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【黒ウィズ】ソフィとリルムのグレェェート珍道中 Story

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最終更新者:にゃん

3500万DL記念


2015/08/01



目次


Story1 飛べ!エターナル・ロア

Story2 リルムの決断

Story3 魔道少女VS魔道少女




story1 飛べ!エターナル・ロア



 我だ。〈魔杖エターナル・ロア〉だ。我を使う者は絶大な力を得る代償として……

我に精神と身体を奪われる……はずである。


ほい!

あうっ……!

あ、右だ


杖が右むいたから右に行こ。ソフィちゃんもそれでいいよね?

ソフィはいいけど、リルムちゃんは大丈夫なの?

魔道百人組手のこと?大丈夫、大丈夫!

 魔道百人組手。簡単に言えば百人の名のある魔道士と試合をすることである。

小娘は家の掟として、そんな厳しい旅を課せらわているのだ。

なるほど若い身の上で、ずいぶん立派ではないか。……と思うかもしれない。

組手の事は明日考えるから、今日は早く街にたどり着いて、おいしいもの食べようよ。

 ところがこの小娘の主な行動は、買い食いをする、得体の知れない可愛いものを買う。

ふざける、寝る、物を壊す、我を投げる、などとおおよそ魔道とは無関係なことばかり。

いかんではないか。

親不孝ではないか。アホなのか。バカなのか。魔道士としてダメではないか。

……と思うかもしれない。我も思う。

いいなー、ソフィちゃんは飛べて。私もソフィちゃんみたいに飛びたいなー。

でもホウキじゃないからなー。杖じゃなー。

小娘!口を慎めよ。我を誰だと思っている。〈魔杖エターナル・ロア〉だぞ!

ソフィ、ホウキ以外でも飛べるよ。

マジ?じゃあ、意外と杖でも飛べちゃうかも?

バカモン!飛べるか!乗るな!降りろ!

ムムム……。

あれ?我、浮いてる?やだ、我……飛んじゃう!もしかして我飛べる?

すごい!すごい!その調子だよ、リルムちゃん。

 だが、この小娘……でたらめではあるが、才能はあるのだ。

いっけーー!グレェェートザッパァァーー!

ぬああぁぁぁーー。

はやー……。あ、リルムちゃん止まり方知ってるのぉ!?


 ***



うわああああーー!止まらなーい!

ぬうぅぅー!こ、小娘!何とかしろ!

リルムちゃーん!えーと……と、とりあえずがんばってー!

あ!やば……!人ッ!ど、どいてー!

うわぁ……。超……何か突っ込んでくる。


 ***


 我、死ぬと思った。杖だけど死ぬと思っていた。ところが……。

ええーい!

 その魔道士の周囲に炎が立ち上ったかと思うと、一瞬にして彼女は魔力の軌道を捻じ曲げた。

気づけば、我と小娘はその魔道士の前にいた。


けほッ!けほッ!な、なにが起こったの?

だ、大丈夫、リルムちゃん。それに、あなたも……。

私は平気。そっちの子はどうかな?ちょっと荒っぽいことしちゃったけど……。

だーいじょうぶ!超無事!

そっか。よかった。私はレナ。これも何かの縁だね。よろしく。

レナっ!レナ・イラプション!ちょ、ちょっとリルムちゃん!

 どうやらソフィはこの魔道士に心当たりがあるようだ。

我のいる世界では全ての者が魔道を志し、魔道を極めんとする。

魔道こそがこの世界の理である。有名な魔道士なら、その名はすぐに知れ渡る。

リルムちゃん、あの人、すっごい有名だよ。

マジ?

うんうん。爆炎のレナ。みんな知ってるよ。

や、やベー。いま私そんな人とぶつかりかけたの?もしかして怒られる?

あ……怒られるかも……!

いや、いま、よろしくと言っていたぞ。

に、逃げちゃう?

逃げよう!

だから、よろしくと言っていたぞ。

何をコソコソ話しているの?

す、すいませんでしたー!

でしたー!

あ、ちょ、ちょっと……。行っちゃった。

リルム……。何か聞き覚えがあるなあ。それにあの杖……。喋ってた?




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story



 レナとかいう魔道士から慌てて逃げ出した後、ソフィと小娘は近くにある学園都市に宿を取った。

小娘の目的は修行と魔道百人組手の達成のはずだが、街が祭りの最中だと見て取るや……。


よし。遊ぶぞ!

 とまあ、この調子である。

と思ったけど、お金が足りないや……。どうしよ。

ソフィが、少しだけ貸してあげようか?

大丈夫、大丈夫!今日、父さんからの仕送りが届くはずだから。

それに友達からは借りたくないよ。

そっか。それならいいんだけど。じゃ、ソフィ、ちょっと用事があるから行くね。

うん。行ってらっしゃーい。

 ところがこの直後に受け取った手紙で小娘は絶望に叩き落とされてしまう。


し、仕送りが……。と、止められた。

 あれだけ遊びほうけていれば当然だ。

やばい……。お祭りが終わっちゃうよ。

 もっと他に考えることがあるだろう。

そうだ……。杖を売ろう!そうすればお金が手に入る。

 そうそう。そうやって路銀を稼ぐことをまず第一に考えるのが――

わ、我を売る!?

それがいい。父さんの杖だし、きっと高いものに違いない。

バカモノ!我は魔杖だぞ!いろいろ厄介なんだぞ!売っていいわけがあるか!

よし!磨こう!

なにきれいに磨き始めている!包むな!丁寧に包むな!


よおし、完璧!

 と、言うわけで。

我が尋常ならざる魔力を得て、意思を持つようになってから幾星霜。

名だたる魔道士たちを邪悪な力により、傀儡とし、世界を恐怖の底に落とした挙句……。

我は質屋に売られるらしい。


 ***



小娘、考え直せ。我を売ったところで高く買ってもらえんぞ。

我、ちょっと癖が強いからな。道具としては使い勝手が悪いのだ。

すいませーん!この杖買ってくださーい!

杖の話を聞け!


 ***


店先にホウキと一緒に並んでいる我……。憐れ。

ロ、ロアちゃん!どうしてこんなところに!

ソフィ……。我を手に取るのだ。そして我を……買い戻してくれ。

う、うん。良いけど。いまちょっと用事があるからそれを終わらせてくるね。

簡単な魔物退治だからすぐ終わるよ!


 ***



そうです。このおっきい杖をください。あ、包まなくていいです。そのまま使いますから。

 運良くソフィに買い戻された我は、彼女と二人きりで川辺に並んで座り、そのいきさつを話した。

なるほど、そういうわけなんだ。

今回ばかりは我も我慢の限界だ。あの小娘の元にはもう戻らん。

でも、ロアちゃん。リルムちゃんはそんなに悪い子じゃないよ。それは知ってるでしょ?

……たしかに根は悪いヤツではない。それは知っている。だが……。

正直者で、正義感だって強いし、すごく前向きだし。

でも、どうしようもなくアホだ。

うん。

そもそも小娘は我の声に耳を貸さん。

聞こえているのか、聞こえていないのか。あんなヤツは初めてだ。

聞こえてるよ。リルムちゃん、ロアちゃんの声、聞こえてるって言ってた。

ではなぜ、聞こえないふりをする……。まさか、我に悪しき力を使わせまいとして……!

ううん。杖が喋るとか意味不明だから、無視してるんだって。

……やっぱり我、アイツの所には絶対戻らん。

……ソフィ、我の持ち主となってくれ。我の力を全て差し出そう。精神も奪わん。だから、頼む!

ロアちゃん……。

ソフィ、杖使わないよ。

……うむ。そうだったな。

 悲しい風が吹きすさんだ。すると、その風に乗って聞きなれたマヌケ声が聞こえてきた。

おーい!

やっぱりソフィちゃんだったんだ。ホウキを持った子が買ったって言ってたから……。

リルムちゃん、あのお店に行ってたの?どうして?

どうしてって?もちろん買い戻すためじゃん。

売ったのはいいけど、やっぱりよくない気がしちやつてさ。

……!

ほら、そのためのお金も稼いできたんだよ!

 小娘はとんでもない額の金を我とソフィの前に出した。

すごい。で、でもこんなお金どうやって?

ん?レナって人と戦うなら、ってお金もらえたの。

ふーん……?え?リルムちゃん、レナと戦うのー!

うん。ソフィちゃんもだよ。

え?えーー!




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story



 この世界では魔道士同士の戦いが最も人々を喜ばせる。

祭りの余興として名のある魔道士の戦いを用意すれば、それこそ大いに喜ばれるだろう。

ただし、それは魔道士からすれば相応の危険も孕んでいるのだ。悪ければ命を落とすことも……。

へえ。レナって人そんなに強いの?

 案の定、小娘はさして考えもなく、この戦いを受けたのだが。

リルムちゃん、相手は大魔道士だよ。私たちじゃ敵うかどうかわからないよ。

んー、たぶん大丈夫!こういうのは考えたって仕方ないよ。やるだけやろうよ。

……そっか。そうだよね。

そうだよ。やるだけやろ!

 我には小娘のその態度が虚勢であることはわかっていた。

我を握る手が震えていたのだ。

小娘、聞け。相手は相当な手練れと聞く。勝つ見込みはあるのか?

…………。

 初めてではなかろうか。小娘が我の言葉に反応したのは……。

……ないよ。

……小娘、我を使え。

……!

投げても構わん。我を見くびるなよ。我はく魔杖エターナル・ロア〉だ。

投げられるうちにコツを掴んだ。いまなら山くらい吹き飛ばせるだろう。

……いいの?私は売ろうとしたんだよ。

だが買い戻そうとした。その為にこの戦いを引き受けたのなら……。

我が力を貸すのは当然だ。お前は我の持ち主のはずだ。自由に使えばいい。

……ありがとう。杖の人。

〈エターナル・ロア〉だ。

私も、「小娘」じゃないよ。

ふん。100年早いわ。「小娘」が。

 我ながらなぜこんなことを言ったのか……。いまでは少し後悔している。

だが、自然と言葉が出たのだ。

どうしたの?リルムちゃん?

ううん。ソフィちゃん、絶対勝とうね!


 ***



あの時の子がロロット家の……。あの杖が〈エターナル・ロア〉。

興味あったんだよね、〈エターナル・ロア〉。どんな力を秘めてるのか……。

 この戦いを見るために、多くの人々が集まっていた。

レナはもちろん、ソフィと小娘の名も観客を呼ぶことに一役買っていたようだ。

小娘、用意はいいか?

もちろん!ソフィちゃん!やろう。

うん。リルムちゃん!

 そして、戦いの始まりが告げられた。


我を見よ。これが〈魔杖エターナル・ロア〉の力だ!

すごい……魔力ね!

行くぞ!小娘!ソフィ!

 そして、小娘は我をおおきく振りかぶった。

行っけぇー!

グレェェート!

ザッパァァァーッ!!


 ***



行っけぇー!

グレェェート!

ザッパァァァーッ!!

と見せかけてリルム系ラジカル融合魔法ドーン!

マジカルパフェ!

は?

フェ、フェイント!?くッ、こっちだってフルスロットルよ!

うわー!負けるか!しゃにむに複合魔法ドーン!

お、おい……。

ウィッチリンク!

あの、我は?我本気になったんだけど……?

杖、邪魔!

あうッ!

てやー!

とあー!

えーい!

……おーい。我がおるぞー。本気になった我がおるぞー?聞いてるかー?

こなくそー!

リルムちゃん、行くよー!超マジカルで!

超ラジカルッ!

おーい。おーい。我はー?我はー……。



 ……

我だ。〈魔杖エターナル・ロア〉だ。我を使う者は絶大な力を得る代償として……。

我に精神と身体を奪われる。


ほい!……お、右だ!

こっちは自由都市の方だね。

あそこって、いろんなものが売られているんだよね?きっとおいしいものがいっぱいだね!

うん。いまから楽しみだね!


 ま、我を使えば、の話である。





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