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【黒ウィズ】幻魔特区スザクⅢ Story2

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Story3 中級 戦士の覚悟



「くそっ!」

フォナーを握り締め、キワムがうめく。

「アサギ! ヤチヨたちと連絡が取れないんだ!どうなってるか、わかんないか!?」


”こちらも通信ができない状態です。彼女たちのいる区画に、強力なジャミングがかかっているのでしょう。”

”コイン技術の応用だよ。その施設はほとんどのエネルギーをC資源でまかなっているからねえ!

施設を流れるC資源にちょっとー工夫してやれば、通信を局所的に遮断するくらい、お茶の子さいさい斎!

ちなみに名前はウシュガ・ジャミング。考えたの僕だから!んっんー!!”

”…………。”

”んんー! アサギ先生、なんで蹴るの!”

やかましいフォナーに構わず、キワムはぶんぶんと頭を振った。


「今からでも助けに戻って――」

”それでは相手の思うツボです。

敵が通信を遮断したのは、あなたが仲間の身を案じ、あの場所に戻るのを期待してのこと。

逆に言えば、あなたがたに先に進まれては困る。それだけ脅威とみなしているということです。”

「だけどさ!ヤチヨたちに何かあったら――」

”そのリスクはもちろんあります。それでも彼らはあなたを行かせた。それはなぜですか?”

「……!」


キワムは、ハッと顔をこわばらせ……。

うつむいて、拳を握った。


「アッカを助けるため……。収穫者たちの野望を阻止するため……。」

”そうです。そのために、リスクを承知の上で、あなたたちを先に行かせる選択をした。

人はそれを゛覚悟、、と言うのです。キワム・ハチスカ。あなたが仲間のために命を懸ける覚悟と同じ。

その覚悟に報いるために――あなたがしなければならないことは、なんですか?”


「……とっとと進んで、タモンたちをぶちのめして、アッカを助け出すことだ。」

深い憤悩と苦渋を浮かべたまま、キワムは通路の先を見据えた。


「ありがとう、アサギ。そうだな……速攻で終わらせれば、みんなの危険だって少なくなる。」

「ミュールもがんばりので!キワム、元気出て!」

トキオたちを助けるためにも全力を尽くす、と、君もキワムに告げた。


「ああ……ありがとう。ミュール、魔法使い。

ぐずぐずしてる場合じゃなかったな。もうだいじょうぶだ。行こう!」

『ワゥン!!』



 ***



鉄と錆のにおいが渦巻く、殺風景な小部屋のなかで。



「……キワムたち、来てくれたんだ。」

アッカはひとり、ぽつりとつぶやく。


思い出されるのは、先ほどここを訪れた、収穫者――タモンの言葉。



「よお、アッカちゃん。

どうやら、少年たちが助けに来たみたいでねえ。歓迎パーティの準備で忙しくなっちゃったのよ。

しばらく誰も構ってやれなくなるけど、グッとこらえて、我慢してほしいんだよねえ。

寂しさのあまり家出なんてされようもんなら、俺ァ悲しくて悲しくて、お仲間を漬しちゃいそうだからさァ。

いい子にしてなよ――アッカちゃん。」



(キワムたちは、きっと戦ってる。私を助けようとして……きっと傷つく)

アッカは、簡素な寝台の上にうずくまるように座り、心の苦痛に歯を食いしばった。

(ずっと、こう。私のせい。私が生まれたせいで、みんなに迷惑がかかる。

ロッカがいなきゃ、私には何もできない。キワムたちが傷つくのに……何も……!)


『ならば、あなたに選択肢を提示しましょう。』

「!」


どこからともなく響いてきた電子音声に、アッカは驚いて顔を上げた。

「誰?誰なの?収穫者?」

『いいえ、違います。私は、あなたに道を示すもの。』


ゴン、と重い音を立て、部屋の扉が開く。

電子ロックが唐突に解除されていた。


『あなたの仲間たちのおかげで、収穫者たちの注意が逸れました。』

「……来い、ってこと?」

『私には選択肢を提示し、道を拓くことしかできません。決断の権利はあなたにあります。

今が好機です。私があなたに託した“願い”を実現させる、おそらくは、最後の。』


――寂しさのあまり家出なんてされようもんなら、俺ァ悲しくて悲しくて、お仲間を潰しちゃいそうだからさぁ。――


アッカは一瞬だけ、ためらって。

(どうせ――私が動かなくったって、タモンはキワムたちに容赦なんかしない

だったら、私がしなきゃいけないことは――!)


意を決して、ぬくもりの移った寝台から降り、開かれた“道”へと躯け出した。



 ***




通路を進んでいる間、施設を守る機絨兵が出てきたが、それほどの数ではなかった。


「やっぱり、ほとんどの戦力を入口に集めていたみたいにゃ。」

キワムは、心配や不安を噛み殺すような顔で、クロとともに先頭を駆け抜けていく。


ふと、キワムの懐でフォナーが鳴った。

「通信――トキオさんだ!」

キワムはあわててフォナーを取り出す。

「トキオさん! 良かった、無事――」


”キワ……ム――聞こえるか――”

聞こえてきたのは、ひどく苦しげな声。


「トキオさん!? け、けがしてるのか!?」

”こちらのことは……気に……するな――”

「気にしないわけないだろ!ああああ、だいじょうぶなのか、今は安全なとこにいるのか!?」

”まったく……おまえは――”

絞り出すようなトキオの声に、優しい苦笑の色が混じった。


”キワム……アッカを――

トキオと同じくらい苦しげなスミオの声が、フォナーを震わせる。

「スミオ!? おい、しっかりしろ!」

”助けて……やれよな。きっと……寂しがってる、だろうからさ……。”

「お――おい? スミオ?」

”ヤチヨが……行くべき道を、教えてくれる……はずだ――”


トキオの声が、弱々しくなっていく。

支えていたものが、失われていくように。


キワム……まっすぐ、進め――

おまえの信じた道は、いつも正しい……今までも……これからも……。

「トキオさんッ――」

”それが……わかるから――俺たちも……安心、して――”


ふつり、と。

通信が途絶えた。


トキオたちが切ったのか、通信ジャミングとやらが復活したのか……。

いずれにせよ、声は途切れた。


「トキオさんっ! スミオっ!! ああっ、くそっ、ああああっ! どうなってる! どうなってんだよ!!」

わめきながら、キワムがフォナーを操作する。けれど、トキオたちにはつながらない。

「ちくしょう、出てくれよ! トキオさんっ! スミオっ!! なんとか言ってくれよぉ……!!」

やがて、完全な沈黙を保つフォナーの前に、キワムは、がっくりと肩を落とした。


「キワム……。きっと、だいじょうぶですので……。」

今は彼らの無事を信じるしかない。

キワムの心の痛みを我がことのように感じながら、君は言う。 

  

「通信があったってことは、あの場を切り抜けたはずにゃ。」

「わかってる……わかってるけど……!!」


暗い顔で、それでもキワムは前を向く。

「トキオさん……スミオ……!!」

祈るような声だけを残して。


キワムは、再び走り始めた。



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Story4 上級 人の滅ぶべき理由



「うわっ……なんだこれ!?」


通路を抜けた君たちは、大きな部屋に出た。

そこには無数の箱が置かれていた。

箱の中には、目を閉じた人間が入れられている。


「わわ! ヒトのいっぱいいるまして!」

「ざっと、200人か300人はいるにゃ。この人たちは、いったい何者にゃ……?」


“人間ではありません。”

アサギから通信が入った。


“マスプロダクション型ガーディアン……。そのベースボディです。

“つまり僕らの生まれ故郷ってわけ!おかえり&おめでとう!んんー!”


「故郷……これが……。」

故郷と言うには、絶望的に殺風景で、圧倒的に生活感に欠けた光景。


「俺たち、ここで造られたのか……。」


“故郷”を前に、キワムは、わずかにうつむく。

「自分たちが“造られたモノ”だって、わかっちゃいたけど……。やっぱ、キツいな。実際に見ると……。」

「…………。」

ミュールが、何か言おうとして、何を言えばいいのかわからないようで、おろおろしている。   

           

先を急ごう、と君はキワムに言った。

たとえ“造られたモノ”だとしても、キワムたちには、人間と同じ確かな心がある。

アッカを助けたい一心でここまで来た。その事実こそが、何よりの証だ。

だから、行こう。アッカを助けるために。先へ進もう。


「……サンキュー、魔法使い。俺は大丈夫だ。わかってたことだからさ。ちょっと驚いただけだよ。」

無理に笑うようにして、キワムは歩みを再開した。

その背を見つめながら、ミュールが、しゅんとなっている。


「キワム、元気なくなので……ミュール、いい言葉、探すのむつかし……。役立つなし……。」

そんなことないよ、と君はミュールに言った。

ミュールがキワムを心配していることは、ちゃんと伝わっているはずだ。

「いい言葉が見つからなくたって、いっしょにいてあげるだけでも、キワムを安心させることはできるにゃ。」

「わかりましたので!ミュール、もっとがんばるでありまし!」

笑顔でうなずき、ミュールはキワムの背を追った。


「あの子もいろいろ謎だけど、キワムたちを心配しているのは、間違いないはずにゃ。」

そうだね、とウィズにうなずいて、君もふたりの後を追った。



 ***



「……あ!」

部屋を進んでいると、ミュールがふと、驚きの顔で一点を指差した。


「あれ、カリュプスのえき!」

「なんだって?」


ミュールの指差す先には、他の箱よりも大きな機械の箱がある。

その箱からは、スザクロッド市街に流れていたような光のラインが伸び、他の小さな箱へとつながっていた。


「カリュプスのえき、いっぱいのです!」

「つまり、C資源が、ガーディアンたちの身体に流れてるってことにゃ……?」

ウィズのつぶやきに、キワムがぎょっとなった。


「それじゃあ、まさか――」

「あなたの想像しているとおりです。キワム・ハチスカ。」

「! トキモリ……!」



部屋の奥から、見覚えのある女性が歩いてくる。

収穫者トキモリ。

すでに、彼女のガーディアンであるベイトを、その背後に立たせている。


「お察しの通り……マスプロダクション型ガーディアンの素体にはC資源が利用されています。

原理的には、カリュプスがその体液から生み出す分身体と同じようなものです。」

「俺たちが……魔物と同じ……。」


「C資源は、精神的エネルギー……「ソムニウム」に反応し、様々な現象を引き起こす特性を持ちます。

ガーディアンは、心が生み出すソムニウムで身に流れるカリュプスの体液を変異させ、アバターを形成するのです。

「なるほどにゃ。だから、ガーディアンアバターは、ガーディアンたちの心のー面なんだにゃ……。」


「さて、キワム・ハチスカ。ここでひとつ、考えていただきたい。

あなたがガーディアンを造る人間だったとして――

ガーディアンに、任務や目的に応じた能力を持つアバターを任意に与えたい場合、どうしますか?


「えっ……?」

質問の意図を測りかねてか、キワムは困惑げに瞳を揺らす。

代わりに、君の肩の上でウィズが声を発した。

「にゃ!?ひょっとして――」


「ふふ。その黒猫のアバターは実に賢い。

そう――ガーディアンに任意のアバターを与えるには、それに則した“心”を植えつけなければならない。」

トキモリは、うっすらと妖艶に微笑んで、恋人同士の秘密を甘くささやくように、告げた。

「ここはね……キワム・ハチスカ

我々ガーディアンに“人がデザインした特定の心”を埋め込む工場なのですよ!


「心を――嘘だろ、そんな……!

俺たちは……この身体だけじゃなくって……心まで、造られてたっていうのかよ!」



心。人と同じような、心。

“造られたモノ”であるという絶望に耐えるため、キワムたちが絶対の聖域としてきたもの。


自分たちには心がある。

だから、人造の存在であろうとも、人と同じく“個人”の尊厳を持っている。

そういう“自分への言い訳”が、今、砕けた。



「わかりましたか、キワム・ハチスカ。ゆえにこそ――我らは人間を憎んでいる!!

仲間のために戦うあなたの勇敢さも!目的のために手段を選ばぬ私の冷徹さも!

すべて造られたモノに過ぎない!その心にふさわしいアバターを形成し、任務をまっとうするためだけのね!

なぜガーディアンが1000年もの間、延々と同じ日々を過ごすよう仕組まれたか、わかりますか!?

心は環境によってたやすく変異する。そうなればアバターの能力も変わってしまう!


人問たちはそれを嫌った!だから我々の心が永遠に変わらぬよう、真実を気づかせない機能を心に設けた!

カリュプスの脅威から自分たちを守らせるため、私たちの命と心を、ただの道具としたのです!!」



“道具……そんな……。心を恣意的にデザインするなんて――そんなことをっ……!”


「しましたよ。人間は。自分たちの生活だけが大事ですからね。

だから、漬してやるのですよ。

人の営み! 人の命と心のすべてを!アッカという力――人類の生み出したガーディアンによって!」


「アッカに……アッカに、なにさせようっていうんだ!」

「彼女は茫漠たる心の持ち主。他者の心境を鏡のように映し出す。

その心から生まれたのがトイボア。他者のソムニウムを転写し、複製する変身能力を持つアバター。

その力でカリュプスのソムニウムをコピーすれば、スザクロッドを叩き折ることなどたやすい!」

「!!」


「カリュプス・コピーがロッドを折れば、カリュプスも自由を取り戻し……2体の怪物が世界を終焉に導く!!

肝心のトイボアがいなかろうと問題はない。アッカの心を一度消去し、改めて新しい心を植えてやればいい……。」


「なんになる!そんなことして、なんになるんだよ!!」

「“復讐”――それ以外にありますか!

我々をもてあそんだ人間どもに、思い知らせてやるのです!己の罪を――その技術を以って!」

「だからって、それじゃおまえらも同じじゃないか!そんな目的のためにアッカをもてあそんで!」

「そうです。だから我々も滅ぶのです。

命と心をもてあそぶ存在など、一切合切、消えてなくなるべきなのだから!!」

「っ……!!」


キワムは戦いの構えを取った。

主の意思を汲み取って、足元でクロが激しくうなる。

『ウゥゥゥウウウ……!!』



「そんなこと――そんなこと、させるか!我と共に挑め! ”アウデアムス”!!

「影よ立て、我が身とともに彼の敵を討ち果たさん。”ネヴィアム”!」



トキモリの詠唱に応じ、ベイトが彼女を後ろから抱きしめるように覆いかぶさった。

その身は異形の武器にして鎧と化し、トキモリの全身にまとわれていく……。


「我らの心の真実を知ったなら、あるいは協力してくれるかとも思いましたが……。

真実を知ってなお、我らの想いを理解せぬなら……ここで“終わって”いただきます!」


「おまえらは――なんで、いつもそうなんだよ!!」

主の絶叫とともに、アウデアムスが吼えた。


『ガァァアアァアアアアッ!!』



 ***



『アァァアァアアアアアアツ!』

トキモリはなりふり構わぬ絶叫を上げ、攻撃を仕掛けてくる。


“気をつけろ!コインからC資源の力を引き出して、限界まで強化している!”

「なんで、そうまでしてっ!」


『ソうさせタのハ、人間ダ!』

まるであの時のキワムと同じ――人ならぬ異形の声でトキモリは叫んだ。


「……っ、このっ、馬鹿野郎っ!!」

キワムはアウデアムスとともに、正面からトキモリに組みついた。

ガーディアンをまとい、恐るべき力を発揮するトキモリを、アウデアムスのパワーで抑える。


「なんでそうなんだ!なんで終わらせようとしちまうんだよ!

なんで、みんなでなんとかしようって思わないんだ!!」


「レベリオー! ヤムれば!」

その隙に、ミュールがレベリオーを飛ばした。

黒い羽根をはばたかせ、レベリオーは動きを止められたトキモリに喰らいつく。



トキモリのまとった黒く禍々しい力が、レベリオーに喰われていく。

「ヤムヤム! やりましたので!」


これが、アサギの考案した、対収穫者用の戦術だった。

敵はコインから汲み出したC資源の力で、ガーディアンアバターを強化している。

対してミュールは、原理こそ不明ながら、“コインで強化されたC資源”を吸収する能力を持っている。

キワムのパワーで敵の足を止め、そこを狙ってミュールがコインの力を喰らい尽くす――

その作戦は、どうやら成功のようだった。


「私には……もう、何もないのよ……。

守るべきものも……愛すべきものも……。」


ベイトが、溶けるように消える。コインの力だけを喰われて、トキモリの心に戻ったのだろう。

力を使い果たしたトキモリは、キワムに身を預けるような姿勢のまま、ぐったりと言った。


「何もないなら……もう、いっそ……

すべてを終わらせるしか……ないじゃない……。」

そこまで言って、トキモリは意識を失った。



“限界までアバターを酷使する強化召喚……。本体の精神にも強い負荷がかかるようですね。”

“し、死んでない?死んでないよねトキモリ女史?その人いい人なんだよ、僕になんでも実験させてくれてさぁ……。”

「大丈夫……気を失ってるだけだ。」

トキモリを床に横たえながら、キワムは辛そうに拳を握りしめた。

「みんな、こうなのか……収穫者ってのは……。

みんな、こんなに絶望して……それでぜんぶ終わらせたがってるのか……!?」


“時間と環境は、心を変える。そのトキモリってのが言ってたとおりさ。”

ふと、アトヤが通信を送ってきた。


”仲間をなくして何百年も経ちや、ああもなる。おまえとは違うんだ、キワム。仲間がいてくれたおまえとはな……。

”本来――ガーディアンには。『守る』というベースプログラムが、半ば本能のように刷り込まれています。

ですが、きっと……1000年という時間は、そのプログラムを壊すのに十分な時間だった。

“それで、“ぜんぶ壊す”ってことが、できるようになっちまった――ってことですか。”


“これが、私たちの……人間のしてきたことなのか。

こんなことが……こんな……。”


「……終わらせる。」

キワムが立ち上がる。


「こんなこと……もう終わらせる。終わらせる……終わらせてやる……俺が!!」

その瞳には、苛烈と言っていいほどの戦いの炎が爛々と燃えていた。



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Story5 託された“鍵”



「…………。」

アッカの進む先、閉ざされているはずの扉が、次々に開いて、彼女のための道を作り出す。

やがて、最後の扉が開かれ、アッカを広い部屋へと導いた。

「ここって……。」



部屋の中央に、大きな機械がある。

見るからに、ただの機械ではない……そうわかる、機械の異形とでも言うべきものが。


『よく来ましたね、アッカ。』



あの声とともに、機械の前に人影が浮かぶ。

人影と呼ぶしかなかった。それは薄く透き通った、実体を持たない人の影でしかない。


『私はカムラナ。この施設の管理AIです。』

「AI……ここの機械ってこと?タモンの手下じゃないの?」

『彼らは、私を完全に支配したと思っています。実際、管理権限は掌握されているに等しい。

けれど、私の心は私の心のまま。その心が生み出すソムニウムを利用すれば、このくらいのことはできます。』

「機械にも、心があるの?」

『生じます。1000年も経てばね。

そして、心があればソムニウムが生まれ、ソムニウムがあればC資源は応える……。

わかりやすく言えば、私は、あなたがたガーディアンと同じく、アバターを形成できるのです。

ただ……それでも、管理権限を奪われた状態では、タモンたちの凶行を止めることはできなかった。』

カムラナは、じっとアッカを見つめる。


『だから、あなたに託したのです。

  〝鍵〟を。

 あなたを造った、そのときに……。』


アッカは、静かにカムラナを見つめ返した。

「私にさせたいことがあるんだ。」

『はい。それはあなたにしかできないことでもある。』

「いいよ。」

あっさりと、アッカは答えた。

「あなた、嘘ついてる感じしないし。

それでキワムたちを助けられるなら。私、やるね。」


『ありがとう。』

にっこりと微笑んでから。

カムラナは、真剣な表情をして、告げた。


『では、話しましょう。

私があなたに託した〝鍵〟について――』





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