玉麟香腰・物語
一 雪に寄せた想い・壱
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
共通
彭公
「兵士よ、前へ進め――」
彭公は赤い旗を手に掲げながら船首に立って督励している。江風に吹かれ、白い服がぱたぱたとはためく音を奏でていた。
その背後には、笛を手にのんびりと音楽を吹奏している白衣の将軍が立っている。
玉麟香腰
「北風に笛を吹き、寒雪は満天を飛び交う――」
突然来襲した吹雪が敵の船を狭い川に閉じ込めた。漕ぎ手は必死に漕ごうとするが、冷たい風で目が回っている。
「ドカン――」
前列の敵艦は強力な鉄砲に砲撃されて粉々になった。敵軍はパニックに陥り、甲板の上で混乱した。
兵卒
「行くぞ!我が家を守れ!山河を取り戻せ!」
その刹那、銃声と叫び声が飛び交い――
玉麟香腰は、何も恐れずに前に進んでいく旧友の姿を目にしていた――彭公の容姿は全盛期から老年期へと徐々に変化し、その敵も長髪で黄色いターバンを被った人たちから、鼻が高く目の彫りが深い外国人へと変化していった…
ただ一つだけ変わらないのは、玉麟香腰が亡き友人を追いかけながら、玉笛を吹いて進んでいたことだけだった。風雪は旧友、軍艦、敵軍を極寒の暗い夜に押し込み…そして彼もまた、振り返らずにその奈落の底へと駆け込んでいった。
突然、春風が真冬を吹き飛ばすように、背後から声がした――
???
「相遥?」
彼はぼんやりとしたまま立ち止まってふりかえり、明るく輝いている太陽とはしゃいでいる百獣を目にした。
美しい光景の中、その人は笛を下ろし、微笑んで彼に手を振っていた…
玉麟香腰
「○○、あなたが来ることは分かっていましたよ。」
「笛のデュエット…これほどユニークな「挨拶」の仕方は、私たち二人の秘密ですから。」
【選択肢】
・2じゃあ、この「挨拶」は好き?
・教えてもらった曲を上手に吹けたかな?
選択肢
じゃあ、この「挨拶」は好き?
玉麟香腰
「好きですよ。デュエットで奏でるたびに同調してくれているのが本当に嬉しいです。」
「これからは別の曲で「挨拶」をしてみてはどうでしょう?」
教えてもらった曲を上手に吹けたかな?
玉麟香腰
「この曲は自作のデュエット作品なんです。
1人で演奏すると少し寂しい気分になってしまうのですが、一緒に合わせてくれる知己が見つからなくて。でも、あなたならきっとできるでしょう。」
「本当に頭がいいし、呑み込みも早くて上手ですから!」
共通
玉麟香腰
「ああ…先程はなぜ悲しそうな顔で奏でていたのかが知りたいのですね。」
「もうすぐ彭公の命日ですので、私もそろそろお墓参りに行くべきなのではないかと…それを思い出していたんです。」
「彭公は生前、梅をこよなく愛していました。ですから、命日には必ず亡き友人のお墓に珍しい梅を一本捧げようと思いまして。」
「唯一無二の梅を見つけてあげられるように、できれば早く出発したいのです。」
「空桑にも梅に独特の見解を持つ食魂がいるんですか?」
「ありがとうございます。これで手掛かりなしに探し回ることはなくなるでしょう。彼の元まで連れて行ってくれませんか?」
揚州炒飯
「わ、若様?どうして急に…書斎まで連れてきたんですか?…玉様までいらっしゃるなんて。」
玉麟香腰
「実は珍しい梅を探しているのだが、それがどこにあるのかを教えてもらいたくて…」
揚州炒飯
「珍しい梅?」
「晩生の知る限り、玉皿龍遊梅、素心蝋梅、別角晩水などはどれも有名な品種です。」
玉麟香腰
「世間に知られている品種であれば、どれも普通でしかない。唯一無二の梅を見つけたいんだ。」
揚州炒飯
「なるほど…唯一無二の梅…」
「ある本で読んだ伝説によると、斗笠山には古びた幹と無数の枝を持ち、百万石の玉が鱗状になった奇妙な紅梅の木があると言われています。古い木ではありますが花がいっぱい咲き、生命力に溢れているとか。」
玉麟香腰
「その梅、亡き師匠が描いた「兵隊の梅」にとても似ている!これは憧れてしまうな。」
揚州炒飯
「しかし、この梅は山林の奥深くに隠れていて、深い縁がある相手にのみ姿を現すそうですよ。」
玉麟香腰
「大丈夫、森の動物たちに道を聞けば、きっと助けてくれるだろう。」
「とにかく、教えてくれてありがとう。私と○○はさっそく出発するとしよう――」
揚州炒飯
「恐縮です、お礼などいりま…」
揚州炒飯
「あれ、もう行ってしまわれたのですか?伝説の梅がうまく見つかるといいのですが…」
玉麟香腰
「山林に着くとすぐに小動物が集まってきましたね。お見苦しいところを見せてしまって申し訳ない、○○。」
「さて、梅について尋ねてみましょうか。」
「こんにちは。この森には特別な梅があると聞いたのだが、何か知っていることはないかな?」
そのとき、一匹の小さな雀が動物の群れから飛び出し、玉麟香腰の肩の上に乗った。
雀
「ピピピ~ピッピ~」
【選択肢】
・相遥、雀ちゃんはなんて言ってるの?
・ピッピ~
選択肢
相遥、雀ちゃんはなんて言ってるの?
玉麟香腰
「彼女は、この森に「悲しい梅」があることを教えてくれました。
ピッピ~
玉麟香腰
「○○、あなたも動物との会話方法を知っていたのですか?」
「なら、小雀が何を言っていたか、教えてもらえますか?」
「「相遥は格好いい」って?はは、嘘がバレバレですよ。」
「彼女は、この森に「悲しい梅」があると言っていたんです。」
共通
「ん? 「悲しい梅」? 興味深い表現ですね。一体どんな梅なんでしょう?」
雀
「ピピピ…」
玉麟香腰
「なるほど。その梅を見ると、悲しくて涙が止まらないんだね…」
「では、早く「嬉しい梅」が見つかるといいね。」
雀
「ピピピピ~!」
それを聞いた小雀は寒英の頭に飛び、その角を親しそうに触りながらいつまでも離れようとしなかった。
寒英
「グルル――?」
玉麟香腰
「なるほど、これが「嬉しい梅」か。小雀は寒英の角が大好きなようだ。」
「では小雀は寒英に乗って、道を案内してくれるかな。」
玉麟香腰はついでにリスと白兎を腕に取り込み、そのふわふわした毛並みをなでながら、耳を澄まして二匹の話を聞いた。
玉麟香腰
「道中が退屈なら、物語を聞きますか?」
【選択肢】
・相遥は物語も語れるの?
・彭公と梅の話が聞きたい。
選択肢
相遥は物語も語れるの?
玉麟香腰
「過去の経験を共有するだけですよ。○○は聞きたい話があるのですか?」
「彭公が梅を愛する理由を知りたい、と?」
彭公と梅の話が聞きたい。
玉麟香腰
「ちょうど小動物たちもこの話が聞きたいと言っていますし、教えてあげましょう。」
共通
「あれは感動的でもあり、悲しい物語でもありました…」
「彭公には「梅姑」という幼馴染の恋人がいました。
血は繋がっていませんでしたが、世代の不相応さと干支の相性の悪さから、それぞれお見合いをして結婚することになりました。
「四年後、梅姑は難産で亡くなり、そのとき彭公は蜂起を鎮めるために遠出していました。」
「帰郷して梅姑の葬儀に出るよう説得しようとしましたが、軍事を優先すべきだと冷たく断られました。」
「けど、夜中に彭公の天幕を通った時、灯火の下で一人梅の花を描いたり、寂しく嘆いたりするその姿を目にしたんです。」
「そういった矛盾した気持ちをすぐには理解できませんでしたが、後になってようやく気付きました。彭公は…」
寒英
「ガォ――」
玉麟香腰
「…寒英が急き立てているようです。」
「○○、よろしければ足取りを早めませんか?道を急ぎながら続きをお話しましょう。」
二 雪に寄せた想い・弐
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
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曽様
「こっちは昔話が弾むだろうと大喜びで宴会に出席したというのに、まさか雪琴、お前というやつは…」
彭公
「攻め落とした城で大虐殺を行う曽老九は不仁極まりない。曽公、あれを放っておけば災いを招きかねないでしょう。免職させて厳罰に処すことを強く勧めます。」
曽様
「老九に機嫌でも損ねられたか?たとえ奴が悪かったとしても、陸軍に重んじられている将軍だし、俺の実の弟でもあるからなぁ。」
彭公
「偽りのない言葉です、ご明察を。面と向かって言えないのなら、目標が達成されるまで手紙を進呈し続けましょう。」
曽様
「雪琴よ、お前は…殺める手段で心を生かそうとしているのはわかっているが…どうしてもここでお互いの顔の皮を破るつもりなのか?」
静まり返った部屋には、しかめた顔で嘆いている曽様と真剣な顔をしている彭公がいる。雰囲気を和らげようと、来訪者が話題を逸らし始めた。
玉麟香腰は笛を握る手に力を込め、ため息をついてから、場を収めようと立ち上がった――
玉麟香腰
「……。」
彼の吹く笛の音には聴く者の心を落ち着かせ、静かに耳を傾かせる不思議な力があった…
彭公
「相遥、客は全員帰ったのか?なら、今から外食に付き合ってくれ。」
玉麟香腰
「外食?宴が終わったばかりだが…」
彭公
「あれは政府の食事だ。これからは民間の食事に連れて行ってやる。」
真っ白なローブを被った彭公は普段の剛直で厳しい彭公ではなく、どこにでもいそうな老人に見えた。
露天商
「なあ、聞いたか?曽老九が城で大虐殺を行ったって…」
「安慶の民は本当に気の毒だ。長毛が去ったばかりだというのに、また湘軍に来られたなんて…」
客
「しーっ、お巡りさんに聞かれてもいいのかね。
今のご時世、自分の命を守るだけでも精一杯なんだよ。他人のことをいちいち気にする余裕なんてないだろう?」
彭公は顔色ひとつ変えずに民衆の訴えに耳を傾けながら、箸を上げて精進料理を一皿食べ、また水差し半分の米酒を飲んだ。
露天商
「お客様、お帰りかい?今ちょうど酒を入れてる最中で手が離せなくてね。銅銭を机に置いていってくれ。」
それを聞いた彭公は、銅銭を一列並べて飯屋を後にした。
相遥はやっと我に返り、急いで後を追った…
彭公
「相遥、ずっと元気なさそうな顔をしているな。何か言いたいことでもあるのか?」
玉麟香腰
「曽様は彭公を抜擢してくれた恩人で、師であり友でもあるのだろう。宴会での言い争いは心苦しかっただろうに。」
「あなたが悩んでいる姿を見ていると、何もしてあげられない自分が悔しくて仕方がない。」
彭公
「悩むほどのことではない、理由は簡単だ。将来、師が間違いを犯したとして、お前は平等に弾劾できるか?」
玉麟香腰
「いや…私には無理だろうな。」
「あなたは実社会に身を投じ、人間界の暖かさと冷たさを知り、人々を愛する術を私に教えてくれた。あなたと梅姑の真摯な感情にも憧れている。しかし今、あなたは私に感情を捨て、冷酷な人間になれと言っているのか…」
彭公
「このご時世だ、民は窮地に立たされて生きている。偉丈夫は個人の感情や不平不満に事をしくじられてはならない。」
「国事が目の前にある時は不要な感情を捨てるべきだが、捨てられない時は隠す方法を見つけるべきだ。」
玉麟香腰
「それが梅姑に会いに行かなかった理由か?」
彭公
「……。」
玉麟香腰
「あの時の困惑は未だに…はあ…」
二人が分かれ道にたどり着くと、相遥は振り向いて彭公に別れを告げた。
笛を構えて一曲吹くと、哀愁を帯びた音には不甲斐ない感情が込められていた…
雪のように白い背中が、寒い道をゆっくりと遠ざかっていく。
彭公は若かりし頃の自分を見たようで、少し心を打たれ、相遥に声をかけた――
彭公
「待て、相遥。」
「乱世が終わるまで、私が今言ったことを理解する必要はない。」
玉麟香腰
「一途な人間は最も冷徹だ。他人に冷酷で、自分にはさらに冷酷になる。これが私の師匠で、国のためならといつもまっすぐ突き進んでいました。「命も官職も金もいらない」が後の者からもらった賛辞であり、彼の人生を反映した言葉でもあります。」
「彼は国と民のために人生を捧げ、忠誠心が鮮明に輝いていました。その一方、彼は己の恋心を一万枚の花の絵巻に隠したのです…」
二人が話をしているうちに、いつの間にか梅の木にたどり着いていた…
雀
「ピピピ――」
玉麟香腰
「着いたようですね。」
「なるほど、本当に特別な梅だ。いくつか摘んで、お香袋を作ってみてはどうでしょう?」
「え?先に彭公のための梅の花を選んだほうがいいと?」
「いいえ、あなたは違います。彭公が私を責めることはないと思いますよ…今からあなたを彼に紹介するのですから。」
「○○、少し待っててください。」
白衣の紳士は風雪を召喚し、木の上から梅の花を数本吹き落とした。彼は手を挙げて、その内の一本を取る。
玉麟香腰
「どうかしましたか?何かおかしいところでも?」
体の任意の位置に触れる
触れ合い
頭に触れる
玉麟香腰
「おや?髪に挟まっていたのは――梅の花ですか?」
「意図して折るより、無心に持たされた花のほうが芳しい。」
「どうやらこっちのほうが良さそうですね、さあ、匂い袋に入れてあげますよ――」
体に触れる
玉麟香腰
「羽織りが少し緩んでいたんですか?」
「呪文を唱えた時の動きが激しかったのかもしれません。直してくれてありがとうございます。」
「では、私からも「細やかな気持ち」を――」
共通
玉麟香腰は匂い袋に梅の花を入れて、目の前の人に手渡した。
玉麟香腰
「…顔色が良くないようですが、気に入らなかったのですか?」
【選択肢】
・木の後ろに何か変なのがいる
・うわぁ、出た!
選択肢
木の後ろに何か変なのがいる
突然、木の後ろから一人の美しい女性が出てきた。
女の人
「そこのお二人さん、どこから来たんです?コソコソ花を盗むだけじゃなく、密会までしてるんですか?」
うわぁ、出た!
玉麟香腰
「○○、これはドッキリでしょうか?いたずら好きですね。」
突然、木の後ろから一人の美しい女性が出てきた。
女の人
「何が「出た」んです?梅の花を盗んでいったくせに!」
共通
女の人
「待って、その玉佩…そして横にいるその男は――?!」
玉麟香腰
「あなたは誰なんですか?なぜこの玉佩のことを…?!」
女の人
「私は梅姑よ。彭玉麟が持っていた玉佩を私が知らないわけがない!」
玉麟香腰
「まさか!梅姑はとっくに死んでいます。何か誤解が…」
「梅姑」
「はは、それはそうよ!私が死ねばあなたはその「生涯の知己」と一緒にいられる。当然死んでほしいわよね!」
「思い通りにはさせない――梅の枝がほしければ、命と引き換えよ!」
女の顔には、相手の命を奪いたいという憎しみが滲み出ていた。彼女の動きは驚くほど素早く、あっという間に目の前まで迫り――
玉麟香腰
「何をするつもりだ?彼を傷つけるな!」
玉麟香腰は彼女よりも一歩早く、傍にいた人を腕の中に囲んだ。
しかし「梅姑」の詭弁を反論するために、腕の中の人は衝撃的な言葉を口にした――」
【選択肢】
・玉相遥は彭公にはならない!
・玉相遥は誰の影でもない!
選択肢
玉相遥は彭公にはならない!
玉麟香腰
「――!」
「その通りだ。この玉相遥、彭公から「雪帥」の名を受け継いではいるが、彭公ではないし、これからも彼にはならない!」
「○○は確かに私の「生涯の知己」です。ですが、私が彭公だと勘違いしてはいけません。
梅姑への彭公の深い愛情がかけがえのないものであるように、○○への私の愛もかけがえのないものですから。」
玉相遥は誰の影でもない!
玉麟香腰
「――!」
「そうだ。玉相遥は彭公ではないし、誰かの影として生きていくこともない!」
「あなたも、そろそろ「梅姑」の影から出てくるべきではありませんか…?」
共通
「梅姑」
「嘘ばっかり!嘘ばっかり!」
「梅姑」は発狂したように襲いかかってきた。玉麟香腰は仕方なく笛を持ち上げて吹き、風雪を呼び起こした――
玉麟香腰
「……。」
「梅姑」
「クッ――」
「梅姑」は風雪に閉じ込められ、逃げることができなくなったが、笛の音は彼女を幾分落ち着かせているようだ。
玉麟香腰
「お嬢さん、落ち着いて話を聞いてくれませんか?」
「玉佩の由来を説明しましょう。そして、あなたの口から直接聞きたいこともある――」
「あなたは、いったい誰なんですか…?」
三 雪に寄せた想い・参
◆主人公【男性】の場合◆
(逆の場合の差分は募集中)
共通
白い服に身を包んだ痩せた老人が、ゆっくりと鎮海楼に登りながら望遠鏡で遠くを眺めた――
水上では軍艦が砲塔の間を行き来している。教場では、兵士の訓練が勢いよく行われていた。
彭公
「馮将軍の鎮南関での勝利は非常に励みになる。外敵を追放して国の領土を取り戻す日も近いだろう。」
「相遥、朝廷からの手紙には何て書いてあったのだ?」
玉麟香腰
「朝廷は…軍隊の撤退を求めている。」
彭公
「――!!!」
「ゴホッゴホッゴホッゴホ…ははは…はは…」
玉麟香腰
「彭公、どうかお体に気をつけて!朝廷は撤退を求めているが、我々の勝利を生かして、すぐに別の勝利を収めれば、朝廷は必ず態度を改めるはず――」
老いた手はゆっくりと持ち上げられ、若者の手を握った。
彭公
「滅びる帝国をこの局面から挽回する力などない。無理強いする必要も無いだろう。撤退だ…」
「帰ったら辞表を送っておいてくれ。老後は帰郷して梅園を作り、梅とともに生きていくつもりだ。書院も建てて、国のために少しでも英才を育てたいと思っている。」
玉麟香腰
「彭公!私は長寿だし、風雪を操る力を持っている。代わりに海軍の反撃を指揮することだってできる!あなたがいなくなっても、私は国のために奉仕するという夢を引き継いで――」
彭公
「は、必要ない。」
「将来、お前に必要なのは…人生を共にする相手を見つけて、玉佩の残り半分をその人に贈ってあげることだけだ。」
玉麟香腰
「彭公が辞職して故郷に帰った後は、毎日梅の花を植えて鑑賞し、逝去するまで梅の花を描き続けていたという。」
「旧友が亡くなり、私も世俗から離れようと想いましたが、食神に説得されてこの世に戻り、人間界の新しい光景を見て初めて彭公の思いを理解しました。」
「彭公は、私が彼の恨みを背負い、過去の闇に浸ることをのぞんでいるのではなく、むしろ私が世間に対して前向きな姿勢を保ち、人に優しく親切であることを望んでいたのでしょう。」
「この玉佩は彭殿と梅殿の愛情の印です…数年前、彭殿はこの記憶を忘れるために、私にこの玉佩を渡しました。今思えば、もしかしたら託されたのは「希望」だったのかもしれません…」
「ですから梅殿…いや、梅殿の「思念」と呼ぶべきでしょうか。
執念を忘れて、もう一度やり直しませんか。過去に生きるのはもう…やめましょう。」
「梅姑」
「私は…ただの…思念?」
玉麟香腰
「先程あなたと戦った時、あなたは人間の身では到底不可能な速さで動いていました。
それに私の攻撃を受けた後も、体が透け始めていましたから。」
【選択肢】
・『牡丹亭』に出てくる「還魂」は知ってる?
・梅は痴情を意味する。生者は死に、死者は生す
選択肢
『牡丹亭』に出てくる「還魂」は知ってる?
玉麟香腰
「そう、ですか……。」
「『牡丹亭』の物語では、柳夢梅の愛情に免じて、杜麗娘の魂は許され、人間界に戻れたと書かれております。」
梅は痴情を意味する。生者は死に、死者は生す
玉麟香腰
「「愛情の故も知らず、生者は死に、死者は生す」…『牡丹亭』の名句ですね。」
「○○、ありがとうございました。これでようやくはっきりしましたね。」
共通
「梅殿を記念すべく、彭殿は生涯をかけて梅を描き続けた。その執念が梅殿の魂を呼び寄せたが、魂に記憶はなく、世間を漂っている内に私と彭殿を勘違いした。」
「これが私の知っている全てです。次は、あなたの番ですよ。」
「梅姑」
「はは…やっと思い出しました…そう、たしかに私は…ただの魂でした…」
「役人が人間界に帰ることを許可した時、私は彭と再会できると思い、どれほど喜んだことか。しかし、私が死んだあとの彼なんて全く知らない…どう探せばいいのかもわからなくて…」
「彼が人間界で私を思っていると同様、私も人間界で彼を探し続けました。しかし、記憶は時間の流れと共に曖昧になっていき…姉妹には彼の面影さえもぼんやりとしか思い出せなくなり…」
「私は梅の木に憑依して、なんとか魂を保つことができましたが…彼が生涯を掛けて、梅の花を描くことで私を呼び戻したなんて、今までずっと知りませんでした…それはつまり、私が戻ってきた頃、彼はもう…」
「彼は転生されたのでしょうか…お願いします。せめて墓の前に連れて行ってください…それを見ないと…安心して転生できません…もう、これ以上待たせたくないのです…」
そう言いながら、彼女の魂は光と化し、玉麟香腰が持っている紅梅の枝の元に集まった。
彭の墓の前では白い梅が咲いており、雪の光でより一層白く見えた。
玉麟香腰
「雪が花のごとく、花が雪のごとく。」
「彭殿。昔、私があなたに会いに来たのも、こんな雪が降り積もる季節でした。墓の傍でこの白い梅を埋めた時、まさかこんなに立派に成長するとは思いませんでしたよ。」
【選択肢】
・相遥と一緒にここに残る
・少し離れて、彭と二人きりで話をさせる
選択肢
相遥と一緒にここに残る
玉麟香腰
「どんな結末であれ、歴史の車輪は止まらない。一生、自分の心に悔いが残らなければ、それでいい。」
「これも彭殿から教わった道理です。今や乱世も終わり、人間界はどこもかしこも生き生きとしている。」
「私はこれからも空桑の若様とともに、ようやくして手に入れたこの平和を守りますよ。」
少し離れて、彭と二人きりで話をさせる
玉麟香腰
「あなたは私の師であり、友でもありました。私が化霊して以来、あなたは感情を教え、感情の捨て方を教え、最後には私が感情に期待することを願った。」
「しかし、「真の感情」を留める方法は教えてくれませんでしたね。それはあなたの遺志でもある…そうでしょう?」
「安心して下さい、必ずその答えを探して見せます。今の人間界は美しい…「真の感情」を理解するのも、時間の問題です。」
共通
玉麟香腰
「ここに一本の紅梅を持ってきました。それと、この「雪梅」と出会った経緯もお話しましょう…」
玉麟香腰
「○○、見て下さい。梢に積もった雪の華はまるで水晶のように美しい。気に入ってくれましたか?」
「旅に付き合ってくれた御礼に、空桑に戻った後はあなたにこの雪景色を見てもらいたいと思っていました。」
「彭殿は無事「知己」を見つけることができましたし、私も「生涯の知音」に出会えました。」
「相手は誰だって?」
「○○。青丘にいる時、寒英が私に何を話したか…ずっと聞きたがっていたのでしょう?
実は、玉佩の半分をその「誰か」に贈ろうという提案を聞いたんです。」
「動物が本能に駆られ、好きな相手に近づこうとするのと同様、私も知らぬ間にずっとその「誰か」の傍にいました。今思えば、それこそ「好き」という感情なのかもしれません…」
「寒英ですらわかったことなのに、私はいつまで経っても理解できませんでした…」
「その「誰か」と出会えたから、「玉佩」を生涯の知己に渡すという願いもようやく叶いそうです。」
「ですから、この半分の玉佩を私の人生の半分と共に、今あな…」
陸吾
「ゴッホン!○○!まさかこんなところにいたとは…空桑の裏山は遊び場じゃにゃいんだぞ!ほら!さっさと餐庁に戻るにゃ!仕事が山hど溜まってるんだにゃあ!」
玉麟香腰
「り、陸吾殿――?!」
「○○、もう行くんですか…まだ玉佩が…」
陸吾
「にゃは~ん?何か匂うにゃ~何か大事な話でもしてたのかにゃ?」
玉麟香腰
「な、何でもありません…○○、陸殿と行って下さい。私はここで寒英と待ってますから。」
陸吾
「本当かにゃあ?玉相遥、なんか顔色が変じゃぞ~?」
数時辰後…
寒英
「ガウ~」
遠くから駆けつけてくる人影を目で捉えた瞬間、寒英は歓喜な色を隠せず、その人影を石台の前まで案内した。
玉麟香腰はその台にうつ伏せになって寝ているようだ。鶯が肩に乗り、小兎が膝の上で丸まっている。その景色はあまりにも暖かく穏やかで、邪魔するにはとても忍びなかった。
玉麟香腰の手元には半分の玉佩と、梅の花が乗っている手紙が置いてあったが…
差し出した手は玉麟香腰にとっさに捕まえられた。まだ完全に起きてはいないようだ。
彼は寝ぼけた顔に微かな笑みを浮かべ、ふにゃふにゃと何か言い出した――
玉麟香腰
「やっと…捕まえた…私の梅、私の知音…○○…」
「この玉佩をあげますから…もう、傍から離れないでください…」
書いたばかりであろう手紙は、まだ墨すら乾いていない。そこには数行の詩が残されており、溢れんばかりの想いが綴られていた――
『愛情の故も知らず、
生者は死に、死者は生す。
情を悔やまぬ梅の花の如く…
生涯を過ごせば…どんな誓いも及ばぬ。』
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