「彩光の聖歌手」フィリベール_include
属性補正
炎属性
100%
水属性
100%
風属性
100%
光属性
130%
闇属性
100%
モデル
ストーリー
主人公「うーん……? なんだこれ、全然わかんないな。」
フィリベール「主人公? どうかしたのか。」
主人公「あ、フィリベール。もらいものの本を読んでるんだけど、内容が難しすぎて嫌になってきたところだよ。とはいえ、タイトルには初心者向けってあるし、俺の理解力が低すぎるだけなのか……。この本なんだけどさ。」
フィリベール「ああ、これか。初心者向けというタイトルは、俺が思うに誇大表現だ。」
主人公「ええー!」
フィリベール「だが、専門用語さえ理解できれば初心者でもどうにか読み進められるはずだ。俺でよければ手ほどきをしよう。」
主人公「え、いいのか?」
フィリベール「ああ。誰かに教えることで俺の勉強にもなるしな。」
(暗転)
主人公「なるほどなあ……。ここはそういう意味だったのか。」
フィリベール「主人公は呑み込みがいい。」
主人公「いや、フィリベールの教え方がいいからだよ。俺がわからないって言ったところも、具体的に何がわからないのか俺よりわかってたし。」
フィリベール「ああ、それは俺もつまづいたところだからだな。」
主人公「えっ、そうなのか?」
フィリベール「子どもの頃、その本を兄がくれたんだ。簡単だから、入門書としてぴったりだと言ってな。結果として、タイトルに怒りを覚えつつ、落ち込むこととなった。」
主人公「ああ……。」
フィリベール「そういえば……、その頃は、兄が読んでいる本を自分も読みたいとよくねだっていたな。だが、もらったところで難しくてわからない。それで兄が、手持ちの本の中からわかりやすいものを選んで俺にくれたんだ。」
主人公「わかりやす……、くはないけどな。」
フィリベール「まったくだ。だが、兄にとっては本当に簡単に思えたんだろう。あの人は、一を聞いて十を知る人だから。」
主人公「たしか、座学では1番なんだったよな」
フィリベール「ああ、学年トップの成績だ。入学してからずっと。……。思えば、あの本をもらった頃からかもしれないな。自分と兄の才能の差に気づき始めたのは。いずれ俺も兄のようになれると無邪気に信じていたが、同じ学校に入っても俺には兄ほどの才はなく、記録に残る過去の兄は常に俺のずっと上をいっていた。そして……、兄は焦る俺に歌の道へ進むように勧めた。俺は兄さんがきっかけで、将来は勉学の道に進みたいと思ったのに。」
主人公「フィリベール……。」
フィリベール「ああ、悪い。つい話が逸れてしまったな。変なことを聞かせて悪かった。」
主人公「いや、謝られるようなことじゃないけどさ。別に変なことでもないし……、」
フィリベール「……。きみは少し友人と似ているな。それでいて、彼よりも年上だ。だからつい口を滑らせてしまったのかもしれない。あまり気にしないでくれ。そのうちに昔の話となるだろうから。」
主人公「え?」
フィリベール「たしかに俺は兄が苦手だった。兄には俺が求める才があり、そして、己に与えられた才で満足できる謙虚さ……、いや、器用さがあった。だからあの人には、俺が歌の道を拒んだ上、焦り、妬み、苛立っていることがわからない。わからずに、今のままの俺でいいと諭し、歌があると励ましてくる。それが……、たまらなかった。だが……、もういいんだ。」
主人公「もういい?」
フィリベール「兄が……、誰が何と言おうと、俺は俺のやりたいことをする。兄ほどの才はなくても、俺は勉強が、学問が好きだ。知識を得ることも、新たに発展させることも好きだ。だから、追い続けようと決めた。たとえ向いていなくても、応援されなくても、俺が本当にやりたいことを。」
主人公「……そうか、そう決めたんだな。」
フィリベール「ああ。なんて……、そうは言いつつも、まだぐらつくことも多いがな。」
主人公「まあ、それはそうだよなあ。応援されないことをやり続けるって大変だもんな。」
フィリベール「とはいえ、前よりは楽なんだ。きみたちにも世話になったあの件から……、兄は俺に歌の道へ進めとは言わなくなったし、俺も、歌うことが苦ではなくなった。それはおそらく、シスターがいつも言っていた言葉の意味が、今になって分かったからだろう。……これからはきっと、歌が俺の救いとなる。」
備考