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暖かな願い・ストーリー

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作成者: ユーザー61614
最終更新者: 時雨

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暖かな願い

編集注記:所々「えっ?あれ……蕎麦!どこに向かってるの……!」が頻出しているのでセリフ入れ替えバグで正しく表示されていない模様。復刻等で修正された場合、気付いた方修正していただけるとありがたいです


プロローグ

元宵節前夜

帝京


 祝日が近づくと、街はいつもより賑わう。街は色とりどりの提灯で飾られ、枝で休んでいる鳥たちも歌っている。しかし、ある者だけは……


老婆餅:うーん……眠い……

老婆餅:フンッ、あのクソジジイ、なーにが「修行のため」だ!帝京まで梨元酒を買いに来させただけじゃん……はぁ……眠い……

老婆餅:何もかもどうでもいい……あの木……寝るのにちょうど良さそう……


 睡魔に襲われた少年の意識は段々と薄れていく。細かい事を気にする余裕もない彼は、木の上に飛び乗り横になって眠り始めた。


老婆餅:すぅ……すぅ……


 眠りについてまだ間もないのに、突然叫び声が響いた。彼はイラつきながら寝返りを打ったが、声は病むどころか更に大きくなった。


???:たす……たすけて……

老婆餅:……

???:たーすーけーてー!

老婆餅:あーもう!うるさいな!寝させろよ……うん?たすけて……?


 よく聞いたらその声は幼い。驚いた老婆餅(らおぽーびん)の眠気が少しだけ吹き飛んだ。

 木々を掻き分けて声のする方を覗くと、「景安」と刻まれた看板が掲げてある広い庭が目に映った。そこには、麻の網を何重にも被った繭のような塊が蠢いていた。


老婆餅:あの景安商会……?最近街で何かやってるみたいだけど、邪魔しに来た堕神をとっ捕まえたのか……?

???:誰か助けて……もう息が……

老婆餅:……堕神も窒息とかするのか……?チッ、とりあえず急ぐか!

老婆餅:もう騒ぐな!今すぐ助けてやる!

???:えっ?!待っ……


 老婆餅は意気込んで繭の方へと向かった。しかし、繭まであと半歩の所で、彼が踏んだ石畳が沈み……

 バシャンッーー

老婆餅:……

???:あの……言い忘れてた、そこの石に仕掛けがあって、踏んだら濡れ鼠になっちゃう……うわっ!


 老婆餅は言い終わるのを待たずに、顔についた水を拭い、網を簡単に解いた。あまりにも雑な動きに驚いた男の子は衝撃で大きな声を上げた。


老婆餅:人間の子ども?……堕神じゃなくて良かった……

老婆餅:チッ、なんだこの仕掛け、びしょびしょになっちゃった……

???:やっ、やめて!


 老婆餅が濡れた上着を脱ごうとした時、突然大声で制止された。彼は目を塞ぐ男の子を怪訝そうに見てこう問いかける。


老婆餅:何?

???:お姉さん!女の子が軽々しく肌を見せちゃダメ!

老婆餅:……クソガキ!目をかっぴらいてよく見ろ!!!

???:あれ?えっと……お兄さん……なの?


 突然叫ばれて、男の子はまた驚いてしまった。彼は指の隙間から向かいの者が怒りで爆発しているのが見えた。


???:ごごごごめんなさい!お兄さんがあまりにも綺麗で……だから……

老婆餅:もういいっ!で、名前は?何で捕まってるんだ?嘘をつけばわかってるな……

沢:うっ、嘘なんてつかないよ!僕は沢、ここに来たのは……

沢:神女様に会うためだよ!

老婆餅:神女……?


ストーリー1-2

沢:うん、神女様に会いに来たんだ。

老婆餅:神女?神女はこんな場所にいるのか?

沢:もちろんここにはいないよ!でも……ここには神女様が好きな花提灯があるんだ。伝説で言われているみたいに綺麗かどうか、見に来たの。

老婆餅:で?綺麗だったら?まさか盗んで神女にあげようとしたのか?

沢:違うよ!本当に綺麗だったら、正々堂々と手に入れる!

老婆餅:ほぼ合ってんじゃん……ただの花提灯を見に来たら捕まったのか?

沢:ただの?あれはとっても凄い匠が作ったものなんだよ!それに、本当に一番綺麗な花提灯だったら、元宵節当日に願いを叶えてくれるらしいんだ!……知らないの?

老婆餅:知らない。そんなデタラメな伝説……どっから聞いて来たんだ?騙されたんじゃない?

沢:そんな事ない!おばあちゃんが教えてくれたんだ!

老婆餅:おばあちゃん?おばあちゃんはなんだ?

沢:おばあちゃんはね、お父さんとお兄ちゃんみたいに僕を大事にしてくれる人だよ!…………あっ!


 何かに気付いたのか、沢の目に突然後悔の念が浮かんだ、そして緊張した面持ちで老婆餅に謝罪を始める。


沢:いないって、知らなくて、ごっ、ごめんなさい……でも大丈夫だよ!お兄さんは僕を助けてくれたから、これからは僕のおばあちゃんも貴方のおばあちゃんだよ!


 男の子の言葉は天真爛漫で幼稚なものだったが、老婆餅の心は何故だか少しあったかくなった。


老婆餅:……よくわからないけど、おばあちゃんってのは家族みたいなもんなんだろう……自分の家族を俺にわけてくれるなら、俺もお前のためにはんかしてあげるよ。

老婆餅:言え、こんなに大変な思いをして、一体どんな願いを叶えたいんだ?

沢:僕は、強くなりたい!


―――

……

・どうして強くなりたいんだ?

・強くなって、何がしたいんだ?

・お前はまだ小さい、大人になれば自然と変わるよ。

―――


沢:おばあちゃんも同じことを言ってた。でも僕と同い年の子たちはみんな体が大きいんだ、いつも僕の事を弱虫だって、女の子みたいだって嘲笑ってくるんだ……

沢:女の子みたいで何が悪いんだ、それにどうして女の子が笑われなきゃいけないんだ……僕は、強くなって、見返してやりたいんだ!

老婆餅:……


その弱弱しい体じゃ、風が吹いただけで倒れるし、刀もまともに持てないだろ?あはははっ!

大人しく家で刺繍でもすれば?戦場に行くつもりなのか?防具を付けたら誰でも出れると思ってんのか?

……見た目がなんだ……必ず……必ず強くなってみせる……見返してやる!

あはははっ!人間はやっぱり愚かだ、こんな弱い食霊を死地に送り込んでくるとはな!

瓜餡(うりあん)!気を付けて!!!


 波乱万丈の記憶はピタリと止まった。老婆餅は自分の感情を察知して出てきた瓜餡を抱きしめる。心が沈み、沢を見る目は急に真剣で険しくなった。


老婆餅:誰かに見せつけるためだけに強くなりたいのなら、助けてやれない。

老婆餅:そんな願いは、自分を、そして変わる前のお前を好きだった人たちを傷つけるだけだから。

沢:違う、見せつけたい訳じゃ……ただ……


 その時、慌ただしい足音が二人の会話を遮った。華麗な服を着た少年が焦った様子で走って来る。


獅子頭:勝手にこの景安商会に入り込むなんて!誰だ?!

沢:あっ!やばい!


ストーリー1-4

獅子頭:誰だ?!

沢:あっ!やばい!

獅子頭:また君か!だから言っただろう、何度見に来ても無駄だって!君は花提灯を手に入れられない!

沢:絶対に、手に入れるよ!

獅子頭:……それに花提灯を手に入れても、海には出れないよ!危険すぎる!

沢:で、でも……

老婆餅:海に出る?

沢:……お父さんもお兄ちゃんも商隊の船員なんだ。だから早く強くなって、二人と一緒に海に出て、二人を守るんだ……

沢:誰かに強さを見せつけたい訳じゃない、ただ……ただ家族と一緒にいたいだけなんだ……

老婆餅:……


 沢は拳を握りしめ、涙を必死にこらえている。薄い肩は微かに震えているが、発した言葉は強く、揺るがない。

 この幼いけれど勇気に満ちた言葉は、まるで小槌のように老婆餅の鼓膜を力強く叩いた。彼は少し黙り込んで、考えを覆した。


老婆餅:花提灯はいくらだ?俺が買う。

沢:えっ?あれ……蕎麦!どこに向かってるの……!

老婆餅:それで神女に願いを叶えてもらうんだろ、お金を貸してやる。

獅子頭:これはお金の問題じゃないよ!うちのボスは別にお金にがめついひとじゃない!あれ……そう言えなくはないかもしれない……

獅子頭:とにかく!花提灯が欲しいなら、まずなぞなぞ大会に勝たないと!

老婆餅:じゃあもっと簡単じゃん、なんちゃら大会なんて簡単に優勝する。

獅子頭:……多くの達人が参加する大会なんだ、君たちじゃ……

老婆餅:俺たちがどうした?見た目で判断するなよ。お前だってチビッ子の癖に、かの有名な景安商会で重要な役割を果たしてるんだろ?

獅子頭:うっ……褒められたはずなのに、なんか褒められた気がしない……違うっ、僕はチビッ子なんかじゃない!

老婆餅:じゃあ決まりだな。沢は先に帰って準備してろ、また大会当日な。

沢:えっ、でも……


―――

……

・お前の強さを証明する良い機会だ。

・必死で頑張ったのはこのためなんだろ?

・お父さんとお兄ちゃんの役に立ちたくないのか?

―――


沢:わかった!お兄さん、明日夜の大会会場で会おう!

獅子頭:待って……


 獅子頭(しーずーとう)は少し不安げに頭を掻きながら、言葉を躊躇った。沢が完全に立ち去ったのを見届けてから、老婆餅は彼の方を振り返る。


老婆餅:何か俺に言う事でもあるのか?

獅子頭:えっ?何を?ていうか君は誰なんだ、どうしてうちの商会の裏庭にいるの?

老婆餅:……ただの通りすがりだよ、ちょっと一休みしようとしただけで。

獅子頭:は???

獅子頭:沢の知り合いじゃないのか……事情を知らないのに、軽々しく引き受けないで。

老婆餅:フンッ、やっぱりなんか隠してるのか。

獅子頭:?

老婆餅:沢は花提灯が欲しいだけ、お前らの商会に楯突いている訳でもないし、なのにお前はずっと止めようとしてくる……絶対なんか隠してるだろ。

老婆餅:で、何を知ってるんだ?教えてくれないなら、お前の機関とやらは全部壊してやる!

獅子頭:うわっ!言うから!僕の哮天犬二号に触らないで、完成したばっかなんだよーー!


ストーリー1-6

獅子頭:沢の父と兄はうちの商会の海外商隊に所属する船員だ。君もわかるだろ……海に出た人たちは滅多に家に帰れない。だから、沢はよく家族の消息を聞きにくるんだ、何度か会ううちに彼の事を覚えた。

獅子頭:彼も商隊に入りたいって何度も言って来たけど、むだ幼いからと却下された。でも彼は諦めずに、よくこっそりと船員たちと一緒に訓練をしている……

老婆餅:なら彼の努力を一番わかっているだろう、なのにどうして止めるんだ?

獅子頭:……大会に参加する事も、花提灯で願いを叶えようとするのも、別にいいんだ……ただ……

獅子頭:彼の家族がいる商隊は、帰港途中で嵐に遭遇したらしい……今朝から行方がわからなくなっている……状況は芳しくないと……

老婆餅:……

獅子頭:神女はただの伝説に過ぎない……今彼が強くなった所で商隊が無事に帰れるとは限らない……彼の願いは叶わないかもしれないんだ……

獅子頭:叶わないなら、いっそ最初から希望なんて見せない方が……


 獅子頭が悔しそうに俯いた、しばらくの間静寂が続く。老婆餅は、こんな事情があったとは想像もしておらず、鼻がツンとなって涙も出そうになったが、すぐに感情を整理した。


老婆餅:……お前の気持ちはわかった、だけど簡単に諦めさせるのも沢にとっては良くないと思う。

老婆餅:未来を心配するより、まず目の前の事をやりきろう、それに……

老婆餅:しばらく音信不通になっただけの可能性もたる。商隊の船員なら全員精鋭のはずだろ?数えきれない困難を乗り越えてきたんだ、今度もきっと大丈夫だ……それとも、彼らの実力を信じてないのか?

獅子頭:もちろん信じている!ただ……

老婆餅:ごちゃごちゃうるさい!ぐずぐず、ぐちぐち言うのがお前らの商会のやり方かよ?!

獅子頭:そんな……


―――

君の言う通りだ!

・うちの商隊は全員経験豊富だ、数々の荒波を制してきた!

・彼らはきっと無事に帰って来ると信じてる!

・彼らは嵐に何か囚われたりしない!

―――


老婆餅:フンッ、やっとわかったか。

獅子頭:沢が花提灯を手に入れて、神女に祈ったら……きっと無事に帰ってくるはずだ……でも、待って!

老婆餅:?

獅子頭:神女なんていないじゃん!沢は花提灯を手に入れた後誰に向かって祈れば良いんだ?!

老婆餅:それは……その時だ。最悪本当の事を話せば……

獅子頭:そんなんじゃ子どもの夢を壊してしまうよ!

松鼠桂魚:もうっ!じれったい!神女はここにいるじゃない!


 行き詰まりそうになった時、背後から清らかな女性の声が聞こえてきた。


獅子頭:桂魚?いつ来たんだ?

松鼠桂魚:さっき来た所よ、あんたがチビッ子って言われたあたりから。

獅子頭:……!

獅子頭:そんなのはどうでもよくて……!さっきの言葉はどういう意味だ?

松鼠桂魚:だから、神女はここにいるじゃん!


 松鼠桂魚(りすけつぎょ)は笑顔を見せ、老婆餅に視線を定めた。後者は一瞬戸惑ったが、彼女の真意を理解すると驚いて目を丸くした。


老婆餅:俺に変装しろと言うのか?!ふざけんな!!!

松鼠桂魚:だって、沢ちゃんを助けたいんでしょう、ちょっとぐらいいいじゃない。それともチビッ子の獅子頭に変装してもらう?

獅子頭:チビチビうるさい!そんなに身長変わらないだろ!


 獅子頭がいくら騒いでも、身長は急に伸びたりしない……自分より背の低い二人を見て、老婆餅は仕方なくため息をついた。


松鼠桂魚:あら、引き受けてくれるの?ほら!この衣装は元宵節の屋台用に用意した物だけど、まあ借りても大丈夫でしょう。


 松鼠桂魚が荷物から可愛い衣装を取り出した、なんと帽子には兎の耳が付いていた。それを見た老婆餅はその場で固まり、顔色もどんどん悪くなっていく。


老婆餅:……こんな衣装のどこが神女に見えるって言うんだ!!!

松鼠桂魚:コホンッ!だからあんたみたいな仙女の雰囲気のあるひとしか着こなせないんだよ。それに、神女が可愛い恰好しちゃいけないって決まりはないよ?

獅子頭:彼女の言う通りだ、どうせ誰も神女に会った事ないし……何?さっきやるって言っただろ?

老婆餅:……

老婆餅:お前ら……


ストーリー2-2

元宵節当日

花灯会


 元宵節がやって来た、帝京城は灯火で明るく照らされている。

 大会の時間が近づいてくると、ますます賑わった。老婆餅は茶店の机にもたれて辺りを見ていると、段々と目の前が霞み、眠気が波のように襲ってきた。


商人:あらぁ!そこの別嬪さん、うちの手作り頬紅でも見て行かないか?

老婆餅:へくちっ!


 恍惚としている中、突然甲高い声とむせ返るような香りが漂ってきた。彼は少し気分が悪くなり、眠気も少し吹き飛んだ。


老婆餅:誰が別嬪さんだ!頬紅なんて使わないよ、どいて……

商人:お嬢ちゃん肌白いねぇ、ちょっと試してみなよ。一度使ったらもう手放せなくなるって保証するわよ!

老婆餅:いらない……おいっ!勝手に塗るなよ?!お前が女じゃなかったら、じゃなかったら……なんでついでに俺のほっぺたつねってんだ!

獅子頭老婆餅ここにいたのか……あれ?また君か!

商人:ひぃーー!

獅子頭:この前うちの香料を盗んだ件はまだ……おいっ!話はまだ終わってないよ、逃げるな……!

老婆餅:……クソッ、ここに来てからまだ一回もちゃんと眠れてない!

獅子頭:えっと、とりあえず顔を拭いたら……

老婆餅:……見んな!遅かったじゃん、もうすぐ始まるだろ。沢は?

獅子頭:……うっ……その件だけど……

獅子頭:沢は商隊と連絡が取れない事を知ったんだ、彼は今とても悲しんでいる……だから、来ないかもしれない……

老婆餅:……


 街が和やかな雰囲気に包まれている中、獅子頭の言葉はまるで青天の霹靂のようだ。


希望なんてない……意味ない、もう何もかも意味ない……

痛い……痛いよ……ここまでのようだ……

諦めろ……もう誰も助けに来ない……諦めろ……諦めろ……

瓜餡……!!!嫌だーー!!!

戦う……戦い続ける……この身が滅ぶまで……俺は……俺は絶対にお前ら全員を連れ戻す!!!


 突然記憶の海に襲われた老婆餅はその場に立ち尽くしてしまった。瓜餡が彼の目尻から流れ落ちたものを拭って、やっと我に返る。

老婆餅:……諦めてたまるか。

獅子頭:何て……


―――

……

・ここまで来て、諦めろって言うのか?

・何があろうと、絶対来るって信じてる。

・この大会は、沢の成長を証明するためのものだ。

―――


老婆餅:その前に、俺が助ける。

獅子頭:君は……


 老婆餅の目には確固たる意志が宿っている。獅子頭は思いとどまるよう言葉をかけようとしていたが、言葉は喉の奥で詰まって出てこなかった。


獅子頭:わかった……僕も一緒に行くよ!


花灯会

なぞなぞ大会


 老婆餅獅子頭が他の出場者と向かい合って立つ舞台の下には、多くの観客が集まっている。


獅子頭:まっ、まさか本当に最後まで残るとは……

老婆餅:情けないな、ビビるな!

獅子頭:ビビってないよ!ただ、沢はまだ来ないね……

老婆餅:あいつは絶対に来る……その前に、この座を死守しないと!

獅子頭:うん!

司会者 :では、よーく聞いてくださいね!「月が二つあって、上に田んぼ下に川がある、更に口が六つあるけれど、二つの口は開いている」この漢字一文字はなんでしょう?

参加者甲:難しい……棄権します……

参加者乙:……棄権だ。

司会者:最後の一問はやはり難しいようですね!しかし、一番綺麗な花提灯を手に入れるには、このなぞなぞを正解しないといけません!

司会者:もう時間はありませんよ、十……九……八……

獅子頭:まずい……これを答えられないと負けちゃう……

老婆餅:わかってるよ……!もうっ!うろちょろするな鬱陶しい!

司会者:五、四、三……!

沢:はいっ!僕わかるよ!

老婆餅:!!!


ストーリー2-4

沢:はいっ!僕わかるよ!


 馴染みのある声が舞台の下から聞こえてきた。老婆餅獅子頭は一瞬ヒヤッとしたが、すぐにホッとした。


獅子頭:沢!絶対来ると思ってた!司会者!あの子も仲間です、少し遅れてしまっているんですけど、大丈夫ですか……

司会者:どれどれ……ええ、確かに名簿に名前がありますね、どうぞお答えください!

老婆餅:フンッ!チビッ子、お前に任せたぞ。

沢:うん!「月が二つあって、上に田んぼ下に川がある、更に口が六つあるけれど、二つの口は開いている」漢字は……

沢:「用」だ!

司会者:正解です!

獅子頭:ヤッター!勝ったー!


 なぞなぞ大会は無事終了した、老婆餅獅子頭は思わず沢を囲んだ。音楽と喝采が鳴り響く中、三人は感激した表情を浮かべた。


老婆餅:チビッ子よくやったな、見直したぞ、絶対に来ると思ってた。

沢:うん……僕もお父さんとお兄ちゃんが無事帰って来てくれるって信じてる!二人とも凄いんだ……だから僕も負けてられない!


―――

……

・そうだ、その通りだ!

・じゃあ、君の願いはもうほぼ叶っているな!

・こんなにも頑張っているのを見たら、二人もきっと喜ぶよ!

―――


獅子頭:しかし、沢は凄いな!!!こんな難しいなぞなぞもわかるなんて!!!

沢:えへへ……今日のために、いっぱい練習したんだ。

獅子頭:僕らの努力が無駄にならなくて良かった!老婆餅は当てずっぽうで二問当てたけど、よくやった!

老婆餅:お前……それ褒めてんのか?

男の子:あの……沢……

沢:えっ?


 二人が喋っていると、気まずそうな顔をしている男の子が声を掛けてきた。


男の子:ごっ、ごめん!女の子みたいだって、弱虫だって言うべきじゃなかった……僕たちが間違ってたよ。

獅子頭:彼らは?

沢:同じ学堂に通っている同級生たちだよ。賭けをしたんだ、僕が勝ったら僕に謝るって。

沢:女の子みたいって言われた事に怒っているんじゃない……僕は何も悪い事をしていない、ただ女の子に見えるだけ、これが笑われる、いじめられる理由であってはいけないんだ!

男の子:本当にごめん……うぅ……それに大会に優勝したし、全然弱くもないよ……今後はもう君の悪口は言わない、あとタンフールーも奢るよ!

沢:タンフールーは別に好きじゃない。

男の子:えっ?あっ……じゃあ……

沢:ヘヘッ、ポン菓子食べに行こう?

男の子:……うんっ!


 老婆餅は眉を上げて、天真爛漫な子どもたちがじゃれ合っている様子を見つめた。瑠璃色の花提灯を持った沢は嬉しそうに目を細めている。その笑顔は街の灯火に照らされて、より輝いて見えた。


沢:でも、用事があるんだ!終わったらすぐに行くから!

獅子頭:えっ?どこに行くんだ?

沢:もちろん神女様にお願いを聞いてもらうんだ!

老婆餅:忘れてないのかよ……

老婆餅:コホンッ……沢、神女は静かな場所が好きだ、だから辺鄙な場所に行け。出来れば誰もいないような所が良い、そしたら神女は出て来てくれるだろう!

獅子頭:えっ?そんな決まりがあるのか?神様はみんな賑やかなのが好きじゃないのか?

老婆餅:……少し黙っててくんないかな?!

老婆餅:沢、何ボーっとしてんだ、早く行け。

沢:わかった!真剣に神女様にお願いしてくる!

老婆餅:うっ、うん……成功を祈っているよ……また……後でな……ははっ……


ストーリー2-6

しばらく後

某所


 静寂の中、瑠璃の花提灯は暗闇の中で咲いた。少年は両手を組み、息をひそめて敬虔に願いを唱えている。

 一方で、少し離れた場所では、老婆餅は灯影に隠れ、嫌々ながらも純白の衣装を身に着け、緊張しながらどう登場するかを考えていた。


老婆餅:……獅子頭のやつ、機関で煙を出してくれるって言ったのに?!どこにいんだよ?!

老婆餅:チビッ子の言う事を信じた俺がバカだった……まあいい、一人でやるしかないか……

沢:……神女様、どうか僕のお願いを聞いてください……


 心の中で何百回も練習してした台詞を言い終え、沢は期待しながら瞑った目を開けた……ゆっくりと、前方に突然光が灯り、奇跡かのように人影が現れた。

 不思議そうに目をこすりながら、彼は目の前に現れた美しい女性を見つめた。花と聖なる光に包まれた彼女は、綺麗な衣装を着ている。白い肌は真珠のようで、一際魅力的であった。


沢:わあ……あれ?この匂いは……頬紅……

老婆餅:コホンッ……我は神女也、其方の声に導かれやって来た……其方の願いを言うがいい。

沢:えっ!あっ、はいっ!早く大きくなって、強くなって、お父さんとお兄ちゃんを守りたいです……

沢:今日は元宵節、家族団欒の日だから……無事に帰って来て欲しい、そして一緒に湯圓を食べたいです……

沢:うぅ……会いたい、会いたいよ……

老婆餅:なっ、泣かないで……コホンッ……面を上げよ。

沢:えっ?

老婆餅:まだしっかりとした翼は生えておらぬが、其方が抱くその心意気と信念は何よりも代え難い。


―――

その信念を持ち続ければ……

・其方の願いはいつの日か叶うであろう。

・必ずや父と兄と肩を並べられるようになるだろう。

・其方の強靭な翼となるだろう。

―――


沢:ほっ、本当でか?

老婆餅:神女の言葉を信じているからこそ、ここにいるのであろう?

沢:はい……はいっ!


 沢は力強く頷き、目尻で輝く涙を拭った。夜空の下に立つその小さな姿は、まるで希望を照らす小さな灯のよう。

 神女の言葉に応えるかのように、遠くから忙しない足音が聞こえてきた。


沢の兄:おーいっ!沢!

沢:えっ?あれ……蕎麦!どこに向かってるの……!


 暗闇の中からゆっくりと二人の人影が現れた。彼らの顔がはっきり見えると、沢は口を開けて信じられない表情を浮かべた。


沢:お父さん!!!お兄ちゃん!!!


 彼はなりふり構わず、抑えきれない興奮と喜びの涙を流しながら家族の方へと走った。まだ長旅の荷物を下ろしていない彼の父と兄も、彼と同じく涙を浮かべている。

 夜空では花火が咲き誇っている。三人は抱き合い、団円の喜びをかみしめた。満月の下のこの光景は、どんな美景にも勝る。


沢:うぅ……お父さんとお兄ちゃんだ……もう二度と会えないのかと思ってた……

沢の兄:何バカな事を言ってるんだ!聞いたぞ、なぞなぞ大会め優勝したんだってな?流石俺の弟だ!

沢の父:ほら、もう泣くな、帰って湯圓食べような。ばあちゃんが俺たちを待ってるぞ。

沢:うん!

沢:神女様!ありがとう!願いを叶えてくれて、本当にありがとう!


 遠ざかって行く三人の姿を見て、老婆餅は思わずつぶやいた。


老婆餅:いや……自分で願いを叶えたんだろ。。…

獅子頭:えっ?老婆餅……泣いてるの?

老婆餅:は?泣いてないよ!お前こそ!手伝うって言ってたのに、どこに行ってたんだ?!

獅子頭:やめろ、顔をつねるな……商隊が帰って来たっていう連絡を貰ったから、急いで迎えに行ったんだ……

獅子頭:それにしても、似合ってるな。

老婆餅:見るなーー!

獅子頭:うえっ……


 老婆餅の指令を受け、瓜餡は真っすぐ獅子頭の顔に貼り付いた。あまりの衝撃に少年は耐えられず、よろめいた。その滑稽な姿を見て、老婆餅は吹き出す。


獅子頭:まったく……知り合ったばかりの子どものためにここまで頑張るなんて……優しいはずなのに、どうしてこうも暴力的なんだ……

老婆餅:あいつを助けるためじゃない。

獅子頭:えっ?あれ……蕎麦!どこに向かってるの……!


 夜が更け、月の影が揺れる。老婆餅は過去を振り返った。彼もまた、外見が柔なせいで偏見を持たれ、いじめられた時期があったのだ。

 彼は彼だ、それ以上てまもそれ以下でもない、ありのままの自分だ。他人に見られるために生きている訳でもなく、他人の狭量さのために自分を変えようともしなかった。

 彼はただ、偏見によって傷つけられた人々を多く助けたかったのだ。これは……昔の自分への救済でもある


獅子頭:そうだ老婆餅、うちの商会で今夜豪華な宴会が開催されるんだ。山海珍味が食べきれないぐらい用意してある!君も一緒にどうだ?

老婆餅:食べきれない?フンッ、じゃあ俺がその難題を解決してやるよ!


 珍しく意見が一致した二人は、市街地の方へと向かって歩き出した。遠くから祭りの音が聞こえる。風は人の群れを掻き分け、祭り真っ只中の市街地を通り抜け、大地の隅々まで祝日の雰囲気を届けようとしていた。


老婆餅√宝箱

 老婆餅獅子頭は街に戻った頃、まるで祭りが始まったばかりかのように、まだまだ見渡す限りどこも賑やかだった。

 老婆餅もいつの間にかその雰囲気に影響され、爽やかな笑顔で様々な出店を見て回っていた。

 突然、小さな人影がぶつかってきた。


老婆餅:いった!

沢:わっ、ごめんなさい……あれ?神女様!神女様も出店を回るんですか!

老婆餅:……其方か……コホンッ……帰って湯圓を食べるのであろう、どうして……

沢:へへっ、塩がないみたいだからおつかいに来たんです。

獅子頭:えっ?湯圓に塩を入れるのか?

沢:お肉の湯圓だよ、お兄さんは食べた事ないの?

獅子頭:うぅ……遠慮しとくよ……

沢:残念……そうだ!神女様、この祭りはとっても賑やかでとっても楽しいでよ!絶対、絶対いっぱい遊んで行ってくださいね!

老婆餅:あっ……ええ……

沢:でも僕は早く家に帰らないと……神女様、一緒に回れなくてごめんなさい……いつまでここにいますか?まだちゃんとお礼をしてません……

獅子頭:安心するといい、彼はまだ長くいるみたいだ。

沢:本当に?!

老婆餅:うぅ……まあ、まだいるつもりではいる……あのクソジジイが言ってた梨元酒を探さないとだし、絶対重い持って帰りたくない!

沢:梨元酒?隣の李おばさんのとこの名物ですよ!簡単ですよ、僕が連れて行ってあげます!

老婆餅:……まじであんのかよ……まあいっか、新しい技を習うためならこのぐらい……!沢、感謝する、この件は其方に任せた。

沢:はいっ!神女様のためなら馬車一杯に詰め込んであげますよ!じゃあ、また後で!


 男の子は明るい笑顔を見せた、キラキラした目で見つめられた老婆餅は思わず彼の頭を撫でる。

 分かれた後、獅子頭はこっそりと沢の後をついていった。数十歩歩いてから、肩を軽く叩いた。


沢:えっ?あれ……蕎麦!どこに向かってるの……!

獅子頭:君さ、老婆餅の事をすっかり忘れてないか?最初に君を助けると言い出したのは彼なんだぞ。

沢もちろん忘れてないよ!お兄さんを忘れる訳ないじゃん!

獅子頭:なら良かった……老婆餅は用が出来たから先に帰ったらしい、機会があればまた会おうって言っていたよ。

沢:帰った?まだここにいるって言ってたじゃん、さっき約束したよね?

獅子頭:あれ?まさか、神女が老婆餅だつまてわかっているのか?!

沢:もちろんだよ、安っぽい頬紅の匂いがしたけど……でも……

沢:顔の良さは隠せない!特に神女の衣装を着てからもっと可愛くなった!

獅子頭:シーッ!聞かれたらまずい……!

老婆餅:おいっ、チビッ子共、コソコソと何を話しているんだ?

獅子頭:あっ!いや、なんでもないよ!

老婆餅:ならいい。ほら見ろ、この獅子の飴お前にそっくりだな!小さくて、背が低い所が、あはは!

獅子頭:は?!怒りん坊な冬瓜の方が君にそっくりだ!

老婆餅:な・ん・だ・と?!

獅子頭:いや……別に、何も言ってないよ!待て、瓜餡たちを顔にひっつかせるなーー!


獅子頭√宝箱

 賑やかなお祭りの最中、楽しげに散策していた獅子頭はふと見覚えのある人物に呼び止められた。

 天津煎餅はスーッと近づいてきて、獅子頭を頭から足先まで眺める。


天津煎餅:聞きましたよ、最近綺麗なお嬢ちゃんと一緒にいるらしいじゃないですか、まだ小さいのにませて……

獅子頭:シーッ!


 天津煎餅の言葉を聞いて、獅子頭は跳び上がって慌てて彼の口を塞いだ。


獅子頭:気を付けて、彼に聞かれたら、今晩は生きて……老婆餅:生きてなんだ?


 獅子頭は硬直した。天津煎餅がその声に反応する前に、誰かが視界の中に入って来た。

 長い髪と華奢な顔立ちが、灯火のあたたかな光に照らされ、より一層引き立っていた。


天津煎餅:……こっ……この人が噂の綺麗なお嬢ちゃんですか……!


 驚いて思わず口に出てしまった言葉は、一文字も漏らさずに老婆餅の耳に入った。


老婆餅:?!

老婆餅:チビッ子、お前何を言いふらしたんだ?!?!?!

獅子頭:……僕は関係ない!何も言ってない!

天津煎餅:あれ……でも声は男みたいに聞こえる……

老婆餅:……

獅子頭:もう喋るな!!!

天津煎餅:わっ!この緑色の生き物はなんだ?!噛むな!おろしたての服だ!


 しばらくするとーー


松鼠桂魚獅子頭老婆餅、ボスが夕飯をご馳走するって、早く行かないとなくなるよ!あれ?天津煎餅は何でここにいるの?


 松鼠桂魚が駆けつけた時、目に映ったの猫が毛を逆立てているように爆発している老婆餅と泣きそうになっている大小二人の姿だ。


松鼠桂魚:ぷはっ、二人ともどうしたの?怒らせちゃった?

老婆餅:フンッ……余計な事を言うから。


 苛立っている者と腑に落ちない者、双方とも祭りの賑やかな雰囲気とは相容れない。何かを察した松鼠桂魚は思わず笑い出した。


獅子頭:お前まで何笑ってんだ……天津煎餅が……

天津煎餅:えっ?!わたしは何も知らなかったんですよ、わたしが一番の被害者です!

松鼠桂魚:ぷははっ!そんな情けない姿、ボスに叱られてる時以外で初めて見たよ!

老婆餅:もういい。湯圓食べに行こうぜ、半分は俺が包んだ。

獅子頭:待て!僕も食べたい!胡麻入り湯圓がいい!



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