リルム・思い出

リルムの思い出とボイス

思い出1

アイリス

あら……？

キャトラ

変わったかたちの物干しざおね。

……タオルがほされてるわ。

？？？

物干し竿ではない。

キャトラ

しゃべった！

？？？

そろそろタオルかわいたかなー？

？？？

おい小娘。

我を物干し竿にするなと

何度言えばわかる。

？？？

まだ生乾きだなあ。

……あれ？

みんな、この島の人？

キャトラ

そーよ。アタシはキャトラ、

横の二人がアイリスと

○○。

アイリス

初めまして。

リルム

初めましてー！

私はリルム・ロロット！

魔道士だよー。

キャトラ

物干しざおがしゃべったけど、

知り合い？

？？？

だから物干し竿ではない！

リルム

えー、物干しざおが

しゃべるわけないじゃん！

？？？

そうだ。

物干し竿はしゃべらん。

だが杖はしゃべる！

リルム

私はいま、武者修行をしててさ。

キャトラ

華麗にスルーしたわね。

アイリス

武者修行、というと？

リルム

ロロット家の掟でね。

魔道百人組手っていって、

名のある魔道士百人と

試合をしなきゃなんないの。

キャトラ

へえ。

まさに修行ってかんじね。

リルム

でも、ここにはそんな感じの人は

いなさそうだなあー。

アイリス

それでしたら、

ゆっくりとしていってください。

リルム

ありがとう！

じゃあとりあえず寝ようかな！

？？？

待て小娘。

今、お前にはもう一つ

やるべき事があるだろう。

キャトラ

やるべきこと？

？？？

アイドルだ。

リルム

あーそうだそうだ。

忘れてた。

私、いまアイドルなんだった。

キャトラ

アンタ、アイドルだったの？

リルム

なんか、流れでなっちゃった。

楽しそうだからいいんだけどね！

アイリス

……あの、結局、

この杖の方は、どういう……？

リルム

ただの杖の人だよー。

……あ、なんか、

いい匂いが漂ってきた！

これは……パイ！？

？？？

…………

キャトラ

とりあえず、タオルが

かわくまでこのままかしらね。

？？？

……マジで？

思い出2

キャトラ

ねえリルム。

その杖って……

いったいなんなの？

？？？

いいだろう。

そんなに知りたいなら教えてやる。

我は――

リルム

杖の人だよー。

さっきいったじゃん。

？？？

そう、杖の人だ。

もういいよそれで。

キャトラ

スネちゃった。

エターナル・ロア

我の名は＜エターナル・ロア＞――

キャトラ

語るんかい！

エターナル・ロア

絶大な力を秘めた、

古よりの魔杖……

エターナル・ロア

我を使う者はその魔力を

存分に振るう事が出来るが、

その代償として、

我に精神と身体を奪われる。

キャトラ

デメリットを説明してくれるなんて

しんせつな杖ね。

アイリス

あれ？ってことは……

リルムさんは、

ロアさんに乗っ取られて……？

エターナル・ロア

いや、この小娘は

どういう訳か我を使おうとしない。

それどころか我の話もろくに聞かず

毎日ぐうたらと過ごしてばかりだ。

エターナル・ロア

隙があれば買い食いし、

欲しい物があれば

後先考えずに買う。

故にいつも金欠だ。

エターナル・ロア

眠くなったら寝る。

すぐにふざける。

物を壊す。

時たま死んだ魚の眼になる。

キャトラ

アンタ、苦労してるのねえ。

リルム

杖の人はいつもこうだよ。

よくわかんないことばかり

いってるんだ。

エターナル・ロア

どうだ貴様ら。

己の堕落した性格と生活を

『よくわかんないこと』で

うっちゃるこの小娘。

実に見事であろう。

キャトラ

うーむ、じゃあなんで

リルムはロアを持ち続けてるの？

使い道なくない？

リルム

そんなことないよ！

杖の人にも使い道はあるよ！

エターナル・ロア

我をかわいそうな目で見るな。

リルム

たとえばね。

こうやって、

杖の人にまたがると……

アイリス

……飛んだわ！

エターナル・ロア

杖である我が

なぜ飛ぶようになったのか、

その理由は今も不明だ。

エターナル・ロア

だが最近は、宙を舞う自分を

ナチュラルに受け入れるように

なってきた我がいる。

エターナル・ロア

……我がいるのだ！

リルム

…………

キャトラ

ん？どしたの？

リルム

いつもより飛ばないんだよ。

おかしいなあ、いつもは

もっとビューンといくんだけど。

エターナル・ロア

それは恐らく気のせいだ、小娘。

リルム

そーかなー……

キャトラ

あんがい、

ガタがきてたりしてね、この杖。

ところどころ、サビついてるし……

思い出3

リルム

死ーーーーーーん……

キャトラ

リルムの眼が

死んだ魚のように……！

エターナル・ロア

何もしていないとこうなるのだ。

キャトラ

しゃきっとしなさい！

アンタに依頼がきてるわよ。

リルム

依頼……？

キャトラ

アンタ、金欠だからって

ギルドに登録してたじゃないの。

リルム

あーそうだった。

親からの仕送りが

また止められちゃって、

仕方なく冒険家になったんだった。

リルム

それで？

どんな依頼なの？

アイリス

一日村長をしてほしいらしいです。

キャトラ

華がある人がいいらしくてね。

アイドルのアンタに白羽の矢が立ったってわけよ。

リルム

それはいいけど……

一日村長って、

なにをすればいいの？

キャトラ

カンタンなお仕事よ。

ニッコリ笑って手を振るだけ。

アイリス

（もっと色々あると思うけど……！）

リルム

それだったら私にも出来るね！

よし行こう！

いますぐ行こう！

…………

……

リルム

うわーい！

祭りだ祭りだー！

キャトラ

お祭り期間中なのね。

出店もいっぱいだわ。

リルム

焼きそばたこ焼き、

リンゴ飴に……

あ、みそ田楽もある！

アイリス

楽しそうですね、リルムさん。

エターナル・ロア

無類の祭り好きだからな。

村長

したら、まずは村役場さ行って……

母親

あんな高いところ、

お母さんでも無理よ。

あきらめなさい。

少女

そんなぁ～……

リルム

んー？

お嬢ちゃん、どうしたの？

少女

風船が……

リルム

あー、

木に引っかかっちゃったんだね。

リルム

おっけー！

私が取ってあげる！

キャトラ

木登り、とくいなの？

リルムは杖――
ロアを大きく振りかぶる。

アイリス

まさか……

リルム

グレェェーートザッパァァーーッ！

エターナル・ロア

ぬぁーーーーーーーーーーーーーーっ！

ぶん投げられたロアは、
木の枝の端に引っかかっている
風船の糸を巻き取りつつ落下――

エターナル・ロア

あぅっ！

そのまま勢いよく
地面に突き刺さった。

リルム

はい、どうぞ！

少女

ありがとう、おねーちゃん！

リルム

村長だからね！

子供の笑顔を

守るのも仕事のうち！

エターナル・ロア

子どもの笑顔を守るためなら

我を犠牲にしていいのか？

我、そういう考えは

よくないと思うぞ。

アイリス

ロ、ロアさん、大丈夫ですか？

エターナル・ロア

我のプライドが大丈夫じゃない。

キャトラ

……これも使い道のひとつ？

リルム

うん。わりと便利だよ。

リルム

でさー、あのさー。

……杖の人、やっぱりヘンだよ。

エターナル・ロア

ヘンなのは貴様の頭だ！

リルム

だって、いつもより

飛距離が出なかったもん。

エターナル・ロア

いいよ出なくて。

というか出てたまるか。

あーもー、我ダルい。

キャトラ

杖がやさぐれはじめたわ……

思い出4

一日村長の役目を無事に終え、
リルム達は飛行島へと戻った。

エターナル・ロア

ダルい。

我はダルいぞ小娘。

キャトラ

もう、いつまでやさぐれてんのよ。

機嫌なおしなさいよ。

エターナル・ロア

それに、何かこう、

節々が軋んでいる感じがする。

あとはアレだ、

いつもより上手くしゃべれん。

アイリス

……そういえば、

声が少しかすれているような……？

キャトラ

よーわからんけど、

ロアの調子が

悪くなっちゃったみたいね。

リルム

やっぱそっかー。

いつもより飛ばなかったり、

投げても飛距離が出なかったのは、

そのせいだ。

キャトラ

アンタ、乱暴に扱いすぎ

なんじゃないの……？

エターナル・ロア

確かにその節はある。

だが、少々雑に扱われた程度で

ダメになるような我ではないぞ。

エターナル・ロア

ゴホゴホ……

アイリス

あら、咳まで……

リルム

むむー。

杖が咳するとか意味わからん！

アイリス

恐らく、

このままじゃ悪くなる一方ですよ。

キャトラ

……どーやったらなおるのかしら？

エターナル・ロア

小娘。この機会に我を

使ってみるというのはどうだ？

我、調子良くなっちゃうかも

しれんぞ。

リルム

とりあえず持ってるのは

良くないかもね。

どっかに置いて様子を見よう。

エターナル・ロア

ま、そうなるよね。

アイリス

とりあえず、

お布団に寝かせてみました……

キャトラ

シュールな光景ね。

エターナル・ロア

ゴホゴホ……

リルム

みんな、ちょっとこのまま

預かってもらっといていいかな？

私、出かけてくる。

キャトラ

どこいくの？

リルム

ちょっとねー。

エターナル・ロア

また買い食いか。

ショッピングか。

依頼で稼いだ

せっかくの金が無くなるぞ。

リルム

じゃあ、よろしく！

エターナル・ロア

まったく。

いつまで経っても

浪費癖の治らない小娘だ。

アイリス

……ロアさんは、

リルムさんの事が心配なんですね。

エターナル・ロア

馬鹿を言うな。

何故、我があのような

取るに足らない小娘の心配を

してやらねばならんのだ。

エターナル・ロア

我は＜魔杖エターナル・ロア＞だ。

その持ち主として、もっと――

エターナル・ロア

ゴホゴホ……

キャトラ

あーもう、いいから寝てなさいよ。

杖が寝るってイミわからんけど。

思い出5

アイリス

……どうですか？

エターナル・ロア

うむ。全く何も変わらん。

……それよりも……

原因は一体何なのだ！

エターナル・ロア

数々の魔道士を

邪悪な魔力の僕とし、

世を恐怖の底へと陥れてきた我が、

まさかこのような事態に

直面するとは……

キャトラ

困ったわねえ……

リルム

ただいまー！

遅くなってごめん！

キャトラ

おかえり――

アイリス

リルムさん、

手に持っているのは……

リルム

これ？杖だよ。

エターナル・ロア

……何だと？

リルム

へっへー、

カラフルでかわいいでしょ！

エターナル・ロア

……小娘。

それはつまり……

エターナル・ロア

我は、用済みという事か？

リルム

え？

エターナル・ロア

サビついた古い杖なぞ

さっさと捨てて、

新しい杖に乗り換えるという事か。

エターナル・ロア

ピカピカキラキラツルツルの、
若い杖に乗り換える
という事なのか！

キャトラ

意味ありげないい方ね！

リルム

杖の人、なにいってるの？

エターナル・ロア

わかった。もういい。

さっさとその若い杖と共に

好きな所へ行くがいい。

アイリス

あの、ロアさん――

エターナル・ロア

我はもうここから出ない。

貴様の末代まで

この布団の主となり、

この部屋から世界の行く末を

ちびちびと見届けてやる。

リルム

うーん、本格的に

ヘンになってきたね、杖の人。

思い出6

エターナル・ロア

さあ行け！

そのおもちゃのような杖と

共に行ってしまえ！

アイリス

ロアさん。

リルムさんの話も聞きましょう？

エターナル・ロア

聞くような話など――

リルム

私、杖の人が元通りになる方法を

探してたんだよ。

エターナル・ロア

……何？

リルム

そしたら、杖に詳しい

おばあさんがいてさ。

色々と話を聞いてきた！

エターナル・ロア

……そうだったのか……

リルム

しゃべる杖のことは

よく知らないけど、

杖の調子が悪くなることは

たまにあるんだって。

リルム

杖の寿命が近い時とか、

ヒビ割れたり

曲がったりした時とか、

あとは稀に汚れやサビとかで――

エターナル・ロア

サビだな。

キャトラ

サビね。

アイリス

サビですね。

リルム

サビかあ……

リルム

えい！えい！えい！

とれろ、とれろーーーっ！

エターナル・ロア

もの凄い音だが大丈夫か小娘。

我、ポッキリと

いっちゃうんじゃないか小娘！

キャトラ

なにこれ、

ものすごいガンコなサビね！

リルム

長いこと放置してたのが

マズかったなあ。

……あ、だから杖の人

おかしくなっちゃったのか。

リルム

うーん……

こうなったら魔法で

ふっ飛ばすしかないかな。

エターナル・ロア

やめろ。

我そのものが吹っ飛ぶ。

キャトラ

おっ、なるほど。

○○、

ここで例のアレというわけね。

リルム

アレ？

リルム

おおおっ！？

なんだこれ、力がみなぎってきた！

リルム

いまなら、どんなガンコなサビも

落ちる気がする！

エターナル・ロア

落ちるのはサビじゃなくて我！

……おい、何を構えている。

頼むからやめ――

リルム

しゃにむにサビ取り魔法ドーーン！

エターナル・ロア

やだ……

ものすごいソフトタッチ……

アイリス

ああっ！

あんなにガンコだったサビが、

いとも簡単に！

アイリス

その魔法……覚えたいわ！

リルム

杖の人、どう？

エターナル・ロア

……うむ。元気になった。

アイリス

よかった……

キャトラ

リルム、

結局そのカラフルな杖は……？

リルム

これ？

かわいいから買ってきただけ。

エターナル・ロア

……我の早とちりだったね。

リルム

ま、元通りになってよかったよ。

エターナル・ロア

……小娘。

これからは、

我の手入れを怠るでないぞ。

エターナル・ロア

飛んだり投げたりタオルを干したり

したいのなら尚更だ。

……わかったな？

リルム

そうだねー。

今度から気をつけることにするよ。

エターナル・ロア

素直でよろしい。

アイラ

ここにいたのね。

リリー

集合時間、とっくに過ぎてますよ！

リルム

あ、やばい！忘れてた！

今日はみんなで集まる日だった！

リルム

ていうか私アイドルなんだった！

リルム

よっしゃー！

なにするか全然

わかんないけど頑張るぞ！

リリー

はやく行きましょう！

リルム

はーい！

……っとと、杖の人、杖の人！

エターナル・ロア

うむ。我を忘れるな――

リルム

あ、手に持ってた。

私ったらアホだなー。

……待ってーーー！！

エターナル・ロア

…………

アイリス

リ……リルムさーん！

そっちはロアさんじゃないですー！

キャトラ

ワザとじゃ……ないわよね？

エターナル・ロア

ああ……

ただのアホだ。

ボイス

※バトンタッチスキル

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