「岳愛し挑戦者」ネーヴェラ

＜雪山＞

主人公「ガチガチガチガチ……。」

主人公「さささ、さ、さむい……。凍る……。」

メルク「主人公さん、頑張るのですよ！　とにかく洞窟か何かを見つけて、寒さをしのぐのです！」

主人公「ど、洞窟。ドウクツ……。」

主人公「どうくつって、なんだっけ？」

メルク「しっかりするのですよ、主人公さーん！」

主人公「ちゃ、ちゃっかり？　あはは、何言ってんだよメルク。」

メルク「主人公さんが、生気を失った目で笑っているのです……！　明らかにまずいのですよ、これは！」

メルク「誰かー！　近くにいたら助けてほしいのですー！」

主人公「メルク……、お前あったかいな……。」

メルク「だ、誰かぁー！」

ネーヴェラ「えっちら、ほっちら、ほいほいほい～♪」

メルク「みゅ！　な、なんなのです、このご機嫌な歌は……？」

主人公「せーれーさんかな？」

ネーヴェラ「どうして登ると聞かれたら～♪　そこにお山があるからさ～♪」

ネーヴェラ「えっちら、ほっちら、ほいほいほい～♪　それいけ、やれいけ、つきすすめ～♪　お山があたしを待っている～♪」

ネーヴェラ「到着ッス～！」

メルク「みゅみゅ！　ひ、人なのです！　おーい、おーいなのですよー！」

ネーヴェラ「おや？　おやおやおや！」

ネーヴェラ「おぉ、こんなところで登山仲間に会えるとは！　こんにちはー！」

ネーヴェラ「……の割には、軽装備ッスね？　男の子の方はガタガタ震えているし……、」

メルク「た、助けてほしいのですー！」

ネーヴェラ「あらら！　やっぱり遭難者ッスか！　どうしてまた、こんな奥地まで？」

メルク「実はモンスターを癒しに来たのですが、そのモンスターの攻撃で吹き飛ばされてしまって……。」

ネーヴェラ「おぉ、それは災難だったッスね！」

主人公「サイ……、カイ。　カイ、サン……？　海産？」

主人公「貝でダシをとったスープが食べたい……。」

ネーヴェラ「なんと！　彼はもう限界ッスね！？」

メルク「そ、そうなのです！　助けてほしいのですよ～！」

ネーヴェラ「当然！　このネーヴェラにまかせるッス！」

メルク「みゅ～！　ありがとうなのですよ！」

メルク「みゅ！　で、でもその大荷物じゃ、主人公さんを運ぶのは……、」

ネーヴェラ「こことここを結んで……よっこらせー！」

メルク「軽々背負ってしまったのですよー！？」

ネーヴェラ「男の子の一人や二人変わらないッス！　さぁ、一気に下山するッスよ～！」

メルク「みゅ、みゅわぁああああ！？」

＜村＞

ネーヴェラ「というわけで、遭難者ッス！　あとのことはお任せするッスよ～。」

アモル「おーう、任されたぞ！　ほら、まずはうちの隊長に診てもらえよ～。」

主人公「あい……。　ご迷惑、おかけします……。」

主人公「あ、あの、ネーヴェラさんも、ありがとうございます……。　メルクまで預かってもらっちゃって……。」

ネーヴェラ「いいッス、いいッス！　お山で出会えば、みーんな友達ッスから！」

ネーヴェラ「そんなことより！　主人公くんは早く、診てもらってくるッス！　凍傷とか笑えないッスよ！」

主人公「は、はい……。　じゃあちょっと行ってくるな、メルク。」

メルク「いってらっしゃいなのですよ！」

メルク「なんとかなりそうでよかったのです……。　本当にありがとうなのですよ、ネーヴェラさん！」

メルク「まさか、辺境調査隊とも知り合いなんて……。　顔が広いのですね～。」

ネーヴェラ「お山に登るとよく会うから、いつの間にか顔見知りになっていただけッスよ～。　その人脈が役立ってよかったッスけど！」

ネーヴェラ「だけど、もっと気をつけなきゃダメッスよ？　いつも誰かに助けてもらえるとは限らないッス！」

ネーヴェラ「お山で油断は禁物ッス！　例え奥まで行く予定がなくても、ちゃんと準備して、専門家と一緒にのぼるようにするッスよ！」

メルク「了解なのです！」

ネーヴェラ「いい返事ッス！　それさえ守れば、お山は最高に楽しい場所ッスから！　どんどんチャレンジしてほしいッスよ～。」

ネーヴェラ「興味があるなら色んな絶景を紹介するッスよ？　雪の国で一番きれいな日の出が見れるお山とか、宝石みたいな氷でいっぱいの洞窟とか！」

ネーヴェラ「お山には絶景が、たーくさんあるんス！　あぁ、思い出しただけでもキュンキュンくるッスよ……。」

メルク「みゅふふふ。　ネーヴェラさんは、本当に山が好きなのですね。」

ネーヴェラ「はいッス！　人間を寄せ付けないあの厳しさ！　だからこそ生まれる、美しい光景の数々！」

ネーヴェラ「お山は最高ッス！　自然が生んだ、神秘と美でいっぱいの宝物庫ッスよ～！」

ネーヴェラ「むむむ、思い出したら登りたくなってきたッス！　どうッスかね、これから一登り！」

メルク「今、下山したばかりなのですよ！？」

ネーヴェラ「つまり今、あたしはお山にいない状態……。」

ネーヴェラ「だから登っても何らおかしくないのでは！？」

メルク「（じ、時間と疲労という概念が、ぽっかり失われているのですよ……！）」

ネーヴェラ「でも、この辺りのお山は登りつくしたんスよね～。　リピートは全然悪くないッスけど、そろそろ新しい絶景にも出会いたいところッス。」

メルク「みゅ～、確かに今のような勢いで登っていたら、あっという間に制覇してしまいそうな気もするのです。」

メルク「……みゅ！　ではネーヴェラさん、こういうのはどうなのです？」

＜紹介所＞

主人公「保存食よし、水分よし。　うん、教えてもらった通りにできてるな。」

メルク「ロープにつるはしも持って、バッチリなのです！　というわけで……、」

メルク「ネーヴェラさん、お待たせしたのです！　登山の準備ができたのですよー！」

ネーヴェラ「待ってたッスよー！　さぁ、いざ行かん。まだ見ぬお山の頂へ！」

ネーヴェラ「誘ってくれてありがとうッス！　雪の国以外のお山に登るなんて、思いつきもしなかったッスよ～！」

ネーヴェラ「しかも、しかも！　一緒に登ってくれるなんて！」

メルク「主人公さんを助けてもらったお礼なのです！　それに、ネーヴェラさんの話を聞いていたら、私も登山に興味が出てきたのですよ！」

ネーヴェラ「嬉しいッス！　これから一緒に、お山の魅力に触れていくッスよ～！」

主人公「でも、いいんですか？　俺たち、本格的な登山は初心者だから、しばらくは緩い山ばかりになると思うんですけど……、」

ネーヴェラ「お山の素晴らしさに、緩いもきついもないッスよ！　登りやすいお山も大好きッス、あたし！」

ネーヴェラ「それにいきなり厳しい環境に飛び込んでも、お山のことが嫌いになっちゃうだけッスから！　レベルは順番に上げていくべきッス。」

ネーヴェラ「今は、一緒に登る人がいるってだけで　あたしは十分嬉しいんスよ！」

主人公「ネーヴェラさん……。」

メルク「初心者にも優しいのですよ……。」

ネーヴェラ「それじゃあ行くッスよ、お山の頂へ！　一緒にやまびこをやるッス～！」

メルク・主人公「おぉー！」

ネーヴェラ「そして明日は、もっと高いお山に登るッスよ～！」

主人公「連日山登り！？」

メルク「優しいようで、厳しかったのですよ……。」