君とは違う。
ワンタン:彼女は雅な女子だが、無欲な訳ではないだろう。
ワンタン:彼女は繊細で、悲しい過去によって常に安心感が欠けている。
ワンタン:もし曲のような実体のない物で気持ちを伝えたとして、酢魚はいつもと違う君の気持ちをすぐ気付けなければ、また考え込んでしまうだろう。
ワンタン:つまり逆効果になってしまう。
廬山雲霧茶:……
ワンタン:理解できたか?
廬山雲霧茶:多少……
ワンタン:……とにかく、贈り物を用意しよう。
廬山雲霧茶:……わかった。
ストーリー2-6
雷雲十五日 昼
部屋
飩魂はそこで廬山雲霧茶が言っていた箱をあちこち探していた。
ワンタン:廬山の御侍は本当に装飾品を残したんだ?
廬山雲霧茶:御侍は、女性たるもの装飾品を持っていた方が良いと。
ワンタン:廬山が身に着けている所は一回も見た事はないが。
廬山雲霧茶:……それで良い。
ワンタン:まあ、廬山はそういった面倒な物は好きではないだろうな。
ワンタン:いつか君が急に装飾品を見繕い始めたら、それこそおかしな話だ。
廬山雲霧茶:……
ワンタン:冗談だ。
廬山雲霧茶:構わない、確かに装飾品に興味はない。
廬山雲霧茶:全てそなたに任せる。
ワンタンはヒヤッとした。
この時、飩魂は一つの木箱を頭に乗せて、ゆらゆらと部屋の奥から出てきた。
ワンタン:ここに置いて。えっ、飩魂どこに行くんだ?
ワンタン:ん?まだ終わらない?
ワンタン:あと二、三十箱位ある?
ワンタン:……
ワンタン:廬山……
廬山雲霧茶:あの方は数えきれない程の命をお救いになった。
廬山雲霧茶:お礼の品が多少あるのはおかしくない。
ワンタン:多少……
同じ頃、湖畔の東屋
亀苓膏:なるほど、このような贈り物にしたのか。
―――
……
・<選択肢・上>唐突すぎやしませんか?
・<選択肢・中>彼女は本当に気に入ってくれるのだろうか?
・<選択肢・下>もう少し先生に考えて頂く?
―――
亀苓膏:いや、この考えは悪くないと思う。
亀苓膏:今最も重要な事は、練習と事前準備だ。
西湖酢魚:……しかし妾は長時間霊力を安定させる事は出来ない。
亀苓膏:私の力を合わせれば十分だろう、協力してやる。
西湖酢魚:……先生、ありがとうございます。
亀苓膏:大した事ない、後は……
西湖酢魚:……先生?
亀苓膏:服も着替えたらどうだ?
西湖酢魚:えっ?服ですか?
亀苓膏:あぁ、先日山の外で見た服の方が、七夕に合うだろう。
西湖酢魚:し……しかし、人間の前に出るのは少し……
亀苓膏:……まあいい、手伝うと決めたんだ最後まで付き合う。私が買ってきてやろう。
西湖酢魚:それは……
亀苓膏:決定事項だ。君は先に準備を始めておけ、すぐ戻る。
西湖酢魚:……あ……ありがとうございます、先生。
西湖酢魚√宝箱
雷雲十七日
東屋
約束はしていなかったが、廬山雲霧茶と西湖酢魚は同時に東屋にやってきた。
いつも通り、会話もせず、二人の演奏は始まった。
気付けば夜になっていた。
笛の音が止まり、歌声も止んだ。
二人は無言でお互いの顔を見た。
しばらくして――
廬山雲霧茶:酢魚。
西湖酢魚:廬山?
廬山雲霧茶:そなたへの贈り物がある。
廬山雲霧茶は一本の木の簪を取り出した。
廬山雲霧茶:そなたの過去を、私はよく知らない。
廬山雲霧茶:しかし、私はそなたの命を救った。
廬山雲霧茶:そして、そなたも私の傍に残ってくれた。
廬山雲霧茶は手で、一本の簪を二本に分けた。
廬山雲霧茶:光耀大陸にある古い風習で、
廬山雲霧茶:木の簪を二つに分け、大切な人に贈るという物があるそう。
廬山雲霧茶:故に今日そなたに、これを贈る。
廬山雲霧茶:過去を忘れ、もう悲しむな。
西湖酢魚:……うっ……わ……妾は……あ……ありがとうございます、廬山。
西湖酢魚は顔を上げて、笑顔を浮かべた。彼女の目尻は微かに光っていた。
西湖酢魚:廬山……
廬山雲霧茶:ええ?
西湖酢魚:妾も……
西湖酢魚:妾も贈りたい物があります。
西湖酢魚の尾が軽く揺れ、湖に波紋が広がり、光が差した。
廬山雲霧茶√宝箱
雷雲十七日
東屋
約束はしていなかったが、廬山雲霧茶と西湖酢魚は同時に東屋にやってきた。
いつも通り、会話もせず、二人の演奏は始まった。
気付けば夜になっていた。
笛の音が止まり、歌声も止んだ。
二人は無言でお互いの顔を見た。
しばらくして――
西湖酢魚:廬山……
廬山雲霧茶:ええ?
西湖酢魚:妾……妾は先日ある事を知り得ました。
西湖酢魚:今日……この日には特別な意味があると。
西湖酢魚:故に……つまらない物かもしれませんが、贈り物があります。
西湖酢魚の尾が軽く揺れ、湖に波紋が広がり、光が差した。
光は少しずつ強くなっていき、明るいが目には優しい光であった。
蓮の花の形をした灯籠が、霊力によって柔らかな光を放ちながら、水流に乗って湖に広がっていった。
灯りは夜色の中点滅し、揺らいでいた。
顔を上げた西湖酢魚の顔には、普段見せない羞恥の色が浮かんでいた。
西湖酢魚:廬山、貴方が治してくださったのは妾ののどだけではありません。
西湖酢魚:この弱く、苦しい心も救ってくださいました。
西湖酢魚:廬山は既に妾の大切な人でありますが、
西湖酢魚:貴方が妾の事をどう思っているのかはわかりません。
西湖酢魚:しかし、妾のこの気持ちは伝えたいのです。
西湖酢魚:どうか廬山……
廬山雲霧茶:それ以上はもう良い。
西湖酢魚:廬、廬山……妾の事は好きではないと?
廬山雲霧茶:そなたの気持ちは良くわかった。
西湖酢魚:えっ?
廬山雲霧茶:私にもそなたに贈りたい物がある。
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