【白猫】混沌インフィニティX Story 後編
目次
登場人物
ネモ・カノープス | |
ノア・メル | |
ハーバード・W | |
ルル・ルゥ |
story7 無情都市
はあ、はあ、はあ……
一体何がどうなってる!?
ソース……ソース……
どうした?
ソースヲ カケルッチュ!!
おい!
ソース……ソースを……かけなければ……
ギャハー!! かけ放題だ!!
ソースだ、そうだ……ソースだ! インフィニティXだ!
お前たち……何を……!!
<クルーは、自分にソースをかけ始めた!!>
ソース!! ソースだ!! ギャハハハハ!!
インフィニティ! インフィニティ! インフィニティ!
ソースッチュ!!
「「「ソースをかけろ!!」」」
「「「ソースをかけろ!!」」」
<人々が暴徒か化した!?>
こいつら!!
……
…………
「「「ソースだ!! ソースだ!!」」」
ソース……? ソース……?
そうだソースだ……あのソースを作ってから、全てがおかしくなったんだ!
わかったぞ……!! こいつが……このソースが!!
<ハービーは、屋台にそなえつけのインフィニティXをつかみ取る!>
……こいつを……この世から消してしまえば……!
…………
……
こちらを……お求めですね? 現金で一括払いとは、気前のよろしいことで。
<ハービーは、奇怪なルーンを武器商人から受け取った……
ここは魔都バビロン。金さえ払えば、何でも手に入る。>
エルダーカンパ二ー社の社長さんが、こんなものを何に使うんです……?
聞かないで、くれます……?
失礼しました。今後とも御贔屓に。
……
…………
ノアさん。お茶にしましょう。
はいなのです。
今日は、いいものを買って来ました。
これは……ドーナッツなのです!
お好きなものをどうそ。
ルルさん、ありがとうなのです♪ しあわせなのです~。
喜んでいただいて、わたくしもうれしいです。
今日も旦那様は、おしごとなのですか?
そうなのです。最近帰りがおそいのです。
たいへんなのですね。
――
おきゃくさんなのです?
インフィニティX! インフィニティXはどこだ!
目が血走ってるのです。
不法侵入者ですね。
ソースだ!!ソースをかけろ!!
たくさんいらっしゃったのです。
!!!!
アポイントメントのないお客様は、お帰り下さい。
お帰りはあちらなのです。
story8 異次元の極彩色
しゃ、社長……従業員を工場から出せとは、一体どういうことです。
うるさい、早くしろ……一人残らず、工場から追い出せ。
は、はい……
ハハハハ……僕は……正気に戻るんだ……!!
<ハービーは、ポケットからルーンを取り出し、握り締めた。>
この<爆裂>のルーンで!! ヒャハハハア!!
…………
……
ソースをかけろ!! ソースを……ガクッ。
いったいみんな、どうしたのです?
誰かがソースを……二度づけしたのかもしれませんね……
二度づけしては、いけないのですね。メモしておくのです。
ノアさんは屋敷でお待ちください。わたくしは旦那様を迎えにいきます。
ルルさん一人ではあぶないのです。ノアもいくのです。
手を貸して……いただけるのですか。
ノアは、おそうじが得意なのです。
…………
……
「「「ソースをかけまくれ!!」」」
<ネモは、物陰に隠れた!>
ハァ……まったく……!!
艦長!! ドコニイッタッチュ! ソースヲカケルッチュ!!
こうなった原因は……エルダーカンパ二ー社か……!!
俺を怒らせた報いだ……侵略させてもらうぞ!!
…………
……
ハア、ハア、ハア……
これで……さよならか……僕たちの工場とも……
イヤ……違う……ルルは存在しないんだ! 全部あのソースのせいなんだ!
旦那様――
旦那様、無事だったのです。
ルル!?
良かった……ご無事で何よりです……
落ち着け……ルルは……僕にしか見えない……マボロシなんだ……
<ハービーは、ルルと過ごしたありし日々を思い返した。>
僕は……僕は……
お前か!! あのソースを作ったのは!!
ネモなのです。どうしたのです?
<ネモは、ハービーの襟首をつかんだ!>
今すぐなんとかしろ!!
ひっ……
――ドンッ!!
!!!
<工場が爆発した!?>
インフィニティXが……
<工場の廃墟から……巨大な何かが出現した!>
なんだ……こいつは……!!
story9 狂気の食卓にて
<それは――凄まじい大きさの、動く巨像であった!!>
発射……!!
<アルゴノートⅡ渾身の砲撃――だが、巨像は無傷だ――!?>
浅いか……狙いを変えたほうが、よさそうだな――
<工場から現れた巨大な怪物は、市街地に向かっていく!!>
ヒヒヒヒヒ……ナニコレ……ナニコレ……
旦那様、お気を確かに。
僕は……正気に戻るんだ……
質問、いいだろうか。
なんでしょうか。
こうなった原因がわかるか?
時空連続体が乱れ、異なる因果の可能性が、現実化したようです。
原因を作ったのは、そこの男か?
わたくしと、旦那様です。
ハハハハハハハハ!! ソースだ……僕は……ソースを……
どうやったらあいつを止められる?
油とバター、卵に――小麦粉。そしてお砂糖があれば――
美味しそうなのです。
どんな暗号だ?
暗号ではありません。
<ルルの顔は真剣だった――>
……ノア、手分けして探すぞ。
わかったのです。
…………
……
<人々は、巨大な怪物から逃げ惑う……!!>
……どうして、こんなことに。
ネモ……ルルさんもハービーさんも、いい人なのです。
お前は人を信用しすぎる。
ネモも、信じたのです。
……あの場でごまかすでも、交渉するでもなく、油とバターだぞ。
それに、こうなったら何が起こるか見届けたいしな。
きっと、ハッピーエンドなのです。
エンドにはしてやるさ。丁度良く市場があるな。注文の品がそろうといいが。
…………
……
ソース、ソース、ソース……
旦那様、しっかり……
コッチデチュ!
ありがとうございます。皆さんは、ノアさんのお友達なのですか?
ソウダッチュ!!
ソース、ソース、ソースヲ カケルッチュ……!!
そうだ……ソースを……ソースをかけろぉ!!
オカシクナッテルッチュ。
コノ タコツボニ 乗ルッチュ!
素敵な乗り物ですね……!
<タコツボのスピーカーから、ネモの声が響く!>
”油にバター、卵は見つけた”
ヤッタッチュ!アトハ……
”お砂糖もあったのです”
”だが、小麦粉が無い……仕方ない、荒っぽい手段を使うしかないな……
アルッチュヨ。
”なんだと!?”
ナイショデ カッテキタッチュ。タコヤキ用二、カッタッチュ。
海デトレルモノデ ツクッタ タコヤキモ ウマイッチュガ、チョットアキタッチュ!
材料はそろいましたね……あとは……どこかにお料理ができるところがあれば……
story10 輝く11次元トーラス
ルルさんといっしょに、お料理なのです!
こんなところで料理をするとは、思いませんでした。
……また俺たちの潜水艦に、部外者を……!!
まーまー、いいじゃないの。
なんでお前たちもいるんだ!!
クルーのみなさんに助けていただいて。
コマッタトキハ、オタガイサマッチュ!
まあいい……こっちはアルゴノート号で、デカブツを海に誘導するぞ。
アイアイサーッチュ!
お料理はまかせるのです♪
で、何をつくるの?
十一次元多重連結空間です。
なにそれ?
早い話、ドーナッツです。
すてきなのです!
…………
……
<猛り狂う巨像が、バビロンの街に迫る!
突然の砲撃! 巨像は向きを変え、海岸へと向かっていく……!>
…………
……
かかったな。このまま釣られてもらうぞ。
敵ノ砲撃、クルッチュ!
方位3-0-0!
アブナカッタッチュ!
<ネモは、ルーンテレフォンの受話器を取った。>
キッチン、状況は。
……
…………
<ルルは……不思議な形のドーナッツを手にしている。>
できました。
美味しそうなのです。
”……そうか……そいつを、デカブツに食わせるのか?”
ハア……ヨウヤク、オチツイタッチュ……
オチツイタラ、コバラガ スイタッチュ。
ア、ア、アノドーナッツ……タベタイッチュ!!
<混乱したタコパスが、ドーナッツを奪い取った!!>
あっ!?
ハムッハムッハムッ!!
食べちゃったのです……!
ブフォウ!?
あ、それは……ノアさんの作った、ドーナッツですね。
インフィニティXをいれてみたのです♪
ヂュッヂュヂュー!!
十ー次元多重連結空間は、こちらです。
<ルルは……名状しがたい形のドーナッツを手にしている!?>
”おい、どうなってるんだ?”
万事OKなのです♪
”……焦らせるな。――作戦を開始するぞ!”
……
…………
「ええっと……ここは……どこかな……?」
旦那様、お目覚めになられたのですね。
「なるほど、これは夢か。そういうことだね。」
旦那様――
「なんだい?」
旦那様は、夢の方が、良かったですか?
「……あんな現実が……あるわけが……」
今なら、全てを夢にできます。
「まるで今までのことが現実だったみたいに言うね。」
お決めください、旦那様。
「僕は――」
……
…………
うまくいくんだろうな?
あれの動きを、止めてください。わたくしもお手伝いします。
はいなのです。
さっき、あの男と何を話してたんだ?
――それは、秘密です♪
最終話 ルル・ルゥの呼び声
<巨像は、動きを止めた!>
どうだデカブツ。もう一撃くらわしてやろうか?
ネモ……当たりなのです。
もう十分です。
<ルルは、ドーナッツを天にかかげた……!!>
時空連続体修復開始――
一は全、全は一。
――消えてください。
…………
……
<朝の光の中、ハービーは目を覚ました。>
――なるほど、夢オチか。
夢オチは最悪っていうけど……ほんと……そうだよなあ……
<もうそろそろ――彼女が起こしにくる時間だ。
だが、もう、彼女は来ない。
全ては夢だ――>
…………
……
<ノアが、ドーナッツを揚げている。>
あら、こんどは上手くできたわ。
ルルさんみたいに、上手につくりたいのです。
私もつくってみて、いいですか?
もちろんなのです。みんなでつくるのです。
ドーナッツ……か……できれば知りたくなかったな。ドーナッツがあんなものだとは。
できたのです。今度はちゃんと、まんまるなのです。
作りすぎじゃないのか。
みんなの分も、つくってるのです。
タコヤキドーナッツ、ツクッテミルッチュ!
ネモ、ドーナッツなのです♪ おひとつどうぞなのです♪
もらおうか。
ソースをかけるのです。
いらない。
…………
……
<そう、全ては夢。夢のまた夢。
現実? それこそ覚めない夢。
つくれ、つくれ、美味しいソース♪
究極のソース!! 最高のソース!!>
「彼女は来ない――
だって僕は――まともになった――」
<つくれ、つくれ、美味しいソース♪
狂気のソース!! 悪夢のソース!!>
「いつからだ――
いつから――狂ってたんだ……?
ああ、そうか……最初から……最初からか……」
「旦那様――」
「ヒャハ……ヒャハハハ……ハハハハ!!」
「おはようございます。」
「ああ、おはよう、ルル。――そういえば。」
「何です?」
「君の夢を――見たんだ。」
<ソースをかけろ!!>
混沌インフィニティX -END-
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